第27回 回路とシステムワークショップ The 27th Workshop on Circuits and Systems in Awaji, August 4-5, 2014 最適状態外における E2 級 DC-DC コンバータの定常状態解析 Steady-State Analysis of Class-E2 DC-DC Converter Outside Nominal Condition 永島 和治 † 魏 秀欽 †† 関屋 大雄 † † 千葉大学大学院融合科学研究科 〒 263-8522 千葉県千葉市稲毛区弥生町 1-33 †† 福岡大学工学部 〒 814-0180 福岡県福岡市城南区七隈八丁目 19-1 Tomoharu NAGASHIMA† Xiuqin Wei†† Hiroo SEKIYA† † Graduate School of Advanced Integration Science, Chiba University, 1-33, Yayoi-cho, Inage-ku, Chiba, 263-8522 Japan †† Faculty of Engineering, Fukuoka University, 8-19-1, Nanakuma, Jonan-ku, Fukuoka 814-0180, Japan 1 まえがき E2 級 DC-DC コンバータ [1], [2] は共振型 DC-DC コンバータの一つであり,高電力変換効率を達成する DC-DC コンバータとして,多くの電子機器への応用 が期待されている.E2 級 DC-DC コンバータは E 級 インバータと E 級整流器から構成される.インバー タのスイッチオン時および整流器のスイッチオフ時 において,スイッチにかかる電圧が零 (Zero Voltage Switching: ZVS) かつその傾きも零 (Zero Derivative Switching: ZDS) とする E 級動作条件を達成するこ とで,高周波数化において高電力変換効率を達成す る.本論文では,E 級動作条件を達成する状態を “最 適状態” と呼ぶ. E2 [1], [2] では,最適状態下での 級 DC-DC コン バータの定常状態解析が行われた.[1] はそれ以降, 多くの解析の基本となっているが,最適状態を仮定 した上での解析であるため,最適状態外の動作,す なわち回路パラメータが変化した時の動作を表現す ることができない.実際のアプリケーションでは回 路パラメータの変動,特に負荷変動があり,最適状 態外で動作することがほとんどである.したがって, 最適状態外における E2 級 DC-DC コンバータの動作 把握が重要である.また,解析により得られた解析式 を用いることで回路の重要な特徴,例えばスイッチの 状態をパラメータ領域上で分布図とすることで ZVS 領域など,を低計算で導出することが可能となる. 本論文では,最適状態外における E2 級 DC-DC コ ンバータの定常状態解析を行い,波形式,出力電力 および電力変換効率を導出する.さらに,得られた 解析式を用いてスイッチ状態の分布図を示す.回路 実験を行うことで,解析式の妥当性を示す. 2 E2 級 DC-DC コンバータ 図 1 に E2 級 DC-DC コンバータ [1], [2] の回路構成 と動作波形を示す.E2 級 DC-DC コンバータは,E 級インバータ [3] と E 級整流器 [4] から構成され,イ ンバータと整流器の両方で E 級動作条件を達成する ことで,高周波数化において高電力変換効率を達成 できる. 2.1 E 級インバータ E 級インバータは,直流供給電圧 VDD , チョークコ イル LC , スイッチ素子として動作する MOSFET S, シャントキャパシタ CS , および直列共振回路 Lr − Cr から構成される.インバータのスイッチ動作を行う MOSFET は駆動信号 Dr により周波数 f および時比 率 D1 でオン・オフの切り替えを行う.スイッチオフ の期間では,チョークコイルに流れる電流と共振回 路に流れる電流の差がシャントキャパシタに流れ込 み,その電流がスイッチ電圧 vS を発生させる.共振 回路を通ることにより,スイッチ電圧の基本周波数 成分,すなわち周波数 f の正弦波が整流器の入力電 流 i として流れる.