厚木基地に関する要望書 平成26年 7 月 神 奈 川 県 綾 瀬 市 厚木基地に関する要望書 本市は、神奈川県のほぼ中央に位置するという恵まれた地理的条件下にあること から、人口8万人を超える首都圏のベッドタウンとして発展し、緑豊かで快適な住 環境の中で綾瀬市に住んでみたい、誰もが住み続けたいと思えるまちづくりを目指 して、新時代あやせプラン21「後期基本計画」に基づき、引き続き、中心核づく りであるタウンセンター事業や都市基盤整備事業をはじめ、教育、福祉、環境等の 各分野にわたる諸事業の充実や市民福祉の向上のために積極的に邁進しているとこ ろであります。 しかしながら、行政面積の18%弱を占める厚木基地の存在は、本市のまちづくり の阻害要因となっているばかりでなく、航空機騒音や墜落の不安など、市民の生活に 大きな影響を与えております。 特に、(仮称)綾瀬インターチェンジの設置や基地に沿って市内を通る県道及び市 内を南北に貫く都市計画道路の整備拡充は、本市の発展や市民の利便性の向上には不 可欠なものでありますが、基地の存在により、道路網の整備には大きな支障をきたし 市内交通混雑の要因となっております。 昨年10月に開催された日米安全保障協議委員会で、日米ロードマップに示された 空母艦載機の移駐が、2017(平成29)年頃になると発表されましたが、厚木基 地を抱える本市民の悲願である移駐を 1 日でも早く実現できるよう、最大限努力する ことを強く求めるものであります。 航空機騒音被害については、厚木基地を離着陸する航空機、とりわけ空母入港期間 中は、空母艦載機による離着陸が頻繁に繰り返され、その激しい騒音は市民の生活環 境に重大な影響を及ぼしており、本年5月の横浜地方裁判所における第四次厚木基地 騒音訴訟判決でも、厚木基地の航空機騒音は違法な状態にあるとされています。 また、市民から寄せられる苦情は、平成24年5月に厚木基地で着陸訓練が強行さ れて以降、増加しており、ヘリコプター騒音に対する苦情も寄せられております。 さらに、普天間飛行場に配備・運用されているMV-22オスプレイが厚木基地に 飛来することは、空母艦載機の騒音被害や墜落の不安に悩まされている本市民として は、新たな負担が生じることとなり、容認できるものではなく、超過密化した市街地 にある厚木基地の実情を十分認識し、オスプレイが厚木基地へ飛来することのないよ う求めるものであります。 なお、米軍人等による事件・事故が依然として発生している中で、締結後50年も 改正されていない日米地位協定については、実際の運用に照らして、抜本的な見直し を図ることを求めるものであります。 一方、国においては、従来から市民の生活の安定と福祉の向上を図るため、各種の 基地周辺対策がなされてはいるものの十分な対応となっておりません。 よって、次の事項を速やかに実現されるとともに、核兵器廃絶平和都市宣言をして いる市として、非核三原則遵守を強く要望するものであります。 -1- 1 厚木基地の整理・縮小・返還について 超過密化した市街地に所在する他に類例のない厚木基地は、その運用により多種 多様の問題を引き起こし、日夜市民に与える有形無形の被害は計り知れないものが ある。こうした状況から、周囲を住宅で囲まれた超過密化の中の基地は移転すべき であり、基地機能の整理、縮小を推進し、早期返還をされたい。 特に、次に掲げる恒常的使用のされていない施設等の即時返還を実現されたい。 なお、(1)の地区については、1日でも早い空母艦載機の移駐に向けて最大限 努力するとともに、移駐に合わせ返還されたい。 また、(2)及び(3)の施設については、返還までの間、市民が利用できるよ う対応を図られたい。 (1)西門南側地区(50,000㎡) 市内交通の混雑緩和と、将来の(仮称)綾瀬インターチェンジ設置による交 通量の増加の対策として、西門から入って主要地方道丸子・中山・茅ヶ崎線へ 抜ける周辺道路として整備をし、市民の利便性に寄与する。 (2)ピクニック・エリア(60,000㎡) かねてから強く要望しているとおり、厚生施設等を建設し市民の健康増進を 図る。 (3)ゴルフ場地区(390,000㎡) 市民のスポーツ、レクリエーションの場とすることにより、高齢化社会への 対応も含めた、市民生活の向上を図る。 2 在日米軍再編協議の最終合意事項の早期・着実な実施について 日米安全保障協議委員会において最終合意された厚木基地に関する事項につい ては、早期実現に向け、実施時期の前倒しも念頭に入れ、着実に行動されたい。 (1)空母艦載機移駐の早期・着実な実施について 空母艦載機移駐については、2017(平成29)年頃になると発表され たが、移駐は空母艦載機の騒音に長年苦しめられてきた市民の悲願であり、 1日でも早い移駐の実現に向けて最大限努力されたい。