Title №16:表面形状の異なるジルコニアおよびチタン上で のヒト間葉系幹細胞の動態 Author(s) 平野, 友基; 三浦, 直; 黄, 怡; 佐々木, 穂高; 矢島, 安朝; 吉成, 正雄 Journal URL 歯科学報, 113(4): 430-430 http://hdl.handle.net/10130/3142 Right Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/ 430 学 会 講 演 抄 録 №15:チタンへの各種親水化処理が骨芽細胞様細胞の動態に及ぼす影響 山村啓介1)2),黄 怡1),三浦 直1),森永一喜2),村松 敬2),古澤成博2),吉成正雄1) 1) 2) (東歯大・口科研・インプラント) (東歯大・保存) 目的:チタン(Ti) への超親水化処理にはサンドブラ スト処理と酸エッチング処理を行う方法に加えて, 低温プラズマ法,紫外線照射法などが提案されてい るが,これらの方法のうちどの方法が有効かは明ら かとなっていない。そこで本研究は,親水化処理の 種類がマウス骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)の 動態に与える影響を明らかにすることを目的とし た。 方法:Ti disk にサンドブラストと酸エッチング処 理を施した後,大気中に3週間静置したものを Air 群,直ちに水中保存したものを DW 群,大気圧プ ラズマ照射したものを Plasma 群,UV 照射したも のを UV 群として用いた。DW,Plasma,UV 群は 処理後3日間水中で保存した。Ti disk 上に MC3 T3-E1を10%FBS 含有 α-MEM を用いて播種し, 37℃,5%CO2下で培養した。3,6,12時間後に WST-1にて吸光度を測定し,共焦点レーザー顕微 鏡観察を行い初期接着を評価した。細胞増殖能は 1,3,7,14日後に WST-1法にて評価した。分 化能は50μg/mL アスコルビン酸および10mM β‐グ リセロリン酸をさらに添加した培養液で培養し, 7,14,21,28日 後 に ALP 活 性,14,21,28日 後 にオステオカルシンの定量を行った。 結果:初期接着は,全ての培養時間において DW 群の値は他の群より有意に高く,Plasma 群,UV 群は Air 群より有意に高かった。形態観察では全て の群で経時的にアクチンフィラメントの伸展が観察 された。細胞増殖は,1,3日の Air 群の値は他群 より有意に低かった。7日の DW 群の値は Air 群 より有意に高く,14日は全ての群間に有意差は認め られなかった。ALP 活性では7日の DW 群の値が Air 群より有意に高く,その他の群間に有意差を認 めなかった。14日の Air 群の値は他群より有意に低 く,Plasma 群は UV 群より有意に高かった。21, 28日の群間に有意差を認めなかった。オステオカル シンでは14日の Air 群の値は他群より有意に低く, DW 群の値は Plasma 群より有意に高かった。21日 の DW 群の値は他群より有意に高く,28日では群 間に有意差を認めなかった。 考察:Ti の親水化処理は全ての条件で MC3T3-E 1の細胞応答を高めることが明らかとなり,特にサ ンドブラスト・エッチング処理直後水中保存するこ とは初期接着・増殖に,また Plasma 処 理 は ALP 活性に有効に作用することが示唆された。 №16:表面形状の異なるジルコニアおよびチタン上でのヒト間葉系幹細胞の動態 平野友基1)2),三浦 直1),黄 怡1),佐々木穂高1)2),矢島安朝1)2),吉成正雄1) 1) 2) (東歯大・口科研・インプラント) (東歯大・口腔インプラント) 目的:現在インプラントシステムにおいて臨床で広 く使われている材料はチタンであり,高い臨床成績 が証明されている。しかしながら,チタンに対する アレルギーも幾つか報告されている。そうした中 で,ジルコニアは高い強度と優れた生体親和性を もった材料であり,チタンに替わる材料として注目 されている。本材料上での骨芽細胞様細胞の動態に 関する報告は多くあるが,ヒト間葉系幹細胞の動態 についての報告は殆どない。したがって,本研究は 表面形状の異なったジルコニア上でのヒト間葉系幹 細胞の動態を評価することを目的とした。 方法:細胞はヒト間葉系 幹 細 胞(hMSCs,Lonza 社)を使用した。直径13mm のイットリア添加正方 晶ジルコニア多結晶体(TZP)と商業用純チタン 2種(CpTi)を試料として用い,それぞれの表面 に鏡面処理(MS) ,150μm のアルミナサンドブラ ,および150μm アルミナサンド スト処理(SB150) ブラスト処理と酸処理(SB150E)を施した。細胞 増殖活性は細胞播種後1,3,7,14日目に WST1 assay にて評価した。また,デキサメタゾン, アスコルビン酸,β グリセロリン酸を添加した骨分 化培地を用いて細胞播種後7日,14日目に ALP 活 性測定を行った。 結果:表面形状(MS,SB150,SB150E)の異なる TZP 上での細胞増殖活性は培養1,3,7日目に おいて SB150E が有意に高く,CpTi 上での細胞増 殖活性は3,7日目において SB150E が有意に高い 値を示した。MS 上における TZP と CpTi の細 胞 増殖活性を比較すると,培養3日目において CpTi が TZP より有意に大きかったが1,7,14日目に おいて差が認められなかった。表面形状の異なるに TZP 上での ALP 活性は,7日目において SB150E が有意に高く,CpTi 上での ALP 活性は7日目に おいて SB150E が有意に高い値を示した。MS 上に おける TZP と CpTi の ALP 活性を比較すると,培 養7日目において CpTi が有意に高かった。 考察:今回の結果より,鏡面処理された TZP 上の 細胞増殖活性および ALP 活性は早期の段階におい て CpTi よりやや劣ることが示された。また,表面 形状の異なる TZP あるいは CpTi 上での細胞増殖 活性および ALP 活性では,いずれの材料でも SB 150E が有意に高く,サンドブラストと酸処理によ るマイクロ−ナノ構造が細胞増殖および骨芽細胞へ の分化に有利に働くことが示唆された。 ― 82 ―
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