ベトナムの排水課題の現状 および ハノイでの調査結果 - Team E

一般財団法人貿易研修センター
平成25年度国際経済産業交流事業
ベトナムの排水課題の現状
および
ハノイでの調査結果
京都大学大学院地球環境学堂
原田英典
自己紹介




原田英典 [email protected]
京都大学大学院地球環境学堂・助教
2002年よりベトナムで研究(バングラ,ネパール,タイなども)
2002~03年に半年間,2005~06年に1年間現地調査,2008
年より京大ハノイ拠点担当で半常駐,現在は出張ベース
◦ ラムドン省でのエコサントレイ導入事業(パストゥール研究所)
◦ ハノイでの腐敗槽・汚泥処理戦略研究(VAST-IET,土木大学)
◦ ハノイでの流域物質循環研究,循環型サニテーション技術研究(ハ
ノイ理工科大学環境学部;京大拠点)
◦ 他,ダナン工科大学,フエ科学大学,フエ農林大学などとも
2/1
7
ベトナムの現況
10000
12000
8000
10000
6000
8000
マレーシア
Japan
Malaysia
Thailand
タイ
Indonesia
インドネシア
2000
4000
ベトナム
0
2000
バングラデシュ
WB DBより
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
4000
6000
0
47,870USD
1,400USD
1,430USD
日本
1962
1964
1966
1968
1970
1972
1974
1976
1978
1980
1982
GNI/capita
GNI/capita
(USD) (USD)
12000
2012年の日本:
2012年のベトナム
1968年の日本
Vietnam
Bangladesh
日本以外
日本
ベトナムの現況2
100
100
タイ・マレーシア
マレーシア
タイ
ベトナム
50
75
(%)
(%)
75
インドネシア・
バングラデシュ
25
ベトナム
インドネシア・
バングラデシュ
Bangladesh
50
Indonesia
Malaysia
25
Thailand
Vietnam
年
衛生的なトイレへの水アクセス率
WB DBより
0
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
2010
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
2010
0
年
生活のための水へのアクセス率
ベトナムの現況3
京都
2.05
深セン
カトマンズ
1.87
課金なし
バンコク
フエ
電気
(US$/kWh)
ダナン
100
水道普及率
80
地下水依存率
60
40
ハノイ
下水道料金
(US$/立米)
20
キャン…
水道料金
(US$/立米)
0
クルナ
0.2
0.3
0.1
料金(US$/単位量)
発表者ら調査
ハ
ノ
イ
カ
ト
マ
ン
ズ
キ
ン
デ
ダ
ナ
ン
ィ
各都市の公共料金比較
0.4
ク
ル
ナ
ャ
0
漏水率
割合(%)
1.65
各都市の上水道の状態
バ
ン
コ
ク
フ
エ
ハノイおよびその周辺地域
紅川
ハノイ市
Nhue川
Day川
3/17
ハノイ都市部の概況
To Lich川流域(77.5 km2)
North Thang Long WWTP
38,000m3/日
West lake
watershed
Truc Bach WWTP
3,000m3/日
To Lich
river
watershed
Set
river
water
shed
Lu
river
water
shed
Hoang Liet
watershed
Thanh Liet
Sluice gate
Kim Lien WWTP
4,800m3/日
Kim Nguu
river
watershed
Yen So
watershed
Pumping
station
Yen So WWTP
200,000m3/日
7/1
7
ハノイの下水道整備

