紫外・可視スペクトル(UV-vis) 円二色性スペクトル(CD) M2 高田 恭宏 紫外可視吸収スペクトルでわかること • 予想される物質のスペクトルと比較して同定 ができ、不純物などの存在が推定できる。 • 吸収の位置、強度から立体構造が推論でき る。 • 定量分析が可能。 紫外・可視領域 赤外 ラジオ波 108 波長 106 (nm) 102 104 分子の振動状態 780nm マイクロ波 700 赤外線 可視光 600 紫外線 100 分子の電子状態 500 X線 10-2 380 γ線 紫外 200nm Lambertの法則 ΔL I/Io 単色光 透過光 I0 I L 1 I I0 = 2 1 4 1 8 セル長 L 1 2n log I/I0 = - εL Beerの法則 濃度n倍 濃度2倍 基準濃度 I/Io I0 I L I I0 = 1 2 I0 I I0 I L L 1 4 1 2n log I/I0 = -εC 溶液濃度 C Lambert-Beerの法則 -log I/I0 ∝ セル長L、溶液濃度C - log (I/I0) = εCL I/I0 = 透過度 (T) -log (I/I0) = 吸光度 (A) ε= モル吸光係数 (物質固有の定数) A = εCL 紫外・可視光を吸収することの意味 励起状態=10-14~10-7秒安定 LUMO hν E = hν HOMO 例 σ → σ* n → σ* σ* 反結合性軌道 π → π* n → π* π* ホルムアルデヒドのπ→π*遷移 非結合性軌道 n π 結合性軌道 σ ホルムアルデヒドの n→π*遷移 π→π*遷移・・・ C=C、芳香族など n →π*遷移・・・ C=O、N=Oなど(非共有電子対の存在) 共役系の拡張 π→π*遷移の軌道間のエネルギー差が減少 長波長シフト 可視領域 吸光度 200 波長 nm 500 装置 : 紫外可視分光計のしくみ D2 ランプ (UV) スリット 回折格子 W ランプ (VIS) 対照 検出部 ビームスプリッター 試料 測定について スペクトルデータ 対照=溶媒 検出部 A 試料=溶質+溶媒 nm 溶媒、セル、機器などの外的因子に影響されない ベースライン補正 検出部 溶媒 補正 A A 溶媒 nm nm 溶媒の選び方 ・溶解性 ・測定波長領域に吸収がない ・溶質と相互作用しない ・揮発性が低い スペクトル 例 1.5 (λmax , Amax) = ( 460 , 1.15) A = εCL 測定濃度 2.0×10-5M (λmax , Amax) 1.0cm 石英セル使用 A εmax = = = 0 250 波長 (nm) 600 A C(mol/L) ×L(cm) 1.15 2.0×10-5 × 1.0 57,500 円二色性スペクトルでわかること • 物質が光学活性であるか決定できる • 特定官能基まわりの立体環境の推定 • 高分子の二次構造の推定 光学活性物質と偏光 光学活性体 自然光 スリット 偏光 振動軸 偏光 進行軸 観測 観測者に見える 振動の軌跡 Ⅰ 時間 Ⅱ 観測者に見える 振動の軌跡 Ⅲ Ⅳ Ⅴ a Ⅰ Ⅱ 右円偏光 左円偏光 b Ⅲ Ⅳ Ⅴ 旋光 空気中 a 光学活性物質層 旋光度 : α 光 左円偏光 右円偏光 右旋性 (+) b 左旋性 (-) 円偏光二色性 α 空気中 透過速度だけでなく 吸光度も異なる物質 光 楕円偏光 左円偏光 右円偏光 CDスペクトルと励起子カイラリティー法 ・ 強いπ-π*吸収帯をもつ2個の等価な発色団が互いに不正の位置に存在する 2Vij ・ 2個の発色団i、jは励起子相互作用を起こし 二つのエネルギー準位に分裂 (エネルギー差2Vij はDavydov分裂と呼ばれる) 発色団 i 系全体 発色団 j ・ 二つの分裂したエネルギー準位への励起は、互いに符号の相反する二つの Cotton効果を与える ・ 2個の発色団の電気遷移モーメントが時計回りのねじれ→正の励起子キラリティー 反時計回りのねじれ→負の励起子キラリティー ・ 正の励起子キラリティー : 正の第一Cotton効果、負の第二Cotton効果を示す 負の励起子キラリティー : 負の 正の ・ この考え方は3個以上の発色団を持つ分子系や非等価な発色団を含む 分子系にも適応することができる + CD ⊿λ 正の第 1 Cotton 効果 ⊿λ 正の第 2 Cotton 効果 λ 負の第 2 Cotton 効果 - λ 負の第 1 Cotton 効果 正のChirality ⊿λ UV λ 負のChirality ⊿λ λ 例 :モノベンゾエートと ジベンゾエート UV λmax 311nm εmax 30,400 CD λ 309nm Δε +2.9 UV CD λmax 309nm εmax 56,700 λ 320.5 295.5nm Δε -63.1 +39.7 σ → σ* n → σ* σ* 反結合性軌道 π → π* n → π* π* 非結合性軌道 n π 結合性軌道 σ 生体高分子への応用 Poly-L-Lysine α-へリックス = 含量 [θ]222 -37,000 モル楕円率/ [θ] α-へリックス ランダムコイル 波長 /nm 222nm
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