r[Gn(r)I

1
8
5
円筒型抵抗体の抵抗値の数値計算
青木
E 義・杉原寛治
Numerical Calculations.
o
fResistancesof CylindricalResistors
S
e
i
g
i AOKI ,Kanji SUGIHARA
a
l
c
u
l
a
t
e
dbymeans
R
e
s
i
s
t
a
n
c
e
so
fc
y
l
i
n
d
r
i
c
a
lr
e
s
i
s
t
o
r
shave been approximately c
o
fat
e
n
t
a
t
i
v
emethod.Two-dimensionalr
e
s
i
s
t
a
n
c
e
scanbec
a
l
c
u
l
a
t
e
dusingconformal
mappingmethod.Anassumptionwhichthet
w
o
d
i
m
e
n
s
i
o
n
a
lr
e
p
r
e
s
e
n
t
a
t
i
o
nmayber
o
t
a
t
e
d
aboutac
e
n
t
r
a
la
x
i
si
si
n
t
r
o
d
u
c
e
dt
og
e
tt
h
r
e
e
d
i
m
e
n
s
i
o
n
a
lr
e
s
u
l
t
s
.Suchr
o
t
a
t
i
o
nc
o
r
r
e
s
,the
ponds the i
n
t
e
g
r
a
t
i
o
nwithsome w
e
i
g
h
t
. The c
a
l
c
u
l
a
t
i
o
n
saremadei
ntwoc
a
s
e
s
c
y
l
i
n
d
r
i
c
a
lr
e
s
i
s
t
o
r with e
l
e
c
t
r
o
d
e
s on s
i
d
es
u
r
f
a
c
ea
t both ends andthe r
o
d
t
y
p
e
composition r
e
s
i
s
t
o
r
. Numerical r
e
s
u
l
t
s are i
n agreementwith experimentalr
e
s
u
l
t
s
f
o
rt
h
er
e
s
i
s
t
o
r
s
o
fa
p
p
r
o
p
r
i
a
t
es
i
z
e
.
‘
え
7
5
{
き
宮
円筒型抵抗体の電極の大きさや配置を変えた場合,どんな抵抗値を示すかということは興味ある
問題である o 円筒型抵抗体の抵抗値を計算によって求めることは,三次元のラプラス方程式をたて
て適当な境界条件のもとに解いてできる山‘
(
4
)0
T.Nakaiは,この方法によって, 二三の試料に
ついて,計算と実験を行なって比較した (2)。
薄い皮膜抵抗体の場合は,二次元問題と考えて,等角写保を用いた計算が実験的結果とよく一致
することが解っている山崎]。そこで,等角写像で、得られた二次元的な結果の式をある中心軸のまわ
りに回転させた表現を求めることによって,円筒型抵抗体の抵抗値が近似的に計算できる O この報
告では,特に市販の抵抗器の形状のものについて計算し t
:
.o
2
計
算
雷雄
2
什1 はじめに
~十|
s
ようなニ次元の皮膜抵抗体の抵抗{値直を等角写
像と楕円函数を用いて計算した問。計算の結
L-.k.
←一一一一2a
一一一一→
(a)
a
)の場合 a>2hの時,
果は, (
r
R一 一d
色l
~--~logJ
s
i
n
竺
立
)
1
b
7
t
: Vo
2
bJ
J
J
.
ヘ
;
:
:
)
J
.
J
.
J
.
(
b
)の場合 b>2a,d>2a の時,
R一
=
一ρ
一 一π
← 一a
一一回
d
7
t
:O十 2
a
l
o
g
2
e
である o ここで
dは膜厚,
ρは比抵抗であ
る。同じ計算によって, F
i
g
.(
1
)(
c
)の図形の
~2a ー→
←一一-2b
一
一
一
一
,
(b)
r[Gn(r)I (c)
← 一 一 2a一一一→
F
i
g
.1 R
e
c
t
a
n
g
u
l
a
rr
e
s
i
s
t
o
r
sf
o
rt
w
od
i
m
e
n
s
i
o
n
a
l
p
r
o
b
l
e
m
.