通常,E 級インバータは高 Q 値の 共振回路を持つため,整流器の入力電流 i は図 1(b) に示すように,正弦波とみなすことができる.E 級 −7− CS Dr vS D CD vD 0 if Cf Vo RL 2πD 0 2π θ 2πD 2π (a) (a) Dr OFF 0 2πD1 2πD1 2πθ 0 2πD1 θ 2π 2πD1 θ 2π Vo 2πD1 θ 2π 0 0 θ1 2πD 0 θ 2π θ 2πD (b) 2π vS (V) θ2=2πD 0 0 θ2 θ θ1 2πD 2π θ2 θ 2πD 2π (c) 図 2: 最適状態外におけるスイッチ電圧とスイッチ電 流. (a) Case 1. (b) Case 2. (b) Case 3. 2π θ vD vs 0 2πD1 θ 2π IDD 0 0 i ON vS (V) θ Body diode-on duration iS (A) S iD i θ1=θ2=2πD iS (A) VDD IDD IO vS (V) iS Switch-on duration Switch-off duration Class-E rectifier Lf iS (A) Class-E inverter L r Cr LC (b) 図 1: E2 級 DC-DC コンバータ. (a) 回路構成. (b) 動作波形. ことと等価である.図 2(c) に示す Case 3 は,θ = θ1 でボディダイオードがオンになった後,θ = θ2 で再 び正電圧に戻るケースである.このケースも Case 1 と同様にスイッチング損失が発生する.[3] では,こ の 3 つのケースを考慮し解析したことで,最適状態 外における E 級インバータの広範囲パラメータ領域 における動作表現が可能となった.本論文では,[3] を基本とした解析を行う. 2.2 E 級整流器 E 級整流器は,スイッチング素子としてダイオード D,並列キャパシタ CD ,ローパスフィルタ Lf − Cf , インバータにおいて最も重要な動作は,スイッチオ および負荷抵抗 R から構成される. ダイオードが半 L ン時に E 級動作条件を満足することである.E 級動 波整流動作をし,整流された電圧がローパスフィル 作条件は以下の式で表現される. タにより直流電圧に変換される.図 1(b) のダイオー dvS vS (2πD1 ) = 0 and = 0, (1) ド電圧 vD に示すように,ダイオードオフ時のダイ dθ θ=2πD1 オード電圧が零かつその傾き(dvD /dθ)も零となる ここで,θ = ωt = 2πf t は角時間である. この E 級 E 級動作条件を達成することで,高電力変換効率を 動作条件を満足することで,E 級インバータは高動 達成できる.E 級インバータと E 級整流器の回路構 作周波数下において高電力変換効率を達成できる. 成からわかるように,E 級整流器の波形は E 級イン 図 2 に最適状態外における E 級インバータのスイッ バータの波形を反転させたものと等価である. チ電圧を示す.E 級インバータが最適状態外で動作す E 級整流器は E 級インバータと異なり,ダイオー るということは,スイッチ電圧が E 級動作条件を満た ドが常に E 級動作条件を満たすスイッチングを行う さない波形となることである.図 2(a) の Case 1 は, ため,ダイオード電圧 v は図 1(b) に示した一つの D スイッチオンの瞬間のスイッチ電圧が零でないケー ケースのみとなる. スである.このケースではスイッチオン時にシャン トキャパシタに充電された電圧が瞬時に放電される 3 最適状態外における波形式 ため,1/2 · f CS vS2 の電力が浪費される.この損失を 本章では,最適状態外における E2 級 DC-DC コン スイッチング損失と呼ぶ.図 2(b) に示す Case 2 はス バータの解析を行う.解析は,[1] および [3] で行わ イッチオンの前に,θ = θ1 においてスイッチ電圧が零 れた解析を基とする. となるケースである.このケースでは,スイッチ電圧 3.1 解析の仮定 が零となってからスイッチオンになる間,MOSFET 本論文の解析は以下の仮定に基づいて行う. に寄生的に存在するボディダイオードがオンとなる. a) MOSFET は理想的スイッチとして動作する. Case 2 はスイッチオン時のスイッチ電圧が零である すなわち,オン抵抗は零,オフ抵抗は無限,さ ため,ZVS を達成するケースとなる.ZVS を達成す らに切り替え時間は零とする. るということは,スイッチ電圧波形が Case 2 となる −8− b) MOSFET のボディダイオードおよび整流器の ダイオードは理想スイッチとして動作する.