一汁の超電導バルク磁石と着磁用電磁石の併用による 小型強磁性体の

成 膜 大 学 理 工 学研 究 報 告
J.Fac.Sci.Tech,SeikeiUniv.
Uo1.49No.2(2012)pp117-126
一 対 の 超 電 導 バ ル ク磁 石 と着 磁 用 電 磁 石の 併 用 に よ る
小 型 強磁 性 体 の 浮 上 と制 御
ニ ノ宮
晃*1,瓜
生
芳 久*z
LevitationandcontrolofsmallferromagneticmaterialsbythecombineduseofapairofHTS
superconductingbulkmagnetsandanelectromagnet
AkiraNINONIIYA*lYbsh止isaURIU*2
,
ABSTRACT:Wefoundoutthatapairoftrappedmagneticfieldofhightemperaturesuperconducting
bulkmagnetsiscapableoffloatingtheironblockinitsspace.Andalso,thegapspacebetweenthetwo
HTSbulkmagnetsisveryimportanttolevitatetheironobject.Thatistosay,ifittriestolevitatesmaller
ironobjectinaconstantgapspace,theobjectwillbeattractedonesideofHTSbulkmagnet.Then,we
conductedtheimprovementofthismethodtobeabletolevitatesmallerironobjectinaconstantgapspace.
Asaresult,itwasfoundthatwhenanelectromagnet,whichusestheHTSbulkmagnetmagnetization,
utilizestogetherwiththetrappedmagneticfieldofHTSbulkmagnets,itispossibletolevitatesmalleriron
objectinconstantgapspace.Andalsothesuperimposedmagneticfield,whichcomposedofelectromagnet
andHTSbulkmagnet,cancreatetheconstantmagneticfieldinthegap.Byusingthisfield,wefoundthat
magneticparticlessuchasironsandcanmoveinlargergapspace.
Keywords:HTSbulkmagnet,electromagnet,levitation,ferromagneticmaterial,uniformmagneticfield
(ReceivedSep.26,2012)
1.は
じめ に
やHTSバ ル ク 磁 石 近 傍 で の 磁 場 勾 配 が浮 上体 サ イ ズ とギ
ャ ップ間 隔 に密 接 な 関係 を与 えて い る結 果 で あ る。そ こ で,
HTSバ
ル ク 磁 石 の 応 用 の 一 っ に 磁 気 浮 上 が あ る。そ の研
本論 文 で は浮 上 原 理 を把 握 す るた め に,バ ル ク磁石 近 傍 の
電 導 体 と永 久 磁 石 の 組 み 合 わ せ で あ る 。 こ
磁 気 的な性 質,特 に浮 上体 がバ ル ク磁石 に接 近 した とき の
れ は,非 接 触 か っ 能 動 的 な 制 御 を 必 要 と し な い こ と か ら電
磁 気 的 な振 る舞 い に っ い て 実験 的検 討 を通 して 明 らか に
力 貯 蔵 用 フ ラ イ ホ イ ー ル(磁 気 軸 受 け)や 輸 送 装 置 な ど広
す る こ とを 目的 に実 施 した。そ して,得 られ た 知 見 を基 に
く検 討 され て い る1)・2)・3)。
ま た,HTSバ
ギ ャ ップ間 隔 を変 え る こ と無 く,よ
究 の 多 く は,超
ル ク磁 石 と軟 鉄 材
り小型 の磁 性 材 料(磁
料 を 用 い た 磁 気 浮 上 に っ い て も 検 討 が な され て い る4)・5)。
性 粒 子 を含 む)の 浮 上 可能 性 にっ い て 検 討 した。 なお,浮
著 者 ら は,こ れ らの 手 法 を 基 に,新
上 に は 上 下(重 力)方 向 お よび これ に 垂 直 な左 右 方 向 の 両
た に 一 対 のHTSバ
磁 石 を 用 い て 一 定 の ギ ャ ッ プ 中(20∼37㎜)に
∼20㎜
確
度 の轍
ル ク
方 にっ い て検 討 す る必 要 が あ るが,こ こ で は左 右 方 向 にっ
直 径10
製 の球 や 円柱 が浮 上 で き るこ とを
い て のみ検 討 してい る。
見 出 し,浮 上 体 に 加 わ る 磁 気 力 測 定 よ り浮 上 体 に は ギ ャ ッ
これ よ り,磁 性 体 が ギ ャ ップ 空 間 で浮 上す る と きは,
プ 中 央 を 向 く復 元 力 が 働 く こ と を 明 ら か に し て きた 。そ れ
バル ク体 の 内表 面 に遮 蔽 電流 が誘 起 され る こ と を確 認 し
と同 時 に,ギ ャ ッ プ を 広 げ る と磁 性 体 は 浮 上 で き な い こ と
た。 ま た,よ
も 明 ら か に な っ た6)・7)。こ れ は,HTSバ
の磁 場 特 性 を変化 させ て 一様 化 させ る こ とが 効 果 的 で あ
ル ク磁 石 の磁 場 値
り小 型 の磁 性 材 料 を浮 上 させ るに は,空 間
る こ と を見 出 した。この 磁 場 の一 様 化 に利 用 した 設 備 は,
*1・
システ ムデ ザイ ン学科
:z・
シス テ ムデ ザ イ ン学 科
助 教(n血onuya@st
バル ク磁 石 の着 磁 に利 用 した 電磁 石 で あ る。 超 電導 バル
.sdkd.ac.jp)
教 授
ク磁 石 の磁 気 作用 は ま さ しく永 久 電流 で あ る。 この 電流
一--7一
成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告
Vo1.49No.2(2012.12)
の 向 き が 逆 に な る よ うに 新 た に 電 流 を誘 導 させ る と磁 場
体 の 着 磁 方 法 はFC法
は 弱 ま る が,そ の 強 さを 調整 す る と浮 上 特 性 に どの よ う
