拡張現実 UI を対象とした 3 次元 CG データ配信機構の検討

DEIM Forum 2014 F5-2
拡張現実 UI を対象とした 3 次元 CG データ配信機構の検討
本多 宏至†
鷹野 孝典‡
†神奈川工科大学大学院工学研究科情報工学専攻 〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野 1030
‡神奈川工科大学情報学部情報工学科 〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野 1030
E-mail:
†[email protected], ‡takano@ic. kanagawa-it.ac.jp
あらまし 本稿では,拡張現実 UI を対象とした 3 次元 CG データ配信機構について述べる.本研究では特に,3
次元 CG データ配信を Web サービスとして構築し,個々の 3 次元 CG データ配信サーバをクロールする仕組みを導
入することにより,拡張現実 UI へ配信するための 3 次元 CG 情報を収集・管理するためのプラットフォームの実現
方式を示す.さらに,3 次元 CG のメタデータから抽出される意味的な関連性および利用者の嗜好性に基づいて 3
次元 CG を分類することにより,拡張現実 UI における 3 次元 CG 配信をパーソナライゼーションする手法を示す.
本研究では,拡張現実 UI を備えたアプリケーションを用いた実験により,本機構の実現可能性を検証する.
キーワード 拡張現実 UI,3 次元 CG,動植物コンテンツ,Web サービス,データ配信
1. は じ め に
るためのポータルサイトが登場し始めているが,有料
モバイル環境における情報配信のためのユーザイ
でのみ利用可能となっているものが多い.しかし,3
ン タ ー フ ェ ー ス ( UI) と し て , 拡 張 現 実 UI が 普 及 し
次 元 CG の 作 成 に は , ま ず 3 次 元 CG の モ デ ル を 構 築
始 め て い る . 拡 張 現 実 UI の 主 機 能 の 一 つ と し て , カ
す る 必 要 が あ り , テ キ ス ト 情 報 や 2 次 元 CG を 対 象 と
メラ映像上に情報を重畳表示する機能がある.この機
したコンテンツを作成する場合よりも制作コストが高
能では,アノテーション情報に加えて,音声,画像,
い . 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ を 様 々 な 情 報 提 供 サ ー ビ ス
動 画 ,3 次 元 コ ン ピ ュ ー タ グ ラ フ ィ ッ ク ス( CG)等 の
から利用することを目的として,地図情報サービスで
コンテンツが配信される.
は既に体系化されているコンテンツの登録・配信・共
モバイル環境において調査,学習,デザイン等の作
有 化 と い っ た 3 次 元 CG を 包 括 的 に 再 利 用 す る 仕 組 み
業 を 行 う 際 , こ の よ う な 拡 張 現 実 UI を 利 用 し て 情 報
が 整 え ば , 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の 流 通 を 促 進 し , 利
獲得を行う場合に,現在関心の対象となっているもの
活用を活性化させる事が実現できると考えられる.
に加えて,その関連項目を提示することにより,比較
本 研 究 で は , 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の メ タ デ ー タ か
し な が ら 作 業 を 進 め や す く な る と 考 え ら れ る .例 え ば ,
ら抽出される意味的な関連性および利用者の嗜好性に
庭園のデザインを行う場合には,植栽の種類や配置を
基 づ い て 3 次 元 CG を ラ ン キ ン グ す る こ と に よ り , 拡
決める工程がある.この際,デザイナは候補となる植
張 現 実 UI に お け る 3 次 元 CG 配 信 デ ー タ を パ ー ソ ナ ラ
栽の中から,それらの色合いや立体的な特徴を実際の
イゼーションする方式を示す.また,本方式の実現の
庭園の風景と重ね合わせながら,比較検討したいと考
た め , 3 次 元 CG デ ー タ 配 信 を Web サ ー ビ ス と し て 構
えるかもしれない.また,遺跡調査を行っている場合
築 し , 個 々 の 3 次 元 CG デ ー タ 配 信 サ ー バ を ク ロ ー ル
は,遺跡周辺の発掘物について,現在観察対象となっ
す る 仕 組 み を 導 入 す る こ と に よ り , 拡 張 現 実 UI へ 配
ているものに加えて,これまでに発掘されてきた出土
信 す る た め の 3 次 元 CG 情 報 を 収 集 ・ 管 理 す る た め の
品等と比較することにより、分析・考察を行いたいと
プラットフォームの実現方式を示す.
思うかもしれない.
一 方 , 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の 配 信 サ ー ビ ス と し て
本研究では,実験により提案方式の実現可能性を確
認する.