す なわち,順電圧降下は零,オフ抵抗は無限,さ らに切り替え時間は零とする. LC VDD IDD iS S CS i vS D CD IO vD Vo Cf iD RL (a) c) 入力電流が一定となるよう,チョークコイル LC は十分大きい. L0 VDD IDD iS S e) 全ての受動素子は線形動作し,等価直列抵抗は 零とする. C L x Cr Ci } } Lr LC d) 整流器の入力電流 i は正弦波となるよう,共振 回路の Q 値は十分大きい. f) 回路は 0 ≤ θ < 2π で動作する.スイッチは 0 ≤ θ < 2πD1 でオフ,2πD1 ≤ θ < 2π でオン とする. Lf L r Cr i vS CS Ri (b) r LC LC Lr S VDD IDD iS rS CS vS Vd1 r Lr i Cr Lf D CD vD iD Vd2 r Lf IO Cf Vo RL (c) g) MOSFET のボディダイオードは θ = θ1 でオン となり,θ = θ2 でオフとなる.θ1 もしくは θ2 がスイッチオフ期間に無い場合,すなわち Case 1 の場合は,θ1 = 2πD1 および θ2 = 2πD1 と する. 以上の仮定から,図 3(a) の等価回路が得られる. 3.2 図 3: E2 級 DC-DC コンバータの等価回路. (a) 波形 式導出のためのモデル. (b) 典型的な E 級インバー タ. (c) 電力損失導出のためのモデル. ダイオード電圧 vD は, E 級整流器 共振回路 Lr − Cr に流れる整流器の入力電流 i は, √ i = 2Im sin(θ + ϕ1 ) (2) ここで,Im ,ϕ1 はそれぞれ,i の実効値,駆動波形 Dr と入力電流 i の位相差である.[1] より, 出力電流 Io は, √ Vo Io = (3) = 2Im sin ϕd , RL ここで,Vo , RL ,ϕd はそれぞれ,出力電圧,負荷抵 抗,入力電流 i とダイオード電圧 vD の位相差である. ϕd は以下の式で表わされる. 1 − cos(2πDd ) tan ϕd = . (4) 2π(1 − Dd ) + sin(2πDd ) ここで,Dd はダイオードのオン時比率である.整流 器の素子と Dd との関係式は以下の式で表わされる. { 1 1 − cos(2πDd ) − 2π 2 (1 − Dd )2 ωCD RL = 2π } [2π(1 − Dd ) + sin(2πDd )]2 + . (5) 1 − cos(2πDd ) vD = [ ] Io cos(θ − ϕd + ϕ1 ) − cos ϕd (θ − ϕd + ϕ1 ) + , ωC R sin ϕ D L d if ϕd − ϕ1 ≤ θ < 2π(1 − Dd ) + ϕd − ϕ1 0, else, (6) となる.また,ダイオード電流 iD は, 0, if ϕd − ϕ1 ≤ θ < 2π(1 − Dd ) + ϕd − ϕ1 iD = Io − Im sin(θ + ϕd − ϕ1 ), else, (7) となる. E 級整流器は,インバータから見たインピーダン スとして,直列に接続された等価キャパシタ Ci と等 価抵抗 Ri で表わすことができる [1].図 3(b) に,E 級整流器を等価回路に置き換えたモデルを示す.[1] より, 等価キャパシタ Ci と等価抵抗 Ri は以下の式 −9− で表わされる. [ Ci = πCD − 2π(1 − Dd ) sin ϕd sin(2πDd − ϕd ) 1 1 − sin(4πDd ) cos(2ϕd ) − sin(2ϕd ) sin2 (2πDd ) 4 2 ]−1 π(1 − Dd ) + sin(2πDd ) , (8) Ri = 2 · RL · sin2 ϕd . スイッチおよびボディダイオードに流れる電流 iS は, 0, for 0 ≤ θ < θ1 I DD − Im sin(θ + ϕ1 ), for θ1 ≤ θ < θ2 iS = 0, for θ2 ≤ θ < 2πD1 I DD − Im sin(θ + ϕ1 ), for 2πD1 ≤ θ < 2π, (9) (14) E 級整流器を Ci と Ri で置き換えることにより,E2 級 DC-DC コンバータは典型的な E 級インバータと 等価であるとみなせる.