を 冷 却 用 ケ ー ス(ベ ー ク ラ イ ト製)に 入 れ,一
な 変化 が 現 れ るか 注 視 して 実 験 を 進 め た。 そ の 手 法 は,
∼mm)を
フ ィー ル ドク ー ル 法(FC法)で
を 入 れ て 固 定 す る 。 つ ぎ に,常
着 磁 したHTS磁 石 に,電
て 磁 場 をHTSバ
ル ク磁 石 に 印加 す る もの で あ る。 この とき,バ ル ク磁 石
た 後,液
に誘 起 され る 電 流 の 向 き は,FC法
着 磁 後 は,フ
に な る。 これ に つ い て 実 施 した 結 果,外 部 磁 場 を 印加 す
し て5分
る以 前 は バ ル ク磁 石 に 引 き つ い て い た 磁性 体(直 径5
φ 高 さ5の
鉄 円柱;5φ
×mmHと
外 部磁 場 を加 え て い く と浮 上 し始 め,ギ
20φ
ャ ップ 中 央 ま で
定 間 隔(20
材 を 使 用)
温 環 境 下 で 電磁 石 を用 い
ル ク磁 石 に加 え る。 こ の状 態 に セ ッ トし
体 窒 素 に よ りバ ル ク 体 を 冷 却 し て 着 磁 させ る。
ラ ッ ク ス ク リ ー プ 等 に よ る磁 場 減 衰 を 考 慮
間 程 度 放 置 す る 。 そ の 後,鉄
は,こ
表 記)が,
ず バ ル ク体
保 つ た め に 問 に 非 磁 性 材 料(木
磁 石 を 用 い て 着 磁 時 と同 一 方 向 の 磁 場 を超 電 導 状 態 の バ
で 着 磁 した そ れ とは 逆
で あ る 。 そ の 手 順 は,ま
う し て 浮 上 さ せ た1例
×5mmHの
材 料 を 挿 入 す る。
で あ る7)。 これ は,
軟 鉄 製 材 料 を25ギ
で 浮 上 させ た も の で あ り,こ
ャ ップ 間
の鉄 円柱 は 引 き込 まれ る よ
移 動 で き る こ とが 可 能 に な っ た。
この 方 式 を 進 め れ ば,よ
り小径 の磁 性 体 も浮 上 で き る
の で は な い か検 討 を加 え た が3φ
の 鉄 球 が バ ル ク体
近傍 で 浮 上 す るだ け で あ っ た 。 しか しな が ら,ギ ャ ップ
磁 場 を 一様 化 させ る効 果 を利 用 す る と,移 動 させ た い 場
所 に新 た に磁 性 体 を 置 くだ け で磁 性粒 子 を 移 動 させ る こ
とが で き る こ とを 見 出 した。 本 論 文 は,こ れ ら一 連 の 実
Floating
験 結果 を ま とめ た もの で あ る。
cylinder
diameter
φ ×
thet
2.実
験方法および検討結果
thcylindererpendicular
ル ク 磁 石2個
と着 磁 用
pe
Schemaillustra
Helmholtz
ma
mm〔P
Qっ↑ =
d
わ
■ B
Table.lSpecification
示す。バル ク
M
の↑=
の ヘル ム ホ ル ツ 型 電 磁 石 そ して励 磁 用 の 直 流 電源 の み で
あ る 。 諸 元 と 実 験 装 置 をTable,に
蒼
本 研 究 に 用 い た 設 備 は,HTSバ
thelane7)
magnet
pe
Gap
theeasurementystemf
magnetic
mm
mm
Rating
RE-Q
HTS
(Nippon
teel
Magneric
mT/A
)
mmGap
66^-83
Twenty-first
ements
ande
o.1
central
Schemaric
ation
f
magnet.ring
HTS
z-direction.
一118一
field
tis
成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告
うに し て 浮 上 す る。 浮 上 は,磁
Vo1.49No.2(2012.12)
zao
気回路内の磁気抵抗を小
oNo.aLJ
一
⊥㊦
No.6
さ く す る よ うに 浮 上 す る の で,高
さが 直径 よ りも短 い こ
豊22。
の試 料 で は 円形 部 分 を 正 面 に して 浮 上 す る。
Fig.は,浮
上 体 お よ びHTSバ
測 用 の 概 念 図 で あ る 。 こ こ で,hlとh4は
言200
バ ル ク磁 石 を 冷
HGIO6C,寸
法2.×mm,ア
mmφ)で
化 成 電 子 製;
0
あ る 。 これ を
に 示 す 。ホ ー ル 素 子 の 取 り
鼠
r/
12
3
disp且acementofZ一
1
圏
//
180
ク テ ィ ブ サ イ ズ:
!
1■
Il
ffi
垂
却 す る ケ ー ス に 取 り付 け た ホ ー ル 素 子(旭
≦
■1
萎
ル ク磁 石 近傍 の磁 場 計
・No.7
0
456
曲 絶ctionfmmGapcenter(mm)
260
〈〉
場(Bz)を
水 平 に 測 定 す る た め に3間
個
目が バ ル ク 体 中 央 部 に な る
上 体挿 入 時 の バ ル ク磁 石 近傍 の磁
■
I
國
磁 石(バ
子 を セ ッ ト し,ケ
No
11
.12
displacementofZ-directionfromtheGapcenter(mm)
の ホ ー ル 素 子 の 較 正 に は,ヘ
ル ク 磁 石 着 磁 用)を
■
I
123456
0
場 特性 を 同 時 計 測 す るた め で あ る。
な お,こ
11
oNo.ll
80
を 作 成 し た 理 由 は,浮
■
$
mo〈>1
圏
0
0
2
(番 号 は 右 か ら 順 に つ け て あ る)。こ の ホ ー ル 素 子 ア レ イ
$
v
0
2
2
取 り 付 け た 。 こ の と き,ll番
隔で合計
0
4
2
(
↑目 )三竈 り嘱
冨乱 鰐≡
付 け 位 置 は バ ル ク 体 の 直 径 上 で あ り,こ の 領 域 のz方 向 磁
ルムホルツ型電
Fig.SAxialrectionagneticlcharacteristics,z,locatedat
用いて電磁石の中央部に素
thelkaround;hereefiron
cyl血deisφ
ー ス 内 に液 体 窒 素 を 満 た した 場 合 と空
の 場合 に つ い て 発 生 磁 場 に 対 す る起 電 力 を 測 定 して 冷 却
時 と 室 温 時 の 特 性 と し た 。 こ の と き,事
×10mmH.fected
oflinder;・)
前にホール素子
(b).
fectedegion
linder.