下水処理率:人口の1割ほど。200,000m3/dが試運転中
◦ バンコクで4割程度

既存のOpen Channelや排水河川を利用した集水網
8/1
7
ハノイ都市区のトイレ排水のストリーム調査
89.7 %
(3.1)
Toilet wastes
from households
in urban Hanoi
100.0 %
n=692.
発表者ら調査
Private toilet of
single-unit houses
Septic tank:
90.5 %
Cistern-flush toilet
70.2 % (5.1)
Pour-flush toilet
16.6 % (4.4)
Vault urine-diversion toilet
1.3 % (0.5)
Vault toilet
1.3 %Flush
(0.6) toilet:
96.7 %
Bucket latrine
0.14 % (0.16)
Over-water toilet
0.14 % (0.18)
Septic Tank(腐敗槽)は
下水道未整備化では
ほぼ唯一の処理施設
Septic tan
80.5 % (4
with gre
without
Open chn
2.7 % (2.1
生活雑排水は
Sewer pip
ほぼ未処理 2.5 % (2.1
(腐敗槽なし)Water bod
0.72% (0.3
Pit
0.43 % (0
8.7 %
(3.0)
Private toilet of
apartment house
Flush toilet
8.7 % (3.0)
Septic tan
8.7 % (3.0
1.3 %
(0.8)
Public toilet
Flush toilet
1.3 % (0.8)
Septic tan
1.3 % (0.8
0.29 %
(0.21)
No toilet
0.29 % (0.21)
Fig. Sanitation coverage in urban Hanoi9/1
7
Klingel, 2001
ST運用の現状調査
嫌気消化を期待した沈殿槽
容量:5.4 m3 (Med.),83% >3.0m3(指針値)
引抜口:なし41%,セメント固め51%
汚泥引抜:設置以降一度もなし89.6%
世帯数頻度分布
Frequency
of household
household
of
cy
uen
Freq (household)
(世帯)
•
•
•
•
7年 (Med.)
68.4% >5年
60
40
20
0
0
10
20
30
Non-desludge
period
(year)
Non-desludging
period
(year)
汚泥非引抜期間(年)
表 セプティックタンク処理水の性状
発表者ら調査
(mg/L) CODCr
Avg.
312.4
S.D.
217.0
BOD
167.7
118.8
SS
78.3
30.8
T-N T-P
Cl207.4
7.8 152.6
94.9
4.2 34.2
11/
17
発表者ら調査
 ライフスタイルを反映
 平均水使用量は146 L/人/日
1…
4…
6…
1…
1…
2…
4…
6…
8…
1…
10-11AM
12-1PM
2-3PM
4-5PM
6-7PM
8-9PM
10-11PM
1…
8…
2…
6…
8…
1…
1…
2…
4…
6…
8…
1…
6…
8…
1…
1…
2…
4…
6…
8…
1…
2-…
4-…
6-…
8-…
1…
4…
6…
8…
1…
1…
2…
1…
1…
8-…
8…
1…
6-…
4-…
2-…
1…
6…
4…
2…
Dishwashing
1…
8…
8…
Others
8-9AM
4…
4…
Cooking
6…
4…
2…
2…
Hygiene
6…
4…
Toilet flush
2…
1…
Laundry
6-7AM
4-5AM
図 集合住宅10軒を対象とした時間水消費量
2…
5
1…
10
1…
15
1…
Monday
Tuesday
2-3AM
1…
10-11PM
8-9PM
6-7PM
4-5PM
2-3PM
12-1PM
10-11AM
20
8-9AM
6-7AM
4-5AM
2-3AM
25
12-1AM
0
12-1AM
L/cap/hour
生活水の利用特性調査
Bathing
図 24時間中の水消費行動の頻度分布
17
12/
生活排水性状調査
(トイレ腐敗槽処理水+雑排水)
Ave.=225
S.D.=121
300
200
100
0
60
Ave.=57
S.D.=5.9
40
20
0
12AM
15
6AM
TKN
12PM
6PM
10
100
50
9PM
6PM
3PM
12PM
9AM
3AM
6AM
BOD
Conc. (mg/L)
80
150
Ave.=69.2
S.D.=32.5
0
12AM
Conc. (mg/L)
100
200
12AM
5
0
12AM
6AM
SS
15
Ave.=8.0
S.D.=1.8
6AM
TP
12PM
6PM
Conc. (105MPN/100ml)
400
250
Conc. (mg/L)
Conc. (mg/L)
500
10
12PM
6PM
Ave.=5.1.
S.D.=0.4
5
0
12AM
6AM
12PM
Total Coliform
6PM14/
17
ハノイの下水道の処理場受け入れ水質
Coli.
(MPN/
100ml)
Source
pH
SS
BOD
CODCr
T-N
TP
Kim Lien (HN)
7.71
108
125
202
48.6
6.6
2.0*107
VA(2008)
Truc Bach (HN)
7.59
130
112
190
45.3
6.2
2.0*107
VA(2008)
横浜
7.2
140
160
84(Mn)
26
3.4
1.5*108
横浜市(2010)
WWTP
水使用量を考えると,日本よりも汚濁物質濃度は高いはず
下水処理場流入水質では,N・P以外は日本の濃度より低い
おそらく,腐敗槽による沈降性物質除去効果
+管路輸送での除去効果
15/
17
TOC, TN, TP (mg/L)
河川の側から見た汚濁,水質
40
Urban Districts
Rural Districts
40
40
30
30
20
20
20
10
10
10
0
0
0
S5
地点 S1
S2
30
S3 S4
1.E+07
TN(mg/L)
TP(mg/L)
TOC(mg/L)
S6
大腸菌群数(CFU/100mL)
大腸菌数(CFU/100mL)
1.E+06
1.E+05
1.E+04
1.E+03
1.E+02
1.E+01
地点 S1
発表者ら調査
大腸菌群数基準値
大腸数基準値
S2
S3 S4
S5
S6
16/
17
ここまでのまとめ