は , 拡 張 現 実 UI に よ る 情 報 提 供 サ ー ビ ス [10][11]と 密
に 連 結 し た も の が 多 く , そ の よ う な 3 次 元 CG コ ン テ
2. 関 連 研 究
ンツ配信サービスでは,ユーザが他者と共有すること
ドキュメント間の内容に着目して類似度を算出す
を目的して作成したコンテンツも,基本的には同一の
る こ と に よ り , Web ド キ ュ メ ン ト の リ ン ク を 自 動 生 成
サービス内でしか利用することができない.また,動
す る 方 式 が 提 案 さ れ て い る [3][4].
植物,建造物,一般的な家電,家具類等の目的別に作
文 献 [3]は ,学 習 者 が 訪 れ た ペ ー ジ か ら 関 連 知 識 の 解
成 さ れ た 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ に つ い て , 様 々 な ア プ
説を参照・適用できるようにするのが最も基本的な知
リ ケ ー シ ョ ン で の 利 用 を 想 定 し た 3 次 元 CG を 配 信 す
識 定 着 支 援 で あ る と 考 え , Web ペ ー ジ に 関 連 知 識 の 解
説 を リ ン ク す る 枠 組 み を 提 案 し て い る . 文 献 [4]で は ,
好 性 に 基 づ い た パ ー ソ ナ ラ イ ゼ ー シ ョ ン 方 式 を 示 す .3
アンカー文字列と,そのリンク先ページに出現する単
次 元 CG の メ タ デ ー タ の 例 を 図 1 に 示 す .
語相間は高いと考え,単語の相間の大きさによって,
動 植 物 の 3 次 元 CG の メ タ デ ー タ 中 に , 対 象 と な っ
リンク先ページの内容を反映したメタデータをアンカ
ている動植物の関連項目を記述するには下記のような
ー文字列に生成する手法を提案している.また,特定
方法が考えられる.
の分野に関する情報に対して,意味的な関連性を計量
するために,文脈に応じて意味的に近い情報を検索す
1.
動植物調査の専門家が付与する.
るための検索環境を提供する方式が提案されている
2.
オンライン百科事典を参照して,該当する動植物
[2].
3 次元オブジェクトの検索に関しても,各種研究が
な さ れ て い る [6][7][17].
文 献 [6]は , 3D オ ブ ジ ェ ク ト に 対 し 詳 細 な 記 述 子 を
の関連項目を抽出し付与する.
3.
動植物メタデータの内容に基づいて,動植物間の
関連性を算出することにより,関連があると判断
されるものを付与する.
設計し、深度マップを使い精度を上げる方式を示して
い る . 文 献 [7]で は , 3D オ ブ ジ ェ ク ト を 検 索 す る 際 、
3 次 元 CG の 関 連 項 目 は , 様 々 な 視 点 に お け る 関 係
形状情報だけでなく空間上に付加されたキーワード情
性に基づいて記述されると考えられる.例えば,動植
報も使用することで,よりユーザの嗜好に合う検索結
物の関係性であれば,生息環境・地域,捕食関係,生
果を提示する手法を提案している.
物 学 上 の 分 類 な ど が 挙 げ ら れ る .本 研 究 に お い て は ,3
さらに,複数のデータベースの異種間を解決し統合
に示される方法により,データベース中の動植物メタ
する方式として,各データベースのメタデータとシソ
データ間の内容に関する類似度に基づいて,各動植物
ー ラ ス を 用 い て 異 種 性 を 解 決 す る 方 式 が あ る [1].
利用者の情報嗜好に基づいて,検索結果をパーソナ
の 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ に 対 し て 関 連 項 目 の 抽 出 を 行
う.
ライゼーションしている研究も数多く見受けられる
[12][14][18]. 文 献 [12]で は , 利 用 者 が 検 索 対 象 に つ い
て十分な知識を持っていない場合において,検索結果
をパーソナライゼーションするための手法を提示して
いる.
また,コンテンツの分類手法としては,ニュース記
事 に 着 目 し た も の が 挙 げ ら れ る [5][15][16] . 文 献 [15]
では,固有表現を考慮することにより,読まれたニュ
ース項目と読まれていないニュース項目での同意語セ
ット間の類似度を計算することによる意味的な類似性
に基づいた推薦方法を示している.また,ヒューリス
ティックを用いてオンライン・ウェブ記事のヘッドラ
イ ン を 自 動 的 に 抽 出 す る 方 法 が 提 案 さ れ て い る [16]
3. 基 本 ア イ デ ィ ア
<?xml version="1.0" encoding="UTF‐8" ?>
<ar:models>
<ar:model>
<model_info > <id> 1 </id>
<uri>http://3dcg.takanolab.org/?model_id=1</uri>
3次元CGコンテンツ
<filename> Canada_Goose </filename>
<format> mqo, 3ds, obj </format>
のメタデータ
<texture> Canada_Goose.jpg </texture>
</model_info >
<general_info>
<name> Canada Goose </name>
<class> Bird </class>
<order> Anseriformes </order>
<family> Anatidae </family>
生物の特徴に
<area> Canadian Rockies </area>
関するメタデータ
<description> In 2004, based on differences
in size, voice, and breeding habitat, … </description>
<seealso_ids>
関連項目のメタデータ
<manual> 4 13 26 9 78 </manual>
<wikipedia> 3 4 13 26 20 </wikipedia>
(a)専門家(手動)
<relevance> 3 20 9 78 19 5 8 </relevance>
(b)オンライン百科事典
</seealsos_ids>
(c)内容の関連性
</general_info >
<ar:model>
….
