事例カタログ SAP ERPシステム更新/DRサイト構築プロジェクト 株式会社クレハ 様 事業継続計画や災害対策の強化を目指して データセンターの移設と災害対策サイトを構築 課 題 効 果 ■ 災害に強いデータセンターにSAPシステムを移設したい ■ 耐災害性の高い富士通データセンターに移設 ■ 平常時のDR(災害対策)サイトも無駄なく活用したい ■ 平常時はSAPの検証・開発環境として利用しリソースを有効活用 ■ SAPシステムの移行をスムーズに行いたい ■ 同一IP/ホスト名でのデータセンター間移行によりリスクやコストを削減 「NEWクレラップ」 をはじめとする家庭用品、食品包装材、高機能材、医薬品、農薬、工業薬品など、 さまざまな産業において価値あるモノづくり を行い、社会の発展に貢献する株式会社クレハ。同社では、東日本大震災を契機に、BCP(事業継続計画)の強化を目指し、SAPシステムの 更新に合わせ、データセンターの移設とDRサイトの構築を実現。新たなSAPシステムの移設先およびDRサイトには、それぞれ富士通の データセンターを採用し、事業継続計画と災害対策の強化とともに、運用体制の見直しによる業務効率化も実現した。 しかし、 東日本大震災を受けて改めてBCPを検討したところ、 移設先のデータ 導入の背景 センターにはサーバの設置環境としていくつか懸念事項があったという。 東日本大震災を契機に、 さらなる災害対策環境構築を検討 株式会社クレハは、 「NEWクレラップ」や食品包装材などの樹脂製品、 高機能 「移設したデータセンターは海岸線から近く、 情報システム部長 大竹 正之氏は、 大規模な地震や津波が発生した場合には被害を受ける可能性がありました。 建屋の倒壊などでデータが消失する可能性は低くても、周辺で通信障害が起 こると短期間でのシステム再構築が難しいという懸念がありました」 と話す。 樹脂、炭素製品、生分解性樹脂などの機能製品、医薬品、農薬などの化学製品 を中心に、 生活に欠かせないさまざまな製品、 サービスを提供するグローバル 化学メーカーだ。 クレハがS APを導入し、基幹システムを統合したのは2002 年。当初、S AP サーバは主な生産拠点であるいわき市に置かれていた。 「2011年のはじめに、SAPサーバ群をいわき市から別の地域にあるデータ 導入の経緯 SAPをより被災リスクの小さいデータセンターへ移行 DRサイトのリソース有効活用も視野に センターに移設しました。BC P の一環ということでの移設でしたが、奇跡的 そこで、 2014年に予定されているSAPシステムの更新に合わせて、事業継続 ことができました」と話すのは、情報システム部 インフラグループリーダー メインのデータセンターと 新たにDRサイトの構築を検討することにしました。 にも東日本大震災の直前というタイミングで、S A P サーバは被災を免れる 赤塚 政司氏。S A P サーバを移設したデータセンターと、従来からO A 系の サーバを設置している富士通の館林システムセンターとを結び、両データ センターをそれぞれのDRサイトと位置づけて災害対策環境を構築した。 計画の強化に舵を切った。 「 S A Pシステムを置くデータセンターを移設し、 お客様プロフィール 株式会社クレハ 設 立 1944年6月21日 代 表 者 代表取締役社長 小林 豊 従業員数 4,080名(連結)1,715名(単体) (2014年3月31日現在) 概 要 「人と自然を大切にします」 「常に変革を行い成長し続けます」 「価値ある商品を創出して、 社会の発展に貢献します」という企業理念を掲げ、 「NEWクレラップ」や食品包装材などの 樹脂製品、高機能樹脂、炭素製品、生分解性樹脂などの機能製品、医薬品、農薬などの化学 製品を中心に、地球環境や人々の暮らしに有益なソリューションを提供。