また、移駐の条件と される「必要な施設」や「訓練空域及びレーダー進入管制空域の調整」の進 捗状況を明らかにされたい。 さらに、空母艦載機の移駐後の厚木基地の運用面等についても、速やかに 明らかにされたい。 (2)恒常的訓練施設の確保について 恒常的訓練施設については、平成23年6月の日米安全保障協議委員会に おいて、検討対象があがったものの、依然として選定に至っておりません。 一刻も早く選定するとともに、明確な情報を提供されたい。 -2- 3 騒音対策について (1)硫黄島で実施される空母艦載機の着陸訓練において、悪天候時等の予備の施 設として引き続き厚木基地等の使用が通告されており、着陸訓練が実施される 可能性があることに市民は不安を感じている。 平成24年5月22日から24日までの3日間には、中止要請にも係わらず 厚木基地で夜遅くまで訓練が行われ、その激しい騒音は市民に耐え難い苦痛を 与え、非常に多くの苦情が寄せられた。 よって、いかなる理由があっても厚木基地での離着陸訓練を行わないように されたい。 (2)空母の横須賀港滞在中に繰り返される艦載機の訓練に伴う騒音により、市民 は精神的、肉体的苦痛を強いられている。このような訓練も硫黄島で実施し、 厚木基地では絶対に行わないようにするとともに、横須賀港を空母の母港とし て使用しないようにされたい。 (3)硫黄島での着陸訓練終了後には、艦載機による深夜の飛行が行われている。 深夜の騒音は、市民に計り知れない苦痛を与えるものであり、絶対に容認でき ないことから、「厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置」(昭和38年9月 19日、日米合同委員会合意事項)の取り決めである22時以降は、いかなる 理由があっても飛行を行わないことを厳守されたい。 また、昼間の時間帯についても事前に飛行実施についての情報を公開するな ど、厚木基地の運用について、市民へ十分な説明をされたい。 (4)基地周辺地域において、ヘリコプターが長時間にわたり同一ルートを繰り返 し飛行し、その振動と騒音は、市民に大きな精神的苦痛と不安を与えており、 苦情も多く寄せられている。よって、ヘリコプターの飛行訓練については、米 軍に提供されている基地の上空に限定して実施し、継続的な旋回飛行を行わな いようにされたい。 (5)「厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置」について、都市化が進み、過密 化した本市の現状は、もはや合意当時とは大きく状況が異なっている。 また、この間の騒音は、四次にわたる厚木基地騒音訴訟でも、受忍限度を超 えるものであるとの司法判断がされており、本軽減措置は、騒音問題の緩和策 として不十分なものとなっていることから、全面的な見直しが必要である。 よって、特に次の事項について早急に改正及び徹底されたい。 ア 市民が憩いの時間帯を静穏に過ごすため、飛行活動に関する時間制限を1 8時から翌朝8時までの間に改めること。 イ 市民の大切な休息を妨げることのないよう、土・日曜日、国民の祝日及び 年末年始の飛行活動は禁止すること。 ウ 児童・生徒の成長に大きな影響を及ぼす学校行事や入学試験時期などのほ か、市民行事が行われる日の飛行活動は禁止する。特に、小中学校の入学式 や卒業式では、一切の飛行を自粛すること。 -3- エ 騒音の増大に繋がる編隊飛行、編隊離陸、連続発進を禁止すること。 オ デモンストレーション飛行は、既に行われないことが決定されていること から、「ただし、年間定期行事として計画された曲技飛行のデモンストレー ションはその限りでない。」との例外規定を削除すること。 カ 18時から翌朝8時とされているジェットエンジンの試運転禁止時間を厳 守すること。 キ 大きな騒音を伴うエンジンテスト等は必ず消音器を使って行うこと。 ク 軽減措置で規定されている、厚木海軍飛行場が定めたヘリコプターの発着 ルートを明らかにすること。 ケ 軽減措置で規定されている「騒音抑制に関するすべての様相」について、 広報活動を積極的に行うこと。 コ 軽減措置で規定されている「過去12カ月間の厚木海軍飛行場における四 半期毎の平均月間離着陸回数」について明らかにすること。 4 市民の安全対策について (1)昨年12月に厚木基地所属のヘリコプターが三浦市に不時着する事故が発生 し、本年1月には、綾瀬市内において空母艦載機からの部品落下事故が発生し たが、両事故とも一つ間違えれば大惨事となる重大な事故であった。 超過密化した市街地上空での航空機の飛行は、騒音被害にとどまらず、部品 落下事故に対する不安など、市民生活に重大な影響を与えている。 