明電セラミックアンカーCA

改訂版 2007−09
明電セラミックアンカーCA
施工要領書
(定着材 : エスア−ルタイト版)
セラミックアンカ−の取り扱い注意事項
警告
•施工要領書に従い作業を行ってください。
•施工要領書に記載されている方法以外では 絶対に施工しないで下さい。
誤った取り扱いにより人が死亡又は重傷を負う可能性があります。
お願い
•穿孔後は必ず穿孔長を確認し、尚且つ本体が挿入できるか確認して下さい。
確認作業を怠ると施工不良の原因となり事故につながる恐れがあります。
•清掃作業は十分に行って下さい。
清掃作業を確認作業を怠ると施工不良の原因となり事故につながる恐れがありま
す。
エスア−ルタイトの取り扱い注意事項
・以下の事項に注意してください。
各事項が守られない場合、エスアールタイトの付着性能の低下、施工時の不
具合の発生により、事故につながる可能性があります。十分注意してくださ
い。
《保管》
(1) エスアールタイトはセメント系ですので、吸湿によって品質が劣化します。開封後は速やか
にご使用下さい。また、空気中に長期間放置したものは絶対使用しないでください。
(2) エスアールタイトは、高温・多湿をさけ、できるだけ乾いた場所に保管し、6ヶ月以内にご使
用ください。吸湿・硬化し使用できなくなる恐れがあります。
《施工》
(1) 気温0℃以下の場合では、凍結防止のためシートなどで養生し、母材温度を5℃以上に保
つように処置をしてください。
(2) エスアールタイトはアルカリ性です。施工時には、保護具(メガネ、マスク、ゴム手袋)を着用
してください。万一、皮膚に付着したり目に入った場合は速やかに真水で洗い流し、医師の
診断を受けてください。
(3) エスアールタイトの吸水には水道水を使用してください。海水、汚水は固着性能の低下の原
因になりますので絶対に使用しないでください。
目次
はじめに
セラミックアンカーの特長.
1.セラミックアンカーについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(1)アンカー本体部
(2)スリーブ・ゴムパッキン
(3)定着材
①特長
②エスアールタイトの種類
2.施工手順
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
(1)施工手順
(2)注意、その他
3.施工管理 (標準施工) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(1)セラミックアンカーの施工仕様
(2)穿孔
(3)孔内清掃
(4)カプセル浸漬
(5)セラミックアンカー打設
(6)硬化養生
4.施工管理 (特殊施工) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
(1)障害物への対処
(2)ジャンカ等コンクリートの不良
(3)低温時の施工
はじめに
現代社会において、私たちの生活を支えるコンクリート構造物は高い耐久性が求められています。
このコンクリート構造物に使われるインサート・アンカ−材についても同様に高い耐久性が求められてい
ます。
当社では、明電舎の長年蓄積したセラミックスに関する技術を応用し、コンクリート構造物に埋設する先
付けインサート・あと施工アンカーのセラミックス化に成功し、ライフサイクルを長期化することによる信頼
性向上・リプレイスコストの低減を実現いたしました。
本施工要領書は、当社の製品「セラミックアンカー」の優れた特長、「セラミックアンカー」の施工に必要
な材料、機械、又は施工手順を記載してあります。
当社の製品「セラミックアンカー」を安全にそして正しくご使用いただくために、本書をご活用いただきま
すようご案内申し上げます。
セラミックアンカ−の特長
高い耐食性
高純度なアルミナ(Al2O3)系セラミックス製であるため、セラミックアンカー本体は絶縁
物です。金属ボルト、鉄筋などの接触による電食は一切発生しません。
高い耐食性
高純度なアルミナ(Al2O3)系セラミックス製であるため、酸、アルカリ、高湿度、塩害な
どの悪環境下においても腐食しません。
高い耐火性
高純度なアルミナ(Al2O3)系セラミックス製であるため、1300℃の高温下でも変形、劣
化は起らず、万一火災が発生しても安心です。
高 い 強 度
高純度なアルミナ(Al2O3)系セラミックス製であり、金属製アンカーと比較しても遜色
