微生物検査の今後の展望

微生物検査の今後の展望
BD キエストラシステムのご紹介
◎滝川 博之 1)
日本ベクトン・ディッキンソン株式会社 ダイアグノスティックシステム事業部 1)
微生物検査は臨床検査の中でも用手による工程が多
い検査である。これまで微生物検査の内、同定検査、
感受性検査、血液培養検査などが自動化され、検査効
率化の一翼を担ってきたが、依然として塗抹検査や培
養検査は用手法で実施されており、検査部内ローテー
ションによる熟練者と初級者との技術格差などが発生
している。
微生物検査数が年々増加していることに加え、近年
は本邦のみでなく、WHO が警鐘を鳴らしているよう
に世界各国で耐性菌の報告があり、耐性菌に関する検
査業務が複雑化・拡大し、またさらには最近では感染
防止加算により微生物検査担当技師が ICT の会議や
ラウンドに参加など業務が拡大している。加えて臨床
からの 24 時間検査の依頼の要望もあり、今後は欧米
にならって本邦においても 24 時間検査の要望が
徐々に増加してゆくことが想定される。しかしこうい
った状況ながら微生物検査に対する増員の機会は少な
く、検査の現場ではチャレンジングな状況が継続して
いる。
欧州各国はこの似た状況にすでに以前から直面して
おり、様々な工夫がなされてきた。ここで紹介する
BD キエストラシステムは、これらの諸問題を解決す
るべく、オランダのキエストラ社によって開発された
微生物検査システムである。BD キエストラはモジュ
ールと呼ばれる自動塗布機や撮影装置つきふらん器を
各施設の状況に合わせてシステムとして構築し、それ
ら各モジュール同士をレーンで接続して構築してゆく
システムの総称である。
自動塗布機はこれまでの白金耳に似た器具を用いず
に磁気ビーズを用いて検体を塗布する機構を有してお
り、用手法の検体塗布と比較して数倍の単独コロニー
を得たという報告*もあり、難しいとされていた検体
塗布の標準化にも寄与することが期待されている。
*High amount of separated bacterial colonies with InoqulA.
Jenny Rydback, Ingela Thernberg and Mats Walder. 2010