よって、航空機の十分な整備、点検やパイロットの安全教育はもちろんのこ と、飛行方法等の再検討を行うなど、再発防止と徹底した安全対策を講じられ たい。 また、事故が起きた場合は、速やかに情報提供と事故原因の究明を行い、安 全対策が確立されるまでの間、飛行は停止されたい。なお、被害者に対する補 償については国が責任を持って対応するとともに、事故原因及び再発防止策を 速やかに公表されたい。 (2)米軍人等による事件事故が各地で発生し、過去には県内でも殺人事件などの 凶悪犯罪も発生している。このため、厚木基地を抱える本市でも、多くの市民 が不安を感じているところである。 よって、事件事故の再発防止と、綱紀粛正の徹底を図られるとともに、公務 外での事件事故による被害についても、日米両国政府の責任において補償が受 けられるよう措置されたい。 (3)蓼川下流域での浸水被害の防止に向け、基地内に調整池を早期に完成された い。 (4)基地開放に際しては、駐車場を確保するとともに、周辺地域において緊急車 両の通行への支障など市民生活に影響がでないよう、徹底した広報の実施や交 -4- 通対策に万全の措置を講じられたい。 (5)燃料貯蔵施設については、事故防止の徹底と施設の維持管理に万全の措置を 講じられたい。 (6)15番ホール付近の防球ネットの設備が故障し、近隣家屋に多数のボールが 飛び込む被害が発生した。万全な施設の管理を行い、飛び出し事故が皆無とな るよう徹底した対策を図られたい。 5 住宅防音工事について 厚木基地を離着陸する航空機による騒音被害は、市内全域に及んでおり、騒音の 発生源に対する抜本的な方策が講じられない以上、住宅防音工事が、航空機騒音の 被害への唯一の対策であり、市民にとって最低限必要な屋内環境を保持するもので ある。 しかし、住宅防音工事は、対象年次が限られ、また、工事実施まで相当の期間を 要している。 国においては、こうした現状を認識し、住宅防音工事の推進に積極的に取り組ま れたい。 (1)平成18年1月に、住宅防音工事対象区域の見直しが行われたが、騒音に対 する苦情は市内全域から寄せられており、その内容は、苦痛や不安を強く訴え るもので、日常生活に大きな負担となっている。よって、この状況を考慮し、 現在、対象区域となっていない早川、吉岡の一部地域も含め、市内全域を住宅 防音工事対象区域に指定されたい。 また、住宅防音工事対象区域内の住宅は、建築年次にかかわらず、全住宅を 対象とするよう制度改正されたい。 (2)第一種区域の指定に係る値を、現行の75WECPNLから「航空機騒音に 係る環境基準」を遵守した70WECPNLに改められたい。 (3)特に騒音が激しい85W区域内は、対象年次が平成18年1月17日までに 拡大されたところであるが、市域の広範を占める85W以下の区域については、 対象年次が昭和61年9月10日までとなっており、その格差は20年にも及 んでいる。住宅防音工事対象区域内の全住宅が同じ対象年次となるよう早急に 制度の拡充をされたい。 (4)外郭防音工事については、より大きな防音効果が期待できることから、対象 区域等を拡大されたい。 (5)第一種区域内の施工方法については、すべて第Ⅰ工法とし、対象住宅の早期 施工、全室施工を図られるとともに、防音工事施工基準の改善を早急に図られ たい。 (6)住宅防音工事希望者全戸に対する工事を速やかに実施されたい。 (7)住宅防音工事の助成に当っては、物価上昇等を反映させ自己負担が生じない -5- よう限度額の改正をされたい。 (8)空気調和機器の機能復旧工事については、対象年次が平成15年3月31日 までに拡大されたところであるが、希望届提出後、速やかに工事を実施された い。 (9)防音建具の機能復旧工事については、昭和60年3月31日までに工事が完 了したものを対象としているが、経年変化により本来の機能を発揮していない ケースが多いことから、対象年次を引上げられたい。 また、希望届提出から実施まで相当の期間を要していることから、速やかに 工事を実施されたい。 (10)事務所、事業所、店舗等についても航空機騒音により労働環境の悪化を招い ているばかりでなく、事業活動にも影響を及ぼしている。よって、これらの防 音工事については、当面、第二種区域内を助成対象とし、順次、第一種区域内 についても対象とされたい。 6 防音施設の維持管理費について 現在、保育園及び小・中学校に係る防音施設の維持管理費については、一定の措 置がなされ、その後、生活保護世帯も対象拡大されてはいるが、その他の公共施設 及び住宅については、措置が講じられていない。 