の無い高い強度が得られます。
高 い 適 合 性 高純度なアルミナ(Al2O3)系セラミックス製であるため、熱膨張係数がコンクリートの
それと近く、腐食による膨張も起こらないため、コンクリートとの高い適合性を示します。
豊富な製品群
優れた作業性
標準品として汎用性の高いM10・M12・M16・M20・M24のサイズを用意しています。
そのほか特殊ねじなどにも対応いたします。
接着系アンカ−と同様な施工法であり、作業性は良好です。また、定着材として、無
機系を使用しています。
万全な品質管理 万全な品質管理体制を整え、また廃棄物減量などの環境問題にも積極的に取り組ん
でいます。
優れた経済性
コストパフォーマンスの高い製造方法によりお客様のご希望にかなう低価格をご提示
できます。
独
創 性
ています。
セラミックアンカ−の形状など製品に関する独創性は多くの特許、意匠として登録され
1
1. セラミックアンカーについて
ゴムパッキン
セラミックアンカーはセラミックアンカ−本体(めねじ)・スリ
ーブ・ゴムパッキン及び定着材で構成されています。穿孔
機により所定の深さに穿孔し、定着材を穿孔した孔に注入
し、セラミックアンカ−本体を回転させながら押し込み、設
置します。
スリ−ブ
本体
第1図 セラミックアンカー構成図
(1) アンカ−本体部
セラミックアンカーのめねじ部は高純度なアルミナ系セラミックス(Al2O3)でできています。
また定着材との付着力を保持するため、外周にはスパイラル状のヒダがあるのが特徴です。
第1表 セラミックアンカー寸法
単位;mm
H
ねじ呼び
M10
M12
M16
M20
D
D
21
22
27
32
H
22
25
35
44
第2図 セラミックアンカー形状
(2) スリーブ・ゴムパッキン
スリーブは、アンカー本体と同様にセラミックスを使用しています。 また、ゴムパッキンが不要な場合
はスリーブから取り外し、スリーブ端面がコンクリートと同一面になるように打設することも可能です。
その際は、ゴムパッキンの厚さ分(3∼5mm)埋め込み深さが浅くなるため、穿孔深さを浅くし引抜き力
計算値を低減する必要があります。
L
第2表 スリーブ・ゴムパッキン寸法
t
単位;mm
スリーブ
D1
D2
D1
D2
ねじ呼び
ゴムパッキン
第3図スリーブ・ゴムパッキン形状
2
M10
M12
M16
M20
D1
20
23
28
34
スリ−ブ
D2
L
12
15
14
30
18
30/40
22
51
ゴムパッキン
t
3
5
5
5
(3)
定着材
定着材には、セラミックアンカー用に開発されたセメントモルタル系(無機系)定着材エスア−ルタ
イトを使用しています。
エスアールタイトは、不織布の袋の中に超早強セメントを主成分としたセメントモルタルを収容し
たセメントモルカプセルです。施工にあたっては、使用するセラミックアンカーのサイズに応じて
適正なカプセルサイズ及び穿孔寸法等を確認の上使用して下さい。
なお、エスアールタイトは高温・多湿を避け、できるだけ乾いた場所に保管し、6か月以内に使用
して下さい。
①特長
付着力 アンカー引抜き強度が大きく、挿入したボルトの鋼材の降伏点強度を得ることも
できます。
硬化性 無収縮超早強セメントを使用しているため、常温(20℃)では12時間で硬化しま
す。
作業性 カプセルタイプであり、現場での計量,混練を必要としません。
信頼性 孔容積に対して適正な定着材量を確実に充填できます。また、カプセルを水に浸漬
するだけで水比が適正に保たれますので信頼性の高い施工が行われます。
耐熱性 セメントモルタルを主成分としているため、不燃性で、コンクリ−トと同様の耐熱
があります。
経済性 従来の樹脂系アンカーの持つ優れた強度、施工性と経済性を両立した経済的なアン
カーシステムです。
②エスアールタイトの種類
使用アンカ−
エスアールタイトの型式
D×L
(mm)
カプセル
サイズ
容量
M10、M12
M16、M20
SRM-2250 SRM-2565
22×50
25×65
19
31.9
第3表 エスアールタイト種類
第4図 エスアールタイトカプセル
3
2.施工手順
セラミックアンカーの標準的な施工手順を(1)で、施工時の注意点を(2)で示します。この手順
に沿った施工を行ってください。なお、詳細な点につきましては施工管理で示します。
(1)施工手順
①母材穿孔
②孔内清掃
③エスア−ルタイト浸漬