総じて環境質は悪い

基本的衛生問題から,環境問題にようやく移ってきた
感
一方,よりシビアな公害問題の顕在化は限定的

ミッション訪問先@ハノイ(7/15-7/20)













ベトナム科学技術アカデミー環境技術研究所(VAST-IET)
(科学技術省ホアラックハイテクパーク管理委員会)
建設省技術基盤政策局給排水部
ベトナム石炭・鉱物工業グループ
ベトナム商工省アジア太平洋局
(ベトナム商工省計画局)
ベトナム環境資源省環境総務局
ハノイ土木工科大学
ベトナムビール・アルコール飲料協会
ハノイ理工科大学環境理工学部
(製紙総公社)
ベトナムコーヒー・カカオ協会
ハノイ都市環境公社
ベトナム科学技術アカデミー環境技術研
究所(VAST-IET)
(VN側)Dr. Trinh Van Tuyen、Dr. Phan Do Hung、Dr. Nguyen Thi Hue、Msc.
Nguyen Minh Tuan
(日本側)原田・京都大学 宮武・GEC

IETの主な役割
◦ 技術開発(処理困難廃水など)
◦ 海外からの先端技術移転
ベトナム科学技術アカデミー環境技術研究
所(VAST-IET)(続)

大都市では都市排水が課題
◦ ODAなどによるインフラ整備

産業排水・廃棄物問題
◦ 製紙,染色,食品加工(タピオカ,コーヒー)などで局所的に深刻
◦ 資金不足・土地不足が課題
◦ 排水基準を満たせない事業体が多く,環境警察の摘発多
 製紙・ゴム:COD,食品加工:NH3-N
 ただし,指標(特に窒素)の問題もあり
◦ 大きな企業についてはその地方の雇用創出・税収に貢献。自治
体が配慮。
◦ 生産技術そのものが古く,無駄な排水あり
→クリーナープロダクション的な視点でのアドバイスが重要
◦ 一方,オゾンやUVの適用事例も
ベトナム科学技術アカデミー環境技術研究
所(VAST-IET)(続)

日本の技術の課題
◦ 高度だが,コストが高い
◦ 高負荷有機性排水(タピオカ,ゴム(南部)など)については,CDMなど
を活用した,嫌気性処理による熱源回収などでの日本の技術に期待

研究所で興味のある技術
◦ オゾン,膜処理,促進酸化
◦ 都市部や一部の地方では省スペース技術

日本企業のベトナム展開についてのその他助言
◦ 現地調達できるものについてはベトナムの企業と提携。コアの技術の
み日本から輸入することでのコストダウンを。
◦ イニシャルの削減だけでなく、維持管理・補修についても必要
◦ 自動制御などには現時点で関心低い
建設省技術基盤政策局給排水部
(ベトナム側)建設局技術基盤政策局Dr. Nguyen Hong Tien(局長)、Ms. Tran
Thi Thao Huong,
(日本側)細川・近畿経済産業局 原田・京都大学 宮武・GEC 杉本/神
地・コベルコエコソルーションズ