抵抗植を計算した。この計算結果は文献(竹に詳しいが,その概略を附録にかかげる o この場合の抵
普 講 師 州 松 下 電 器 産 業 K.K
無線事業本部研究所次長
1
8
6
福井大学工学部研究報告第1
3
巻 第 1号
抗値を表わす式は,
与(JZ--zloge(sinhZ))
・
・
・
・
・
・
・(
1
)
R=
で,条件は a/r>2,および d/r<a/r-1
.5
6である o 特 に a/r
ヱ 2の時,後の条件は d
/
r
く0
.56と
なる o
・
2 2 基本的な1&定
式(
1
)の逆数をとってコ γ ダクタンスの形にし,また rを変数と考えると,
となる o ただし,
は
,
字E
- 7 1
ー
・
す一三 logel8inh号)
つ一一
σ は電気伝導率である O
ぃ
司自
“
、
‘
,
s
'
d
G山 )=_On
添
二次元問題における量を表わしたも
:
}
R
lj司 ;
ig.2のごと
に従う。つぎに, F
等分
くこの抵抗体を n等分して ,i番目の短冊形の
こ
部分のコンダクタンスを求めたいのだが,
そのかわり Ai=
のようなことは出来ない。
e
s
i
s
t
o
r
.
d
i
v
i
s
i
o
no
e
c
t
a
n
g
u
l
a
rr
F
i
g
.2 Then
fr
)G
I
I
(
P
番
t
G
I
I
(
P
i
t
)と定義して,この Aiをi
目の短暗部分の全体の電気伝導にたいする寄与の程度を表わすものと仮定する。この和 ZA~ が G II
(
r
o
)で‘あるから,積分で表現すると,
Gバ
h
。
子h = J :GI川
dr
3
)
・
・
・
・
・
・
・(
となる o 以下の計算は,抵抗値を求める一つの近似方法として,短冊部分の電気伝導にたいする寄
c
)の図形を中心軸のまわりに廻転させたものを計算す
ig.l (
与 Atという仮定的な量を用いて F
3
)の積分において適当な weightをつけて積分することに苅・
るo これを計算手続上で考えれば,式(
応する o
3
両端周辺に電極がある円筒型抵抗体
3・
1計 算 式
{磁
Fig.3ω の抵抗体について考える前に
t
~、f
l
I
抗体のゴン rクタンスを求める。厚さに比例
i
g
.3 ( 山 ご と き 薄 い 扇 形 断 面 の 抵
まず, F
J
I
.
L0
湯
槽
m
r
o
ψ
L
lG ω
^
A-2a--
一一一←-
(a)
(b)
a
)A c
F
i
g
.3 (
y
l
i
n
d
r
i
c
a
lr
e
s
i
s
t
o
rand(
b
)t
h
e
訂
p
a
r
td
i
t
hs
e
m
i
c
i
r
c
u
l
c
r
o
s
s
i
v
i
d
e
dw
s
e
c
t
i
o
n
.
r
o
J
-「orG山 油
=GII(ro〉
宅
盈
雪
兵一2a----+
した weightをつけると,
_
r
n
.旦二
~.GII'(r)dr
JG(
r
o
)=
J0
f
G
(l
"
)
J0
4
)
・
-(
となる o ただし,座標は扇形の下側の厚さ dのところを原点にとっ t
.
:
.o 式(司より,
J
G山 〕
a-ScothZE
= 2 │二一一一
日
・
一
一
'
)
/ U _11¥2
,
,
〓 8inh二二=
1
1
1
0
! rπd'¥ “ 2
r}J
2
), (
5
)を式(
4
)に代入すると
式(
.......~ ..ー
.
