経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)

「
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt) 」説明および同意書
四国がんセンター 泌尿器科
患者氏名 (
)さん
「御本人さんのみへの説明でよろしいですか?」
(同席者の氏名をすべて記載)
(
(
□
はい
)
)
<病名>
膀胱がん
(初回、セカンド TUR、BCG 膀胱内注入後の効果判定、再発時)
<治療>
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)
<手術日>
平成
年
月
日
<開始時間と予定時間>
<治療の前に>
外 来 で 行 った い ろ いろ
な検査の結果、膀胱がん
が疑われています。今後
の 治 療 を 決定 す る ため
に組織学的検査(顕微鏡
検査)が必要です。特に、
が ん の 悪 性度 と 進 行度
( が んの深さ )が重要で
す。
セカンド TUR は前回の手
術 で 高 悪 性度 の が ん が
見つかった方に行います。高悪性度の場合、前回の手術ですべて取り除いたと考
えられても高頻度にがんが残存していることが判明しており、2 回目の切除が必
要になります。一方、BCG 膀胱内注入をした方は、効果判定のために再度手術を
行います。
1
<手術方法>
まず半身麻酔(腰椎麻酔)をかけます。右図
のようにベッドに横になり、体をできる限
り丸くして下さい。体を丸くすることで背
骨の間の隙間が広がり麻酔針が脊髄腔まで
到達します。体が伸びたままだと、なかな
か麻酔ができないのでご協力下さい。仰向けになり、麻酔が効くまで待ちます。
麻酔は 10 分程度で効きますので、麻酔の範囲を確認後、手術の体勢をとります
(足を開いた状態)。
右図のような膀胱ファイバーを挿入後、膀
胱内を確認、腫瘍を切除していきます。内
視鏡的にすべて切除すれば終了です。セカ
ンド TUR や BCG 膀胱内注入後の効
果判定の場合には、前回の手術痕
がわかりますのでそこを中心に十
分切除します。膀胱内確認時に異
常があれば生検を追加することが
あります。
手術が終了すると膀胱内にバルン
カテーテルを挿入し、一晩生理食
塩水で洗浄します。血尿でバルン
カテーテルが閉塞しないようにす
るためです。通常バルンカテーテ
ルは手術後 2 日目に抜去しますが、憩室内腫瘍や手術中
に異常があった場合には抜去日が延長します(約 1 週
間)。
<合併症について>
一般的な合併症として次のようなことがあげられます。
ただしこのような合併症が起こらないよう手術時およ
び術後には十分な注意を払います
出血
腫瘍の切除後には出血点を電気メスで凝固し、出血のな
いことを確認して手術を終えています。しかし、何らかの原因で再出血すること
があります。軽度であれば自然に止血しますが、膀胱内に凝血塊を形成するよう
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な場合、止血術が必要になります。この場合は手術室で麻酔をかけた上で行いま
す。
穿孔と TUR 反応
膀胱に穴が開くことを穿孔と言います。十分注意して切除しますが、正確な診断
のためには筋層深くまで十分切除する必要があります。そのため時に穿孔する
ことがあります。穿孔しても通常追加処置は必要ありませんが、バルンカテーテ
ルの抜去が遅れます(約 1 週間)。また、穿孔部位が大きいとその穴から手術中
に使用する生理食塩水が漏れ腹腔内にたまることがあります。少しの間下腹部
が張りますが、徐々に吸収されますので心配ありません。現在は手術中に生理食
塩水を使用していますが、以前は糖液を使用していたため穿孔が起こると低ナ
トリウムになり吐き気やショックになっていました(TUR 反応)。現在この心配は
ありません。腫瘍が膀胱の側壁にあるとき、切除中に膀胱の外側を走行する閉鎖
神経に電気が通じ足が勝手に動くことがあります。この現象が起こると、穿孔が
起こりやすくなります。そのため、麻酔が効いた後で閉鎖神経ブロックを行いま
す。具体的には、恥骨辺縁から麻酔針を刺し、閉鎖神経周囲に局所麻酔をします。
肺塞栓
手術中や術後は血栓(血のかたまり)ができやすくなります。この血栓が肺に流
れて詰まってしまうのが肺塞栓です。大きな血栓では呼吸ができなくなり、死に
直結します。このため、血栓予防として弾力ストッキングをはいてもらいます。
ただし 100%の予防効果はありません。早期離床が大事ですし、術後問題なけれ
ば水分摂取や、下肢の運動は問題ありません。
感染
手術部位の感染はもちろん術後肺炎など手術とは直接関係ないような感染症も
起こりえます。TUR-Bt の場合、腎盂腎炎を併発することがあります。手術の状
況にもよりますが、発熱が治まるまでは点滴とバルンカテーテルの留置が必要
です。また感染症の中には、細菌が血液の中に入り重症化する敗血症というのが
あり、この場合には集中治療室での管理が必要になるときがあります。
創部痛
術後の痛みは個人差がありますがしばらく続きます。痛み止めは数種類あるの
で効果が無いときは言って下さい。
腰椎麻酔に関連した合併症
手術後後頭部痛が出現することがあります。これは麻酔に起因することが多く、
しばらく安静や点滴が必要になりますので、異常があれば言って下さい。
治療関連死について
手術中や術後に予期しない合併症、たとえば心筋梗塞や脳梗塞などが起こる可
能性があります。このような場合、当院で対応できなければ救急病院へ転院しな
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ければならないことも考えられます。また、いろいろな合併症が重なると手術後
回復せず、死亡につながるようなことも考えられます。
<健康被害が生じた場合について>
予測できなかった重い副作用などの健康被害が生じた場合には、通常の診療と
同様に病状に応じた適切な対処をいたしますが、治療費の自己負担分に関して
はご自身で負担していただくことになります。
<ビデオ撮影など>
手術はビデオ録画し、教育目的でのみ使用しています。もちろん個人データの保
護には注意し、個人名が外部からわかることはありません。また、当院はがん診
療拠点病院であるため、外部から手術見学に来られたり、新しい手術機器を使用
したりすることがあります。手術に影響することは絶対にありませんのでご協
力ください。
以上 「
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)
説明年月日
」について説明しました。
平成
年
月
日
年
月
日
説明医署名
説明時同席者
担当医より上記内容について説明を受けました。
説明年月日
平成
患者氏名
同席者氏名
(患者さんとの関係:
4
)
同意書
独立行政法人国立病院機構四国がんセンター
院長殿
治療名:
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)
<説明および同意内容>
□<病名>
□<治療>
□<手術日>
□<開始時間と予定時間>
□<治療の前に>
□<手術方法>
□<合併症>
□<健康被害が生じた場合について>
□<ビデオ撮影など>
私は、治療の内容についてそれぞれ説明を受けた上、治療を受けることに同意
いたします。
同意日
平成
年
月
日
患者氏名
同席者氏名
私は、治療について上記の項目を説明し、同意が得られたことを確認します。
確認日
平成
医師氏名
同席者氏名
5
年
月
日