上水道,公共下水道の整備を管轄する部署
建設省技術基盤政策局給排水部(続)

現状
◦ 排水処理・下水処理はまだ新分野で、2005年から下水処理開始
 ODAで整備(施設整備は日本・ドイツ・フランス・アメリカ)
 施設設置者が1-2年維持管理,その間、現地スタッフ研修,継承へ
 全国で600万トン/日の都市排水。処理は30万トン/日。
◦ 下水道の90%は合流式。分流式であるのは工業団地の排水。
◦ 排水処理は全国で22施設。11都市に集中
 大都市:上水公社と下水公社,中小都市:上下水公社

給水・排水関係の法制度を整備中(Degree 88)
排水処理技術の選定基準
2.
排水処理施設からでた汚泥の選定基準
3.
排水の処理水の再利用に関する規定
4.
汚泥を利用したエネルギー回収
5.
雨水のリサイクル
6.
掘らない管渠敷設工法(推進工法)
→日本ODAのメインは,下水道排水処理、都市部の水害対策
◦ 手順書,積算方法,建設基準等が未整備
1.
建設省技術基盤政策局給排水部(続)

補助金等
◦ 建設省から地方への補助金システムはない
 政府補助金は計画投資省や財務省から
 建設省は計画承認・基準作成・技術指導。地方の計画をコメント

日本の課題等
◦ 日本の環境対策技術のレベルは非常に高いと理解
◦ 技術選定では、省エネ、省スペース技術は重要な評価材料だが、
初期費用の低下は必須
 随意契約はなく,競争入札(入札法)
 日本のODAを韓国企業が落札した事例
◦ JICAによる民間への資金投融資(PSIF)事業を推奨
 特に中小規模の都市(都市の紹介可能)
ベトナム石炭・鉱物工業グループ
(ベトナム側)Tran Xuan Hoa ・会長、Nguyen Tien Nho
(日本側)細川・近畿経済産業局、原田・京都大学、宮武・GEC 、杉本/神地
/Nguyen Minh Nam・コベルコエコソルーションズ

VINACOMINについて
◦ 炭坑・火力発電所を運営。
◦ 10年前から環境改善の取り組み,子会社を設立。
◦ 排水、廃棄物の処理,廃油,廃タイヤ・バッテリーの処理
ベトナム石炭・鉱物工業グループ(続)

環境関連の取り組みの現状

2016年までに全炭坑排水のQCVN達成要請を(政府・省)



特に,世界遺産ハロン湾近くのQuan Ninh省の炭鉱
海外の技術では、ボーキサイト汚泥処理に期待

Alを取り出す過程で水酸化鉄を多く含む赤泥が沈殿(35%が鉄)

現在は乾燥・埋め立て

鉄回収について科学省で研究。しかし,コスト高
火力発電所の灰のセメント産業に受け入れは限定的

廃スラグの建築用ブロック受入を将来的に期待

政府の方針では10-15年先にレンガの使用を禁止

日本の高技術は理解。どうコストを抑えるか

環境関係子会社・現場の視察を歓迎。
ベトナム商工省アジア太平洋局
(ベトナム側)Nguyen Viet Chi, Ngyuyen Manh Dong・商工省アジア太平洋局
Trinh Van Thuan・工業安全技術環境庁 Nguyen Manh Hung・貿易促進庁
Nguyen Thanh Ngan・ベトナム繊維グループ
(日本側)細川・近畿経済産業局、原田・京都大学、宮武・GEC 神地
/Nguyen Minh Nam・コベルコエコソルーションズ

METI-KansaiとMITのMOUでの窓口局
ベトナム商工省アジア太平洋局(続)


環境産業の育成に大きな関心
重点分野
◦ 対策技術・設備製造企業の育成
 設備・機器の能力は限定的。潜在的な市場が大きい
 →日本からの輸入ではなく,ベトナムでの製造を期待
◦ 環境サービス企業の育成
◦ リサイクルプラントの整備
 特に廃電子部品リサイクルプラントの整備を計画
 →日本の現状を高く評価。政策作りや技術支援の要望