したがって,最適状態外に おける E 級インバータの解析式 [3] を本解析に適用 することができる. となる. θ1 および θ2 は,[3] で示されるアルゴリズムによ り得られる. 3.3 E 級インバータ [3] より, スイッチ電圧 vS は vS = 1 {IDD θ ωCS + Im [cos(θ + ϕ1 ) − cos ϕ1 ]}, for 0 ≤ θ < θ1 0, for θ ≤ θ < θ , 1 2 (10) 1 {I (θ − θ ) + I [cos(θ + ϕ ) 2 m 1 DD ωCS − cos(θ2 + ϕ1 )]}, for θ2 ≤ θ < 2πD1 , 0, for 2πD1 ≤ θ < 2π, ここで,IDD はチョークコイルに流れる直流入力 電流である. 仮定 c) より, チョークコイル LC にかかる電圧は 零であるため,供給電圧 VDD とスイッチ電圧 vS に は以下の関係が成り立つ. ∫ 2πD1 1 VDD = vS dθ. (11) 2πD1 0 本解析では,[3] と同様,Lr は L0 および Lx に分 割して考える.ここで,L0 は C と理想的な共振回 路を構成し,Lx は E 級動作条件のための位相差 ϕ1 を発生させる素子,すなわち誘導成分,として考え る.また,C は Cr と Ci の合成キャパシタンスであ る.フーリエ解析を適用することにより,Ri および Lx にかかる電圧の振幅は, ∫ 2πD1 1 vS sin(θ + ϕ1 )dθ, (12) Ri Im = πD1 0 ∫ 2πD1 1 vS cos(θ + ϕ1 )dθ. (13) Lx Im = πD1 0 となる.(11), (12), (13) より,Im , ϕ1 , IDD が解析 的に導出できる. 4 最適状態外における出力電力および電力変換効率 前章で得られた波形式を用いて,出力電力および 電力変換効率の解析式を導出する. 実際の回路では,等価直列抵抗,MOSFET オン 抵抗,ダイオードの順方向電圧降下による導通損失 が発生する.さらに,スイッチ電圧が Case 1 もしく は Case 3 の場合,スイッチング損失が発生する.図 3(c) に,電力損失の解析式を導出するためのモデル を示す.本論文では,MOSFET オン抵抗 rS ,等価 直列抵抗 rLC , rLr , rLf ,ボディダイオードおよびダ イオードの順方向電圧降下 Vd1 ,Vd2 による導通損失, さらに,MOSFET におけるスイッチング損失を考慮 する.キャパシタの等価直列抵抗はインダクタのそ れと比べて非常に小さいため,本論文ではキャパシ タの導通損失は無視する.また,等価直列抵抗およ び順方向電圧は小さいため,波形式に影響は与えな いものとする. 出力電力は以下の式で表わされる. Po = RL Io2 . (15) rS ,rLC ,rLr ,rLf による導通損失はそれぞれ, ∫ rS 2π 2 PS = i dθ, (16) 2π 0 S 2 PLC = rLC IDD , (17) ∫ 2π rL i2 dθ, (18) PLr = r 2π 0 PLf = rLf Io2 , (19) となる.スイッチ電圧が Case 1 もしくは Case 3 に なる場合,スイッチング損失が発生する.このスイッ チング損失は, 1 PSW = CS vS2 (2πD1− )f, (20) 2 − と表わせる.ここで,vS (2πD1 ) はスイッチがオン になる直前のスイッチ電圧である. − 10 − スイッチ電圧が Case 2 もしくは Case 3 になる場 合,MOSFET のボディダイオードによる導通損失が 発生する.その損失は, ∫ 2π 1 PDS = Vd1 iS dθ, (21) 2π 0 となる.また,整流器のダイオードにおける導通損 失は以下の式で表わされる. ∫ 2π 1 PD = Vd2 iD dθ, (22) 2π 0 以上の電力損失を考慮した電力変換効率は以下の 式で表わされる. 表 1: 最適状態における設計値 VDD D1 fnom RLnom Dd LC Lr Lf CS Cr CD Cf rS rLC rLr rLf Vd1 Vd2 Po η η = Po + PS + PLC + PLr Po , + PLf + PSW + PDS + PD (23) 5 5.1 回路実験 最適状態動作 解析式の妥当性を示すため,回路実験を行う.設計 仕様として.