位 置 で の 磁 束 密 度 値 を ガ ウ ス メ ー タ に よ り測 定 し て い る 。
ま た,こ
れ 以 外 に ギ ャ ップ 空 間 の 半径 方 向 お よび 軸 方 向
磁 場 を 計 測 す る ホ ー ル も 利 用 し た(h2,h3に
Shore製HGA-2010,-2010を
な る。
・ 浮 上体 が存 在 しな い領 域 の磁 場 は 強 くな る。
は,Lake
使 用)。
こ こで,HTSバ
ル ク磁 石 に近 づ けた とき に磁 場 が 弱 ま
る特 性 は,バ ル ク磁 石 の反 磁 性 効 果 に よっ て誘 導 され た
こ れ ま で の 研 究 で 判 っ た こ と は,Fig.の
浮上にはギ
遮 蔽電 流 に よる もの と考 え られ,鉄
円柱 の存 在 す る領 域
ャ ップ 間 隔 と浮 上 体 サ イ ズ に 一 定 の 関係 が あ る とき の み
に のみ 現れ る 局所 的 な現 象 で あ る。 この 実験 を超 伝 導バ
可 能 に な る こ と で あ る。 こ の 関 係 を 浮 上 体 に 加 わ る 磁 気
ル ク磁 石 の代 わ りに電 磁 石 で行 う と,浮 上 体 の 存在 す る
力 特 性,浮
領 域 の磁 場 は
の よ うに 上昇 す る。 この よ うに,
一 対 のHTSバ ル ク超 電 導 磁 石 を用 い る とこれ に挟 ま れ た
上 体 周 囲 の 磁 場 特 性 か ら 明 ら か に し た6)・7)。
そ こ で,検
討 を 加 え て い な いHTSバ
ル ク磁 石 周 辺 の 磁
ギ ャ ップ空 間 で は 常電 導 磁 石 とは 異 な る磁 気 的 な振 る舞
気 的性 質 に つ い て 実 験 的 に 実 施 す る こ と と した 。
い をす る こ とが把 握 で き る。
強 磁 性 体 浮 上 時 に お け るHTSバ ル ク 磁 石 周 辺 の
は,鉄 円柱 を磁 場 空 間 に挿 入 して 浮 上 す る ま で
Fig.は,10φ
×mmHの
の過 渡 特 性 の測 定結 果 で あ る。 ギ ャ ップ 間 隔 は20,
鉄 円 柱 を 浮 上 させ て
い る 状 態 で 鉄 円 柱 を ギ ャ ッ プ 中 心 部 か ら右 側 バ ル ク 磁 石
浮 上体 サイ ズ と測 定用 ホ ール 素子 はFig.と
の 方 に 水 平 に 移 動 させ て ホ ー ル 素 子h4で
な お,こ こで は着 磁 電 流 を3Aに 変 更 して ギ ャ ップ 中 心 で
方 向 磁 場(Bz)特
を
測 定 し たz軸
性 で あ る。 浮 上 状 態 は,Fig.の
の 着磁 磁 場 を90に
写真
度 回 転 させ 円 形 部 分 が バ ル ク 体 に 平 行 に な る状 態
で あ る。こ の と き,着 磁 電 流 はSA,ギ
置 よ り も高 くな り,浮 上 体挿 入 時 のバ ル ク体周 辺 の 正確
あ る 。浮 上 位
な磁 場 が把 握 で き な い た め で あ る。 得 られ た特 性 か ら,
バ ル ク 体 に はつ ぎ の3つ の性 質 を持 つ 領 域 の あ る こ とが
置 は ギ ャ ッ プ 中 央 部 だ が,中 心 位 置 か ら は 水 平 に 約6
ず れ た 位 置(ホ
mm)で
目∼8番
臥 高 さは
ぎ
分 か る。
・ 浮 上体 の挿 入 に よ り磁 場 の増 加 が 現れ ,そ の後 そ の
上 体 の 存在 す る
値 が継 続 す る領 域6(a))。
・ 浮 上体 の挿 入 に よ り磁 場 の増 加 が現 れ ,そ の後 磁 場
あ っ た 。 こ の 特 性 か ら 判 断 で き る こ と は,つ
の2つ
・
ー ル 素 子 位 置6番
で あ る。
浮 上 体 が バ ル ク 体 に 接 近 す る と ,浮
領 域 で は,磁
変 更 した。 これ は,着 磁 磁 場 が こ
の値 よ り高 い と磁 性 体 の浮 上位 置 が ホ ール 素子 の あ る位
ャ ッ プ 間 隔 は23,
ギ ャ ッ プ 中 心 位 置 で の 着 磁 磁 場 は175で
同 一 で あ る。
が減 少 す る領 域(b))。
石 に接 近 す るに も関 わ らず磁 場 が 弱 く
一119一
成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告
・ 浮 上 体 の 有 無 に 依 らず 変 化 の 無 い 領域6(c))
Vo1.49No.2(2012.12)
の領 域 で は,磁 場 値 の 上昇 が 見 られ る。 これ
。
これ らの 特性 を バ ル ク超 電 導 体 の遮 蔽 効 果 を 基 に 考 察
は浮 上 体 と超 電 導体 問 の 空 間 部分 にお い て,磁 性 体 か ら
す る と以 下 とな る。
空 間 に 出 る磁 束 の広 が りに よ り現 れ た変 化 と考 え られ る。
磁 場 中 に 強磁 性 体 が挿 入 され る と,そ の 周辺 で は 磁 束
この変 化 に対 して も超 電 導 体 は磁 束 の侵 入 を拒 む は ず で
の集 中 が 起 こ り周 辺 磁 場 を 変 化 させ る(こ こで は 浮 上 体
あ る が遮 蔽 効 果 の よ うな 変化 が現 れ て い な い。 従 っ て,
周 辺 の磁 場 は増 加 す る)。こ の と き,バ ル ク体 は マ イ ス ナ
ー 効果 に よ り磁 性 体 挿 入 前 の 磁 場 値 を保 つ よ うに 振 る舞
この領 域 で はバ ル ク 体表 面 に お い て磁 束 密 度 の 軸方 向成
分
へ と方 向 を変 え て い る こ と
が 予想 され る。
うこ とが 予想 され る。 す な わ ち,超 電 導 体 は磁 場 変 化 を
遮 蔽 す る。 これ を
が径 方向成分
この よ うな磁 気 的 な変 化 が 両サ イ ドのHTSバ ル ク磁 石
のNo.6の 特 性 に 当 て は め る と,
鉄 円柱 挿 入 直 後,磁 場 値 の 増加 が観 測 され,そ の 後 減 少
に 生 じる と,磁 性 体 は空 間 で浮 上す る こ とに な る。 この
して 元 に 戻 る 変 化 を 呈 して い る。 これ は,マ イ ス ナ ー 効
よ うに 考察 す る と
とFig.,と
は 類 似 した 特 性 で あ る こ とが 分 か る。
果 の影 響 が 最 も顕 著 に 現 れ て い る領 域 と考 え られ,No.6
∼
が 同様 な 変 化 を 示 して い る。 そ して,こ の よ う
外 部 磁 場 重 畳 時 に お け る バ ル ク体 周 辺 の 磁 場
な 変化 は,こ の 領域 以 外 で は観 測 され て い な い 。
小型 の磁 性 体 を空 間 に浮 上 させ る とき,HTSバ
ル ク磁
石 の着 磁 に用 い たヘ ル ム ホル ツ型 電磁 石 の磁 場(こ れ を
160
外 部磁 場 と してBexで 表 記 す る)を 着 磁 磁 場 に 重 畳 させ
丁
る。 こ うす る と,バ ル ク 体周 辺 の磁 場 が変 化 し小型 の磁
護:
性 体 も浮 上 し易 くな る。 これ につ い て は,2.2.4で 詳 述す
る。 そ こで,こ
40
こで は外 部磁 場 重 畳 時 のバ ル ク 体周 辺 の
磁 場 特 性 に つ い て検 討 してお く こ と とす る。 な お,電 磁
m
石 に通 電 す る電 流 の 向 き は着 磁 時 と同 一 で あ る。
0
0
1
a
は,着 磁 時 お よび 外 部磁 場(Bex)重
3
time
畳 時 の磁 場
特 性 で あ る。測 定 は,左 側 バ ル ク磁 石 直径 上(高 さ30)
160
を水 平 に行 い,半 径 方 向成 分
計 測 した。 なお,ギ
120
と軸 方 向成 分
ャ ップ間 隔 は20で
を
あ る。 得 られ
た特 性 を以 下 に示 す 。
80
①
○ 印 の 特 性 はHTSバ ル ク磁 石 着 磁 時 の特 性 で あ る。
これ は電 磁 石 に4を
通 電 させ て ギ ャ ップ 中 央部
40
で121の
mo
磁 場 を発 生 させ て い る状 態 で あ る。 発
生 したBr成 分 はバ ル ク 体外 側 が 大 き く,中 心 で は ゼ
0
1
2
3
ロ とな る分 布 で あ り,Bz成 分 は 中 心 が 大 き く外 側 に
times)
行 くに従 い小 さ くな る特 性 で あ る。
②
T160
zo
通 電 させ
て① の 状 態 に ギ ャ ップ 中央 部 で158の
外部磁場
を重 畳 させ た特 性 で あ る。Br成 分 お よびBz成 分 共バ
h
go
▲ 印 の フ ラ ッ トな特 性 は,電 磁 石 に5.2を
}
ル ク体 直径 上 で は一 様 で あ り,そ の値 は 中 央部 でBr
40
mo
0
‐No
.S‐No.4
‐No
.3‐No.2
1
1
2
値 が0,Bz値
③
あ る。
●印 の特 性 は ② の 特 性 か ら① の特 性 を 引い て 外 部磁
場 特 性 を算 出 した もの で あ る。 こ の特 性 よ り,外 部
3
times)
磁 場 を加 え る とバ ル ク 体全 体 に着 磁 時 と は逆 向 きの
Transienticsythe
magnetattheme
cylindeinsertion.a
region.e
field.c).change
が142で
電 流 が誘 導 され,こ れ に よ る磁 場 が ギ ャ ップ 磁 場 を
一様 に させ る働 き を して い る こ とが推 定 で き る。
bulk
φ ×
increasing
thefinal
ion
一120一
成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告
40
一60
・Shieldedld;Bz
・Prappcdicl+Shicldcdicld;z
1
一.
V
4.1
d
c
napped
1
trappedfieldis
d
一一 一
一 一u噂9一
一
・ ●6㌔
L
一20020
40
n
lk
aracteris
こ の 一 様 磁 場 空 間 中 に6φ
の鉄 球 を 挿入 した 特性
あ る。 浮 上 位 置 は ギ ャ ッ プ 中 央 部 で は あ
る が,4,5中
心 か らZ軸
上 高 さ は20で
方 向 左側 に ず れ て い た 。 浮
あ る 。 測 定 は,Fig.同
磁 石 の 浮 上位 置 で 行 っ た 。
成 分 の 説 明 図 で あ り,電
様左 側 バ ル ク
は,Br成
io
a蚤
)o.6u
分 お よ びBz
O.4
1監
0.2
流はバルク体表面上を時計回 り
に 流 れ て い る と し て い る 。 こ のFig.,(b)の
2
0
瓦:
特 性 か ら以
下 の こ と が 分 か る。
①
否 ■・1
radialdirection(mm)
andeis
characteristics.b).
がFig.,(b)で
Ψ
Φ
1S
of
center
●Fe6㎜
E6040200
20
40
agnetwheneernaleld
uniform
4も
闘bロ
ロHTSl21mT+Bexl58mT
40
andfielded
bulk
碑
晦
。HTSl21mT+Bexl58mT+Fe6㎜
一20020
radia且rectionmm)
Trappe
囹 匠咀
一zoozo
liii-
0
。
需 。
●
O
一40
180
㌧
m
..160F
《
l・・
一一
㎡go
radialdistance(mm)
.一
湖
コ'ioo
3
一 一 一 一 一■α鼻一 一 一 一 一 一 一 一 一
・a
一
一 一4主
一4040
OTrappedieLd,Bz
50
一 一
-二IIゴ
radialirectionmm)
zoo
-一
0
4
一20020
一40
0
2
-80
●Fe6mm(P
0
m
,
ロHTS121mT十Bex158mT
0
2
7
ノ
-40
鼻
oHTS121mT十BexI58mT十Fe6mm(p
0
4
ノ
\
W...
(↑ε =占 :署 竃 還 島 邸≡
"4
40
0
0
6
oTrapPcdlcld;Br
・ShieldedfieldBr
・TrappedfieldeLdedfield;r
80
Vo1.49No.2(2012.12)
2
-4
6
8
10
一〇.4
■ 印 の 一 様 磁 場 特 性 は,電 磁 石 に5.1を
外 部 磁 場153を
藍
-0
通 電 させ て
.6
一1-0
に 引 き 続 き 実 施 し た の だ が,若
よ びBzの
干磁 場値 が 低
Br
両 成 分 と もバ ル ク体 周
aracteristics
■-
下 し た も の の,Brお
i
.500.5
(b)radialIS[ancea.u.)
重 畳 さ せ た 特 性 で あ る。 測 定 は
magnet
辺 で 一 様 に な り,そ の 値 はBrが 一15,Bzが140
Bex
で あ っ た。
(a).Brcharacteristics;
the
iron
ere
bulk
earby
xternal
e
el
gnetic
theφ
ark●)
wsoating
ofth
position.b).zharacteristics.Explan
②
○ 印 の 特 性 は,一
様 磁 場 中 に6φ
の鉄球を挿入
signfrndzentsbetty
し て 浮 上 さ せ た 特 性 で あ る。 こ の と き の 浮 上 状 態 は
experiment
andcalculation.alculation
shows
magneticfield,arkO)
以 下 の よ うで あ っ た 。 一 様 磁 場 中 に 鉄 球 を 挿 入 す る
trapped"Br"andmark・)
と,外
側 の 磁 場 空 間 で は,鉄
球 は どち らか の バ ル ク
磁 石 に 引 き つ く 。 し か し な が ら,磁
に ま で 鉄 球 を 持 ち 込 む と,鉄
場空間の中心部
こ れ は 磁 場 の 均 一 化 が 影 響 し て,浮
aibutedrenttheTS
程 度 か か っ た。
theer
,
theaand
上 安 定位 置 が 定
ection
clockwiseirection.