(
5
)
円筒型抵抗体の抵抗値の数値計算
187
πo
ddr
1
(
'
C
>
O
a-dcotht
d
ti
L
lG(ro)= 一一一│
一 一t
o I 一一一一一一山
一一・一一│… ・・
一
(
同
4 l ato
-d1og
e
Csinht
o
) "
uJ {
at-d10g
(sinht
)}
2
. tJ
e
H
H
となる o ただし
t
=
πd
/
2
r,to=πd/2ro
Go
T
九
… (7)
である O 全体のコンダクタンスは
1
2
L・LlG(ro)
,
J
G(r
炉
←一一2
.a
:
一一→
F
i
g
.4 A s
t
a
n
d
a
r
dr
e
s
i
s
t
o
r
w
i
t
hp
a
r
a
l
l
e
l
e
l
e
c
t
r
i
cs
t
r
e
a
m
s
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
ー
・(
8
)
である D ここで, Fig.4でのような基準の形の抵抗体を考えて,そ
=πaro2/2aと,式 (
8
)の比を計算すると,
のコ y ダクタンス Go
r
r 一
1
.r
∞
a-dcotht
dti
-G=2at一 一 一 一t
n
i--;
一一一一一・
O
lato-dloge(
sinht
o
) "0 J
. {
at-d1oge(sinht
)
)
2- t J
。
$
l
00
l__ • ∞th t
lJ
,
.0 0
1
唱
=2toI
一一 ~一一一一一一一一一 to
t
o一す同
1
o
句g
島e
パ
品
(
恒
s
副
刷i
n
削
l
T
・
・
・
・
・
・(
9
)
r
a
1 -/----;:-一
_1L
i
・
d
t
)
:
VI
・
・
・
・
・
・
・
・
・
(
到F
となる O
3-2 近似計算
9
)は,そのまま電子計算機で計算出来るが,適当な条件のもとで近似計算を行なう。 to=πd
式(
/
2ro>3,すなわち,大体 d>
ならば, 0.2%位の誤差で, e
s
oに比べて e
F
t
oが無視出来る o それで,
2ro
cotht
,および sinhtが簡単になり,式 (
9
)は
,
r/
1
,
-一一一 一a-一o一 一 一 一 ・ d.ti
1
I
{(a-d)t+δ1og
2
}
2
t ..
.
.J
e
2"
-=2
a
t
n -(a-d
一
oJ
~- ';'C: UO l
)
t1一
d
1
o
g
e
2 一t
"0 .
十
o
O Q
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
・
・
(
1
.
0
)
となる。 l/z=(a-d)t+a
Ioge2 と変数変換して第 2項の積分計算をし,さらに
制
u-2n10
佳2
d1旦~e.~
一 π(a-d) ー (a-d)to
.
1
0
とおくと,式刷は,
2ロ=3明 訓
G
2a u-log
(1+u)
e
u2
Go a-d
・
・
・
・
・0
均
あるから,式u2)は,
戸
.L
o
G
a f~1 一一一
2 u)
¥
一一=一一一
Go- a-dI
¥
3
.
.
.
.J ….....・...偶
0
.8
d¥
。
区
ro
となる oa-d>4
の条件をつけると, u~ 1で
まT
こは,
:~=( 1ー
す)(1+←)
.
.
.
.
.
帥
0
.
4
となる o
F
i
g
.1(
c
)の二次元問題の場合の抵抗比 (R/
RO)lIと式幽を比較すると, R/Ro:(R/Ro)lI=
=(1+2u/3):(1+u)となる o
3-3 実験および結果
実験は,直径 3捌のソリッド抵抗器用抵抗芯
棒を用い,適当な長さに切って,シノレバーペイ
o
1
0
2
0
O(mm)
F
i
g
.5 R
e
l
a
t
i
o
n
so
fr
e
s
i
s
t
a
n
c
er
a
t
i
oR/Rot
o
e
l
e
c
t
r
o
d
el
e
n
g
t
h
.Thef
u
l
ll
i
n
e
sa
r
e
c
u
r
v
e
sc
a
l
c
u
l
a
t
e
du
s
i
n
gE
q
.
1
4
.
Themarksi
n
d
i
c
a
t
ee
x
p
e
r
i
m
e
n
t
a
l
v
a
l
u
e
s x a=10mm,O~a=15mm , 口:
a=20
棚 , . :a
=30mmandA:a=60
脚.