日本企業の課題
◦ 輸入が多くコスト高。ベトナム企業は支払い困難不可
◦ ベトナムでの現地製造を(コストダウン)
ベトナム商工省アジア太平洋局(続)

ベトナム縫製繊維グループ(VINATEX)について
◦ 業界全体で約5000社、繊維は90-120社
◦ グループ内での対象企業は10社程度

縫製繊維分野の現状
◦ 総輸出額1000億―1100億ドルの内,170億ドル
 内日本へは20億ドル(中国・ヨーロッパに次いで3位)
 生産高10-14%、輸出高15%の伸び率を目標(高付加価値化)
◦ 雇用者200万人
◦ 工場の在り方は以下の3つに分類





個別の工場
縫製繊維専門の工業団地
総合的な工業団地での縫製繊維工場
→将来的には集団で工業団地に入る方針がある
環境対策に関する国の支援
 低金利の融資,土地使用税の免税,法人所得税の減税,間
接的には技術研究開発予算も
ベトナム商工省アジア太平洋局(続)

縫製繊維排水の課題

染色排水処理の現状

繊維排水処理技術に関する要望

◦ 色度(黒、赤、黄色、濃青)。工場受け入れに影響。
◦ 自動計測システムが必要
◦ 冷却→凝集→活性汚泥→砂ろ過→活性炭(塩素系の酸化剤)
◦ 処理施設初期投資は,1500~2000万ドン/m3(7.5~10万円)
◦
◦
◦
◦
色度処理
省スペース技術(1m3あたり1m2のスペース)
日本の技術の種類・効果・面積・コストのレビュー
染色排水汚泥処理(有害廃棄物)
省エネに関する要望
◦ 省エネの取り組みはあるが成果薄い。古い設備も多い。
◦ 再生可能エネルギーではベトナムに適した技術提案を
◦ 省エネ関連の技術者育成,エネルギー診断士,環境管理者制度

その他,繊維、革靴、製紙、樹脂が課題
ベトナム環境資源省環境総局
(ベトナム側)Ms. Nguyen Thi Thien Phuong, Deputy Director of International
cooperation and Science, Technology Department (ISD)、Nguyen Viet Thang
(日本側)細川・近畿経済産業局、原田・京都大学、宮武・GEC 、神
地,Nguyen Minh Nam・コベルコエコソルーションズ

水質汚濁・排水処理の現状
◦ 工業団地,工芸村,都市排水が問題
◦ 283の工業団地,その50%が集中排水処理あり
◦ 878のその他の準工業地区,その18%が排水処理有
◦ 3000の工芸村,排水処理なし(規模が小さく補助必要)

環境対策技術について
◦ 適度な処理レベルで安価なコストの技術ニーズ
◦ 技術選定が困難。実証評価をして技術選定ガイドラインを策定
したい
◦ クリーナープロダクションの導入を推進
◦ MONREが運営している環境保護基金を通じて資金の補助
ベトナム環境資源省環境総局(続)

国家ターゲットプログラム(2012-2015)
◦ 1.特に汚染深刻な47工芸村の重点解決
 2兆4200億ドン必要(約120億)
 中央政府1兆4000億,各地方7000億,残りは団体・個人
◦ 2.残留農薬が深刻な100箇所の改善
◦ 3.3大流域の下水収集・処理
 ODAとFDIで1兆5630億ドン必要(約53億円)
 中央政府5000億ドン、各地方3000億ドン

国家モニタリング(現在計画中)
◦ 現状では,汚染が深刻な一部流域のみ
◦ 法律上,工業団地には自動モニタリングが必要だが,排水処
理有の工業団地の約半分のみあり
◦ 工業団地内の環境管理プロジェクトとしてモニタリング装置の
設置を実施中( 計画投資省と世銀と協力)。
 5000万ドル借款,特に3大流域(ヌエ-ダイ,カウ,ドンナイ)
ベトナムビール・アルコール飲料協会
(ベトナム側)Nguyen Van Viet、会長
(日本側)細川・近畿経済産業局、原田・京都大学、宮武・GEC