fromTbulk
nearby(d)
ま り に く い こ と が 原 因 し て い る こ と が 考 え ら れ る。
な お,着
z"
ing
respectively.Theedfieldcalculated
球 は 浮 上 し は じ め る。
こ の と き,浮 上 が 安 定 す る ま で に5秒
"B
show"Br"
磁 磁 場 の み で は 浮 上 体 は バ ル ク磁 石 に 引 き
っ い た ま ま で あ る。
一121一
z-position
,
成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告
③
● 印 の 特 性 は,浮
あ り,②
と き に0.2の
上 体 の み の 特性 を抽 出 した もの で
・ 着 磁 時 お よ び浮 上 時 のBr特 性 は ,実 験 値 と計算 値 が
類 似 した特 性 とな り,着 磁 時 はバ ル ク 体 に は分 布 電
以 下 の こ とが 分 か る。
着磁 時の
特 性(Fig
.○
印)は,中
心 か ら右 側
が 正,左 側 が 負 の 特 性 で あ る の に 対 し てFig.の
上 体 の み のBr特 性(● 印)は,中
程 ず れ て は い る が,中
特 性 で あ り,着
・
a),(b)の
着磁特
性 よ り,着 磁 時 と 浮 上 時 の 磁 場 特 性 に つ い て 検 討 す る と
・
位 置 で あ る。
の 計 算 結 果 を 考 慮 し てFig.7(a),
か ら① を 差 し 引 い て 求 め た 特 性 で あ る 。
こ の ③ で 取 得 し た 浮 上 体 の み の 特 性 とFig.の
Vo1.49No.2(2012.12)
流 が流 れ て い る こ とが わ か り,鉄 球挿 入 時 は浮 上体
の 大 き さに相 当す る領 域 に着 磁 時 とは 逆 向 き の遮 蔽
浮
心 が 半 径 方 向 に4
心 か ら 右 側 が 負,左
・
側が正の
した遮 蔽電 流 が 作 る磁 場 の 向 き とは 異 な る こ とに気
磁 時 とは 符 号 が 異 な る。
の 浮 上 体 の み の 特 性(●
印)は
,中
づ く。 す な わ ち,測 定 した磁 場 特 性 は遮 蔽 電流 に よ
心での
る もの で無 い。
磁 場値 が 正 方 向 に 強 くな る特 性 で あ る。
こ れ ら の 特 性 を 検 証 す る た め に,浮
電 流 が誘 起 され て い る こ とが分 か る。
特性 は 問題 が あ り,測 定 した 磁 場 の 向 き は,想 定
こ こで,後 者 につ い て 再検 討 す る。 測 定 は6wの
上 体 挿入 時 に バ ル
ク体 に誘 導 され る電 流 に つ い て 計 算 に よ る検 討 を試 み た 。
鉄 球 が 中央 で浮 上 して い る状 態 で行 っ た。 この とき,浮
の と き の 計 算 結 果 で あ る 。計 算 方 法 は,
上 体周 辺 磁 場 は鉄 球 が存 在 す る こ とに よ り,局 所 的 に増
半 径aの 円 形 電 流 が 任 意 の 点P(r,θ,z)に つ く る ベ ク トル ポ
加 す る。 ま た,両 サ イ ドに はHTSバ ル ク磁 石 が あ る の で
テ ン シ ャ ル を 求 め,こ
バ ル ク 体周 辺 で は変 化 磁 場 を遮 蔽す る 電流 が存 在 す る。
Fig.は,こ
れ の 回 転 か ら磁 束 密 度 を 算 出 す る
方 法 と し た 。 座 標 系 は 円 筒 系 と し,r成
この 点 を考 慮 す る と,測 定 したBz成
分 お よ びz成 分 の
分 は 鉄 球 の存 在
ベ ク トル ポ テ ン シ ャ ル が ゼ ロ に な る こ と を 考 慮 し て θ
に よるIE方 向磁 場 の増 加 分 と遮 蔽 電 流 に よ る負 方 向磁 場
成 分 の み を 対 象 と し た 。 利 用 し た ベ ク トル ポ テ ン シ ャ ル
の減 少 分 を重 ね 合 わせ た 特性 に な る。 従 っ て,Fig.)
Aは
で抽 出 した 浮 上 体 の み のBz特 性 は,浮 上 して い る磁 性 体
式(1)で あ るx)。
の磁 場 増 加 成 分 を 主 と して検 出 した特 性 で あ る こ とが 考
免 ・雛{藍 工一轡 蹴
え られ る。
一巳呵
こ の こ とを 考 慮 して 浮 上 体 に加 わ る軸 方 向 磁 気 力Fz
こ こで ・ 酢
藷K(k),E(k)は
に つ い て考 察す る と以 下 の こ とが推 定 で き る。
・を母 数 とす
磁 気 力 は,式(3)に 示 す よ うに 磁 場Bと そ の勾 配 に 比例
る 第1種,第2種
の 完 全 楕 円 積 分 で あ る。 そ して,磁
す る。 従 っ て,浮 上 体 がバ ル ク磁 石 に接 近 す る と,浮 上
束
密 度 は 式(2)
体 左 右 の磁 束 密度 の 強 さが変 わ り,バ ル ク磁 石 よ り離 れ
た側 が接 近 した側 よ り も強 い と浮 上体 は ギ ャ ップ 中 心部
監■ ・曲
・ 一讐1、 ・}鰭{・ 瞬1、
方 向 に移 動 す る こ とが 考 え られ る。 そ して,磁 性 体 は周
辺 磁 場 を 上 昇 させ,超 電 導磁 石 は近 傍 磁 場 を遮 蔽す る。
こ こ で は,2種
類 の 計 算 を 実 施 し た 。 一 方 は,着
のBr特 性 で あ る 。 こ れ は,バ
こ こに ギ ャ ップ 空 間 を一 様 に させ る効 果 が加 わ る と,浮
磁時
ル ク体 の 半径 を
と し,
上 しや す い状 態 を 引 き 出 し易 くな る こ とが推 測 で き る。
こ こに 同 心 状 の 円 形 電 流 が 分布 して 流 れ て い る状 態 を想
定 し た 。 電 流 の 大 き さ は,∼
の
∼
ま で は1.oで
が0.33,そ
の 外側
あ る 。 こ れ は,Fig.の
着磁
時 のBz特 性 を 用 い て 臨 界 状 態 モ デ ル を想 定 し,バ
の 内 側 と外 側 の 磁 場 勾 配 を1対3と
㍉ 押6 "
石
ルク体
ま た,軸
し て 算 出 し た 。な お,
方 向 磁 気 力 に つ い て 別 の 見 方 を す る と,浮
体 を ギ ャ ッ プ 中 央 に 移 動 させ る 力 は,式(4)に
バ ル ク 磁 石 内 に 発 生 し た 遮 蔽 電 流(lsh)とIshを
他 方 は,遮
蔽 電 流 を 想 定 し て 計 算 し た も の で,HTSバ
ル ク 体 の 大 き さ は 半 径1で
大 き さ に 相 当 す る 半 径0.1の
着 磁 時 と 同 一 に し,浮
と こ ろ に1タ
上
示 す よ うに
横 切 る半
径 方 向 磁 場Brの ベ ク トル 積 で 表 せ る 。
上体の
ー ンの 円形 電
耳 軋』 主 臨
流 が 原 点 を 中 心 に 時 計 回 りに 流 れ て い る 状 態 を 想 定 し た 。
計 算 し た 磁 場 値 は,Br成
分 とBz成 分 で あ る 。 な お,両
算 に お け るz方 向 位 置 は,バ ル ク 磁 石 間 の 間 隔 を2と
これ よ り,バ
計
つ い てFig.
