参考資料 - Biglobe

REALTEC
速度/角度制御実験装置
(RTC03+USB2)
取り扱い説明書
(有)リアルテック
Rel.2012.10.25
Rev.2013.01.24
Rev.2014.05.08
速度/角度制御実験装置 RTC03 取説
REALTEC
1)概説
本装置は 駆動用DCモーター、発電機(速度制御用負荷DCモーター)、パルスエンコーダー、
PWMパワーアンプで構成されています。 概略図は Fig.1になります。
GND/0V(黒)
CCW(茶)
CW(灰)
Vi(橙)
+5V(赤)
0V(茶)
φA(青)
φ(B(黄)
AC100V/12V1.5A
CN1
CN2 CN3
PWM
パワーアンプ
発電機
モーター
慣性負荷
プーリー
速度負荷SW
可変抵抗器
Fig.1
角度制御の時はプーリーからファンベルトを外します。 速度制御の時はプーリーをファン
ベルトで連結し、発電機を速度負荷として使用します。 速度負荷SWをONに
すると発電機の出力に可変抵抗器(100Ω)が接続されます。 可変抵抗器の
ツマミをCW(時計方向)に回すと抵抗値は0Ωに近づき重い速度負荷になります。
2)部品リスト
速度/角度制御実験装置-1台
ACアダプター-------------1個(AC100V/12V/1.5A)
慣性負荷----------------1個(真鍮の円盤)
荷重負荷----------------1個(鉄のツマミ)
ファンベルト-----------------1個
資料----------------------1冊(概説と取説)
RTC03
REALTEC
3)配線
USBディバイス、配線用のターミナルボード、実験装置の配線は以下の様になります。
Fig.2参照。
上段フラットケーブル
USB
下段フラットケーブル
ACアダプター(12V)
USBケーブル
ターミナルボード
ターミナルボード
A1
A2
Vi(橙)
GND/0V(黒)
D1
D2
5V(赤)
0V(黒)
CW(灰)
CCW(茶)
φA(白)
φB(青)
AC100V/12V1.5A
CN 1
CN2
CN3
PWM
パワーアンプ
モーター
慣性負荷
RTC03
プーリー
発電機
可変抵抗器
速度負荷SW
Fig.2
REALTEC
3-1)エンコーダー
1回転500パルスのパルスエンコーダーがモーター軸に直結されています。 下記ケーブルを
ターミナルボードに接続します。 Fig.2参照。
出力
: φA、φBタイプの信号
出力回路
: +5Vと出力端子間には3.3KΩのコレクタ抵抗が内蔵
されています。
信号レベル
: TTLレベル
必要な電源 : +5V
ケーブル
: 赤-----+5V、 茶------0V、 青------φA、 黄------φB
3-2)PWMパワーアンプ
PWMパワーアンプは PWM-IC L6207を応用しています。 入力Vi(アナログ信号)と
極性信号CWとCCWが必要です。
単一電源(+12V)でCW,CCWの制御ができます。
必要な電源 : +12V(1.5A)
信号レベル
: Vi---------------0~1V
CW,CCW-----TTL
ケーブル
RTC03
: 橙-----Vi、 灰------CW、 茶------CCW、 黒------0V(GND)
REALTEC
4)角度制御実験
角度制御実験と速度制御実験ができます。
サンプルプログラムは角度制御実験用のUSB_RTC03Ang.mdlと速度制御
実験用のUSB_RTC03Vel.mdlが添付CD-ROMに含まれています。
注) それらサンプルプログラムは MatlabR2007bで作られていますので、ユーザーが
MatlabR2007b以外のバージョンを使用している場合は、そのバーションでサンプル
プログラムを作り直す必要が有ります。
角度制御実験用のサンプルプログラム USB_RTC03_ENC.mdlを開くと次の様に
なります。 Fig.4-1参照。
Fig.4-1
各部の説明は
ENC_RST : ステップ信号発生器で、プログラムスタートから最初の0.05秒間パルス
エンコーダーカウンターをリセットします。
ENC0-7
