平成25年度 (公社)大阪府放射線技師会学術セミナー 平成26年3月9日(日) シンポジウム『実践救急における読影の補助』 救急CTの読み方 りんくう総合医療センター 藤村 一郎 本日の内容 • • • • 読影の補助と撮影 画像再構成と表示 画像計測 見落としを減らすために 本日の内容 • • • • 読影の補助と撮影 画像再構成と表示 画像計測 見落としを減らすために オリジナル画像 側脳室の左右差(+) MPRで補正した画像 側脳室の左右差(−) ポジショニング→CTの正常解剖に影響 脳ヘルニアによる圧迫所見 脳の正中変位 (midline shift) 側脳室の左右差 スリット状変化 脳底漕の 狭小化,消失 適切な読影 → 適切なポジショニング 撮影条件とヘリカルアーチファクト Outside skull base area PF 64×0.5mm / 1.406 頭部ファントム Helical 64×0.5mm / 0.828 64×0.5mm / 0.641 32×0.5mm / 1.406 32×0.5mm / 0.844 32×0.5mm / 0.656 Non-helical 4×4mm 0 ヘリカルアーチファクト →少ない 2 4 Artifact index 6 8 撮影条件とヘリカルアーチファクト Skull base area(middle cranial fossa level) PF 64×0.5mm / 1.406 頭部ファントム Helical 64×0.5mm / 0.828 64×0.5mm / 0.641 32×0.5mm / 1.406 32×0.5mm / 0.844 32×0.5mm / 0.656 Non-helical 4×4mm 0 ヘリカルアーチファクト →多い 2 4 Artifact index 6 8 脳挫傷の発生場所と頻度 その他 後頭蓋窩5% 前頭蓋窩 40% 中頭蓋窩26% 脳挫傷とヘリカルアーチファクト 骨が原因 → 発生場所が同じ 撮影条件とヘリカルアーチファクト 32×0.5mm / PF0.656 32×0.5mm / PF0.848 32×0.5mm / PF1.406 64×0.5mm / PF0.641 64×0.5mm / PF0.828 64×0.5mm / PF1.484 4×4mm Non-helical 脳挫傷の読影:アーチファクトが少ない撮影条件 本日の内容 • • • • 読影の補助と撮影 画像再構成と表示 画像計測 見落としを減らすために Volume rendering Axi Coro 骨折検出能:高い? Sagi ←0.5 mm Volume rendering 静脈洞損傷を合併したEDH→術中出血量:多 急性硬膜外血腫(EDH) 骨折 脳血管損傷の危険因子 脳虚血兆候 頚椎脱臼 頸動脈管を含む中頭蓋底骨折 Le Fort Ⅱ, Ⅲ骨折 C1~3を含む頸椎骨折 横突起に伸展する頸椎骨折 Volume rendering 頸動脈管を含む頭蓋底骨折 Volume rendering 頸動脈管を含む頭蓋底骨折 Volume rendering Le Fort 骨折 Le FortⅠ,Ⅱ 骨折の解剖学的評価→VR Volume rendering 主要血管の突然な途絶像 →再出血防止のための予防的血管塞栓術 Thin-slice reconstruction 頭蓋骨骨折 1 mm 2 mm 3 mm 骨折検出→5 mm厚では見逃される確率が高い スライス厚 と 低(中)コントラスト検出能 CNR 12 信号コントラスト:60HU スライス厚 10 5 mm 8 3 mm 6 1 mm 4 0.5 mm 中コントラスト 2 0 10 5 3 2 信号の厚さ スライス厚=信号の厚さ 1(mm) → CNRが高い Thin-slice reconstruction 1 mm 溢 血 5 mm 微小な溢血→薄いスライス厚がCNRも高く有効 (中コントラスト) Thin-slice reconstruction 溢血 1 mm 2 mm 3 mm 5 mm 7 mm 10 mm 骨盤外傷の溢血:骨によるパーシャルボリューム効果の影響大 MPR(Multi plannar reconstruction) 脳挫傷 蝶形骨直上に好発→MPRによるパーシャルボリューム効果の回避 MPR 急性硬膜下血腫 広い開頭範囲→静脈洞と血腫との位置関係→MPR(coronal) MPR 急性硬膜外血腫 血腫:小脳テントより上か下か?