同業界の概要
◦
◦
◦
◦
◦
排水管理について
◦
◦
◦
◦

約120社が加盟
当該産業はベトナムのGDPの5%
ビールは28億リットル、飲料は40億リットルの生産量
ビールの年間1人当たりの消費量は31リットル(アジア4位)
ビールは年率10%、飲料は15-18%の伸び
環境保護法での排水基準,食品安全法の順守が必要
排水基準は,大企業は達成,小企業は未達成の傾向
大企業も含め,汚泥処理・廃棄物処理は課題
仕込み残渣は畜産飼料。発酵残渣は含水率が高く課題。
ケーススタディーの実施に前向き
◦ ニーズのある工場を協会で2,3ピックアップ
ハノイ理工科大学環境理工学部
(ベトナム側)Dr. Huynh Trung Hai, Dr. Nguyen Pham Hong Lien
(日本側)原田・京都大学 宮武・GEC

注目分野
◦
◦
◦
◦

固形廃棄物からの浸出水の処理(生物膜,OD)
UASBを用いたゴム工場排水からバイオガス回収
埋立地からバイオガス回収
中小規模焼却炉(全国の地方で最終処分整備の方針)
Team-Eでの可能性についてコメント
◦ 工芸村は困難。家内工業者は支払い意思が低い
◦ 3大流域,ゴム,タピオカ,染色,製紙,皮革が有望では。
◦ ベトナム企業と連携することでの低コスト化が課題
 ベトナム企業は研究費はほぼなく,資本も少ない
◦ 知財の問題は依然困難。VN企業同士でも盗まれる。

先方提案
◦ 学内の腐敗槽(し尿系のみ)排水の後段処理(22~35 m3/day)
→ベトナム工学系最有力大学での実績は副次的な効果も期待
ハノイ都市環境公社(URENCO)
(ベトナム側)Nguyen Van Hoa、General Director、Vu Thi Thuy
(日本側)細川・近畿経済産業局、原田・京都大学、宮武・GEC 、山崎 上原
大久保・日立造船(株)

URENCOについて
◦
◦
◦
◦
100%市営
ハノイの都市部・町の環境管理・廃棄物収集・処理を任務
都市部の家庭・産業・医療系有害廃棄物
浸出水や産業廃棄物の処理では経験・知識が不足
ハノイ都市環境公社(URENCO)
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ハノイの廃棄物問題の現状
◦ 町からの廃棄物は90-100%を処理
◦ 腐敗槽汚泥処理は、施設不足が問題
◦ 有機系廃棄物の堆肥化行程を持つが,堆肥の品質要求が高くさ
ばけていない。縮小傾向
◦ 収益性は低く、資金回収に時間
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URENCO提案
◦ CauDienの7haの敷地に現在,堆肥化工場、医療系廃棄物焼却炉、
腐敗槽汚泥処理施設あり。そこで,新たな都市排水施設を作る計
画あり。モデルを作ってはどうか。
 堆肥化工場は2000年~。老朽化しているが未改修。スペイン製
 医療系焼却炉は2000年以前の設置
 腐敗槽汚泥処理施設は、1日100トン。除去能が悪く全面改修を希望
講評
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先方の共通する指摘
◦ 日本の技術はハイスペックだが高いとの批評
◦ ダウングレード,現地企業との協働,現地生産でコストダウンすべ
し
◦ 高負荷,処理困難排水,大規模案件に可能性
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私見:
◦ 日本の強みは低スペックな技術の廉価な提供か?
 知財の問題,低スペックの価格勝負では分が悪い
◦ 強みはきめ細かで安心できる対応(トラブル処理など)
 単なる製品の提供には行き詰まり。ソフト面を含める。
◦ より排水にとどまらない総合的な解決策の提示が必要
 当該業界のシステム全体の改善を図るような取組
 クリーナープロダクション,省エネ診断
 リサイクル製品のその後も解決策に
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ご清聴ありがとうございました。