した
一122一
ル ク 体 に 加 わ る カ と浮 上 体 に 加 わ る カ に
成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告
Vo1.49No.2(2012.12)
す る理 由 が把 握 で き た と考 え て い る。
遮 蔽 電 流 の 向 き は 時 計 回 りで あ る。着 磁 時 のBr磁 場 は,
左 側 バ ル ク磁 石 の 場 合 バ ル ク 体 中 心 に 放 射 状 内 側 に 入 る
向 き で あ る 。 従 っ て,HTSバ
ル ク 磁 石 に は,マ
イ ナ スz
外 部 磁 場 は,HTSバ
ル ク 磁 石 周 辺 の 磁 場 を 一 様 に させ
方 向 に カ が 加 わ る。 こ の 力 は,バ
ル ク磁 石 の 間 隔 を 広 げ
る 働 き の あ る こ と が 分 か っ た 。Fig.,8で
る 方 向 で あ る 。 し か し な が ら,バ
ル ク磁 石 は 固 定 され て
た 。 そ こ で,こ
い て 移 動 で き な い 。 こ うな る と,こ
の力は浮上体をギ ャ
の効 果 が ギ ャ ップ 空 間 で は どの よ うに な
っ て い る か 測 定 し た 。 こ れ を 行 う に あ た り,HTSバ
ッ プ 中 央 に 押 し 戻 す 反 作 用 力 に な る。
こ の よ うに 想 定 す る と,磁
これ を 確 認 し
ルク
磁 石 の着 磁 法 に つ い て再 考す る。
気 力 が左 右 の バ ル ク磁 石 に
実 施 し た 着 磁 法 は,フ
ィ ー ル ド ク ー ル 法(FC法)で
あ
均 等 に加 わ る位 置 で は そ の 力 は 打 ち 消 し合 うこ とに な る。
る 。 そ の 後,新
す な わ ち,ギ
導 状 態 下 で の 外 部 磁 場 増 磁 過 程 で あ る 。 これ は,HTSバ
ャ ップ 中 心 部 で は 浮 上 体 は 浮 上 で き な い こ
と が 予 想 さ れ る 。Fig.は,こ
ル ク 体 着 磁 法 の1手
れ に つ い て 検 討 した 結 果
で あ る。 着 磁 磁 場 は90ギ
ャ ッ プ 中 央 部),浮
上体は
(ZFC法)の
一,諜
瓢 こ¢)電
磁石
鉄 円 柱 の 浮 上 状 態 を 変 化 させ る た め に 電 石 Holesensor
化 させ てBr成 分 を 潰{し
た
潰 定 場 所 は,バ
上 を水 平 に
で を5間
そ の 結 果,電
流 の 増 加 と と も に 各 位 置 で のBr値 が 一 定 値
に 収 束 し て い き3.3Aの
外 部 磁 場 を 加 え る と き は,バ
る が,外
隔 で行 っ た。
こ こで 重 要 な
時 と外 部 磁 場 増 磁 時 の 電 流 の 向 き で あ る 。
ル ク 体 に は着 磁 時 とは 逆 向
き の 電 流 が 流 れ る 。 これ は,着
ル ク 体 直径
磁 磁 場 を 弱 め る 作用 をす
部 磁 場 を加 え続 け て い る状 態 で は 空 間磁 場 を一
様 に させ る 効 果 が 期 待 で き る 。 な お,我
々 は電 磁 石 の配
線 を一 切 変 更 して い な い。
と き鉄 円柱 は 中央 部 で落 下 した。
は,こ
れ を 実 施 し た 特 性 で あ り,着 磁 後 のHTS
当 初Br値 が ゼ ロ と な る と こ ろ で 落 下 す る と 予 想 し た が,
バ ル ク 磁 石 に 外 部 磁 場(Bex)を
や や 設 定 が ず れ た よ うで あ る 。しか し な が ら,浮 上 体 は,
う 変 化 す る か を 計 測 し た 結 果 で あ る 。 こ こ で,着
中 心位 置 で は 浮 上 で き な い こ とが 判 断 で きた と考 え て お
は ギ ャ ッ プ 中 心 で121,Bex値
お よび
り,Fig.
に お い て 中心 か らず れ て 浮 上
軸 上 のBz成
A
峯
o
■
攣
al
al
al
al
al
frad
口rad
frad
・
Xrad
×rad
-60
大 き さ に よ りギ
とき 中 央
間 隔 に お い て ほ ぼ均 一 な
磁 場 特 性 が 得 られ た 。こ の と き,磁 場 均 一 度 は 平 均 値139
◆
-20
磁磁場
ル ク磁 石 間 中 心
分 で あ る 。 こ れ よ り,Bexの
部 の 磁 場 値 に 対 し左 右8の
("
m・
定 はHTSバ
ャ ッ プ 空 間 磁 場 が 変 化 し 始 め,Bex値160の
)K
n
印 加 して 空 間 磁 場 が ど
は ゼ ロ か ら着 磁 磁 場 以
上 ま で 加 え て い る 。 な お,測
40
20
onm
mTに
対 して 最 大1.7の
ば らつ き が あ り,Bex値
mTに
な る と均 一 性 は 失 わ れ た 。
が165
onm
onm
onm
onm
01234
electromagnetncurr(A)
i韻TS(12TS(12}翻
‡巷:潜1,、
。,)
180
fHTS(121mT)+Bex(138mT)
● ● ● ●
XHTS(121mT)+Bex(153mT)
・ ●
60
×HTS(121mT)+Bex(160mT)
●. ●
・HTS(121m
,●
験爪A会▲
含会鼓
、 属 国 国
140
+Bex(165mT)
● ● ●
」△ 岩x》
,x.
