ーCAとEMアルゴリズムを用いたアレーアンテナによる 重波

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平成20年度電子情報通信学会信越支部大会
ICAとEMアルゴリズムを用いたアレーアンテナによる
電波到来方向推定
DOA Estimation with Array Antenna by Using ICA aild E入I Algorithm
稲越敦久子 島田裕平† 山田寛喜‡ 山口芳雄‡
Atsuhisa
Inakoshi
Yuhei
Shimada
Hiroyoshi
Yaniadil
I新潟大学大学院自然科学研究科
Graduate
school
of
Science
&
Technology,
Niigata
l′oshio
Yamaguchi
‡新潟大学工学部情報工学科
Uniヽ′ersity
Faculty
of
EIlgineering,
Niigとita
University
表1 シミュレーションパラメータ
1 まえがき
近年の一部の無線通信システムでは,高品質な通信を
行うために電波の到来方向を正確に知ることが重要とな
るものがある.到来方向(Directioi- Of Arrival, DOA)
を推定する手法の1つとして最尤推定に基いた手法で
あるEMアルゴリズム[1]がある.しかし.この手法は
局所解に収束しやすい特性を有するため,最適解を得
られずに正しい推定結果が得られない場合がある.こ
の原因の1つに初期値の設定があり,適切な初期値設
定が重要となる.そこで本稿では,初期値設定として
ICA(Independent Component Analysis)[2]の適用を提
案し,ビームフォーマ法を用いた場合との収束速度につい
ての比較検討を計算機シミュレーションによって行った.
素子 形状
8 諺…
子等間 隔 リニア ア レー
素子 間隔
半 波長
到来 波
0°,10°
SN R
10 d B
スナ ップ シ ョッ ト数
100 0
計算反復回数こおける到来方向の推定誤差を¥&k - 6k
と定義する・ ekはk・波目の推定された到来方向. 9kは
真値である.
2披目の推定誤差を図1に示す. ICAを用いた手法の
方がより速い収束をしていることが分かる.
-
2 EMアルゴリズムによる到来方向推定
lI.・.lI
I..4
C)
ヒ
C.J
<
○
(⊃
x-A(Ou )k)s+n (1)
ビームフォーマ法は,最も基本的な電波到来方向推定
法であり,ビームを全方向に走査し,出力電力が大きく
なる方向を探す手法である.出力電力が大きくなる方向
Okを初期値として設定する.欠点として分解能が低い
ため,高いピークが1つしか存在しない場合.そのピー
ク値より-3dBの値をとる2つの到来方向を求め,初期
値に設定するなどの工夫が必要である.
2.2 ICAによる初期値設定
ICA[2]は統計学的な信号分離法であり,近年信号処理
の分野において注目されている手法である.本提案手法
では,観測信号をICAを用いることで分離し,そこか
らモード行列Aを推定し. EMアルゴリズムの初期値
に用いる.
-… B F芋
bL)
cJ
`てI
EM(Expectation Maximization)アルゴリズム[1]は
最尤推定に基いたパラメータ推定手法である.ここでは,
観測される信号(不完全データ)から到来している各々
の信号(完全データ)を推定することで,到来方向を推
定する.用いる信号モデルを以下に示す.
〇は観測信号. Aはモード行列. 9kは到来方向, kは
到来信号数, Sは送信信号, nは雑書である.
2.1 ビームフォーマ法による初期値設定
tt、
l、
、
ー
C A 十E M
、
、
、
、
、
、
、
、
、
、
.I....I
20 40 60 80 1 00
iterations
図1 2波目(到来方向10-)の推定誤差推移
4 まとめ
EMアルゴリズムの初期値設定として,ビームフォー
マ法, ICAそれぞれを用いた場合についての比較を行っ
た. ICAを用いることにより,到来波間隔の小さい複数
の信号に対しても良好な初期値設定が行うことができる
ことを確認した.
謝辞
本研究の一部は,科研費(基盤研究(C) 20560349 )
および財団法人国際コミュニケーション基金研究奨励金
の助成を受けたものである.
参考文献
[1] M. I. Miller and D. R. Fuhrmann: "Maximum likelihood narrow-band direction finding and the EM algo-
3 シミュレーションによる比較評価
計算機シミュレーションにより. 2つの異なった初期
値設定法によるEMアルゴリズムの性能の比較を行っ
た.シミュレーションパラメータは表1の通りである.
-65-
rithm, IEEE Trans. Acoust., Speech and Signal Processing, vol.38, no.9, pp.1560-1577(1990).
[2] E. Bingham, A. Hyvarinen,'A fast fixed-point algorithm for independent component analysis of complex
valued aignals, 'International Journal of Neural Systems, vol.10, no.1, Feb. 2000.