マイクロコントローラ不要の完全自律型 IEEE 802.3af 準拠 PoE ミッドスパン PSE – デザインノート350 Dilian Reyes はじめに PSE の役割 PoE(Power over Ethernet)規 格 の IEEE802.3af は、CAT5 ライン上で電力を伝送する方法を規定し ています。この新規格に対応する装置は従来の装置 と異なりますが、既存のシステムを完全に置き換え る必要はありません。 受電装置(PD)が要求する定 格電圧の 48V は、従来のルータやスイッチングハブ 等のフロントエンドに直列に接続されたミッドスパン 給電装置 (PSE) によって供給することができます。 LTC®4259A は、エンドポイント PSE とミッドスパン PSE の両方に対応して設計されたクワッド PSE コント ローラで、PD シグネチャ検出機能、電力レベル分類 機能、AC および DC 切断検出機能、電流制限機能 を備えており、マイクロコントローラを必要としません。 PSE は、規格に準拠した PD がポートに接続されてい るかどうかを正しく検出します。また、オプションでそ の PD を分類し、 ポートをフォルト状態から保護しながら、 適切な電力をその PD に供給します。PD が起動する と、PSE は PD の存在をモニタし、PD が取り外され ると電力供給をオフします。PSE は、PSE と PD の損 傷を防ぐため過電流保護を備えている必要があります。 VDD 4 6 5 10 9 8 7 17 18 19 20 INT SHDN1 SCL SDAIN SDAOUT AD0 AD1 AD2 AD3 3 SHDN2 SHDN3 SHDN4 16 VEE + 10k 10µF 100V 0.1µF 50V 2 1 RESET BYP SENSE3 GATE3 OUT3 25 26 27 10k 160Ω 36 OSCIN DETECT1 DETECT2 DETECT3 DETECT4 11 12 13 14 SENSE4 GATE4 OUT4 22 23 24 10k 10k 0.50Ω 1µF 100V OSCIN 0.1µF LTC4259A DGND AGND VEE SENSE1 GATE1 OUT1 SENSE2 GATE2 OUT2 15 21 28 32 33 34 29 30 31 VIN –48V TO –57V 35 VDD AUTO L、LT、LTC、LTM、Linear Technology および Linear の ロゴ は、 リニアテクノロジー社の登録商標です。その他すべての商標の所有権は、 それぞれの所有者に帰属します。 RESET 10k 0.1µF 従来の PSE ソリューションでは、マイクロコントローラ を使用して、上記のような検出のための計測や演算、 PD への電力供給をオン / オフする追加回路の制御を 行っていました。図 1 に示す LTC4259A では、マイ IRF 120A BAC OFF 2N7002 1k C PD3003 0.47µF 100V 7R 2N7002 1k C PD3003 0.47µF 100V 7R 2N7002 1k C PD3003 0.47µF 100V 7R 2N7002 1k C PD3003 0.47µF 100V 7R 8 7 S A 58A S1B 0.1µF 100V 7R 0.50Ω IRF 120A S A 58A S1B 0.1µF 100V 7R 0.50Ω IRF 120A S A 58A S1B 0.1µF 100V 7R 0.50Ω IRF 120A S A 58A S1B 18 VDD 1.1 18 VDD 1.1 18 VDD 18 1.1 VDD 0.1µF 100V 7R 1.1 S 2343DS S 2343DS S 2343DS S 2343DS 300Ω 300Ω 300Ω 300Ω DN350 F01 図 1.自律的な 4 ポートPoE(Power over Ethernet)ミッドスパン PSE 11/04/350 5 4 8 7 5 4 8 7 5 4 8 7 5 4 R 45 R 45 R 45 R 45 クロコントローラ不要で自律的にシグネチャ検出を実行 します。負荷条件を自動的に認識し、有効な PD をパ ワーオンします。 また、ミッドスパン PSE は、エンドポイントの動作を妨 げてはなりません。エンドポイント PSE は、 CAT5 ケー ブルの信号ペアまたはスペア・ペアのいずれかに電力 を供給しますが、ミッドスパン PSE はスペア・ペアの みに電力を供給しなければなりません。この 2 つが同 時に接続されるときの干渉を防ぐため、図 2 に示す回 路で、LTC4259A の検出機能を周期的に 2 秒間ディ スエーブルするウォッチ ドッグ・タイマ LTC1726 を実 装しています。検出に失敗した後でも、エンドポイント PSE が存在していれば、検出してポート給電ができる ように、ミッドスパン PSE にはバックオフ機能を備え ている必要があります。 