成長が期待されるEC決済代行サービス事業

☆ トピックス
◎ 成長が期待されるEC決済代行サービス事業 ◎
投資情報部情報課
岩崎利昭
☆
スマホ・タブレットの普及で消費者向けEコマースの成長続く
スマートフォン(スマホ)やタブレット端末の普及に伴い、Eコマース市場の
拡大が加速しています。スマホやタブレットはフィーチャーフォン(所謂“ガラ
ケー”)よりも画面が大きく高性能であり、据え置き型のパソコンよりも身近なポ
ジションに位置するデバイス。店舗やモールが用意しているアプリを使えばワン
タッチで購入サイトへのアクセスが可能であり、店頭で実物を確認した後、実際
の購入は価格面で有利なネットショッピングで行う“ショールーミング”にも対
応できることから、ネットショッピングが一層手軽なものとなっているもよう。
国内Eコマース市場のうち、消費者向けのBtoC市場規模は 12 年度に 9.5 兆
円(前年度比+12.5%:小売以 (兆円)
(%)
消費者向けEC市場規模
外にサービス・金融等を含む:経 10
4
市場規模(左目盛り)
済産業省調べ)に達していますが、 9
EC化率(右目盛り)
こうした環境の変化を背景に、今 8
後も順調な拡大が見込まれてい 7
3
ます。既存事業者の成長は勿論の 6
こと、新たに進出を考える小売業 5
者も一層増えることが予想され 4
2
る状況。大手企業のEコマース対 3
応は進んでいますが、今後は中 2
堅・中小事業者、さらには個人商 1
1
店の出店(EC対応)も多くなる 0
2008
2009
2010
2011
2012
ものと思われます。
(出所:経済産業省の調査結果より当社作成)
昨年 10 月 7 日にヤフー(4689)がEコマースの新たな事業戦略=出店料の
無料化などを発表し、出店のハードルは大きく引き下がった格好。また同社では、
個人による出店にも対応する方針を示しています。
更に、法律でネット販売が制限されていた医薬品に関しても、昨年末に販売解
禁の法律が可決・成立(施行は今夏の見込み)しており、医薬品の小売事業者に
とって、漸く「Eコマース」という販売ルートが拓けることになりそうです。
☆
Eコマース関連サービス市場も拡大へ~決済業務の成長に注目
需要・供給双方の要因からEコマースは拡大しそうですが、参入店が受注を処
理する過程で直面する重要事務の一つに、決済処理が挙げられます。決済には、
大別してインターネット上で「処理が完結するタイプ」-クレジットカードや携
このレポートは投資の判断となる情報の提供を目的としたものです。銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身の判断でなさるようにお願い致し
ます。なお、株式は値動きのある商品であるため、元本を保証するものではありません。
☆ トピックス
帯キャリア決済、電子マネー決済など-と「そうではないタイプ」-コンビニ決
済、銀行振り込み、代金引換など-があり、各々一長一短の特色を持っています。
これらに自己努力で対応することは容易ではなく、両タイプに幅広く対応した
サービスを提供する決済代行事業者やモール(楽天(4755)やヤフーは自社決
済機能を外部企業に提供)などを活用するEC事業者が多そう。この他、物流会
社も代金引換型を中心に決済サービスを手掛けるなど、各社が得意分野を活かし
ながら決済関連サービスを展開しています。
消費者の利便性を第一に考えれば多様な決済メニューを用意しておくべきであ
り、この領域を事業対象とする決済代行サービス企業にとってビジネスチャンス
拡大局面が暫く続きそうです。
☆ 主な国内EC決済代行サービス事業者 ☆
企業名
市場・コード
サービス内容
J2428
クレジットカードやコンビニ、銀行ATM、ネットバンク、電子マネーなどを
使ったペーパーレスのリアルタイム決済サービス=マルチペイメントサー
ビスを提供。この他、バーコードを用いたコンビニ収納代行、キャッシュ
バックや返金に使えるネットDE受取サービスなども提供。マルチペイメント
サービスは、大手航空会社や高速バス会社など運輸関連企業向けに豊
富な実績がある。
M3623
クレジットカードやネット振込み、コンビニ決済などを一括で導入可能な収
納代行サービスや、銀行のネットバンキングサービスと連動し資金振り替
えサービスを24時間リアルタイムで受けられるクイック入金サービス、当
日受付・当日処理の支払い代行サービス、売掛金前払いサービスなどを
展開。香港MPayMe社と提携し、二次元バーコードを用いたスマホ決済
サービス「znap」の国内サービス開始を準備中。同社は決済サービス部分
を担当する。
3769
クレジットカードやコンビニ、電子マネー、代引き、携帯電話キャリアなど多
様な決済手段に対応するSaaS型総合決済サービス=PGマルチペイメント
サービスを提供。また集客支援サービスとして、リスティング広告運用代
行、SEO対策、FACEBOOK関連などの周辺領域にも対応。13年12月末の
利用店舗数は46,108店。
J4304
ECサイトの構築・運営を総合的に支援。ウェブサイトの制作や集客・販促・
決済などをオールインワンで提供するEストアーショップサーブの他、制作
代行サービス・集客代行サービス、運営ノウハウを提供するビジネスス
クールまで幅広く提供。ショッピングサイトやEC専門のアドネットワーク
サービスも運営している。
J4819
ベリトランス、イーコンテクストの2社で電子決済サービスを展開。各々クレ
ジットカードやコンビニ、銀行、携帯キャリアなど主要決済を一括して提供
しているが、周辺分野としてベリトランスは電子証明やセキュリティサービ
スを、イーコンテクストはサイト構築や集客・販促など一貫支援サービスを
提供している。
ソフトバンク・ペイメント・サービス
非上場
ソフトバンク(9984)グループで、クレジットカードやコンビニ、各種プリカや
電子マネー、請求書による振込み、海外事業者を使った外貨決済など豊
富な決済手段をASP方式で一括提供。KDDIのauかんたん決済にも対応し
ている。
ペイジェント
非上場
ディー・エヌ・エー(2432)の子会社で、DeNAと三菱UFJニコスが折半出
資。クレジットカードや携帯キャリア、ウェブマネー、銀行振込みなど多様な
決済方法に一括対応。導入実績は、13年3月末時点で5,802店。
非上場
ヤマトホールディングス(9064)傘下で、宅急便やクロネコメール便を組み
合わせた決済サービスをワンストップで提供。注文時のクレジットカードや
電子マネー、ネットバンキング決済などは勿論、代金引換や荷物届け時
のカード払い・電子マネー払いなどにも対応。今年初頭から、ヤマトクレ
ジットファイナンスと共同で商品受領後にコンビニや郵便局から代金を払
い込む「代金後払いサービス」のテストも開始。
ウェルネット
ビリングシステム
GMOペイメントゲートウェイ
Eストアー
デジタルガレージ
ヤマトフィナンシャル
※ コード番号前のアルファベットでJはジャスダック上場、Mはマザーズ上場。なしは東証一部。 (出所:各社ウェブサイトなどより当社作成)
このレポートは投資の判断となる情報の提供を目的としたものです。銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身の判断でなさるようにお願い致し
ます。なお、株式は値動きのある商品であるため、元本を保証するものではありません。