空中重力偏差法(AGG)の 測定方法とデータ処理について 住鉱資源開発株式会社 千葉昭彦 広義の重力探査 (含、空中重力偏差法) 重力 異常 (地下の密度の違いを反映) 図解物理探査(物理探査学会,1989) 引力 遠心力 重力g(緯度や標高で異なる) 赤道 地 軸 A地点重力加速度:979,313.930 mgal ≈ 約9.8 m/s 重力異常: -29.819 mgal 九州地域の重力異常分布 くじゅう地域 霧島地域 活火山 地熱発電所 日本重力CD-ROM (AIST, 2004) 重力場 スカラー場 重力ポテンシャル U ベクトル場 重力加速度 g= 空間微分 ジオイド: 海水面に相当する 重力ポテンシャル面 gx gy gz テンソル場 重力偏差,重力勾配 空間微分 G= Gxx Gxy Gxz Gyx Gyy Gyz Gzx Gzy Gzz Gxx Gxy gx X X X Y Y Z Z U Gxz Y gy Gyy Z Gyz Gzx gz≈g FALCON AGGでは(X,Y,Z)を(N,E,D)とする N:北,E:東,D:下 Gyx Gzy Gzz 単純モデル構造による 重力異常とその微分(偏差)の平面図分布 鉛直偏微分平面分布 貫入岩 (高密度の四角柱) モデル計算 水平微分 平面分布 均質な地質 単純モデル構造 重力探査 重力偏差法 鉛直重力異常の鉛直微分Gzzの 平面分布が貫入岩が形状を 最もよく表している 鉛直重力異常 gz 鉛直重力異常の 鉛直微分 Gzz 空中重力偏差法 航空機に測定器を搭載して 重力異常の(鉛直方向)の 偏差[勾配,一次微分)] を測定する探査法 Airborne Gravity Gradient (AGG, 空中重力勾配法) HeliFALCON® CGG Aviation 対地高度 120 m 地表高 ドレイプ 航法 空中重力偏差法の基本成果図 重力異常図 gD 単位: mGal ( 10-5 m/s2 ) 鉛直一次微分図 GDD 単位: eotvos (10-9 s-2 ,10-4 mGal/m ) くじゅう地域 測線間隔:250 m 測線方向:358.8度 交差測線間隔:2,500 m 交差測線方向:268.8度 総測線長:1,780.4 km 精査域 測線間隔:125 m 測線方向:358.8度 交差測線間隔:2,500 m 交差測線方向:268.8度 総測線長:385.8 km 地形モデルDTM 野稲岳 滝上 調査範囲内はAGG測定時の レーザースキャナーとGPSの 測定データから作成 調査範囲の外側15kmまで (調査範囲の外側はSRTM) 涌蓋山 格子データ 格子間隔:20m 八丁原 大船山 久住山 標高精度:±1m データ処理の流れ GDD 水平加速度 測定値 デジタル 信号処理 自己偏差補正 タイライン補正 マイクロレベリング 水平微分 GNE ,GUV 鉛直微分 GDD 重力異常 GD 地形補正 測点~10km 補正密度:2.3 g/cm3 GPS 高度計 レーザースキャナー DTM 地形モデル SRTM 鉛直一次微分と重力異常の計算方法 1. フーリエ変換法(長所:細部も表現,短所:ノイズに弱い) 2. 等価ソース法(長所:ノイズに強い,短所:相対的に大まか) フーリエ変換法による平面図 鉛直一次微分図(gDD) 重力異常図(gD) 等価ソース法による平面図 鉛直一次微分図(gDD) 重力異常図(gD) 重力異常図の比較 地上重力探査 (上方接続+傾向面残差) 空中重力偏差法 空中重力偏差法と地上重力探査の重力異常の差異 地上重力 空中重力 飛行高度 八丁原 発電所 重力異常の差の平面図 地表高 滝上発電所 空中重力偏差法と地上重力探査の 重力異常比較断面図 空中重力偏差法と地上重力探査との 重力異常の差異の想定要因 想定要因 空中重力偏差法 地上重力探査 測点密度 測線間隔250m 測点間隔約3~4m 道沿いに 約400~1km間隔 高度測定法 GPS+高度計 水準測量,GPS 地形補正方法 (地形モデル,範囲) 測定地形モデル20m格子 測点から10km以内 国土地理院50~1km格子 測点から60km以内 比較までの データ処理 測定データ 測定データを上方接続して 傾向面残差をとる 測定時期 (地形等が変化?) 2013年 1970~1980年台 フーリエ変換法による精査地域平面図 鉛直一次微分図(gDD) 重力異常図(gD) 等価ソース法による精査地域平面図 鉛直一次微分図(gDD) 重力異常図(gD) 霧島地域 測線間隔:250 m 測線方向:359.1度 交差測線間隔:2,500m 交差測線方向:269.1度 総測線長:490 km 地形モデルDTM 調査範囲内はAGG測定時の レーザースキャナーとGPSの 測定データから作成 韓国岳 大霧 調査範囲の外側15kmまで (調査範囲の外側はSRTM) 新燃岳 大浪池 高千穂峰 格子データ 格子間隔:20m 標高精度:±1m フーリエ変換法による平面図 鉛直一次微分図(gDD) 重力異常図(gD) 等価ソース法による平面図 鉛直一次微分図(gDD) 重力異常図(gD) 重力異常図の比較 地上重力探査 (上方接続+傾向面残差) 空中重力偏差法 空中重力偏差法と地上重力探査の重力異常の差異 重力異常の差の平面図 空中重力 空中重力偏差法と 地上重力探査の 重力異常比較断面図 地上重力 飛行高度 地表高 大霧発電所 空中重力偏差法の特徴 1. アクセスの難易に係わらず、広範囲にわたって均質かつ密に データを効率的に取得できる。 2. 広範囲に対して同一の処理を行い、均質な結果が得られる。 3. 詳細でシャープな成果図から詳細な地質構造を把握できる。 4. マントル構造のような広域的な重力異常を含まず、地下数千 mを対象とする地熱探査に適している。 5. 起伏の激しい地形や障害物などが飛行に影響を与え、データ 処理に工夫を要す。 6. 低空飛行での騒音や墜落リスクのために調査範囲が規制さ れる。 7. 調査効率に対する天候不順の影響が大きい。 8. 日本の航空局の航空機への調査機器搭載許可までに長期 間を要す。 空中重力偏差法(AGG)の 測定方法とデータ処理について 引き続き 「AGGデータの既存地熱調査との比較について」
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