二段階ダウンコンバートによる 位相変調インパルス無線受信装置 京都工芸繊維大学 電子システム工学部門 教授 大柴 小枝子 1 背景 出典 Cisco Visual Networking Index: Global Mobile Data Traffic Forecast Update, 2011-2016 ◎ モバイルトラフィックの急増(年間平均増加率:78%) 2016年のトラフック総量 対2011年比で18倍、対2014年比で2.6倍と予測 2 無線通信の現状と課題 課題は 広帯域 長距離 低電力 な無線通信 3 広帯域な無線通信 UWB帯域 低消費電力 長距離通信が難しい 4 長距離化への課題解決の手法として注目 光ファイバ無線融合( ROF) UWBインパルス通信システム 5 システムの構成イメージ 6 光ファイバ無線融合アクセス モバイルバックホールに光ファイバアクセスシステム 光ファイバ:低損失(約0.5dB/km)、広帯域(数十THz) 低遅延 CO-RA間の長距離化 マルチセル通信システムが構築可能 アクセスポイント数を増やし セル面積を縮小することで通信を高速化 RA 光ファイバ ポスト4Gの フェムトセル (~10m) アクセスポイント Central Office セル 7 Radio Access Network : RAN Distributed RAN ◎RAとBUが同一箇所 RA 光ファイバ Central RA: Remote Antenna BU: Baseband Unit :O/E or E/O BU Office BU ベースバンドデジタル信号 セル デジタルベースバンド信号伝送 伝送レート~通信レート Centralized RAN ◎BUをCO側に集約 Central Office RAの小型化・低コスト化 省エネルギー化 光ファイバ B U Radio on Fiber (RoF) -アナログ信号伝送 Digital RoF -デジタル信号伝送 例;Common Public Radio Interface (CPRI) (LTEで数Gbpsの容量が必要) 8 無線端末へは光ファイバを接続。 端末はOE変換器とBPFだけの簡単な構成。 従来OOK方式 2PAM-PPM方式 0 1 0 0 1 0 9 従来技術 0 1 0 0 1 0 OOK方式 2PAM-PPM方式 などの2値通信 本発明の解決する課題 ・さらなる情報量を送るため(シャノン限界に近づける)には QPSK、16QAM・・・などの多値通信とする必要 ・しかし、キャリア周波数レスなため同期検波ができない。 → 4相以上の位相変調(QPSK,16QAM・・・)の受信は? 10 従来技術とその問題点 ●インパルス方式による無線送信装置 マイクロ波帯、準ミリ波帯UWBをはじめとする 超広帯域無線伝送システムに利用されている。 ●従来の方式とその問題点 ・信号電力を低く抑えるため、伝送距離が短い。 ・搬送波を用いないため、送信信号の位相状態 を正確に受信することが困難であり、そのため、 多値のPSK変調信号の伝送が困難 という問題がある。 11 本技術の目的 UWB帯域+インパルス無線+光アクセス 数Gbps以上の広帯域無線アクセスの実現 課題 ○ベースバンド光伝送信号から 位相変調インパルス無線信号を生成 ○2段階ダウンコンバージョンによる 位相変調インパルス無線信号受信 ベースバンド光信号から 窓フィルタによって 位相変調インパルス無線信号を生成する。 入力 出力 光信号:PPM変調信号 無線信号:PSKインパルス無線 光ベースバンド信号から位相変調無線信号への変換 0 情報信号 PPM変調 オプティカルパル スジェネレータ 光 通 信 R (b/s) 1 τ PSK-IR 時間遅延 τ =1/2fC OE変換 cos(2π fct) 受信信号 LPF fc= nR [Hz] 同期検波 無 線 通 信 BPF (中心周波数:fb) 14 UWB-IR の位相変調 通常、位相変調は搬送波を変調するが、UWB-IRは搬送波を用いない θ t 正弦波(搬送波)の位相をずらす =正弦波を時間的にずらす RZパルス信号の位置変調により UWB-IR信号の発生タイミングをずらして 位相変調を行う τ τ BPF t t PPM信号 UWB-IR信号 15 UWB-IR 位相変調 UWB-IR信号 x(t ) h(t ) exp( j 2f Bt ) UWB-IR 信号周波数スペクトル模式図 w 時間τ 遅延させたパルスで発生のUWB-IR信号 x(t ) h(t ) exp( j 2f Bt f B )) fC fC fB f 中心周波数 で周波数低減することで包絡性波形を受信 y(t ) h(t ) exp( j 2 {( f B f C )t f B }) fB に対応した遅延時間τ で位相が決定 τ の決定 UWB-IR位相変調の受信信号 シンボル レート τ y(t ) h(t ) exp( j 2 {( f B fC )t f B }) t QPSK信号 