: エンコーダーチャンネル0~7の内チャンネル0を使用しています。
SW
: プログラムスタートから0.05秒間0を出力し、その後エンコーダー値を
出力します。
Step CMD : Signal Generatorのsquare信号を使用し、振幅±1、周波数
0.4Hzに設定しています。
CMD_Gain : ステップ信号の振幅を設定する。 単位は度です。
Demux/Mux: エンコーダーのチャンネル1~7をターミネートしています。
RTC03
REALTEC
Kc
: パルス数を角度に変換するゲインです。
パルスエンコーダーは500P/1回転で、USBディバイス内の4逓倍回路で
1回転2,000PになりますからKc=360度/2,000P=0.18度/P です。
Ki
: 積分ゲイン
SW1 : 積分器の入力0と誤差信号を切り換えます。
SW2 : 積分器をリセットします。どちらに切り換えてもリセットします。
Kp
: 比例ゲイン
Derivative : ローパスフィルター付の微分器
Kd
: 微分ゲイン
Abs
: PWMパワーアンプ用に、制御電圧Viの絶対値をとる。
Vi-Gain : PWMパワーアンプは電流帰還型なので電圧ゲインを持っています。
モーターコイル抵抗8.3Ω、電流検出用抵抗0.5Ωなので電圧ゲインGは
G=(8.3+0.5)/0.5=17.6です。
サンプルプログラムでは出力Viに1/17.6=0.057を掛けて出力して
います。
Sign : Vi信号の極性をとり出します。 +Viなら+1V、-Viなら-1V。
CW : -1Vをカットしています。 Viが+ならCW(+1V)をとり出しDO09に
出力しています。
CCW : Signの極性を反転してViの-を取り出しCCW(+1V)をDO10に
出力しています。
DAC0-3 : DAC出力チャンネル0~3のチャンネル0を使用しています。
<*追加情報>
ネガティブフィードバックの設定は
CMD-Gain=0にして入力を0にし、慣性負荷を手で押えて、プログラムをスタート
します。
慣性負荷を手で少し回した時、モーターが0点に戻る方向に動けば正常な
ネガティブフィードバックです。
慣性負荷を手で少し回した時、モーターが更にその方向に動く場合は異常な
ネガティブヒードバックです。CW,CCW又はФA, ФBの配線が逆になっています。
RTC03
REALTEC
4-1)ステップ応答実験(PD制御)
ファンベルトを外して荷重負荷を外し、慣性負荷だけ装着した状態でステップ応答
(PD制御)の実験をします。 Fig.4-2参照。
正面図
上面図
慣性負荷
モーター軸
慣性負荷
プーリー
プーリー
Fig.4-2
CMD-Gain=45に対し、Kp=0.2、 Kd=0.01、 Ki=0 で適度な応答に
なります。
Kdを小さくすると、オーバーシュートは大きくなります。
4-2)PID制御
積分器を追加し、PID制御にすると定常角度偏差を0にできます。
荷重負荷を追加します。 Fig.4-3 参照。
正面図
上面図
荷重負荷
慣性負荷
荷重負荷
プーリー
荷重
慣性負荷
モーター軸
プーリー
Fig.4-3
サンプルプログラムのSW1を0側にしたまま 荷重負荷を手で押えて水平の位置
にし、プログラムをスタートして手を離すと荷重負荷の重みで位置が下方にずれ、
角度偏差が発生します。 そこでSW1をKi側に切り換えると積分器が働き
角度偏差は無くなり、荷重負荷は元の位置に戻ります。 角度偏差を大きく
示すため比例ゲインを小さくすると積分効果が顕著に現れます。
Kp=0.1、 Kd=0.01、 Ki=0->0.1 が適度なゲインです。
補正後
SW1を0側にしても積分器の値は維持されるので偏差は0です。
SW2を切り換えると積分器はリセットされ、偏差が再現します。
RTC03
REALTEC
5)速度制御実験(PI制御)
速度制御をする場合は 荷重負荷を外します。
次にファンベルトをモータープーリーと発電機(速度負荷)プーリーにセットします。
速度はパルスエンコーダーの位置信号を微分して速度信号を作ります。
サンプルプログラムUSB_RTC03Vel.mdlで簡単な回転速度制御実験ができます。
Fig.5-1参照。
Fig.5-1