適正な清掃工具を用い、孔内
の切粉をきれいに取り除きま
す。
所定のサイズのエスアールタ
イトカプセルを水に1∼3分
間浸漬し、吸水させます。
マーキング
所定のセラミックアンカー
埋め込み位置に穿孔機で適
正寸法の穿孔を行います。
④セラミックアンカー挿入確認
とエスア−ルタイト挿入
⑤セラミックアンカー打設
⑥硬化養生
穿孔した孔にセラミックアンカ−を
挿入し、セラミックアンカー端面が
コンクリート表面と同一面まで挿入
できるかあらかじめ確認します。
上記を確認後、所定のサイズ
のエスアールタイトカプセル
を孔内に挿入します。この際、
覆われている不織布を剥いて
ください。
セラミックアンカーを回
転・挿入し、セラミックア
ンカー端面がコンクリート
表面と同一面になるまで打
設します。
この際、長めのボルト等を
アンカーに挿入し、そのボ
ルトを持って挿入させると
施工が容易になります。
4
打設後、所定時間内は、
セラミックアンカーを
動かさないでください。
①母材穿孔
一定の穿孔長を得るため、ドリルビットに所定の深さの位置の目印をつけて穿孔してください。
②孔内清掃
ブラシ・ブロアなどを用いて、コンクリ−トの切粉が取れるまで十分に清掃を行なってください。泥水、油分など
が残っていますと強度低下の原因となります。
また、切粉が残っていますと、セラミックアンカ−を所定深さまで挿入できないことがあります。
③孔深さ確認
セラミックアンカ−を孔に挿入し、セラミックアンカ−が所定深さまで入ることを必ず確認してください。
④カプセル浸漬
カプセルを水中に1分以上浸漬し、浸漬時間から規定時間以内に必ず打設して下さい。
また、10分以上浸漬することのないよう十分注意してください。
水 温
10℃
20℃
30℃
施工終了までの時間
15分
10分
7分
⑤使用しないカプセルの保管
使用しないカプセルは必ず、空気に触れないよう密封し、保管してください。
そのまま放置すると空気中の水分を吸収し、硬化をはじめてしまい、施工時に不具合を生じる恐れがあります。
⑥カプセル挿入、セラミックアンカ−打設
エスアールタイトを覆っている不織布を剥いてください。また打ち込みが上向き方向の場合、カプセル挿入
時に、セラミックアンカ−でカプセルの口元を押しつぶし落下しないようにしてください。
⑦硬化養生
所定の強度発現時間∼硬化時間までセラミックアンカ−を動かさないでください。
5
3 施工管理 (標準施工)
セラミックアンカーの施工では、セラミックアンカーの性能を引き出すため、施工手順を守って正し
い施工を行ってください。施工にあたっては、次に挙げる管理事項に基づいて作業を行ってください。
(1) セラミックアンカ−の施工仕様
セラミックアンカ−の使用にあたっては、第4表の施工仕様に従い施工を行ってください。
第4表 セラミックアンカ−の施工仕様
品 番
CAM10-SCL40
セラミックアンカー ねじ呼び
M10
M12
M16
M16
エスア−ルタイトカプセル 品 番
SRM-2250
SRM-2250
SRM-2565
SRM-2565
エスア-ルタイト
カプセルサイズ
穿孔
CAM12-SCL60 CAM16-SCL70 CAM16-SCL80
外径×長さ
(mm)
22.0×50.0
22.0×50.0
25.0×65.0
25.0×65.0
容量
( c m 3)
19
19
31.9
31.9
ドリル径
(mm)
25
25
30
30
穿孔深さ
(mm)
45
65
75
85
品 番
CAM20-SCL100
セラミックアンカー ねじ呼び
M20
エスア−ルタイトカプセル 品 番
SRM-2565×2個
エスア-ルタイト
カプセルサイズ
穿孔
外径×長さ (mm)
容量
25.0×65.0
(cm3) 31.9×2個=63.8
ドリル径
(mm)
38
穿孔深さ
(mm)
105
(2)穿孔
あらかじめ墨出されたアンカー打設位置に、作業に適した穿孔機械を用いて、適正寸法のビッ
トで、所定の深さまで穿孔します。穿孔に際しての注意事項は次の通りです。
①穿孔機械
穿孔機械及び、打設機械には、第6表に示すような種類があります。
セラミックアンカーのサイズに合った適正能力の機械を選定してご使用ください。
6
第5表 穿孔機械の穿孔能力
10
ビットの使用範囲 (mm)
20
30
40
50
60
ダップドリル
穿
孔
機
械
振動ドリル
ハンマ-ドリル
削 岩 機
ダイアモンドコアドリル