動作周波数 f = 1 MHz, 供給電圧 VDD = 12 V, 出力電力 Po = 5 W, 負荷抵抗 RLnom = 50 Ω, スイッチオフ時比率 D1 = 0.5, 共振回路の Q 値 Q = ωL0 /Ri = 10 を与える, ここで “nom” は最 適状態での値を示す.以上の設計仕様を基に,[5] の 設計式を用いて E 級動作条件を満たす E2 級 DC-DC コンバータを設計する.ローパスフィルタ Lf − Cf は,出力電圧のリプルが十分小さくなるよう,Lf = 300 µH,Cf = 470 µF を与える.スイッチ素子と して MOSFET は IRF530,ダイオードは STTH302 を用いる. それらのデータシートから, rS = 0.16 Ω, Vd1 = 0.7 V, Vd2 = 0.75 V が得られる.等価直列 抵抗を含む受動素子は HP4284A LCR により測定を 行った.表 1 に,最適状態における各パラメータの 解析値および測定値を示す.また,図 4(a) に最適状 態における波形を示す.解析および実験波形におい て,E 級動作条件を満足していることを確認できる. 5.2 出力電力および電力変換効率 図 5 は,RL を最適状態から変化させたときの出 力電力・電力変換効率の変化を示している.解析式 による結果が,実験値とよく一致していることが確 認できるため,本論文で得られた解析式の妥当性が 示される.図 5 より,RL /RLnom ≤ 1 において Case 2 の領域,すなわち ZVS 領域が存在することがわか る.従来研究 [1] において,0 ≤ RL ≤ RLnom では実 Analytical Measured Difference 12.0 V 0.5 1 MHz 50.0 Ω 0.416 115 µH 26.4 µH 300 µH 1.76 nF 1.32 nF 2.27 nF 470 µF 5.0 W 91.7 % 12.0 V 0.5 1 MHz 49.5 Ω 120 µH 26.5 µH 324 µH 1.75 nF 1.32 nF 2.22 nF 0.16 Ω 0.018 Ω 0.48 Ω 0.025 Ω 0.7 V 0.75 V 4.82 W 91.1 % 0.00 % 0.00 % 0.00 % 1.00 % 4.5 % 0.26 % 8.0 % −0.58 % −0.20 % −2.1 % −3.6 % −0.67 % 験的に ZVS 領域となることは知られていた.しかし ながらその領域を解析的に示した例はなく,本論文 の解析式によりその領域を解析的に示すことが可能 となった. 5.3 スイッチ状態の分布図 図 6 は,RL /RLnom − D1 平面におけるスイッチ 状態の分布図である.また図上の記号は,各値での 図 4 に示した波形と対応している.図 4 より,解析 波形が実験波形と良く一致し,分布図の妥当性が確 認できる.図 6 より,Case 2,すなわち ZVS 領域は RL < 1.0,0.5 < D1 < 0.7 の範囲にあることを確認 できる.また,RL < 1.1,D1 > 0.5 の部分に Case 3 が存在することがわかる.E2 級 DC-DC コンバー タの制御パラメータの一つである D1 の変動による スイッチング動作を,図より読み取ることができる. 本論文で得られた解析式を用いることで,他のパラ メータにおいても分布図を導出することができ,回 路設計・制御の指針について有用な図となる. 6 まとめ 本論文では,最適状態外における E2 級 DC-DC コ ンバータの定常状態解析を行い,波形式,出力電力 および電力変換効率を導出した.さらに,得られた 解析式を用いてスイッチ状態の分布図を示した.回 路実験を行うことで,解析式の妥当性を示した. − 11 − 2π 2π θ 4π 4π θ 3π π 3π 40 0 20 0 π 2π 3π θ 4π π 2π 3π θ 4π 0 40 ON OFF OFF Output power Po (W) π θ 4π 3π vs (V) 0 1 0 -1 ON OFF 2π ON 0 1 0 -1 i (A) ON π 8 0 20 0 0 0.5 0 -0.5 20 π 2π 3π θ 4π π 2π 3π θ 4π 0 10 π vo (V) vD (V) 0 π 2π 2π 3π θ 4π 3π θ 4π 2 1.0 1.5 Time (µs) ON OFF OFF Case 1 π 2π 3π θ 4π π 2π 3π θ 4π 0 10 π 2π 3π θ 4π 0 π 2π 3π θ 