LTC4259A の自動モードでは、デフォルトで AC 切 断手法を使用しています。 図 3 に示す LT®1498 は、 LTC4259A の OSCINドライブするための正弦波を 出力するデュアル・レール・トゥ・レール・オペアンプ です。LTC4259A は、ラインに AC 信号を印加し、 PD の有無を検出し、取り外された場合にはポートへ の給電をオフします。 VDD 590k 1% 750k 2200pF NPO 2 10k 3 10k 6 0.1µF – 1/2 LTC1498CS8 681k 1% 1 + 0.1µF 2200pF NPO – 1/2 LTC1498CS8 5 7 + 2200pF 1k バックオフ・インターバルが完了した後、1回以上の OSCIN VSIN = 2.1VP-P LTC4259A のフル検出サイクルが起動されます。ミッ 1.2VOS 105Hz ドスパンまたはエンドポイント PSE が有効なシグネチャ 25kΩ(RSIG)を検出し、PD が起動された以降に、規 図 3.AC 切断用正弦波回路 格に準拠している PD は、それ以上の有効なシグネチャ の検出と2台目の PSE から起動を防ぐために、Rsig を –48V 電源による 3.3V の電力供給 検出されないようにします。このバックオフ・タイマを 3.3V 電源は、LTC4259A のデジタル部分に電力を供 ハードウェア実装することで、マイクロコントローラによ 給します。図 4 に示すLTC3803 の回路で–48Vを3.3V るソフトウェア・タイミング・ルーチンが不要になります。 に変換するため、2 つ目の電源が不要です。この昇圧 VDD レギュレータ回路は、2%という高精度なレギュレーショ ンを実現し、48 ポートのアプリケーションにおいて最大 0.1µF 2 1 3 4.99k 12 個の LTC4259A とポート・インジケータ LED とを VC1 VC2 VCA 22k 8 6 MMBT2907 RT RST 駆動するのに十分な 400mA の電流を出力します。 LTC1726-2.5 2.4k DN350 F03 C1, C2 330nF 7 WT GND C3, C4 12nF WDI 5 150k tBACKOFF 100µH 300k 4 VEE DN350 F02 図 2.ミッドスパン PSE のバックオフ・タイマ VEE 56k IEEE 規格では、PD が通電済みポートから取り外され ると、ポート電力を切断するため、DC 切断と AC 切 断のうち少なくとも 1 つの電力切断検出モードを PSE に実装するよう規定されています。 データシートのダウンロード www.linear-tech.co.jp リニアテクノロジー株式会社 10k 1% 10µF 16V 5 FDC2512 VCC 6 ITH/RUN NGATE LTC3803ES6 3 4 1k SENSE VFB GND 0.1Ω 1W 2 1% 10µH VDD 3.3V 400mA 10µF 6.3V 100µF 6.3V 3.32k 1% 1 5Ω 切断検出 DC 切断では、ポートから流れている最小電流を測定 し、PD が存在して電力を必要としているかを判断しま す。実装は簡単ですが、AC 切断の方が PD の存在を 正確に検出できると考えられています。AC 切断では、 PD のインピーダンスを測定し、低電力でアイドル状態 の PD が存在するときはポートの通電を維持します。 + 0.22µF 100V 0.22µF 100V 10µF 63V B1100 2.2nF F T723 F T723 806Ω 1% 47.5k 1% DN350 F04 図 4.–48V から 3.3V への昇圧コンバータ LTC4259A のオプション LTC4259A では、エンドポイント PSE またはミッドス パン PSE を設計する際の柔軟性も提供されます。I2C を介して内部レジスタにアクセス可能なため、DC 切 断のオプションなど、追加の制御や設定が可能です。 LTC4259A は、LTC4257 PD インタフェース・コ ントローラなど、クラスを示す装置の PD 分類(電流 モニタによる推定より優れた方法)を提供することで、 IEEE 準拠のパワー・マネージメントを支援します。 102-0094 東京都千代田区紀尾井町 3-6 紀尾井町パークビル 8F TEL(03)5226-7291 FAX(03)5226-0268 http://www.linear-tech.co.jp dn350f LT/TP 1104 • PRINTED IN JAPAN © LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2004
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