福井大学工学部研究報告第 1
3
巻 第 1号
1
8
8
ントで電極をつけて行なったo 抵抗値の測定には直流プリヴヂを用いた o F
i
g
.5 に そ の 結 果 を 示
す。計算曲線には,式紬を用いた。
Ro
d型コンポジション抵抗体
4
4・
1仮 定
4
3
:
:
i
二
時
Fig.6(
a
)のような市販のコン
ホ。ジション型抵抗器(通称ソリッ
ド抵抗器〕と同形のものについて
計算する。まず,仮定として,
t
Fig.6 (
b
)のごとく,全く電極に
←
一
ー-2aー→
(a)
はさまれた部分 (
PartA)と,そ
PartB)に分けて
の外側の部分 (
(b)
o
d
t
y
p
ec
o
m
p
o
s
i
t
i
o
nr
e
s
i
s
t
o
randi
t
sc
r
o
s
s
Fig.6 Ther
s
e
c
t
i
o
n
.
それぞれ電流が独立に流れるもの
として計算する o
4-2 計 算
PartAのコンダクタンスは,
Gー
A
πo
e2
・
・
・
・
・
・
・
・
・
伺
2U
t
ニ
阻d
)
-
1
節の方法にしたがって計算すると,
である o Part Bについては, 3・
rro-εr+e
:
,
.
.
.
.
,
21
l
'
e
:
.
.
.
.
.
.
21
l
'
仏 -e)+
GB=7jO7GFII(MrzI-GI
,
ro-e
r
G
'
t
l
(
r
)
d
r
'
d
.J
0
・
-U
6
)
となる o ここで,径座標 rは,電極の表面すなわち PartAとB の墳のところを原点にとり,円筒側
面のところで ro-eになるように選んだ。式(
2
),(
5
)を式日目に代入して, t
=
πd
/
2
r
,t
=
r
r
o
j
2
(
r
o一ε
〕
o
とおくと,
d
t
t
.SF
a-dcotht
<
a
t-dlogee
S
lnhtYP--
d
門
I~
‘
、
h
u
-
e
d
n3ad2
do
GB一
+
ði~g:-(sinh
反訂o)
}
t
4
O
となる。つぎに, F
ig.6(
a
)の抵抗体と Fig.4の基準抵抗体とのコンダクタンスの比および抵抗値
の比を求めると,
G =τ7ττ
2a (
G十 G) および
r
o
2 )
0
2¥.'-'IAl I '-'Bn.l 4 " """ V ' Ro=一一一竺
2a(G
o- 7t0r
A十 G
B
ー ー
.
.
.
.
.
.
t
.
.
.・
・
(
1
8
)
である O
4・
3 近似計算
d>2(ro-e)の場合には 3・
2と同様にして近似計算が出来る。すなわち,
π
3a
2
a
e
d
(a-d)
π
GB 2{(a
o
g
e
2
)2
I
ー
の to+訓oge2}一 4(
{ 8 1 n o e 2 ) 8恥 2
-l
l
o
g
e
i1+
7to} -ZF
抗 有 面F
J
』
I
一一一ー←一-
〔
e
:
白
となるから,
u =J-!恒三一主主L-e)1
空佐
一 (a-d)to
--π(a-d)
とおくと,式闘は,
・
・
・
・
・
・
・
・
・0
副
1
8
9
円筒型抵抗体の話抗値の数値計算
f
t
=三
百
(
去Y
+r
:
O
4
e
2
[
ε
(
1-辻か 2
1
2
長引同(
1
一辻計)
十u)
-・・・・…・・・・倒
であり, さらに, a-o>4(roーめならば,
・
ー
す
)(ro-e)2
仰
一
Go- a-o .
(1日 〉 山 山 -e)+(1
(1+u)ro2
となる o
岡弘
.
1
5
.
1
5
2E:
歴3ねm
2ε1
←21-+
白こ
a
:
:
a
1
.
0
注
1
.0
Q5
0
.5
。4
)
(LU
(
a
)
。
8
o
(
m
m
)
中
日
刊
.
1
5
4
8
6
(
m
m
)
1
2
+8.
.
1
2
酔3
813ι
晶
2Et
←- 4 5前市一→
α
注
1
.
0
。
1
.
0
医
、¥
包
0
.
8
0
.