隔
i■ 置 鱈 璽 自 盈 自
◆ ◆
軸
changing
一123一
10
m
m
central
magnet
5
)
(
magnet.
e
characterisrics
pairof
◆ ◆
< 卜666◆
0
characteristicsn
一10
itatiincreasing,
mmcpx10
appedof
Ttcenter.a).r
adial
一
current
thateclue
◆ ◆ ◆ ◆
5 Z
thelectromagnet
◆
100
rimef
Bracteristics
電
法 で あ る ゼ ロ フ ィ ー ル ドク ー ル 法
増 磁 過 程 と類 似 し て い る9)。
こ と は,FC法
縣 ユ調
た に 電 磁 石 の 磁 場 を 加 え る 段 階 は,超
tweena
成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告
一 定 の ギ ャ ッ プ 中 で 軟 鉄 材 料 を 浮 上 させ る と き
,ギ
Vo1.49No.2(2012.12)
ャ
180
ャ ッ プ20の
分 の5φ
×
×
㎜H
にす る
と 浮 上 で き ず に バ ル ク磁 石 に 引 き つ い て し ま う。そ こ で,
る た め に 外 部 磁 場(Bex)を
り小 さ い 磁 性 体 を 浮 上 させ
重 畳 させ て 空 間 磁 場 の 一 様
0
5
ギ ャ ッ プ 間 隔 を 変 え ず に,よ
0
rQ
鉄 円 柱 は 浮 上 す る が,半
場 合10φ
0
7
す な わ ち,ギ
(
﹄目 )コ遷 り帽
お 乱 慮≡
ップ 間 隔 と浮 上 体 サ イ ズ の 間 に は密 接 な 関係 が 存在 す る。
140
0
1001SO
time(sec)
50
化 させ る こ と で 浮 上 す る か を 実 際 に 検 討 し た 。
Fig.1は,5φ
×
zoo
250
の鉄円柱を用いて実施
し た 結 果 で あ る 。着 磁 磁 場 は,ギ ャ ッ プ 中 央 部 で175,
こ こ にBexを
ギ ャ ップ 中央 部 で
せ た 。 測 定 は,左
(Fig.3のhl)で
∼
ま で 増加 さ
側 冷 却 ケ ー ス に 取 り付 け た ホ ー ル 素 子
行 っ た 。 こ の と き の 浮 上 体 の 状 態 を1∼v
に 分 け て 検 討 す る。
・1と
且の 状 態 は
Fig.1
,着 磁 時 の5mφ
×
鉄 円 柱 挿 入 時 の 特 性 で あ る。 こ の と き,浮
㎜Hの
cylinder,wherey
上 体 は左
electromagnetisted
皿 の 状 態 は ,を
magneticfield,Bex
加 え て 着 磁 時 と 同 じ磁 場 値 ま で
上 昇 さ せ て い る 段 階 で あ る。 こ の と き,浮
状態
175mTま
∼s)は
を 着 磁磁 場 以 上 の
で 加 え て い る 状 態 で,鉄
円柱 が浮 上 しは じ
linder
t10T1,
175mT,
(N):x
V
increases
mT,
decreases
linder
"hl"
Magneticharacteristic
Bulk
mT.d).
attachede
BexsmT.
上 体 は バル ク磁 石 か ら離 れ て い くに も関 わ らず 磁 束
sor
oli
X1
aoo
密 度 は 低 下 せ ず に や や 上 昇 した 後 に 一 定値 を保 っ て
い る。
果 を積 極 的 に 引 き 出す こ とで 可能 に な る こ とが 分 っ て き
状 態 は ,浮
こ こ で,IVの
e
皿):Bex
,Bex値
anappe
iron
(1):initialstate, II):
め て 中 央 に 移 動 し て い る 段 階 で あ る。 こ の と き,浮
・Vの
ore
moving
landing
上体はま
だ バル ク磁 石 に 引 き 付 い た ま ま で あ る。
・IVの
it
ached
thet-hand-side
側 の バ ル ク磁 石 に 引 き 付 い て い る。
・
(P
tingobject
Floatingaracteristics
上 体 を 取 り出 し た 状 態 で あ る。
た。 しか しな が ら,こ の外 部 磁 場 の重 畳 は,超 電導 状 態
段 階 が 小 型 の 強磁 性材 料 の 浮 上 に お い て
のHTSバ ル ク磁 石 か らす る と全 体 的 な遮 蔽 効 果 で あ り,
FC時 の着 磁 磁 場 を弱 め る こ とに な り,強 い磁 場 空 間 は作
重 要 と な る。 こ の 点 に つ い て 考 察 す る と 以 下 と な る 。
磁 性 体 挿 入 時,HTSバ
れ な い。 た とえ 強磁 場 が発 生 で き た と して も,一 様 磁 場
ル ク磁 石 に は 浮 上 体 の 直径 に 相
近
の み で は浮 上体 サ イ ズ が小 さ くな る と磁 場 変化 が少 な く
の 磁 場 を 変 化 さ せ る よ うに 働 く が 浮 上 させ る ま で に は 至
な り,遮 蔽 電流 値 の 大 き さ もル ー プ 半径 も小 さ くな る。
っ て い な い 。 こ こ に,外
これ で は小 型 の 強磁 性 体 は浮 上 で き な い。
当 す る 領 域 に 遮 蔽 電 流 が 誘 導 さ れ る。 こ の 電 流 は,直
部磁 場 を加 え て 着 磁磁 場 以 上 に
す る とバル ク磁 石 近 傍 を 含 め 空 間 磁 場 が 一 様 化 して く る。
こ れ に よ り,浮
そ こで,一 様 磁 場 を利 用 して,よ
り小 さな磁 性 粒 子 を
浮 上 させ る に は,一 様 の磁 場 空 間 に加 え て磁 場 勾配 を積
上 体 表 面 に誘 導 され た 遮 蔽 電 流 に よ る効
ル ク磁 石 に 接 近 した 側 よ りも反 対
極 的 に 作 る た め の補 助 磁 性 材 料 が 必要 で あ る と考 え た。
側 の 磁 場 値 が 大 き く な る 状 態 を 作 り出 し て い る こ と が 想
現 状 に お い て,我 々 は一 様 磁 場 空 間 の発 生 方法 を習 得 し
定 さ れ る 。 特 に,バ
て い る。これ を用 い て,新 た に 空 間 に磁 場 勾配 を 作れ ば,