Derivative : ローパスフィルター付きの微分器です。 エンコーダー入力(角度信号)を
微分して速度信号を作っています。
Kc
: 微分値(パルスカウント/サンプリング時間)を速度(rpm)に変換する変換ゲイン
です。 オッシロスコープで実測すると
K c  900 /(3 *104 )  0.03
LPF
: 微分のノイズを取除く為のローパスフィルターです。
SW3
: オープンループとクローズドループを切り換えます。
CMD(rpm): 指令信号(単位=rpm)を設定します。
RTC03
REALTEC
5-1)オープンループの実験
荷重負荷を外したことを確認します。
次にモータープーリーと発電機プーリーをファンベルトで連結します。
慣性負荷
モータープーリー
発電機プーリー
ファンベルト
Fig.5-5参照。
SW
ON
OFF
可変抵抗器
Fig.5-5
操作パネルの負荷SWをOFF側にし、サンプルプログラムのSW2(Fig.5-1)をオープン
ループ側にセットし、入力電圧を2(V)にして、プログラムをスタートします。
モーター速度は1,200rpm程度まで上昇します。 スコープFB(rpm)で確認します。
操作パネルの負荷SWをONにすると可変抵抗器がCCW一杯(最小負荷)の
場合、800rpm程度まで、CW一杯(最大負荷)の場合、200rpm程度まで、減速
します。
5-2)クロズドループの実験
プログラムをストップし、サンプルプログラムのSW2(Fig.5-1)をクローズド側に倒します。
操作パネルの負荷SWをOFF側にし、プログラムのSW1を0側にして
積分器が働かない比例制御にし、速度設定を1,000rpmにセットします。
プログラムをスタートすると比例ゲインKpの値によりますが800~900rpm
程度で回転します。
可変抵抗器がCW一杯(最大負荷)の状態で操作バネルの負荷SWをONに
すると600rpmに減速します。 オープンループよりは、かなり小さな
減速率です。
この状態で、SW1を速度偏差側に切り換え、積分器を働かせてPI制御に
すると定常速度偏差は 0になり指定の1,000rpmになります。
パワーアンプ+電源(12V1.5A)の容量から、最大速度負荷時、定常速度偏差を
0できるのは、1,500rpm程度が限界になります。
RTC03
REALTEC
6)部品仕様
6-1) モーター
型番
コイル抵抗
コイルインダクタンス
トルク定数
ローターイナーシャ
: FN30-U153N1E
: 8.3Ω
: 3.3mH
: 0.023Nm/Amp
: 10.6g・cm2 = 0.00000106Kg・m2
6-2) モーター角センサー(パルスエンコーダー)
型番
: E8P-500
パルス数
: 500
タイプ
: A相、B相
出力
: TTLレベル(コレクタ抵抗=3.3KΩ)
必要な電源 : +5V
6-3) PWM パワーアンプ
必要な電源
: +12V1.5A
入力信号
: Viは +のアナログ信号(0~1V)
CW,CCW はTTLレベル
モータードライバー : L6227
6-4) 発電機(DCモーター)
型番
: DME25BA
トルク定数
: 0.021Nm/A
6-5) 可変抵抗器
抵抗値
: 100Ω
6-6) ACアダプター
: AC100V/12V1.5A
6-7) 荷重負荷
: 10g
6-8) 慣性負荷(真鍮:比重=8.4)
M=πx2.2x2.2x1x8.4=127.6g=0.1276Kg
J  0.5 * 0.1276 * 0.0222  3.0 105 Kgm2
RTC03
REALTEC
7)出荷テストでの確認事項
回転方向 : オープンループもクローズドループも+入力で慣性負荷を正面から見て
CW(時計方向)に回る。
PI制御の限界 : 可変抵抗器がCW一杯(最大負荷)の時、PI制御で定常速度
偏差を0にできるのは、パワーアンプの飽和で1,500rpmが限界です。
CCW一杯(最小負荷)の時は1,800rpm程度まで定常速度偏差を
0にできます。
プログラムのサンプリング時間 : 0.002s
角度制御(PD.PID制御)の場合、サンプリング時間を換えると適度な
微分ゲインKdの値は変わってきます。
RTC03