5
。
(
c
)
4
8
d(m帆)
1
2
。
何
4
8
6(
m
m
)
1
2
.
e
l
a
t
i
o
n
so
fr
e
s
i
s
t
a
n
c
er
a
t
i
oR/Ro t
oe
l
e
c
t
r
o
d
el
e
n
g
t
ha
t(
a
) a=1
9
m
m,叫
( 21mm,
Fig.7 R
(
c
)2
9
伽
and但)
4
5
棚.T
hef
u
l
ll
i
n
e
sa
r
ecurvesc
a
l
c
u
l
a
t
e
du
s
i
n
gEq. 20,2
1and
22
,andt
h
ed
o
t
t
e
dl
i
n
e
sareu
s
i
n
gEq.2
1o
n
l
y
.Themarks口 (
e
=
4
.
5
m
m
),Q
(
3
m
m
)
and .
6
(
1
.5
m
m
)showt
h
eexperimentalv
a
l
u
e
sbyAokiandS
u
g
i
h
a
r
a
.and
圃(
4
.
5
m
吋,・ (
3
m
m
)
.企 (
1
.5
m
m
)and x
(
0
.
5
m
m
)showbyS
ugiharaandSugiyama.
1
9
0
福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第1
3
巻 第 1号
なお,電子計算犠で式O7
),。国を計算する場合には, t
> 3となるような適当な t
oから
1
1を選んで,t
t
1 までは式脚,制,仰を用い, t
1から∞までは近似計算の方法を用いる o 便宜上,前者は次式の
ような形で計算した。
~__
_
r02
一
三
子i
:
J
i
k
I
工J+K)
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
・
・
絢
R
;
-
1= a
to
ー剖oJ
バsinhtQ)
otht
d
t
{
t
1 一 旦 三Sc
J=J
(
s
i
n
ht
)}
2
t
o {at-olog
e
t
〕 {1ng 〈 a-ò)tcぜ恒g~
K-d(a-S
1O e'
21
-2Calog
(
a-o)t1
亙)
_òl~g_~~
一一
(
a-o)t=
r
a
l
o
g
e2J
1
これまでに用いた条件を列挙すると,式仰では
a/(ro-e)>2
ε
)-1.5
6
d
/
(
r
oーε)<a/(ro一
.
5
6
/
(
r
o一ε
特に. a/(ro-e)こ 2の時は .o
〉
く0
である o 式鋤では,さらに .o
/(ro-e)>2であり,式仰では,これに加えて. a-o>4(ro-e)で
なけねばならぬ。
4・
4 実験および結果
ig.7(a)-(d)に示した。実線は,式仰によって IBM
計算および実験の結果を F
電子計算職 (8
桁表示〕で行なったものである o ただし,この計算過程における有効数字は 8桁であるが,用いた
t
oと π の有効数字が, 4-5桁であるのと,
の数値の有効数字は
差を計算する過程で有効数字が低下するので,
結果
8桁よりかなり小さいと思われる。式白血と式仰の近似式が適用出来る範囲で
は,これを使って計算した。 F
ig.7中の点線は,参考のために,その適用範圏外の条件において,
式むを使って計算した結果を示したものである O
Fig.7中の塗りつぶしてない印 O
. ム,口,などは実験値を示している。実験は,ガラス管に稀
い食塩水を入れ,真鍋製電極を用いて行なった。交流プリ・y ヂで抵抗値を測定した。あきらかに電
極の腐蝕によ司て,かけはなれた大きな抵抗値を示した測定点は除いた。塗りつぶしてある印・,
.Sugiyamaが,銀メッキ電極を用いて,硫酸銅溶液中で行な司た実験結果
.A,圃および×印は, S
である o ただし,測定試料の大きさが筆者の場合と異るので,相似的に縮小して,換算した値を示
してある。
5
考
察
両端の周辺に電極をつけた円筒型抵抗体の場合は,とくに,太短い場合を除いて,長さが直径の
2倍以上あるものでは,だいたい実験とよく合っている。 3・