果 が よ り 強 く 現 れ,バ
ず,磁
ル ク磁 石 か ら離 れ て い くに も関 わ ら
場 が 上 昇 し て い る 段 階 は,こ
そ こに軽 い磁 性 体 を 引 き付 け る こ とが で き る と考 え た。
れ を 示 して い る もの
す な わ ち,一 様 磁 場 空 間 に新 た に 強磁 性 材 料 を持 ち 込 め
と考 え られ る。
ば,こ れ が磁 化 して新 た な磁 場 環 境 を 作 り,こ こに磁 性
これ ま で の 検 討 よ り,一 対 のHTSバ ル ク磁 石 を 用 い て
粒 子 を移 動 させ る こ とが 可能 に な る と考 え た。
一 定 の ギ ャ ップ 中 で 大 き さの 異 な る強 磁性 材 料 を 浮 上 さ
これ を確 か めた の がFig.2で
せ る に は,外 部 磁 場 を 重 畳 させ て 空 間 磁 場 値 を 一様 化 さ
磁 場1。 。(a/ギ
せ,磁
せ た 後,外
性 体 挿 入 時 にHTSバ ル ク磁 石 に誘 導 され る遮 蔽 効
一124一
あ る。 実 施 方 法 は,着 磁
ャ 。 プ 中 央 部)でHTS.・,レ
部 磁 場(Bex)を
ク磁 石 を着 磁 さ
加 え て 空 間 磁 場 を 一 様 化(Bex
成 践 大 学 理 工 学 研 究 報 告
Vo1.49No.2(2012.12)
間 を一 様 に させ る こ とが効 果 的 で あ る。
・ 一 様 磁 場 中 に新 た に鉄 円盤 の よ うな補 助 強磁 性 体 を
挿 入 す る と,磁 性 粒 子 を磁 場 空 間 中 で移 動 させ る こ
とが 可能 に な る。 そ して,一 度 磁 性 粒 子 を移 動 した
後 は,外 部 磁 場 や 補 助 強磁 性 体 を 除 去 して も一 部 の
磁 性 粒 子 は移 動 した状 態 を維 持 す る。
Fig.12Movementaparticlesinaiforme
fieldroughthofnkmmcpmmH).
(a).itialndition(HTSOx8(b).
Ironisknsertion.(c).rdiremovalBexs
mT.
値 は ギ ャ ップ 中央 部 でmT)さ
M.suda,
TEION1)e
せ た 。そ して,こ の 一
理 ら:「
様 磁 場 空 間 に ア ク リル ケ ー ル に 入 れ た 砂 鉄 を左 右 に配 置
し,中 央 部 に磁 性 体 が挿 入 で きる5の
挿 入 す る磁 性 体 は直 径10厚
隙 間 を確 保 した。
さ3の
る。 なお,ギ ャ ップ 間 隔 は35に
磁 気 浮 上 応 用 」 低 温 工 学46(2011)
94一
M.tal.:
軟 鉄製 円盤 で あ
5-kWh/100-kWwheel
広 げ て い る。
high-temperature
これ よ り,砂鉄 はHTSバ ル ク磁 石 のみ の磁 場 お よびBex
を加 え て 空 間磁 場 を 一様 化 させ た だ け で は 両 サ イ ドの バ
Appl.cond.
ル ク磁 石 に 引 き つ い た ま ま で あ っ た が,中 央 部 に 軟 鉄製
T.Takaal.:
ergyage
ctinging",ETr
t
Analysis
Levitationyst
円 板 を挿 入 す る と円 板 の 方 に 移 動 す る こ とを確 認 した。
Appl.
そ して,こ の 中 央 に 移 動 した 後,鉄 円盤 を 取 り除 き,更
に
and
r
al.:"Stableetic
値 をゼ ロ に して 着 磁 磁 場 の み の 状 態 に した と き
に お い て も,磁 性粒 子 の 一 部 は移 動 した 状 態 を保 っ て い
FerromMaterialsy
る こ とが 分 っ た 。 これ は,磁 気抵 抗 の 小 さい 状 態 が1度
SuperconductorsTrans.
形 成 され る と,そ の 状 態 が維 持 し易 くな る こ とを 示 して
5).Tsof
い る もの と考 え られ る。
High-TcSoft"
3.ま
TEIONese)
と
幸 雄 ら:「高 温 超 電 導 体 と軟 磁 性 体 を 組 み 合 わ
せ た磁 気 浮 上機 構 の 改 良 」
本研 究 は,一 対 の着 磁 したHTSバ ル ク磁 石 と電磁 石 を
用 い て 軟鉄 製材 料 の 浮 上 と制 御 に つ い て検 討 した もの で
Ryal.:
あ る。 得 られ た 結 果 を ま とめ る と以 下 とな る。
Blockping
・ 着 磁 したHTSバ ル ク磁 石 とこれ を励 磁 す る電磁 石 を
evitatione
TronAppl.
2129-213
Ryoma
併 用 す る と,こ れ らが 作 る磁 場 環 境 下 に お い て 磁性
agnetici
Block
材 料 を 浮 上,制 御 させ る こ とが 可 能 に な る。
・ 本 手 法 で は ,バ ル ク超 電 導 体 の磁 気遮 蔽 効 果 が 大 き
Trappedulk
Temper
T
Univ.46(2009)13-18
く寄 与 す る。
・ 浮 上 体挿 入 時 の 遮 蔽 電 流 は 局 所 的 に発 生 す る。 そ し
e樋
大 き さは 浮 上 体 形 状 に ほ ぼ 等 し くな る。
竹 山説 三
)
9
実験 」成 蹟 大学 理 工 学研 究報 告
・ 電磁 石 の磁 極 中 心 とバ ル ク体 の 中心 を一 致 させ る と,
「電 磁 気 学 現 象 理 論 」
"Magneti
zationf"
TEION
ギ ャ ップ 中央 中心 部 で は 浮上 しな い。
・ 浮 上 体 の 大 き さ とHTSバ ル ク磁 石 の 間 隔 は 密接 に 関
ま,よ
バル
ク 高温 超 電 導体 の捕 捉 磁 束 を用 い た 強磁 性 体 の 浮 上
て 浮 上 体 の 形 が 円 柱 や 球 の 場 合,遮 蔽 電 流 ル ー プ の
係 す る。 この とき,ギ
口 涼 馬 ら:「
博 之
学46(2011)81-8
ャ ップ 間 隔 を 一 定 に保 っ た ま
り小 型 の 強磁 性 体 を 浮 上 させ るに は 着磁 時 に
用 い た 電 磁 石 を併 用 してHTSバ ル ク磁 石 問 の磁 場 空
一125一
「
バ ル ク超 電 導 導 体 の着 磁 現象 」低 温 工