</ar:models>
我 々 は こ れ ま で , 動 植 物 を 対 象 と し た 3 次 元 CG の
図 1 3 次 元 CG の メ タ デ ー タ の 例
閲覧・操作に基づいて抽出される,利用者の動植物に
対する興味や関心に基づいて,学習すべき動植物コン
テ ン ツ の ラ ン キ ン グ 方 式 を 提 案 し て き た [8].こ の 方 式
提 案 方 式 で は ,こ の よ う に 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の メ
では,利用者の個人プロファイルにおける動植物の嗜
タデータとして付与される関連項目を重要視すること
好情報を用いて,データベース中の動植物コンテンツ
により,利用者の嗜好性に基づいたパーソナライゼー
をランキングし,スコアの高いものから順に利用者に
ションを,次のように行う.
配信を行っている.本研究においては,この方式を拡
提案方式では,関連項目のリストを個人プロファイ
張 し ,3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の ラ ン キ ン グ に お い て ,3
ルに基づいた利用者の動植物に対する興味や関心に応
次 元 CG コ ン テ ン ツ の メ タ デ ー タ に 付 与 さ れ る 関 連 項
じて並び替えたものを,優先的にランキングの上位に
目 を 重 要 視 す る こ と に よ り , 拡 張 現 実 UI 上 へ の 3 次
提示する.
元 CG 配 信 に お い て , 意 味 的 な 関 連 性 及 び 利 用 者 の 嗜
例えば,データベース中の動植物コンテンツ集合が,
{A, B, C, D, E, F, G, H}で あ る と し , そ の う ち , 関 連 項
ーションを行う.
目 の リ ス ト R に は ,[A, C, D]が 追 加 さ れ て い る と す る .
このうち,個人プロファイルに基づいて,R に含まれ
4. 提 案 方 式
るコンテンツについては,下記のようなランキング結
4.1. 3 次 元 CG 配 信 プラットフォーム
果が得られたとする.ここで,これらの動植物コンテ
本 研 究 に て 実 現 す る 3 次 元 CG 配 信 プ ラ ッ ト フ ォ ー
ンツの優先度を高めるために,相関値に対して重み付
ム を 図 2 に 示 す .本 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム は ,主 に (A)動 植
け を 行 う こ と に よ り ス コ ア を 算 出 す る .下 記 の 例 で は ,
物 3 次 元 CG 配 信 モ ジ ュ ー ル , (B)3 次 元 CG コ ン テ ン
2 倍に重み付けを行っている.
ツ収集クローラ,及びデータベース群(個人プロファ
イ ル , 動 植 物 3 次 元 CG デ ー タ ベ ー ス ) よ り 構 成 さ れ
表 1
順位
1
2
3
関連項目を対象としたスコア算出の例
修正スコア
動植物
相関値
(2 倍 )
コンテンツ
C
0.8
1.6
A
0.3
0.6
D
0.2
0.4
る.
また,R に含まれる動植物コンテンツを除外した,
データベース中の残りの動植物コンテンツについて,
下記のようなランキング結果が得られたとする.この
例では,スコアは相関量をそのまま用いている.
表 2
データベース中の動植物コンテンツを
対象としたスコア算出の例
動植物
相関値
順位
コンテンツ
(=ス コ ア )
1
E
0.7
2
F
0.5
3
B
0.3
4
G
0.2
5
H
0.1
この例において,R 中の動植物コンテンツについて
は修正スコアを用いてランキングを行うと,下記のよ
うな結果が得られる.
