第58号 - 東邦大学医療センター大森病院

平成26年8月10日発行
循環器センター内科 藤野 紀之
助教(平成12年・東邦大学卒)
心房細動治療の最前線
わが国における寝たきり患者さんの多くは、心房細動(Atrial fibrillation;AF)からの脳梗塞(脳塞栓)
が関与しているといわれています。
AFは最もよくみられる不整脈で、日本国内の患者数は、約150万人とされています。有病率は加齢
とともに上昇し、60歳を境にその頻度は急激に高まり、80歳以上では少なくとも20人に1人に存在す
るといわれています。高齢化社会を迎え、AF患者数は年々増加しており、これに伴い、心原性の脳塞
栓症を発症する患者さんは、今後更に増加すると予想されます。このため、AFの治療および併発症を
含めた管理は医療経済的にも重要となっています。
そこで、AFに対する根治治療として、心臓の一部をカテーテルで焼いて治す「カテーテルアブレー
ション」という画期的な治療が有効とされています。1998年にAFの原因の多くは4本ある肺静脈から始
まる期外収縮から発生することが報告され、全ての肺静脈を電気的に隔離することにより、AFの消失
に至ることがわかりました。ここ数年間でAFに対するカテーテルアブレーション治療は飛躍的に進歩
し、その成功率と安全性の向上により、適応が拡大しています。これまで薬物治療抵抗性の有症候性
発作性AFに対するアブレーションの適応は、クラスⅡaでしたが、2011年の日本循環器学会ガイドライ
ンから、「年間50例以上のAFアブレーションを実施している施設で行われる場合」という条件付きでク
ラスIとして位置づけられました。当院もその条件を満たし、年間200件以上のアブレーション治療を行っ
ております。いくつかの長期成績の結果から、発作性AFで約75∼85%、持続性AFの約60∼70%で肺
静脈隔離術により根治または軽快が期待できます。よって、薬剤によるコントロールが困難で、自覚
症状の強い発作性AF症例においては、洞調律維持効果も高く、長期予後改善効果もあるアブレーショ
ン治療が、確立した治療法として広く認識され、実地医家の先生からも紹介して頂いております。
また、短期間の入院で、傷あとが残らない手術であり、治療を受けた患者さんからは、AF発作に対
する不安からの解放、抗不整脈薬および抗凝固薬の中止による医療費軽減など喜びの声を多く頂いて
おります。
現在、当科の不整脈スタッフは15名おり、AFだけではなく、その他の不整脈に関してもアブレーショ
ン治療を行っております。また、ペースメーカ、ICD、CRTDなどのデバイス治療や従来からの薬物治
療も積極的に行っており、柔軟に対応させて頂いております。
診療予約
診療日
診療のご予約は、下記までご連絡下さい。
診療日・診療時間をご案内いたします。
医療機関専用電話
パートナー
03−3762−6616(直通)
(受付時間 平日 8:30∼17:00、土曜 8:30∼14:00)
(休診日:第3土曜日・日曜日・祝祭日・年末年始・創立記念日6/10)
藤野 紀之 助教:月曜日午後・水曜日午前
東邦大学医療センター大森病院
Toho University Omori Medical Center
〒143-8541 東京都大田区大森西 6-11-1
03−3762−4151(代表)
http://www.omori.med.toho-u.ac.jp/
発行元:地域医療支援センター
平成26年8月10日発行
循環器センター内科 天野 英夫
助教(平成8年・東邦大学卒)
冠動脈カテーテル治療 −より優しく、より簡便で、より高度な治療に−
近年、狭心症、心筋梗塞に対するカテーテル治療はより優しく、より簡便で、より高度な治療になっております。
そして当院では最先端の治療を行っております。
狭心症、心筋梗塞とは
心臓を流れる3本の動脈(冠動脈)にプラーク(動脈硬化粥腫)が沈着し狭くなる狭心症、そして進行し閉塞するの
が心筋梗塞で、突然死も多い疾患です。原因として、生活習慣病である高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などがあり
ます。圧迫される左胸の痛みなどあれば外来を受診してください。糖尿病の方は症状を認めず気づかないうちに進行
することもあり注意が必要です。まず負担の少ないCTや負荷心筋シンチグラムを行い、異常があればカテーテル検
査を施行します。一度できた狭窄病変は薬物療法(飲み薬)では縮小が難しく、50∼75%の狭窄を認めた場合は冠動脈
カテーテル治療が必要です。
冠動脈カテーテル治療とは
手首や足(股)の動脈からカテーテルを挿入し、狭窄病変にバルーン(風船)拡張やステント(金属の筒)を留置する治
療です。全身麻酔は必要なく、局所麻酔で施行する患者様の負担が低い治療です。近年、薬剤溶出性ステントおよび
薬剤溶出性バルーンが開発され、再狭窄が減ったことにより再治療の必要性も減り、より確実性が高まっております。
当院の冠動脈カテーテル治療の特徴
伝統:わが国で最も早い時期の1981年から開始し、現在5000例以上の経験を有し、近年では平均年300例を達成し
ております。伝統に蓄積されたノウハウで、医師だけではなくカテーテル治療に熟練した専属技師3名、専属看
護師3名を有しております。
患者様に優しい治療:緊急症例を含めできる限り手首の動脈からカテーテルを施行しています。細い手首の動脈か
らの手技は高い技術が必要ですが、治療後は心臓のダメージにもよりますが、歩行も可能です。
先進性:完全に詰まってしまっている病変はカテーテル治療による開通は非常に困難ですが、当科では積極的にカ
テーテル治療を行い、高い成功率を達成しております。
大学病院による集学的治療:無理にカテーテル治療をするのではなく、心臓外科と相談し、冠動脈バイパス手術な
ど症例に最適な治療法を選択することができます。また狭心症、心筋梗塞は、糖尿病、腎疾患など別領域の病気
を合併することが多く、循環器単科の病院と比べ、速やかに他科と協力することができます。
下肢へのカテーテル治療:生活習慣病は全身の動脈硬化を起こすので、心臓だけではなく下肢動脈にも狭窄を来し
ます。歩行により下肢が重たくなり、安静で改善する症状がありABI(足関節上腕血圧比)が0.8未満の場合、下
肢動脈が狭窄している可能性があるので外来受診をすすめてください。当科では下肢動脈に対するカテーテル治
療も行っております。
診療予約
診療日
診療のご予約は、下記までご連絡下さい。
診療日・診療時間をご案内いたします。
医療機関専用電話
パートナー
03−3762−6616(直通)
(受付時間 平日 8:30∼17:00、土曜 8:30∼14:00)
(休診日:第3土曜日・日曜日・祝祭日・年末年始・創立記念日6/10)
天野 英夫 助教:火曜日午後 木曜日午前・木曜日午後
東邦大学医療センター大森病院
Toho University Omori Medical Center
〒143-8541 東京都大田区大森西 6-11-1
03−3762−4151(代表)
http://www.omori.med.toho-u.ac.jp/
発行元:地域医療支援センター