2節のおわりに述べた抵抗比の比より,
)
1
1より小さいことがわかる o このこと
抵抗比 R/Roが,回転操作前の二次元の場合の抵抗比 (R/R
o
eightをつけて積分するという計算手続からの帰結で当然のことといえる o 一方,
は
, w
これは,
この回転操作という試みの結果が,そんなに的はずれたものでないという意味でもある o
Fig.4 において,長さ a-2ò のものを基準抵抗体と考えると,式~は,
U
R/Ro=1十 2u/3となり
を小さくするような電極の幅 8を選べば, R/Ro
→ 1とすることが出来る o
rod型コンポジション型抵抗体の場合については,前の場合と逆に,その抵抗比 R/Roは,回転
操作によ...,て,二次元の場合の抵抗比 (R/Ru)Ilより大きくなる o Fig.7 より,電極半径 εの大き
なものでは実験値とよく一致するが t eの小さい場合は一致しない。これは,
回転操作による誤差
1
9
1
円筒型抵抗体の抵抗値の数値計算
と,そして, P
artAと PartB とを独立に考えたことによる誤差が, r
o一εの増加と共に大きくな
ることを示している o
ここで計算した計算式は,市販ソリ・7 ド抵抗器のごとき大きさ,形状のものについては,充分適
用出来る範囲にあると考えられる。もっとも,実際のソリッド抵抗器の内部電極は,成型されると
きに押しつぶされているので複雑な形にはなっているが,この計算式が,何らかの抵抗値の目安を
与えるかもしれない。
あ
D
'
と
き
6
この研究の大半は,筆者のうちの一人が,松下電器産業株式会社に在職中に行なったもので‘あっ
て,この発表を許可された同社無線事業本部研究所長城阪俊吉氏に深く感謝しますo また,実験に
際して常に便宜を与えて下さった同研究所抵抗特別研究室の方々,および電子計算機による計算を
引受けて下さった同 IBM
計算機室の方々に心から謝意を表しますO
附 録
F
i
g
.
l(
c
)の抵抗値を計算するのに F
i
g
.
8
(
a
)から (
d
)に示すように,三つの変換によ
って, z平面から r平面に等角写像する。ま
平面から W平面えの変換は, Schwarz
ず
,z
U
-Christoffel変換
a
z=ーー
K
2a一一一→
dw
IW
ー一一一ーで
ー士コ
2
2
)(1-k
J0 y(1-w
w2)
(
b
)
(
a
)z
p
l
a
n
e
w
p
l
a
n
e
G
・
・
・
・
・
脚
で決められる o ここで, z=aを w=lに対
応させている。さらに, z=a+ibで
w=
l/kとおいて,比 K/K'を計算すると,
K/K'=b/a
…・…ー…倒
の関係、式を得る。式仰を,z=cp(w)とおく
と,その逆変換は,
,
U
(d)
w=rliEz
J
E-Z,叫/
a 」吋r
a
T
~)
¥
_44
~
r
p
l
a
n
e
(
c
) t
-plane
F
i
g
.8 Threes
t
e
p
so
ftransformationfromz
t
or
p
l
a
n
eandf
o
u
rp
l
a
n
e
s
.
・
・
・
帥
である o つぎに,一次変換
W-Wa
W-W2
W4-W2 _
W4-Wa
によって, W 平面から
W-W3
W 十Ws
(-(3
(-(2
c平面え変換し,
(4-(2
(4-(3
・
・
・
・
・
・
例
W2=-Wa,(2=ーむとおくと,結局,式偶は,
(-(3
-……納
(+む
となる o Wニ 町 に と =l/ktを対応させると,式(刊より
.
.
.
.
.
.
.
.
,
.
・
・
(
2
&
)
k1=wa/W4
を得る。式陶より,
w4=1,
=
・
・
・
・
・
・
・
・
(
2
9
)
r
-
r
)
c
n
(
土
,
k
)
n
(
:
ι
K
,
K
1=0
2
f王
子 l")
/
〆
会l
¥
aK
'
J
/jd
-¥
a
.
)
~\白a '
)
/
" EOsf
---~\2a '
"
J
ヰl
'
r
-)
/
〆 kiJa(ヰ
!
r
)
=Oo(
"
.
.
.
.
.
.
.
.
.
