Surgipーan (股関節手術シ ミュレーション) システム(帝人)の臨床治検

◆研究助成金 による研究成果報告 2◆
SurgiPlan(股 関節手術 シ ミュレーション)
システム (帝 人 )の 臨床治検
報告者 :九 州大学医学部整形外科
弘
夫 一
孝洋
村
淵岡
佛杉
津
で は、次 に 、九州 大学 の津村先
本 報 告 で は、 は じめ に症 例 を供 覧 し、
生 で す が 、 「SurgiPlan(股 関 節 手 術 シ
ミュ レー シ ョ ン)シ ステ ム (帝 人 )の 臨床
SurgiPlanの 特 長 や 問 題 点 、 ま た 今 後 の
治験 」 とい う ことで ございます。 ど うぞ よ
ます。
〔
伊丹 〕
研究 の方 向 な どにつ き、述 させて いただ き
ろ しくお願 い します。
〔
津村 〕 日本股 関節振興財 団 の平成 3年 度
助 成 金 に よ り、 SurgiPlanの 臨 麻 応 用 の
研究 を行 い ま した。
報告 に先立 ちま して、伊丹 先生 を初 め 、
は じめ に〕
〔
SurgiPlanは 、帝 人 システ ム 研 究 所 の
作 成 したプ ロ グラ ムで あ り、 サ ン・ ワー ク
ステー シ ョン上 で 動作 す る。 ボ クセ ル・ モ
関 係 者 の 方 、 ま た SurgiPlanを 対 応 して
いただ いた帝人 システ ム研究 所 の方 々 に ご
デ ルで二 次元表示 し、多 彩 な骨切 リ シ ミュ
深 謝 いた します。
れ を (図
レー シ ョ ンを行 う ことがで きる。処理 の流
1)に 示す。
Data Operation
画像 デ ー タの入力・ 管理
Preparation
2Dデ ータでの画像処理
2値 化 と物体分離
SimulatiOn
3D画
像 の作成 。表示
骨切 リ シ ミュ レー シ ョン
その他
図
l SurgiPlanの デ ー タの流れ
股 関節 の CTを 撮影 し、 フロ ッ ピーデ ィ
ス クに入 力す る。 これ を Surgi Planに 読
切 り術 とク レーマー変法 を組 み合わせ た術
み込 んで 、次 いで二 次元 で の画像処理 を行
式 を用 いて 、良好 な成績 を上 げて い るが、
い、 三 次 元画像 を構成す る。 この二 次 元画
今 回、骨切 り面 の変 更を試 み た。
像 に対 して、 骨 の切 断 と移動 を行 う ことで 、
図 4は 、骨切 リ シ ミュ レー シ ョ ンの過程 を
骨切 り術 の シ ミュ レー シ ョンを実現 して い
示 して い る。頚部 軸 が 水平 にな るまで外転
る。
させ、 それを上か ら見 た図で あ る。
きな症例 に対 して は、大腿骨 頭前方 回転骨
Surgi Planを 用 いて 、 当科 に 手 術 目的
図 5は 、骨切 り終 了後 の状態 で あ り、大腿
にて入 院 した44症 例 を検討 した。症 例 の 内
骨近位部 の形態再建が良 好 に行 われ て い る
分 けは、変形性股 関節症 25例 、大腿 骨頭壊
ことが 、わか る。
死症 13例 、そ の他 6例 で あ った。
〔
症例
1〕
この症例 は大 腿骨頭辻 り症 の 男児 で、骨
切 り術 の 骨切 り面 を術前 に シ ミュ レー シ ョ
ンで 検討 した。
図 2は 、再構成 され た正面像 を示 して い
る。 SurgiPlanに て CTを 撮 影 し、 3次
元像 を作成 した。
図 3は 、内側 か ら骨盤 を外 して 見 た 図を
示 して い る。 骨頭 は内側 に辻 って い るので
はな く、後方 に辻 って い る ことが よ くわか
る。
当科 で は、 この症例 の よ うに辻 り角 の大
図 3
図 2
η
図 4
〔
症例
2〕
右股 関節 の 臼蓋形 成不全 の あ る女性 の例
で 、 寛 背 臼移 動 術 を 行 う前 にSurgiPlan
にて シ ミュ レー シ ョ ンを行 った。
図 6は 前方 か ら、図 7は 後方 か ら見 た図
で あ る。前 方 の 日蓋 の形成 が悪 いだ けで な
、
く、後方 の覆 い も悪 い とい う ことがわ か るで
この よ うな症例 で は、通 常 の 術式通 りに前