第6表 穿孔機械の種類とメ−カ−
機械の種類
メ − カ −
ダップドリル
(㈱日研ツ‐ル
振動ドリル
日立工機㈱、㈱マキタ電気製作所、ボッシュ㈱、リョ−ビ㈱ 等
ハンマ-ドリル
日立工機㈱、㈱マキタ電気製作所、ボッシュ㈱、リョ−ビ㈱ 等
削 岩 機
東洋削岩機㈱、古河削岩機㈱、㈱帝国削岩機製作所、
山本鐵工所㈱、㈱東洋空気製作所 等
ダイアモンドコアドリル
渋谷商事㈱、㈱コンセック
②母材穿孔
穿孔径
第4表に示す所定の径とします。
穿孔径が大きすぎるとアンカ−の定着が充分でなくなりますので必要以上に大きな孔
をあけないようにしてください。また、小さすぎたり、孔中に凸部がある場合は、セラミッ
クアンカ−が所定の深さまで打設出来ない恐れがあります。
第4表に示す穿孔深さとします。
穿孔深さを正しく守るためにドリルビットに穿孔深さを示すマ−クを付けたり、デプスゲ
−ジを使用してください。
穿孔深さ
穿孔深さが深すぎるとエスア−ルタイトが不足し、十分な強度が得られなくなる恐れが
あります。
穿孔深さが浅いとセラミックアンカ−を所定の深さまで打設できない恐れがあります。
穿孔方向
施工面に対して垂直を原則とします。鉄筋や配管などの干渉により垂直に穿孔できな
い場合、現場責任者及び設計者の指示に従ってください。
7
(3)孔内清掃
穿孔後、穿孔作業によって生じた孔内のコンクリ−トの切粉をきれいに取り除いてください。
切粉が残っているとアンカ−の十分な固着力が得られなくなる恐れがあります。また、セラミックアンカ−が所定の
深さまで打設できなくなる場合があります。
①清掃用具
清掃にはブラシ、集塵機または、ブロアを使用してください。
ブラシ
集塵機
ブロア
第4図 清掃工具
②清掃順序
(a) 集塵機又は、ブロアを用いて孔内の清掃を行います。
(b) ブラシにより、孔内の壁面に付着している切粉を充分に取り除いてください。
(c) 残留切粉を(a)と同様に除去してください。
第5図 孔内清掃
8
(4)カプセル浸漬
穴に挿入する前に、カプセルを水中に1∼3分浸漬し、十分に吸水させます。
吸水には水道水を使用してください。海水、汚水は固着力の低下の原因となりますので、絶対使用しない
で下さい。
水深はカプセル径の2倍以上確保してください。また、水中のカプセルが確認できないほど水が濁った場
合は、新しい水と交換してください。
エスア−ルタイトの可使用時間は常温(20℃)で給水開始から10分です。水から取り出した後、速やかに
使用してださい。
浸漬時間、可使用時間を守らないと固着力の低下または、打設に不具合が生じる原因になりますので必
ず守ってください。
水道水
カプセル径×2以上
エスア-ルタイト
第6図 カプセル浸漬
9
第7図に浸漬時間と水比の関係、第8図に温度と可使時間の関係を示します。
35
25
20
可使時間
使用不可
15
10
5
0
0
1
2
3
4
5
:最適浸漬時間
6
7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
浸漬時間(分)
第7図 浸漬時間と水比の関係 (20℃)
※浸漬開始から10分以上経過したものは使用しないでください。
25
20
可使時間(分)
水比%(W/カプセル)
30
15
10
5
0
0
5
10
15
20
25
30
水温(℃)
第8図 温度と可使時間の関係
※可使時間は水温が上昇すると短くなりますのでご注意ください。
10
35
40
45
(5)セラミックアンカー打設
① 穿孔完了部にあらかじめセラミックアンカーを仮挿入し、穿孔深さが十分であることを確認
します。
② エスアールタイトは不織布にて包まれていますが、穿孔部に挿入する前に不織布を剥いて
内部の定着材のみを挿入してください。
③ セラミックアンカーを回転・挿入します。このとき、セラミックアンカー端面がコンクリート
表面と同一面になるように打設してください。
④ 横向き、上向き施工の場合、セラミックアンカーが孔底に到達後、必要以上に打撃を加えないで
ください。孔内のモルタルが孔外に流失し、強度が低下します。
⑤ 硬化するまでセラミックアンカーが傾斜しない様保持して下さい。
セラミックアンカーを回転・
挿入します。
セラミックアンカ−スリ−ブ
(ゴムパッキン)端面が平ら
になるように打設してくださ
い。
第9図セラミックアンカ―打設
11
(6) 硬化養生
セラミックアンカ−打設後は、セラミックアンカ−を動かさないでください。