図 2
3 次 元 CG 配 信 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム
表 3
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
修正スコアを用いたランキング結果の例
修正前
修正後
動植物
動植物
スコア
スコア
コンテンツ
コンテンツ
E
0.7
C
1.2
C
0.6
E
0.7
F
0.5
A
0.6
B
0.3
F
0.5
A
0.3
D
0.4
D
0.2
B
0.3
G
0.2
G
0.2
H
0.1
H
0.1
動 植 物 3 次 元 CG 配 信 モ ジ ュ ー ル は , 利 用 者 の 3 次
元 CG コ ン テ ン ツ の 要 求 に 応 じ て ,3 次 元 CG と と も に ,
メタデータとして関連する動植物データを返す.この
動 植 物 デ ー タ は ,利 用 者 の 拡 張 現 実 UI 上 の 3 次 元 CG
の閲覧・操作より抽出される動植物に対する興味や関
心を反映してランキングされる.動植物データの情報
は ,先 行 研 究 [8]で 示 し た 先 読 み キ ャ ッ シ ュ の 候 補 と し
ても利用する事ができる.このランキング方法の詳細
については次節に述べる.
ま た , 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ 収 集 ク ロ ー ラ は , 独 立
提 案 方 式 で は こ の よ う に , 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の
に 構 築 さ れ た 各 3 次 元 CG 配 信 サ ー バ の ク ロ ー リ ン グ
ラ ン キ ン グ に お い て , 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の メ タ デ
し , 動 植 物 3 次 元 CG と と も に メ タ デ ー タ を 動 植 物 3
ータに付与される関連項目を重要視することにより,
次 元 CG デ ー タ ベ ー ス へ 格 納 す る . こ こ で , 各 3 次 元
拡 張 現 実 UI 上 へ の 3 次 元 CG 配 信 に お い て ,意 味 的 な
CG 配 信 サ ー バ は , Web サ ー ビ ス と し て 実 現 さ れ て い
関連性及び利用者の嗜好性に基づいたパーソナライゼ
ることを想定している.これにより,目的・分野別に
構 築 さ れ た 3 次 元 CG デ ー タ ベ ー ス 群 を 透 過 的 に 扱 う
動 植 物 デ ー タ ベ ー ス の 構 成 , 及 び 各 3 次 元 CG デ ー タ
た め の プ ラ ッ ト フ ォ ー ム を Web 環 境 上 に 構 築 す る こ
ベースの概要を表 4 と表 5 に示す.また,クローラに
とができる.
よ り 収 集 さ れ た 動 植 物 3 次 元 CG デ ー タ ベ ー ス 中 の 動
植物データの概要を表 6 に示す.
4.2. 3 次 元 CG 配 信 のパーソナライゼーション
表 4
3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の メ タ デ ー タ か ら 抽 出 さ れ る
データベースの構成
データベース数
1 データベース当たりの
平均データ数
重複あり
データ総数
重複なし
意味的な関連性および利用者の嗜好性に基づいて 3 次
元 CG を ラ ン キ ン グ す る こ と に よ り ,拡 張 現 実 UI に お
け る 3 次 元 CG 配 信 を パ ー ソ ナ ラ イ ゼ ー シ ョ ン す る た
めの実現ステップを,下記に示す.
Step-1: 利 用 者 は , 3 次 元 CG を 操 作 ・ 閲 覧 す る 事 に よ
加 す る . こ こ で , 関 連 項 目 は 動 植 物 3 次 元 CG に 存 在
DB 名
D1
D2
D3
D4
D5
す る コ ン テ ン ツ が 対 象 と な る .あ る 動 植 物 の 3 次 元 CG
表 6
るための個人プロファイル P を生成する.
Step-2: 拡 張 現 実 UI 上 で , 操 作 ・ 閲 覧 の 対 象 と な っ た
3 次 元 CG に 対 す る 関 連 項 目 を 抽 出 し , リ ス ト R へ 追
コンテンツの k 回分の閲覧・操作について,閲覧・操
データが累積的または n 回分リストに追加される.
関 連 項 目 の リ ス ト R: r 1 , r 2 , r 3 , …, r n
Step-3: リ ス ト R 中 の 関 連 項 目 を ,個 人 プ ロ フ ァ イ ル P
に 基 づ い て 相 関 量 を 算 出 し ,重 み w を 掛 け た 値 を ス コ
ア s1 と す る .
s2 に 基 づ い て 関 連 す る 動 植 物 デ ー タ を ラ ン キ ン グ す る .
5. 実 験
本実験では,提案方式の実現可能性を確認するため
に,下記の 2 つの実験を行う.
[実 験 1] 関 連 項 目 を 内 容 に 基 づ い て 抽 出 す る 機 能 に つ
いて,抽出された動植物データが適切なものであった
かを,適合率により評価を行う.
[実 験 2] 利 用 者 の 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の 要 求 に 応 じ
て , 関 連 デ ー タ と し て 3 次 元 CG と と も に 返 さ れ る 動
植物データの妥当性について検証する.