外方 に寛骨 日を移動 させ る と、後方 の 覆 い
が 非常 に少 な くな る ことが 把 握 で きた。 そ
こで 寛骨 日を外側 にだ け動 かす とい う手 術
を計 画 し、 実 際 に行 った。 この症例 で も、
シ ミュ レー シ ョンの有用性が確認 され た。
図 5
判瓢
図 6
﹁﹁可
顆
図 7
η
〔
考
察〕
る特 徴 と して は、 良 好 な ュ ー ザ ー ィ ン タ
これ らの解決には、人工知能 の応用が不
可欠 と思われ る。
骨切 り術 の 目的 は、関節 の力学環境 の改
フ ェー スが あ るとい うこと、それか ら多彩
な骨切 リ シ ミュ レー シ ョンが 可能 で あ る こ
善であることを考 えると、骨切 り術 シ ミュ
レータには力学解析 の機能があるほうが、
と、細部 の表現 にす ぐれて い る とい う こと、
人手 を介す る部分 が 少 な くて 、か な り自動
良 いと思われ る。 SurgiPlanに は、 この
機能がないため、 シミュレー シ ョンは、形
化 されて いる とい う ことが 挙 げ られ る。
態上の ものに限 られる。
SurgiPlanを 実 際 に使 用 して 感 じ られ
欠点 と して は、処理 速度 が遅 い こと、骨
の 部分だ けを うま く抽 出で きな い とい う こ
とが あ る こと、異 な る骨 の 分離認識 の失敗 、
(例 え ば大腿骨 と骨盤 を、 別 々の骨 に分 け
る こ とが で きず 1コ の 骨 と して しま う こ
と)が あ ること、力学解析 が 行 え な い こと
で あ る。
これ らの欠点 は、 今後 の研究方 向を示 し
て い る と もいえ るので 、詳細 な検 討 を行 っ
た。
まず 骨 の部分 は抽 出 は、 CT像 の あ る C
T値 よ り も高 い部分 だ けを骨で あ る とい う
よ うに認識 させ る。 その境 界 にな る CT値
われわれは、独 自に力学解析 の可能な シ
ミュレー タを開発・ 報告 しているが 、 日常
的 に使用で きる程の完成度 はまだな く、改
良 の余地がある。
二次元骨切 リシミュレータが 、真に整形
外科 に役 に立 つ ツール となるには、以上に
述 べたよ うな点が改善 される必要がある。
われわれは、貴重な経験 に基づ き、次世
代 の骨切 リシミュレー タの開発を企画 して
い る。 それ は、結果的 にはSurgiPlanと
われわれの独 自の シミュレー タを合わせた
よ うな ものになると思われる。今後 も努力
を続けていきたい。
は、 使用者が 自由 に操作 す る ことがで きる。
通常 は、 適 当な値 を とると、 骨 だ けを抽 出
で きるが 、例 え ば右 側 だ けに骨 萎縮 が あ る
よ うな症例で は、 骨が欠損 して しま うよ う
な事態が発生 す る。 そ こに合 わせて、境界
値 を下 げ ると反 対側 は、軟部組織 がかぶ っ
て しま うとい うよ うな状態が発生 す る。
次 いで 、抽 出 され た骨 を分 離 す る作業 に
お いて は、関節部で 2つ の骨 が近 接 して い
るため、 自動 的 に分離す る ことは極 めて 困
難 で あ る。 しか し、 これが実 行 で きな けれ
ば、例 え ば骨盤 だ けを切 る、 あ るいは、大
腿 骨 だ けを切 るとい う シ ミュ レー トに障害
が 出て くる ことにな る。 これ を マニ ュアル
で 切 り離 す とい う手 順 も、 SurgiPlanの
中 に組 み込 まれて い るが 、実用性 に乏 しい。
4
/‐
まとめ〕
〔
1.SurgiPlanの 帝人製 の使用経験 を報
告 した。
2.骨 切 リシミュレー ター は有用 な情報を
提供するツールである。
3。
まだ未熟な部分があることは否 めない。
しか し、現在最 も研究が盛んな分野であ
り、今後 の発展に期待 され る。
〔
伊丹〕ありが とうございま した。 きょう
の午前中にもこの シミュレー ターの利用 と
い うことについてお話が ございま したが、
今 のお話 にご質問、 ござい ませんで しょぅ
か。
ありがとうございました。