産業用X線CT装置測定評価について

産業技術連携推進会議 知的基盤部会 計測分科会
産 業 用 X線 CT装 置 測 定 評 価 に つ い て
群馬県立群馬産業技術センター
髙橋勇一・矢澤
群馬県立東毛産業技術センター
中村哲也
はじめに
2012年 度 に 実 施 し た 「 産 業 用 X線 CT装
置測定評価」について報告する。
タ、点群データから計測を行った。
使用機器
本評価に使用した装置は、株式会社島
津 製 作 所 製 「 マ イ ク ロ フ ォ ー カ ス X線 CT
システム
SMX-225CT-SV」 で あ る 。 表 1
に 主 な 仕 様 、 図 1に 外 観 を 示 す 。
計測に使用したソフトウェアは、
Vol um e Gra ph i cs Gm bH社 製 「 VG St udi o
max 2. 2 」 及 び Si em en s 社 製 「 I ma g ewar e
V13.0」 で あ る 。
表1
X線装置
テレビジョン装置
ターンテーブル
装置仕様
X線管電圧
X線管電流
最大出力容量
撮像素子
総画素数
有効画素数
回転ステージ直径
最大ワーク重量
図1
肇・福島祥夫・眞下寛治
断面画像から作成したボリュームデー
1
2
歩・細谷
30~225kV
0~1000μA
225W
2/ 3インチCCD
40万画素
763×493
φ100
9kg
5 結果と考察
5. 1 球 測 定
回転テーブルの軸中央、測定領域の端
部の各高さにおける球の直径及び形状の
誤差を、球の真球度により行う評価方法
について検討した。
真 球 度 の 評 価 の 結 果 を 図 2に 示 す 。 真
球度では、球上の一点のノイズの影響を
大きく受けてしまうこと、またノイズの
影響を効率的に除去する処理が必要にな
るとが確認できた。
測定自体は、ルビー球単体での評価が
可能であるが、プロトコルで示された処
理 Im age war eで 行 う こ と は 、 非 常 に 煩 雑
なもので現実的では無かった。ソフトウ
ェア等による処理自動化されることが望
まれる。
装置外観
測定対象(ワーク)
3
プ ロ ト コ ル P11~ P12 * で 定 め ら れ た 、 球 ( ル
図2
ビ ー ) 、 ス テ ッ プ シ リ ン ダ 2種 ( ア ル ミ 、 ア ク
リル)、フォレストゲージについて評価を行
5. 2
った。
測定条件
ワークの測定条件は以下の通りであ
る。
①焦点サイズを最小とする管電圧
管電流
②フル画面取込みを許可する最大撮影
ビュー数
③ 装 置 が 受 け 入 れ 可 能 な 上 限 の 1ビ ュ ー あ
たりの露光時間
4
※
持ち回り測定プロトコル添付資料参照
真球度による評価
ステップシリンダ測定
群馬産業技術センターでは、これまで、
断面画像から作成したボリュームデータ
を 点 群 デ ー タ に 変 換 し 、 図 3の よ う に 寸
法測定を行ってきた。三次元計測で培っ
た点データ群の取り扱いに関するノウハ
ウを水平展開が可能な反面、ワークの素
材や形状により、点群データのサイズは
100MB以 上 に な る た め 、 実 運 用 の 際 は 不
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産業技術連携推進会議 知的基盤部会 計測分科会
5. 3
フォレストゲージ測定
表 2に 単位長さ当たり 表2
の設計値と測定値の差を
単位長さ当たり
示す。この値が一定であ
値 の 差 ( mm)
の設計値と測定
れば、測定範囲全体に一
定の補正値を乗ずること
により、スケーリングが
図3
可能である。
点群データからの測定
フォレストゲージ測定
揃いなパッチの除去やリダクションを行
では、測定下部でより歪
うため、データの喪失が懸念されてきた。
みが大きいという結果と
今 回 の 産 業 用 X線 CT装 置 測 定 評 価 で は 、
な っ た 。 こ れ は 、 I.I.カ メ
これまでの点群データからの計測に加え、
ラの歪みのだけでなく、
図 4に 示 す ボ リ ュ ー ム デ ー タ か ら 直 接 計
ルビー球の個数の影響に
測 可 能 な VG Studio MAX 2.2に よ る 評 価
よるものと思われる。
を合わせて行った。
ア ル ミ 5段 傾 斜 な し ( 共 通 基 準 ) に 対
群馬産業技術セン
ターでは、数個
して、ボリュームデータを実線、点群デ
のルビー球で、中心距離によるスケー
ー タ を 点 線 で 示 し た 計 測 結 果 を 図 5に 示
リング方法について研究を行っており、
す。
フォレストゲージ測定の結果も貴重な
両者の値が異なる理由として、共通の
測定点で評価ができないことなどが考え
られるが、引き続いて検討を行っていく
予定である。
図4
ボリュームデータからの測定
資料として活用させていただく。
6 結言
産 業 用 X 線 CT装 置 測 定 評 価 を 実 施 し 、
寸法計測を行う上で以下を確認した。
(1)
球 の 評 価 に つ い て 、 1点 の ノ イ ズ の
影響を受けるため、これを排除し
た上での評価を行う必要がある。
(2)
サーフェスモデルからの計測では、
リダクション等によるデータの喪
失を注意する必要がある。
(3)
I.I. カ メ ラ の 歪 み 等 は ハ ー ド 的 誤 差
要因となりうる。
今後の課題は以下の通りである。
(1)
点群データとボリュームデータか
らの測定値の検討
(2)
球の個数と歪みの関係
謝辞
今 回 の 産 業 用 X 線 CT装 置 測 定 評 価 を 実
施するにあたり、ご協力いただきました
株式会社島津製作所様、ボリュームグラ
フィックス株式会社様、株式会社くいん
と様には深く感謝の意を表します。
図5
計 測 ア ル ミ 5段 傾 斜 な し 計 測 結 果
- 80 -
2012
X
CT
Page 11
5 mm
3
0.08 m
0.08 m
1
2
3
5
5
10
15
20
25
30
10 10 10
5 5 5 5 5
5
10
20
30
2(b)
(a)
(b)
2
3
5
1
2
5.014
9.992
5.013
19.990
1
2
2012
5.018
9.990
5.017
14.983
X
CT
2012
3
X
5.013
CT
Page 12
29.983
3
5.016
19.991
4
5.017
24.966
5.017
29.983
5
3
5
1
5.060
9.995
1
4.977
9.866
2
5.058
19.995
2
5.040
14.985
3
5.055
29.994
3
5.039
19.983
4
5.037
24.983
5
5.037
29.984
3
9
(a)
(b)
3
2012
X
CT