・
・"
Q
)
福井大学工学部研究報告第 ]
3
巻 第 1号
192
となる o ただし,
,
'=-l/
,
=ia/bである o
パ ラ メ ー タ -q
'を. q'=exp(
iπ,
'
) =exp(
一π
a/b)と定義する o a/b>2の条件のとき,
q
'
く
0
.
0
0
1
9となるから,式側はq
'について展開出来るので,
r.
1
C
l
J
¥ / ー- / πlJ.
¥
Wa=(
q
'c
o
s
三一十……
J
/
{1
2
q'cos:
:+…… l
¥1
--2
.
a
J
/〆
• k
-¥
-+
.
a
,
.
,
-~
…………問)
kの定義より,
〆k=do(OIτ')/v3(01,')=1-4q'+.....
倒
である o
となる。したがって,式帥, (2~,間, (
3
2
)から,
)(1一 的o
s去 十
k1=(1十 附
〉
ι+.........
= 1-8ex
D
(
・
)-sinh2 2b
1
'
¥- ~~
b)
定
・
・
・
悶
)
" U
J
.U
になる o
Fig1(
d
)の形の抵抗値は,
ρ2K
R =一一・一一与1
d
…
五K1
H
・・
・
・
(
掛
H
である o ここで, ρは比抵抗 dは抵抗体皮膜の厚さである o この Rを求めるのには C平面から r
平面えの等角写像菌数を求めなくても, ただ比 K1/K1'を求めれば充分であることがわかる o r平
面から C平面えの写像函数は,式仰のごとく
倒
r=
f
'--竺
J。
〆(1-(2) (1-k12♂〉
である O 式回中の k1は,定義によって,式倒と同様に,
k1=
{
O
o
(
O
I,
!)
/
O
a
(
u
l,/)}2=1-8qt'+…一ー
・
・
・
・
・
・
・
・
(
拐
)
である o ここで,'
l
'
=
i
Kt
/Kt
'であり, q'=e
xp(一πKt
/Kt')である o 式(拐)のごとく展開出来る条
/K1'>2であるが,これは後で考慮する O 式 (
3
6
)にql'の関係式を代入すると,
件は, Kt
k1= 1-8exp(ーπK1/K
)+… … … … … … ( 加
1'
であるから,式倒, (:拘を比車交して. Kt
!Kt'を求めると,
一一,-
K/
b
2 1 _ _ ( πa¥
一一~ l
o
g
l
s
i
n
h :.:.~
e
I
~~..u.. 2
bJ
π o "¥
・
・
・
・
・
・
・
(
詔
)
••••••••••••
nHU
(
R=2E
J1
zef
s
i
nhE
E
ド
e
¥
d
lb-Z1o
π
o
~.......... 2
b)
J
i
qd
である O 式倒より,抵抗値 Rは
で表わされる。式(羽の展開条件 Kt
!K1'
>2 を,式(羽)より求めると,近似的に
ーを一<~.5
6
b ~ b -1
……-…側
である o a
/bが 2に近ずくと若干の誤差が出る o a/b=2 のときは,式側の代りに, o/bく 0
.
5
6と
なる o
文 献
1
) A.GrayandG.B
.Mathews:A TreatiseonBesselFunctionsandt
h
e
i
rApplicationst
o
Physics
,ChapterXII,Macmi
1
lan(
1
9
2
2
)
.
輯,第十・十一号. p
.247 (
1950)
2
) 中井達人 : 科学研究所報告,第26
3
) 杉原・杉山・前田・穂積 : 昭和30
年電気三学会連合大会講演論文集, No. 1
7
7(
1
9
5
5
)
薄膜の電気抵抗について」コンデンサー評論,第 8巻 No. 8, 9. 1
1(
1
9
5
5
)
4
) 遠藤 恒彦: r
5
) 杉原寛治・松山正一 : 未発表
6
) 友近音教授より杉山正一氏あての私信 (
1
9
5
7
)
7
) 杉原寛治・青木正義
r
電極効果の研究」松下電鴇産業株式会社無雄事業本部研究所研究報告抄録集
第 9号. No.29(
1961) 岡本文二編 (1960)
j
〈昭和39
年 9月30日受理〉