(別添)徳島県景気動向指数利用の手引き (1)景気動向指数とは 景気動向指数は、生産、雇用など様々な経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指 標の動きを統合することによって、景気の現状把握及び将来予測に資するために作成され ている指標です。 徳島県景気動向指数として「とくしまCI」を、また「とくしまCI」を補完する参考 指標として「とくしまSW(ストック・ワトソン)型景気指数」を作成しています。 (2)「とくしまCI」について ア 概要 CI(Composite Index)は、採用系列の前月からの変化量を合成し作成した指数 で、主に景気変動の相対的な大きさやテンポといった「量的な動き」を把握すること を目的としています。 CIは、景気の動きに先行して動く傾向のある「先行指数(Leading Index)」、ほ ぼ一致して動く傾向のある「一致指数(Coincident Index)」 、遅れて動く傾向のある 「遅行指数(Lagging Index)」の3つの指数で構成されています。景気の現状把握に 一致指数を利用し、先行指数は、一般的に、一致指数に数ヶ月先行することから景気 の動きを予測する目的で利用します。遅行指数は、一般的に、一致指数に数ヶ月から 半年程度遅行することから、事後的な確認に用います。 一般的に、一致指数が上昇している時は景気の拡張局面、低下している時は後退局 面であり、一致指数の動きと景気の転換点は概ね一致します。一致指数の変化の大き さから、景気の拡張又は後退のテンポを読み取ります。 なお、例えば景気の拡張局面においても指数が単月で低下するなど、CIには不規 則な動きも含まれています。このため、ある程度の期間の月々の動きをならしてみる ことが望ましいため、足元の基調の変化をつかみやすい3ヶ月後方移動平均と、足元 の基調の変化が定着しつつあることを確認する7ヶ月後方移動平均をあわせて掲載し ています。 イ 作成方法 次の手順により作成しています。 Ⅰ) 各採用系列の前月と比べた変量(対称変化率)を求める 対称変化率 = 当月値 - 前月値 (当月値 + 前月値)/2 -1- × 100 (注1) 負の値をとる系列(前年同月比など)や比率で表す系列(有効求人倍率など)は、 対称変化率の代わりに前月差を用いる。 (注2) 逆サイクル(指標の上昇、下降が景気の動きと反対になること)の系列については 符号を逆転させる。 Ⅱ) 各採用系列の変化の量感(過去の平均的な動きと比較した変化の大きさ)を求 める ⅰ)振れ幅の目安を求める 各採用系列の変化率を大きい順に並べ替え、四分位範囲を求める。 四分位範囲 = 上位25%値 - 下位25%値 ⅱ)外れ値を刈り込む 各採用系列の上昇(下降)幅が「閾値×四分位範囲」以上の場合は外れ値とし、 上昇(下降)幅を「閾値×四分位範囲」で置き換える。 (注3) 閾値は、1990 年 1 月分から直近 12 月分までのデータのうち 5%が外れ値とな るように設定している。 ⅲ)変化率のトレンドを求める 変化率のトレンド = 刈り込み後の前月からの変化率について当月を含む 過去 60 ヶ月間を平均したもの(60 ヶ月後方移動平 均) ⅳ)基準化する 各採用系列の変化率を基準化変化率の形に揃える。 基準化変化率 = 刈り込み後の前月からの変化率 - 変化率のトレンド 四分位範囲 Ⅲ) 各採用系列の量感を合成する 合成変化率 = 合成トレンド + 合成四分位範囲 × 合成基準化変化率 合 成 ト レ ン ド:変化率のトレンドの採用系列の平均 合 成 四 分 位 範 囲:四分位範囲の採用系列の平均 合成基準化変化率:基準化変化率の採用系列の平均 (注4) 先行指数と遅行指数の合成トレンドは、一致指数の採用系列によって計算され た合成トレンドを用いている。 Ⅳ) 前月のCIの値に累積する 当月のCI = 前月のCI × -2- (200 + 合成変化率) (200 - 合成変化率) (3)「とくしまSW型景気指数」について ア 概要 ストック・ワトソン型景気指数は、米国経済学者のストックとワトソンによって開発さ れた指数で、状態空間モデルと呼ばれる統計モデルとカルマンフィルターと呼ばれる時系 列分析の手法を用いて景気の状態を推定した指数です。 状態空間モデルとは、目に見える実際に観測される変数(経済指標)は、目には直接見 えない観測されない状態変数(景気の状態)に依存しているという考えに基づいた統計モ デルであり、このモデルを用いて景気の動向を説明しようとしたのがこの指数です。 そのため、CIに比べて、 「景気」というものの捉え方が理論的に明確であること、採 用系列の毎月の不規則変動の影響を受けにくく安定的な動きをすることなどの特徴があ ります。 ただし、前提としている統計モデルが複雑であり、初期値を変えてのシミュレーション テストを何回も行う必要があること、また初期値のとり方によって結果の数値が大きく変 わることなどの欠点が知られています。 こういった特徴を踏まえて、この「とくしまSW型景気指数」を「とくしまCI」の参 考指標とすることで、景気のおおまかな傾向といったものをより的確に捉えられるように なることを期待し作成しています。 イ 作成方法 内閣府経済社会総合研究所(編) 「4.時系列因子分析モデル」 『経済分析 第 166 号 景気指標の新しい動向』2002 年を参考に、次の手順により作成しています。 Ⅰ) とくしまCI(一致指数)の採用系列について、前月からの変化量(差)を計 算する Ⅱ) Ⅰ)の変化量を、それぞれの系列の全期間における変化量の標準偏差で割る Ⅲ) Ⅱ)の結果を用いて、統計解析ソフトRにより、状態空間モデルの各種パラメ ーターを推定するためにシミュレーションテストを行う Ⅳ) 複数回のシミュレーションテストの結果から、景気の動向を最も的確に表して いると思われるものを選定する Ⅴ) 計算結果の標準偏差を「とくしまCI」の標準偏差に合わせ、2010 年平均が 100 となるよう基準化する -3-
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