信号の位相 “- 2π fBτ ”より、各位相に対応した遅延時間τ は 00 : 0 1 I 信号 57 : π ただし、fB =8.75GHz 2 fB ps τ τ 1 (n 2) : π /2 4 f B Q 信号 1 : -π /2 4f n B ただし、n = 1, 5, 9, … 2段階ダウンコンバージョンによる 位相変調インパルス無線信号受信 18 fcによる受信信号波形 ダウンコンバージョンに用いる周波数 fC の位置による f 受信信号の波形の違い fC fB A 1 w A 1 w 0 t τ 1 w 0 A 1 w t τ fC : 帯域端 1 w B 1 w 0 0 fC : 帯域中心 B 1 w 1 w t τ 1 w 0 1 w t τ 振幅ゼロ t τ fcによる受信信号波形 直交信号を多重する際には直交信号の受信振幅は0が望ましい → A 1 w A 1 w 0 t τ 1 w 0 A 1 w t τ fC : 帯域端 1 w B 1 w 0 0 fC :帯域中心 B 1 w 1 w t τ 1 w 0 1 w t τ 振幅ゼロ t τ 直交信号の干渉 QPSK : 直交信号の分離のため中心周波数でのダウンコンバージョンが理想 通常のダウンコンバージョンではシンボルレートの整数倍の周波数を用いる UWBハイバンド (7.25~10.25 GHz)、 シンボルレート2.5Gs/s の場合、 中心周波数から遠いため、直交信号が干渉する 同相信号 直交信号 振幅の抑制が不十分 2.48832 Gs/s の整数倍 中心 周波数 2段階ダウンコンバージョン R : シンボルレート 2.48832 Gb/s の整数倍 ① 中心周波数を用いてダウンコンバージョン → 直交信号の振幅を抑制する ② nRと中心周波数の差周波数を用いて周波数シフト → 通常のダウンコンバージョンと スペクトルの位置を合わせる 2.48832 Gb/s 1.24416 GHz 2 fc 新技術の方式 I 情報信号 オプティカルパル スジェネレータ R (b/s) Q τ 光 通 信 時間遅延 τ =1/2fC1 P D cos(2π fc2t) 受信信号 LPF cos(2π fc1t) 無 線 通 fc2= |nR – fb| [Hz] fc1= fb[Hz] 信 BPF (中心周波数:fb) 2段階でダウンコンバージョンを行う 23 新技術のシミュレーション結果 20μ 80μ -20μ -80μ 本方式での 90°位相信号検出結果 従来の方式での 90°位相信号検出結果 0度位相信号と 90度位相信号の干渉を軽減 → QPSKが実現。 24 新技術の特徴・従来技術との比較 • 本技術の適用により、位相状態を正確に とらえることが可能となったため、 通信速度を2~4倍に拡大できる。 • 信号電力を低く抑えても、通信距離を拡大 できる。 • 搬送波用発振器が不要となるため、 送・受信機の構成が簡易になる。 25 実用化に向けた課題 • 現在、実験室において基本実験確認済み。 • 今後、周波数安定度について実験データを 取得する等の条件設定を行っていく。 • 実用化に向けて、デジタル信号処理の実装が 必要。 26 5 Gb/s UWB-IR実験 伝送実験 ビットレート : 4.97664 Gb/s、 無線伝送距離 : 12 mm 5 Gb/s UWB-IR実験 シミュレータによる信号処理 波形整形に適したフィルタ 奇数・偶数ビットを分離 周波数成分を適切な位置にシフト、 波形を再生 奇数ビット(2.5 Gb/s) 最大Q値 (BER) Q≧3 となる時間幅 奇数 偶数 3.84 3.88 (1.19×10-6) (1.13×10-6) 334 ps 338 ps 3 3 5 Gb/s 無線伝送実験 偶数ビット(2.5 Gb/s) 偶数ビットと奇数ビットの分離に成功、 Q値3以上が得られた 特長と企業への期待 • UWB帯域は低電力制限を守ることで、 自由に無線通信が可能であり(免許が不必要) 、 近距離の高速無線通信が可能である。 • 無線を使ったアプリケーションや応用研究 (映像伝送、セキュリティ、レーダ等)を 推進する企業との共同研究を希望。 30 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :インパルス無線受信装置、 検波装置および検波方法 • 出願番号 :特願2013-045849 • 出願人 :京都工芸繊維大学 • 発明者 :大柴小枝子、小原友里 31 お問い合わせ先(必須) 京都工芸繊維大学 創造連携センター 特任教授 行場 吉成 TEL/FAX 075 - 724 - 7934 e-mail [email protected] 32 光アクセスシステム 現状:TDM-PON TDM/WDM-PON (TWDM-PON) 波長アンバンドリング プログラマブルノード 光波長パスネットワーク、SDN
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