よって、市民税非課税世帯までを対象とし、以後、段階的に対象を拡大されたい。 また、太陽光発電システムの導入は、節電及びCO2 排出量の削減、さらには、 住宅防音工事で設置した空気調和機器の電気料金の負担軽減にも繋がるため、同シ ステムの設置事業を早期に制度化し、実施されたい。 7 NHK放送受信料の助成について 航空機騒音によるテレビジョンの難視聴区域は、市の上空に場周経路が設定され ているため、市内全域に及んでいるが、NHK放送受信料助成区域は市の一部地域 に限定されている。 よって、助成対象区域を市内全域に拡大されたい。 8 電気通信役務料金の助成について 航空機による電話難聴区域は市内全域に及び、しばしば通話の中断を余儀なくさ れ、経済的にも多大な負担を強いられているとの苦情が多く寄せられている。利用 頻度は個人により差異があり、利用料金に対しての助成は難しいと考えるが、定額 の助成制度を講じられたい。 -6- 9 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づく対策事業等 について (1)障害防止工事、民生安定事業等関連事業予算を増額し、申請事業の完全採択 及び事業費の全額国庫負担を実現するとともに、その後の維持管理費について も特段の措置を講じられたい。 (2)老朽化した民生安定施設の改修工事に対する助成については、一部の施設に ついて制度化されているが、対象の拡大や補助率の引き上げ等、制度を拡充さ れたい。 (3)特定防衛施設周辺整備調整交付金については、「いわゆるソフト事業」にま で対象が拡大されているが、より一層の予算の増額を図られたい。 (4)厚木基地を離着陸する航空機の飛行状況を調査する「航跡観測システム」 (沖縄の普天間基地に設置済)を設置されたい。 また、本市が実施している騒音測定に係る費用について、特別交付税(基地 等対策に係る財政需要)による措置ではなく、単独の補助金等として交付され たい。 10 基地交付金及び調整交付金の交付額の引き上げ等について (1)基地交付金はこれまで3年毎に増額されているが、依然として固定資産税と の格差是正には至っていないため、毎年見直しを図り固定資産税相当額を交付 するよう予算を確保されたい。 (2)基地交付金の対象資産については、現在対象外となっている自衛隊の使用す る施設及び厚木飛行場周辺において国が買い入れた土地を加え、提供財産との 均衡を図られたい。 (3)国有財産台帳価格については、近傍類似地域の固定資産評価額との格差を是 正されたい。 (4)基地内に新たな施設を建設した場合は、早急に日米地位協定に基づく提供合 意をし、速やかに国有財産台帳に記載されたい。 (5)大規模な施設の提供が見込まれる場合は、他市町村の交付金に影響を与えな いよう、別途予算を確保されたい。 (6)調整交付金については、地位協定の実施に伴う地方税の非課税措置による税 制上の損失について、全額補填されるよう予算を増額されたい。 (7)交付金を算出する際の算定方法及び分配率を具体的に明示されたい。 (8)硫黄島に派遣されている自衛隊員の市民税分について、新たな財源補填措置 を講じられたい。 (9)「国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律施行令第3条第2項」 のいわゆる「政令控除」の規定を廃止されたい。 -7- 11 第二種区域指定に伴う財源補填・適正な維持管理について 平成18年1月の対象区域見直しにより、新たに市街化区域の中に第二種区域 に指定された地域が増え、移転者も増加している。 こうした状況は今後も続くことが予想され、本市のまちづくりへの大きな阻害 要因となっている。 よって、当該区域における固定資産評価額の下落及び移転に伴う市税等の減収 に対する財源補填措置を講じられたい。 また、同区域内に点在する移転跡地については、草刈や防草シートを使用する などの適正な維持管理を行なわれたい。 さらに、無償使用許可を行う場合の用途の範囲については、「周辺財産を無償 で使用させる場合等の取扱いについて」(平成25年8月26日事務次官通達) の用途の範囲に定められているが、地元住民の要望を考慮し、柔軟に対応された い。 平成26年 7月16日 殿 神奈川県綾瀬市 市 長 笠 間 城 治 神奈川県綾瀬市議会 議 -8- 長 山 田 晴 義 郎 BA D AC ; 9 < > = ? : 0178 d] |` Vp 0278 \G b` JzsT 1Tv[ /4780 D_0378 ~ } + d{T , . * ^g 0 678 OH l e T 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