4π i (A) vs (V) Dr (V) θ 4π 70 60 50 40 Nominal operation 30 0 2 Case 2 4 6 RL/RLnom (b) 8 10 Case 3 ᅗD ᅗE ᅗF 0.9 0 10 0.8 0 1.0 1.5 Time (µs) 2.0 0.7 0.6 10 0 40 OFF ON OFF ON 0.5 0.4 0 0.5 0 -0.5 20 i (A) ON 3π vo (V) vD (V) vs (V) Dr (V) OFF 2π 0 0.5 0 -0.5 20 vo (V) vD (V) ON π Experimental Analytical 80 ON (b) OFF 10 Case 1 90 1 0.5 0 40 8 Case 2 図 5: RL /RLnom に対する出力電力および電力変換 効率. (a) 出力電力. (b) 電力変換効率. 0 0.5 0 -0.5 20 Angular time (rad) 10 4 6 RL/RLnom (a) 100 2.0 10 0 40 2 D1 3π vs (V) Dr (V) 2π i (A) π θ 4π Experimental Analytical i (A) ON OFF vo (V) vD (V) vs (V) Dr (V) ON 4 Nominal operation (a) OFF 6 00 0.5 0 40 Case 1 40 Angular time (rad) 10 Case 2 Power conversion efficiency η (%) vo (V) vD (V) i (A) vs (V) OFF 0 40 Dr (V) Experimental 10 vo (V) vD (V) Dr (V) Analytical 10 1 1.2 RL/RLnom 0 10 図 6: RL /RLnom − D1 平面におけるスイッチ状態の 分布図. 0 0.5 Angular time (rad) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.5 Time (µs) 2.0 (c) 図 4: 解析および実験波形. (a) 最適状態. (b) RL /RLnom = 0.4, D1 = 0.5. (c) RL /RLom = 0.4, D1 = 0.75. [3] T. Nagashima, X. Wei, T. Suetsugu, M. K. Kazimierczuk, and H. Sekiya, “Waveform equations, output power, and power conversion efficiency for class-E inverter outside nominal operation,” IEEE Trans. on Ind. Electron., vol. 61, no. 4, pp. 1799–1810, Apr. 2014. 参考文献 [1] M. K. Kazimierczuk and J. Jozwik, “Resonant DC/DC converter with class-E inverter and class-E rectifier,” IEEE Trans. Ind. Electron., vol.36, no.4, pp. 468–478, Nov. 1989. [2] J. Jozwik and M. K. Kazimierczuk, “Analysis and design of class-E2 DC/DC converter,” IEEE Trans. Ind. Electron., vol. 37, no. 2, pp. 173–183, Apr. 1990. [4] M. K. Kazimierczuk, “Analysis of class E zerovoltage switching rectifier,” IEEE Trans. Circuit Syst., vol. 37, no. 6, pp. 747–755, Jun. 1990. [5] M. K. Kazimierczuk and D. Czarkowski, Resonant Power Converters 2nd Ed, New York, NY: John Wiley & Sons, 2011. − 12 −
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