特集 プロジェクトマネジメント「Exアプローチ」 関係者全員による協創のアプローチ ITシステムに「新たな経験価値」を創出 今やITシステムの開発には、業務の効率化やコ 義以前の“超上流”工程において活用しています。 スト削減だけでなく、 お客さま満足度の向上や従業 Exアプローチでは、 ビジネスコンサルタント・デザイ 員の働きやすさにつながる「使ってよかった!」 「思い ナー・システムエンジニアといった専門知識を持つ日 どおりにできた!」 といった「経験価値」の実現が求め 立のスタッフが、 この手法を活用して経営・現場・IT られています。 の3つの視点で調査・分析などの準備を徹底的に行 しかし、 「経験価値」を事前にイメージし、 システム い、 お客さまの合意形成を支援します。そうすること の機能に落とし込んでいくのは非常に困難な作業で で「経営層や業務部門が求めるものとは異なるシス す。経営幹部・業務部門・IT部門といったお客さま テムを作ってしまった」 「ユーザーが使いにくいシステ 企業内の幅広いステークホルダーが、提供したい新 ムが出来上がってしまった」 とならないよう、新業務の 業務の全体像を理解しながら、課題や解決策、 その あるべき姿を明確化します。 アプローチなどを検討し、全員で合意形成を図る協 3段階のステップ 「理解」 「展望」 「納得」 創のプロセスが不可欠だからです。 お客さまや従業員の 経験価値を最適化 Exアプローチでは、開発プロセスにおける超上流 日立では、半世紀にわたり人間中心設計の視点で プで進めます(図1) 。 蓄積してきた「経験価値」に関する技術やノウハウを 第1ステップの「理解」では、 お客さまの経営戦略 取り入れ、 「Exアプローチ」 という手法を独自に体系 や現場の実態を踏まえ、 どこを変えるべきかを特定し 化し、構想策定やシステム化計画といった、要件定 ます。ここでは、入手した情報から問題点や課題に 工程を、 「理解」 「展望」 「納得」 という3段階のステッ 事業戦略 構想策定・システム化計画 案件定義 基本設計∼製造∼運用 超上流工程 経営 幹部 Exアプローチ IT 部門 「理解」 「展望」 「納得」 戦略とのGAPや 現場での課題の把握 未来の経験を創造する 新業務のTo-Be像立案 新業務・システムの実現性・ 実効性の検証と実行計画作成 何を変えるか? 何に変えるか? どうやって変えるか? 協創 業務 現場 日立 人間中心設計 デザインシンキング 人 見える化技法 デザイナー デザインスキル ロジカルシンキング ビジネス コンサルタント 解決の方法論 経営 コンサルティングスキル SI技術・知見 お客さまとの合意形成力 最新技術 図1 Exアプローチの全体像 9 技術 融合 はいたっく 2014.6 All Rights Reserved,Copyright ©2014,Hitachi,Ltd. お客さまシステムに 関する知見 システムソリューション 経験(PM力) SE (システムエンジニア) プロジェクトマネジメント 協創ワークショップ 日立は、 関係者全員が理解しやすい検討素材の提供と、 専門家によるワークショップの実施を通じて、 合意形成を支援します 理解しやすい形で 業務イメージや課題を整理 業務部門 経営層 関係部門 Exテーブル 日立専門家による 議論と合意形成の支援 ファシリテータ 専門的な教育を受け、 意見を引き出し、 議論を整理し導く IT部門 運用担当 日立 デザイナー IT部門 企画担当 お客さまの意見・要望を 整理し、 わかりやすく 視覚化する 課題関連図 エンジニア 先進技術・最新の システム導入事例など のアドバイス 図2 合意形成に向けた取り組み 関する仮説を設定し検証します。その一例として、 エ トからイメージしづらい新業務をクイックに検証します。 スノグラファーという専門家が、現場でお客さまの業 これら3つのステップを通じて、 「業務の価値を向上 務の観察やインタビューを行うことで仮説を検証する させるITシステム」 の要件定義へとつなげていきます。 とともに、現場だけでしか抽出できない潜在的な問題 や工夫を抽出します。 戦略策定やサービスデザインの 領域に拡大予定 第2ステップの「展望」では、業務のあるべき姿を 描きます。その手法の一つに、Exテーブルがありま 日立は、Exアプローチによる超上流工程に取り組 す。これは、課題や経営目標と、 “ やりがいを感じる” むことで、 システム開発における手戻りのリスクを低減 など現場の「経験価値」が表現され、 かつ業務全体 し、 お客さま満足度の高いシステムを提供してきまし ふかん が俯瞰できるものです。このような手法を活用し協創 た。これまでに、 さまざまな業種と業務分野でExアプ ワークショップを実施することで、業務のあるべき姿と ローチを適用していただき、ITシステムの付加価値 解決の方向性について合意形成を図ります(図2)。 向上に貢献しています。 第3ステップの「納得」では、 解決の方向性や新業 今後は、 ITシステムのみならず、 お客さま企業と共に 務の実現性を検証します。例えばシステム画面や帳票 進める新サービスデザインにもExアプローチを適用し、 を簡易的に作成しロールプレイすることで業務プロセ その展開領域を一段と拡大・強化していく予定です。 スやシステム操作の変更点を確認するなど、 ドキュメン Exアプローチのさらなる進化に、 どうぞご期待ください。 お問い合わせ先 (株) 日立製作所 サービスプロデュース統括本部 Exアプローチ推進センタ TEL(03)5471-3408 ■情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/design/field/solution/ex_approach_01/ はいたっく 2014.6 All Rights Reserved,Copyright ©2014,Hitachi,Ltd. 10
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