5.1. 実 験 環 境
独 立 に 構 築 さ れ た 各 3 次 元 CG 配 信 サ ー バ に お け る
713
565
3 次 元 CG デ ー タ ベ ー ス の 概 要
概要
データ数
132
ロッキーの鳥・魚
135
丹沢の鳥・魚・昆虫・植物
109
動物
168
鳥
169
植物
ク ロ ー ラ に よ り 収 集 さ れ た 動 植 物 3 次 元 CG
表 7
Step-4: 統 合 デ ー タ ベ ー ス 中 の 残 り の 動 植 物 デ ー タ に
Step-5: Step-3 と Step-4 の 結 果 を 統 合 し , ス コ ア s 1 と
143
データベース中の動植物データの概要
種別
件数
109
哺乳類
168
鳥類
144
魚
104
昆虫
169
植物
20
爬虫類
17
両生類
作を行うごとに,その動植物の関連項目である動植物
を 算 出 し , そ の ま ま ス コ ア s2 と す る .
5
表 5
り,観測の対象となっている動植物の嗜好性を抽出す
ついても個人プロファイル P に基づいて同様に相関量
独 立 に 構 築 し た 動 植 物 3 次 元 CG
Id
1
Name
名前
Cana
dian
toad
動 植 物 3 次 元 CG デ ー タ ベ ー ス 中 の
動植物データの構成
Class Order Family
Area
綱
目
科
生息域
Texture
画像名
Amp
hibia
Canadi
an_toad
Anura
Bufoni
dae
Rocky
ま た ,5 人 の 利 用 者( user1~ user5)を 想 定 し ,各 利
用 者 の 3 次 元 CG 操 作 に 基 づ い て , 表 8 に 示 す 個 人 プ
ロファイルを 5 つ作成した.
表 8 個人プロファイルの概要
個人プロファイル
説明
鳥を中心にロッキー地
U1
方の生き物を閲覧
ロッキー地方を中心と
U2
した生き物を閲覧
名 称 に Japanese と つ く も
U3
のを中心に閲覧
植 物 を 中 心 と し て ,時 折
U4
昆虫を閲覧
最 初 は 植 物 を 閲 覧 し ,後
U5
半に昆虫を閲覧
5.2. 実 験 1
5.3. 実 験 2
データベース中の動植物メタデータ間の内容に関
利 用 者 の 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の 要 求 に 応 じ て , 関
す る 類 似 度 に 基 づ い て , 各 動 植 物 の 3 次 元 CG コ ン テ
連 デ ー タ と し て 3 次 元 CG と と も に 返 さ れ る 動 植 物 デ
ンツに対して関連項目の抽出にした結果について,適
ータの妥当性について以下の 3 つを検証する.
合率を表 9 に示す.関連項目は,各動植物メタデータ
の う ち , 動 植 物 の 分 類 階 級 の Class, Order, Family の
I.
関連項目を累積していったもの
項 目 を 用 い た 類 似 度 計 算 に よ り 抽 出 し た . 3 次 元 CG
II.
現在のみの関連項目を利用したもの
デ ー タ 1 つ に つ き 10 個 提 示 さ れ る .適 合 率 を 計 算 す る
III. ひ と つ 前 の 関 連 項 目 ま で を 利 用 し た も の
に あ た り , 着 目 し て い る 3 次 元 CG の 動 植 物 と class
及 び order が 一 致 し た も の を 適 合 し た と 判 断 す る .
User1 が , 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ と し て , 鳥 類 で あ
例 え ば , "Japanese beech"の 3 次 元 CG を 着 目 し て い
る ”Azure kingfisher”を 要 求 し , ”Azure kingfisher”に 関
た 場 合 ,関 連 項 目 は ”Crispula”,”Goldenseal”,”Japanese
連 す る 動 植 物 デ ー タ を ラ ン キ ン グ し た 結 果 を 表 11 に
hornbeam”, ”Japanese maple Japanese zelkova” , ”Red
示す.この結果より,関連項目を重視しない場合,及
leaved hornbeam”,”Sawtooth oak”,”Serrata”,”Stonecrop”
び関連項目を重視した場合(提案方式)において,そ
, ”Yedo hornbeam”の 10 件 が 抽 出 さ れ た . こ の 場 合 ,
れ ぞ れ 鳥 類 で あ る 動 植 物 デ ー タ が 上 位 10 件 に ラ ン キ
10 件 の 関 連 デ ー タ の う ち 6 件 が "Japanese beech" と
ン グ さ れ て い る こ と が 確 認 で き る .表 11~ 13 の 結 果 か
class (Plant)及 び order (Fagales)が 一 致 す る た め , 適 合
ら , I~ III そ れ ぞ れ に つ い て 関 連 項 目 を 重 視 し た 場 合
率 は 60%と な る .全 て の 動 植 物 デ ー タ に つ い て 算 出 し
(提案方式)の検索結果において,鳥類の特徴か
ら ”Azure kingfisher” に 関 連 す る ”Silvery kingfisher” な
た 適 合 率 の 平 均 を 表 10 に 示 す .
