EU規制対応!! 室温硬化樹脂用スズフリー硬化剤の開発 三重大学 大学院工学研究科 電気電子工学専攻 准教授 青木 裕介 1 従来技術とその問題点 ・建材塗料、シーリング材、接着剤などに用いら れる室温硬化型(RTV)樹脂 (シリコーン、変成シリコーン、ウレタンポリマー) ・材料は、主剤、架橋剤、硬化触媒および要求機 能に応じた各種添加剤から構成 ・現在、硬化触媒として有機スズ化合物が使用さ れているが、 EU規制により使用量の規制を受け る。 →代替触媒が強く求められている 2 新技術の特徴・従来技術との比較 • 新規触媒(有機チタン系触媒を含む硬化剤) は、有機スズ触媒を用いた従来品と同等以上 の速硬化性と同等の貯蔵安定性を示し,室温 硬化させた樹脂は従来品以上の接着強度を示 す。 • 安全性、対環境性に優れる。 • 市販の化合物の配合物であり,技術移転が容 易である。 3 新規触媒 有機チタン系触媒を含む硬化剤 アセト酢酸エチル (EAcAc) + チタンテトライソプロポキシド (TTIP) 2座配位触媒 トリメチルグアニジン (TMG) 新規触媒 • 金属アルコキシド、特にチタニウムアルコキシドを2座配位のキレート 化剤で安定化し、さらにグアニジン化合物を加えた組成物(配合物)が シリコーン樹脂やシリル基含有ポリマー、ウレタン樹脂等の常温硬化 用の硬化剤として、有機錫硬化触媒より反応性が向上する 4 【実施例1】 シリコーン(PDMS)への適用 新規触媒を用いて作製される硬化体は、スズ系触媒以上の柔軟 性と破断強度を有し、かつ高い耐久性を有する。 原料 主剤:両末端シラノール変性ポリ ジメチルシロキサン(PDMS) 信越シリコーン製、Mw=1000 架橋材:メチルトリメトキシシラ ン2phr 硬化剤:新触媒、PDMSに対して 3.2 phr 硬化条件 23℃、相対湿度50%,1週間保管 評価 硬化体の機械的性質 耐久性 120℃×5⽇間熱⽔に浸漬 5 【実施例2】 変成シリコーン(アルコキシシリル基 含有無溶剤アクリルポリマー)への適用 本発明硬化剤は,変成シリコーンにおいて、粘度を短時間 で増⼤させる、すなわち、⾼分⼦化を早く進める. 原料 主剤:カネカ製S303 硬化剤:本発明硬化剤、有機 スズ化合物ともに4.4phr カップリング剤:有機スズ化 合物配合時のみアミノシラン 4.3phr 評価 23℃、相対湿度50%に保管 して、粘度変化を測定 6 【実施例3】ウレタン樹脂への適用 本発明硬化剤は,ウレタン樹脂においても増粘速度 (⾼分⼦化)を速くする. 評価 23℃、相対湿度50%に保管して、 粘度変化を測定 500 本発明硬化剤 400 有機錫化合物 粘度 (Pa・s) 原料 ・⼆液混合型粘着性無⻩変低硬度ポリウ レタン(商品名: セフタック A30 -NY)のポリプロピレン系ポリオール を主成分とするポリオール配合物(ウレ タン技研⼯業㈱製PPG) 45.3g ・脂肪族系ジイソシアネートを主成分と するイソシアネート配合物(ウレタン技 研⼯業㈱製DIC) 16.0g ・硬化組成物 0.036g (PPGに対して 0.0008phr) 300 200 100 0 0 20 40 60 80 シャーレ展開後経過時間 (min) 7 想定される用途 室温硬化型樹脂の主要な主剤であるシリコーン、 変成シリコーン、ウレタンなどに好適なスズフリー 硬化剤であるので、これら樹脂の製品である 接着剤、シーリング材、塗料メーカー は勿論、 衛生用途・インク用途 など幅広い分野での展開が可能と考えられる。 8 実用化に向けた課題 • 川上企業(主剤メーカー)および川中企業(加工メーカー)に よる実用化・製品化レベルでの試験・評価を受けたところ、Ti に起因する着色、実製品配合での硬化不良が新たな課題と なっている。 • 現在、変成シリコーンにおいて 「無色・透明」かつ「高活性」な 硬化剤の開発に成功している。 (特許出願済) →*NDA締結後、ご提供は可能 新規開発無⾊• 透明硬化剤使⽤ 従来型スズ系硬 化剤使⽤ ・硬化不良対策となる硬化剤の開発も、現在進めている。 9 企業への期待 • スズフリー硬化剤の実用化に向けて、特 に加工メーカーによる実用化・製品化レベ ルでの試験・評価の実施していただきたい • その結果を通して、業界のニーズに対する 課題(無色化等)、秘密情報となりがちな 実製品配合での課題(添加剤との相性等)、 大学で取り組むべき新規の課題抽出を行 い、その解決を目指していきたい。 • さらに、それら新規課題の解決に向けた共同 研究を希望している。 10 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :硬化性組成物およびそれを用いて 硬化させた合成樹脂 • 出願番号 :特願2012-088447号 PCT/JP2013/002274 • 出願人 :三重大学 信州大学 • 発明者 :中村 修平、田中 義身、狩野 幹人、 村上 泰 11 お問い合わせ先 三重大学 知的財産統括室 TEL 059-231-5495 FAX 059-231-9743 e-mail [email protected] 12
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