内部障害見本 - 日本理学療法士協会

記載見本
認定理学療法士(循環)自験例の報告
報告者会員番号: 報告者氏名:
施設区分:大学病院・総合病院・一般病院・その他( )
症例番号*1
識
診断名
慢性心不全
年齢 73歳
性別 男性 女性
別
担当期間(西暦) 2013年 2月 6日 ~ 2013年 2月 区分 入院 外来 在宅
入院・介入前の状況 : 平成16年より肥大型閉塞性心筋症(HOCM)にて外来通院、年1〜2回の頻度で心不全増悪による入退院
現
定期外来受診の際、体重増加、労作時の息切れ、心拡大と肺動脈の上昇を認め、心不全増悪と判断し入院となった。
病
入院・介入からの医学的治療 : Nohria-Stevenson分類C,クリニカルシナリオ分類2であり、利尿剤の追加投与を行い利尿を得
歴
た上で心臓リハビリテーションならびに食事療法を開始した。
心機能 : 心胸郭比61%と軽度心拡大、左室駆出率は59%と保たれているが、非対称性心室肥大(ASH)を認め、肺動脈圧も44
mmHgと上昇がみられる。脳性ナトリウムペプチド(BNP)も経時的に増加し入院時1,440pg/mLと高値であった。
運動機能 : 右変形性股関節症に対する人工関節置換術の既往があり、右下肢筋力の軽度低下を認める。脚長差はなく、
評
価
歩行は独歩で安定しているが200m程で息切れが出現する。
冠危険因子 : 冠動脈に有意狭窄を認めず、冠危険因子の保有も無いが、タイプAであり精神的ストレスを抱えている。
介
入
内
容
介
入
結
果
・
成
果
強度・時間・頻度・種類 : 入院翌日より理学療法を開始、上下肢に対する低負荷の抵抗運動とエルゴメータを用いた持久的運
動を低強度、短時間から開始し徐々に増し、20w 30分まで進めた
指導・教育内容: 記名力の低下みられるが、MMSEでは正常値。繰り返し減塩の指導と身体活動量の適正化の重要性と
下肢の筋力トレーニングを主体としたホーム・エクササイズの指導をおこなった。
心機能 : RI検査で壁運動の異常みられず、心拡大なし、左室収縮機能低下なし(LVEF 58%)。下壁心尖部の肥厚を認める。
安静時HR60bpm(洞調律),心室期外収縮Lown gradeⅡ
運動機能 : 膝伸展筋力、右45%BW、左36%BW。6分間歩行距離360m(息切れなし)。
心肺運動負荷試験結果、peak VO2 11.4mL/kg/min。
冠危険因子 : 変化なし
行動変化 : 介入開始時には意欲の低下が顕著であったが、運動療法の進行に伴い前向きな発言が多くなり、毎日の体重測定
をはじめとするセルフモニタリングやホーム・エクササイズを実施することを目標に退院した。外来でも通院予定である。
左室駆出率が保たれた慢性心不全(HFPEF)症例であるが、BNPやCTRから判断すると徐々に心不全が悪化している。
考
察
下肢筋力を低下させないホーム・エクササイズの実施と心不全徴候を早期に発見するセルフモニタリングが必要である。
認定理学療法士(呼吸)自験例の報告
報告者会員番号: 報告者氏名:
識
別
現
病
歴
評
価
症例番号
施設区分:大学病院・総合病院・一般病院・その他( )
診断名
食道癌術後
年齢 60 歳
性別 男性 女性
担当期間(西暦) 2012年 6月7日 ~ 2012 年 6月28 日 区分 入院 外来 在宅
入院・介入前の状況:全身状態良好、精神機能は保たれている。痰は喉にからむが自己喀出可、呼吸パターンは胸腹式
胸郭可動性は下部胸郭でやや硬い、下肢筋力やADL能力は保たれている。喫煙歴30年(Brinkman指数 900)
治療(薬物・酸素・人工呼吸器等) 食道亜全摘、胃管再建(後縦隔経路)実施 人工呼吸器の設定 FiO2 40% SIMV Vt 500ml f 10回 PS 8cmH2O PEEP 5cmH2O
呼吸機能・X線写真・血液検査等:術前の呼吸機能検査 %VC 97.7% %FEV1 67.8% DLCO 15.37 (62.9%)
術後X線:両肺野の透過性がやや低下 血液ガスデータ:FiO2 40% pH 7.31 PaO2 170.1 PaCO2 51.2 HCO3- 26.8
問診・理学所見:(術後1日目) 意識はやや混濁、呼吸音:全体的に減弱傾向で左右差なし、気管分岐部付近で
ロンカイを聴取、胸郭拡張性はやや低下(右>左)、循環動態は心拍数、血圧ともに安定
In out balance: 輸液量 2500mL、出血量 500mL、尿量 700mL/日
運動能力・ADL:術前6MWDは540m、ADLは自立
術後1日目で挿管中のため、自力での運動は困難
呼吸理学療法内容:(術後1日目)人工呼吸器からの離脱を促進するため、リラクセーション、自発呼吸練習を実施
また排痰援助を進め、人工呼吸器離脱に成功した。(術後2日目)マスクでの酸素投与となり、排痰および座位、立位
などを進めた。(術後3日目)マスク酸素投与3L吸入下で病棟内歩行を実施した。
指導・教育内容:術後3日目より積極的に離床を進め、身の周りADLの自立を促した。
術後5日目よりリハビリテーション室において身体機能向上のための運動療法を実施した
理学所見:術後7日目で酸素を離脱し、胸腔ドレーンも抜去した。呼吸音の異常を認めず。
喀痰なし、胸郭可動性は良好で左右差なし、上肢の可動域制限を認めず。
運動能力・ADL:術後1週間で院内歩行自立、術後3週の退院時6MWD 530m、ADLは全て自立
本症例は長期の喫煙歴もあり、術前から喀痰も認められたため、術後の呼吸器合併症が懸念された。
しかし術翌日から積極的に介入し早期離床を促した。術後の身体機能の経過は良好で早期退院につながった。