ど kingfisher 系 の 鳥 類 が 上 位 に 検 索 さ れ て い る こ と が
表 9
関 連 項 目 の 適 合 率 の 例 ( Japanese beech)
Name
Class
Japanese beech
Plant
Order
Family
Fagales
Fagaceae
Crispula
○
○
○
Goldenseal
○
×
×
Japanese hornbeam
○
○
×
Japanese maple
○
×
×
Japanese zelkova
Red
leaved
hornbeam
Sawtooth oak
○
×
×
○
○
×
○
○
○
Serrata
○
○
○
Stonecrop
○
×
×
Yedo hornbeam
Japanese beech の
関連項目の適合率
○
○
×
100%
60%
30%
わかる.
表 11
順
位
1
2
3
4
5
6
表 10
動植物データ全体の平均適合率
関連性
7
適合率
Class
100%
8
Order
82%
9
Family
67%
10
これらの結果より,コンテンツ間の生物的な分類上
の類似性に基づいて,各動植物の関連項目を抽出でき
ていることが確認できる.
関 連 項 目 を 累 積 し た 検 索 結 果 (user1)
関連項目を重視しない
場合
コンテンツ
ID
North island
kiwi
Azure
kingfisher
Bat hawk
Silvery
kingfisher
European
kingfisher
Common
kingfisher
Blyth's
kingfisher
Indigo-banded
kingfisher
Half-collared
kingfisher
Southern
brown kiwi
スコア
0.696
0.667
0.667
0.572
0.572
0.572
0.572
0.522
関連項目を重視した
場合(提案方式)
コンテンツ
ID
Silvery
kingfisher
European
kingfisher
Common
kingfisher
Blyth's
kingfisher
Indigo-banded
kingfisher
Half-collared
kingfisher
Southern
brown kiwi
African
cuckoo-hawk
スコア
1.144
1.144
1.144
1.144
1.044
1.044
1.044
1.044
0.522
Okarito kiwi
0.953
0.522
Ruddy
kingfisher
0.953
表 12 現 在 の 関 連 項 目 を 重 視 し た 検 索 結 果 (user1)
順位
コ ン テ ン ツ ID
スコア
1 Silvery kingfisher
1.144
表 14
順
位
1
0.553
コンテンツ
ID
Acacia
2
Meryta
0.553
Meryta
1.107
3
Ivy
0.553
Ivy
1.107
4
Cheirodendron
0.553
Cheirodendron
1.107
5
0.553
0.541
Aralia
Lonicera
alpigena
Twinflower
1.107
7
Aralia
Lonicera
alpigena
Twinflower
8
Leycesteria
0.541
Leycesteria
1.082
9
Munroidendron
0.541
Munroidendron
1.082
Fatsia
0.541
Fatsia
1.082
European kingfisher
1.144
3
Common kingfisher
1.144
4
Blyth's kingfisher
1.144
5
Indigo-banded kingfisher
1.044
6
Half-collared kingfisher
1.044
7
Ruddy kingfisher
0.953
8
Lilac kingfisher
0.953
9
Banded kingfisher
0.953
6
Spangled kookaburra
0.763
表 13
1 つ前までの関連項目を重視した
関連項目を重視した
場合(提案方式)
コンテンツ
ID
Acacia
2
10
関 連 項 目 を 累 積 し た 検 索 結 果 (user4)
関連項目を重視しない
場合
10
スコア
0.551
スコア
1.107
1.103
1.082
1
検 索 結 果 (user1)
コ ン テ ン ツ ID
Silvery kingfisher
2
European kingfisher
1.144
3
Common kingfisher
1.144
4
Blyth's kingfisher
1.144
2
Senegalia berlandieri
5
Indigo-banded kingfisher
1.044
3
Senegalia laeta
1.013
6
Half-collared kingfisher
1.044
4
Senegalia greggii
1.013
7
Southern brown kiwi
1.044
5
Senegalia chundra
1.013
8
Okarito kiwi
0.953
6
Senegalia catechu
1.013
9
Ruddy kingfisher
0.953
7
Senegalia ataxacantha
1.013
Lilac kingfisher
0.953
8
Acaciella angustissima
1.013
Yellow hedysarum
0.968
Mariosousa willardiana
0.968
順位
10
スコア
1.144
表 15 現 在 の 関 連 項 目 を 重 視 し た 検 索 結 果 (user4)
順位
コ ン テ ン ツ ID
スコア
1 Senegalia caffra
1.035
9
同 様 に ,user4 が ,3 次 元 CG コ ン テ ン ツ と し て ,植
10
1.035
物 で あ る ”Crispula”を 要 求 し , ”Crispula”に 関 連 す る 動
植 物 デ ー タ を ラ ン キ ン グ し た 結 果 を 表 14~ 表 16 に 示
表 16
す .I の 実 験 結 果 と し て ,表 14 よ り ,User4 に つ い て ,
1 つ前までの関連項目を重視した
ともに個人の傾向である植物の動植物データのうち関
1
検 索 結 果 (user4)
コ ン テ ン ツ ID
Senegalia caffra
連 項 目 と さ れ て い る も の が 上 位 10 件 に ラ ン キ ン グ さ
2
Senegalia berlandieri
れ て い る . ま た Ⅱ と Ⅲ の 結 果 に つ い て は , 表 15 と 表
3
Senegalia laeta
1.013
16 か ら , user4 が 着 目 し て い る Acacia と 同 じ Order
4
Senegalia greggii
1.013
(Fabales) を 持 つ Senegalia が 上 位 に ラ ン キ ン グ さ れ て
5
Senegalia chundra
1.013
いることが確認できる.