→MPR(coronal) 脳内出血 MPR 血腫の位置 出血源 OP時出血量 MCAより上 穿通枝 少 MCAより下 MCA本幹 多 MIP(Maximum intensity projection) 右内陰部動脈からの溢血 MIP (20 mm ) 血管の走行(溢血の原因血管の判定) MIP Highperdense artery sign 平均値表示 最大値表示 (MIP) 溢血と骨との鑑別 動脈相 平衡相 溢血と骨との鑑別が困難 Subtraction 単純ー動脈相 単純ー平衡相 TAEが有効な動脈性出血は1カ所(点枠)であることが明瞭 ウィンドウ設定 鋭的外傷 創の深さ WW/WL:脂肪条件 ①皮下 重症 ②筋膜 ③腹腔 Sagittal 深さ方向の情報提供→脂肪条件 ウィンドウ設定 右側気胸の腹膜外空気像 WW/WL 600/-100 WW/WL 1900/-800 結合織 本日の内容 • • • • 読影の補助と撮影 画像再構成と表示 画像計測 見落としを減らすために CT値計測(血腫) • 凝血していない血液 :25~50HU • 凝血塊 :45~75HU 単純CT 単純CT CT値が高い方が出血源 Sentinel clot sign AJR 153:747-749,October 1989 肺血栓塞栓症/Hyperdense artery sign • 凝血していない血液 :25~50HU • 凝血塊 :45~75HU 単純CT 単純CT CT値計測(液体貯留液) 腸管周囲限局性低濃度液体貯留 (Interloop fluid) ・実質臓器損傷を認めない液体貯留 ・CT値が20以下(腸管内容物の混入) 肝外傷の損傷部のCT値 単純CT (HU) 90 N=40 80 CT値 70 60 50 40 30 正 常 部 損 傷 部 肝外傷の損傷部のCT値:約50~60HU CT値計測(肝外傷損傷部) 第1病日 Ⅲb(複雑深在性損傷) 第4病日 20HU前後の低吸収域 第12病日 胆汁腫 損傷部のCT値が低い(20HU前後) →肝内胆管損傷→胆汁腫 肝外傷の重症度分類別件数 と 合併症 Ⅲa+Ⅲb 胆汁腫 A-P shunt 肝外傷分類 Ⅲb+Ⅱ Ⅲb+Ⅰb Ⅲb Ⅲa Ⅰb+Ⅱ Ⅱ Ⅰb Ⅰa 0 10 20 件 数 30 胆汁腫の合併:Ⅲb型肝外傷に多い 40 「肝」 の臓器損傷分類 Ⅰa(被膜下血腫) Ⅰb(実質内血腫) Ⅲa(単純深在性損傷) 中心性破裂 Ⅱ(表在性損傷) Ⅲb(複雑深在性損傷) 尿CT値計測(尿漏) 造影剤注入10分後 液体貯留 尿漏?? 高濃度造影剤の漏出 尿CT値計測(尿漏) 600 482.6 ±92.0 400 200 153.4 ±29.2 0 出血 尿漏 250HUを目安に 頭蓋内病変の手術適応 急性硬膜外血腫 • 厚さ • 容積 1~2cm 20~30ml(後頭蓋窩 15~20ml) 急性硬膜下血腫 • 厚さ 1cm以上 脳内血腫・脳挫傷 • 血腫径 3cm以上 • 頭蓋内圧 30cmHg以上 血腫の容積計測 急性硬膜外血腫 血腫量:48.08ml(手術適応) 左右比較 骨盤外傷 後腹膜血腫の評価 → 左右の筋の左右差 継時的変化の違い 動脈相 肝外傷 平衡相 大きさ 仮性動脈瘤 溢 血 変化なし 平衡相の方が大 本日の内容 • • • • 読影の補助と撮影 画像再構成と表示 画像計測 見落としを減らすために CTによる評価が有効 単純X線で見逃されていた骨盤外傷 2001年11月~2006年3月 (n=49) (件) 30 数 25 20 件 15 10 5 0 仙骨 臼蓋 仙腸関節 骨折部位 腸骨 恥骨骨折 CTによる評価が有効 仙骨骨折 CTによる評価が有効 仙腸関節の離開 CTによる評価が有効 胸骨骨折 ハンドル外傷,シートベルト外傷 CTによる評価が有効 肋軟骨骨折 ハンドル外傷,シートベルト外傷 胸骨,肋軟骨骨折の検索 肝外傷に合併した胸部外傷 肝外傷: 48名 胸部外傷所見: 25名(52%) 横隔膜損傷 胸骨骨折 肩甲骨骨折 胸椎骨折 フレイルチェスト 鎖骨骨折 血胸 気胸 肺挫傷 肋骨骨折 0 10 20 30 (%) 気 胸 実質条件 肺野条件 気胸 腹部CT→肺野条件で気胸の確認 位置決め画像の読影 骨 位置決め画像 折 →パーシャルボリューム効果弱い →骨折の確認 位置決め画像の読影 顔面外傷 副鼻腔の透過性低下→撮影範囲に顔面も含める 位置決め画像の読影 Noncavitary hemorrhage 皮下組織の情報 FOVの決定 皮下組織の情報 FOV: 400 皮下組織の情報 FOV: 350 打撃の根拠 打撃側の判定 救急CTにおける読影の補助 適切な読影は,適切な撮影から Positioning, 空間分解能, 低コントラスト検出能, artifact 病変に応じた提供情報の工夫 VR, MPR, MIP, Min-IP Thin-slice reconstruction Subtraction Window調整 画像計測 単純X線撮影の情報補助 事前情報の収集
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