なお、セラミックアンカ−に荷重をかけるには第7表に示す硬化時間以上養生することが必要です。
第7表 気温と硬化時間
気 温
20℃
10℃
5℃
強度発現時間
0.5時間
1.5時間
2時間
硬化時間 (降伏点強度)
12時間
24時間
36時間
※ 硬化養生中は、セラミックアンカ−に荷重・衝撃がかからないように処置をしてください。
<養生時間> (気温20℃)
硬化時間
強度発現時間
可使時間
浸漬時間
0
3分
10分
30分
1時間
3時間
12時間
<経過時間>
浸漬時間 (吸水時間) : カプセルを吸水させ適正な水比となる時間 (1∼3分)
可
使
時
間
: セラミックアンカ−打設可能時間 (水温に左右されます :第8図参照)
強 度 発 現 時 間 : モルタル凝縮した後、時間の経過に伴って硬さと強さが増進する時間
硬
化
時
間
: 載荷可能な強度に到達する時間
12
4.施工管理 (特殊施工)
施工現場では、特殊な条件下で施工せざるを得ないことがあります。特殊施工は、決してアンカ−施工者
が独断で実行せず、現場責任者及び設計者の指示に従って作業してください。
(1) 障害物への対処
穿孔中に鉄筋や配管などの干渉によりビットが当る場合以下の方法をとってください。
(a) 位置変更
別の位置に穿孔し直す場合には、既設の孔の影響を受けない場所に穿孔してください。
旧穴はモルタルを充填するなどして補修してください。
(b) 角度変更
干渉物を避けるための傾斜角度は、15度以内となるようにしてください。
角度が急になるほど母材に鋭角な部分ができ、施工中に欠けやすくなるばかりでなく、引張り、せん断
力を受けたときに破壊しやすくなりセラミックアンカ−の強度が低下します。この場合、規定量以上のエ
スアールタイトが必要となりますので、規定量のエスアールタイトを入れた後すぐにセラミックアンカーを
引き抜きエスアールタイトを追加して再び打設し孔の入り口からエスアールタイトがあふれるまで行って
ください。
(a) 位置変更
(b) 角度変更
第10図 障害物への対処方法
13
(2)ジャンカ等への対応
穿孔及び打設途中で母材にジャンカのあることが確認された場合は、現場責任者及び設計者と協議
の上、別位置に再施工するか、エスア−ルタイトカプセルの追加打ちをするなど指示に従ってくだ
さい。
打設
① 規定のエスアールタイトカプ
セルを挿入する。
引き抜き
② セラミックアンカーを打設し、
素早く引き抜く。
④
③ エスアールタイトカプセルを追加
挿入する。
セラミックアンカーを再打設し、
エスアールタイトが表面にあふれるまで
繰り返す。
表面にあふれたエスアールタイトを除去する。
第11図 ジャンカなどへの対処方法
(3) 低温時の施工
冬季などの低温状態における施工では、硬化時間がのびるので強度発現時間がかかります。この場合、エスア
−ルタイトを浸漬する水の温度を20℃程度にし、養生はシ−トなどで覆い母材が5℃以上に保たれるようにして
ください。
14
セラミックアンカ−施工確認シ−ト
施工業者名
施工日
氏 名
平成 年 月 日
人 員
名
コンクリ−ト圧縮強度
MPa
工 事 名 称
工事現場住所
呼び径
セラミックアンカ−
穿 孔
ビット径
エスア−ル
タ イ ト
mm
サ イ ズ
本 数
穿孔深さ
mm
穿孔機械 ハンマ−ドリル 削岩機 コアドリル
清 掃 機 械
孔内清掃ブラシ 集塵機 ダストポンプ ブロア
確 認 項 目
確 認 内 容
1
穿 孔 場 所 施工場所に障害となるものがなく、施工墨がでていること
2
穿孔位置及び深さ
3
孔 内 清 掃 清掃工具を用い、切粉などを十分除去すること
4
セラミックアンカ−
挿入確認
穿孔した穴にセラミックアンカ−を挿入し、セラミックアンカー端面が
コンクリート表面と同一面まで挿入できるか確認すること
5
カプセルの挿入
エスアールタイトを水に1∼3分浸漬し吸水させ不織布を剥いてから
穿孔部に挿入すること
所定の位置及び深さが適正であること
6
セラミックアンカ−の セラミックアンカ−を回転・挿入させながら、アンカー端面がコンクリート
表面と同一面となるまで打設すること
打設
7
硬 化 養 生
余剰モルタルを取り除き、所定の硬化時間はセラミックアンカーを
動かさないこと
※ 上記確認事項において問題がある場合は、現場責任者及び設計者の指示に従ってください。
打合せ、指示等記録:
15
確認