6
Senegalia catechu
1.013
こ れ ら の 結 果 は , 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の メ タ デ ー
7
Senegalia ataxacantha
1.013
タから抽出される意味的な関連性および利用者の嗜好
8
Acaciella angustissima
1.013
Yellow hedysarum
0.968
Mariosousa willardiana
0.968
関連項目を重視しない場合,及び提案方式において,
順位
9
性 に 基 づ い て 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ を ラ ン キ ン グ す る
10
こ と に よ り ,拡 張 現 実 UI に お け る 3 次 元 CG 配 信 デ ー
スコア
1.035
1.035
タをパーソナライゼーションする事が可能であること
を示している.また,ⅡとⅢに関する結果から,利用
6. ま と め
者の興味や関心を抽出する際に閲覧履歴の着目期間を
本 研 究 で は , 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ の メ タ デ ー タ か
変えることで,刻々と変化する利用者の嗜好性に応じ
ら抽出される意味的な関連性および利用者の嗜好性に
てランキング結果をパーソナライゼーションできるこ
基 づ い て 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ を ラ ン キ ン グ す る こ と
とを示している.
に よ り ,拡 張 現 実 UI に お け る 3 次 元 CG 配 信 デ ー タ を
パーソナライゼーションする方式を示した.また, 3
次 元 CG デ ー タ 配 信 を Web サ ー ビ ス と し て 構 築 し ,拡
張 現 実 UI へ 配 信 す る た め の 3 次 元 CG 情 報 を 収 集・管
理するためのプラットフォームの実現方式を示した.
実際に構築したプロトタイプを用いた実験により,提
案方式の実現可能性を確認した.
今後の課題として,動植物コンテンツ以外の 3 次元
CG を 対 象 と し た 3 次 元 CG 配 信 環 境 を 構 築 し ,さ ら に
複数の利用者による実証実験を行うことにより,提案
方式の有用性を検証していく予定である.また,今回
の実験では,コンテンツ間の内容に関する類似度に基
づ い て ,各 3 次 元 CG の 関 連 項 目 を 抽 出 し た .今 後 は ,
オンライン百科事典に記述されている関連項目から自
動抽出したものや,専門家の視点による記述を含める
など,コンテンツ間の類似性以外の様々な視点による
関 係 性 に 基 づ い て , 各 3 次 元 CG の 関 連 項 目 を 設 定 し
た上で評価実験を行っていく.さらに,本方式を,文
献 [8] で 示 し た 先 読 み キ ャ ッ シ ュ 管 理 方 式 へ 適 用 す る
こ と に よ り , 3 次 元 CG コ ン テ ン ツ を 対 象 と し た キ ャ
ッシュ効率の向上化を図っていくことを検討している.
参
考
文
献
[1] 吉 田 祥 子 ,岡 林 誠 治 ,吉 田 香 [他 ],打 浪 清 一 ,
"連 邦 型 分 散 デ ー タ ベ ー ス シ ス テ ム の 構 成 法 に 関
す る 研 究 : 属 性・属 性 値・個 体 統 合 に よ る DB 統
合 , 及 び 更 新 に つ い て ", 情 報 処 理 学 会 研 究 報 告 .
デ ー タ ベ ー ス ・ シ ス テ ム 研 究 会 報 告 2006(9)
167-174,2006-01-26
[2] 宮 川 祥 子 , 清 木 康 , "特 定 分 野 ド キ ュ メ ン ト を
対象とした意味的連想検索のためのメタデータ
空 間 生 成 方 式 ", 情 報 処 理 学 会 論 文 誌 . デ ー タ ベ
ー ス 40(SIG_5(TOD_2)) 15-28,1999-05-15
[3] 光 原 弘 幸 ,越 智 洋 司 ,矢 野 米 雄 ,"Web ペ ー ジ
に 関 連 知 識 の 解 説 を リ ン ク す る WBL シ ス テ ム ",
電 子 情 報 通 信 学 会 論 文 誌 . D-I, 情 報 ・ シ ス テ ム , I情 報 処 理 29-38,2003-01-01
[4] 千 葉 將 貴 , 鈴 木 優 , 川 越 恭 二 , "リ ン ク 先 の 内
容を考慮したアンカー文字列のメタデータ生成
手 法 ", 情 報 処 理 学 会 研 究 報 告 . デ ー タ ベ ー ス・シ
ス テ ム 研 究 会 報 告 2007(6) 109-115,2007-01-25
[5] 戸 田 浩 之 , 片 岡 良 治 , 北 川 博 之 , "固 有 表 現 を
用 い た ニ ュ ー ス 記 事 分 類 手 法 の 提 案 ", 情 報 処 理
学会研究報告. データベース・システム研究会報
告 2005(67) 175-181,2005-07-13
[6] Passalis, G., Theoharis, T., Kakadiaris, I.A., "PTK: A
Novel Depth Buffer-Based Shape Descriptor for
Three-Dimensional Object Retrieval", Visual comput
(2007) 23 pp. 5-14,2007
[7] 三 宅 香 菜 子 , 宮 崎 純 , 天 野 敏 之 , 藤 澤 誠 ,
加 藤 博 一 , "複 数 の 検 索 要 素 を 統 合 す る 3D オ
ブ ジ ェ ク ト 検 索 シ ス テ ム ", 第 3 回 デ ー タ 工 学 と
情 報 マ ネ ジ メ ン ト に 関 す る フ ォ ー ラ ム
(DEIM2011),B7-6 ,2011-2
[8] 本 多 宏 至 , 笠 原 誠 人 , 鷹 野 孝 典 , "拡 張 現 実 UI
に お け る 3 次 元 CG 操 作 履 歴 に 基 づ い た キ ャ ッ シ
ュ 管 理 方 式 ", 第 5 回 デ ー タ 工 学 と 情 報 マ ネ ジ メ
ン ト に 関 す る フ ォ ー ラ ム ,2013-3
[9] 笠 原 誠 人 , 鷹 野 孝 典 , "生 態 系 フ ィ ー ル ド ワ ー ク
の た め の 拡 張 現 実 UI を 備 え た モ バ イ ル 学 習 シ ス
テ ム ", 情 報 処 理 学 会 研 究 報 告 . MBL, [モ バ イ ル コ
ンピューティングとユビキタス通信研究会研究
報 告 ] 2012-MBL-64(16) 1-7,2012-11-08
[10] Layer, http://layar.jp/, 2013.
[11] Wikitude, http://www.wikitude.com/, 2013.
[12] Sangkyum Kim ; Jaebum Kim ; Younhee Ko ;
Seung-Won Hwang ; Jiawei Han , "PerRank:
Personalized Rank Retrieval with Categorical and
Numerical
Attributes",
Web-Age
Information
Management, 2008. WAIM '08. The Ninth
International Conference on 270 - 277,20-22 July
2008
[13] Eitsuka, M. ; Hirakawa, M., "Authoring Animations
of Virtual Objects in Augmented Reality-Based 3D
Space", Advanced Applied Informatics (IIAIAAI),
2013 IIAI International Conference on 256 - 261,Aug.
31 2013-Sept. 4 2013
[14] Qi Liu ;Enhong Chen ; Hui Xiong ; Ding, C.H.Q. ;
Jian Chen , "Enhancing Collaborative Filtering by
User Interest Expansion via Personalized Ranking",
Systems, Man, and Cybernetics, Part B: Cybernetics,
IEEE Transactions on 218 - 233,Feb. 2012
[15] Capelle, M., Hogenboom, A., Hogenboom, A.,
Frasincar, "Semantic news recommendation using
wordnet and bing similarities," Proceedings of the
28th Annual ACM Symposium on Applied Computing,
pp.296-302, 2013.
[16] Mohammadzadeh, H., Gottron, T., Schweiggert, F.,
Heyer, G., "TitleFinder: extracting the headline of
news web pages based on cosine similarity and
overlap scoring similarity," Proceedings of the
twelfthinternational workshop on Web information
and data management, pp.65-72, 2013.
[17] Tangelder, J. W., Veltkamp, R. C., "A survey of
content based 3D shape retrieval methods," Journal
of Multimedia Tools and Applications, pp.441-471,
2008.
[18] Claus, C., Eder, J., "Efficient top-k retrieval for user
preference queries," Proceedings of the 2011 ACM
Symposium on Applied Computing, pp.1045-1052,
2011.