2012年度からは、 情報システム部 樋口 晋夫 氏 情報システム部長 大竹 正之 氏 情報システム部 情報システム部 インフラグループリーダー 蛭田 敏 氏 赤塚 政司 氏 中期経営計画「Grow Globally-Ⅱ」に基づき、既存事業のグローバル展開と新規事業の着実 な育成・拡大を経営目標として事業活動を推進し、海外にも着実に市場を広げている。 ホームページ http://www.kureha.co.jp/ 事例カタログ SAP ERPシステム更新/DRサイト構築プロジェクト DRサイトは同一事業者のデータセンターを使うことで、一体感のある構成を するという構成を提案した。 「SAPシステムでは、本番環境の他に検証、開発用 「ほとんど稼働しないまま、バックアップ機を置いて DRサイトについては、 設置することで構成に無駄がなく、 コストパフォーマンスも高い提案でした」 目指しました」 と大竹氏は語る。 のサーバを構築することが求められますが、検証・開発用サーバをDRサイトに おくというのはコストの面からもあまり好ましくありませんでした。また、 メイン と赤塚氏は、富士通の提案を評価する。 のデータセンターとDR サイトを結ぶ通信回線のコストも選定のポイントと 同社の バックアップやDRサイトへのデータの保管方法も一新された。従来、 「SAPサーバの SAPシステムの更新について、情報システム部 蛭田 敏氏は、 でシステムはすべてVMwareにより仮想化され、富士通の「Virtual Storage Console( VSC )機能 ※2」とネットワークディスクアレイ※3を組み合わせ、オン なりました」 と赤塚氏は述べる。 移設を伴うということで、 スムーズに移行ができるか、 そのスケジュールや移設 SAPシステムでは、バックアップデータはテープに保存していた。今回の更新 ラインバックアップをテープなしに複数 世代取得し、かつそれを複数の 方法などがいかに効率的に行えるかがカギになりました」 と話す。 各社からの提案を検討し、今回の S A Pシステム更新、DR サイト構築プロ ストレージにミラーコピーする横断的に統合化された高信頼の基盤運用を ジェクトに選ばれたのが富士通の提案だ。 実現している。 「当社の要望に細やかに応えてもらったのが富士通で、SAPサーバを設置 「メインセンター内でバックアップを作成するとともに、D R サイトのスト また、DRサイトを関西地区の富士通データセンターに構築すること、そして に必要となる時間も大幅に短縮しています」と話すのは、情報システム部 ことにしました」 と大竹氏は話す。 同期を行い、初回コピー以降は更新された部分のみをDRサイト側へコピー するデータセンターは内陸にある富士通の館林システムセンターに移行。 レージにOSを含むすべてのデータをミラーコピーしています。バックアップ SAPサーバも富士通のFUJITSU Server PRIMERGY(プライマジー)に変更する 樋口 晋夫氏。最初にメインサイトとDRサイト間で全領域のコピーによる完全 する方法で、 サーバと回線の負荷を軽減している。 これにより、 データは20分前 まで保証され、短時間でのDR環境への切り替えを可能にしている。 導入のポイント さらに導入を後押ししたのが、同一 I P / ホスト名でのデータセンター間 移行だ。今回、 データセンターの移行にNAT装置を利用することで、 IPアドレス/ DRサイトをSAPの検証・開発環境として活用 同一IP/ホスト名でのデータセンター間移行も実現 ホスト名を変更することなく移行を遂げている。 メインのデータセンターとなった富士通の館林システムセンターは、 最先端 技術と高品質な運用、最新のグリーンテクノロジーを搭載した、国内最高水準 のデータセンターだ。新たに構築されるDRサイトも富士通の最新鋭データ センターにプライベートクラウド環境として明石に設置された。両センターと もに、災害発生時の被災リスクを抑える堅牢性、 また、生体認証装置や所在 管理システムなど、最新技術を取り入れた強固なセキュリティが特長だ。 両データセンターとクレハ本社は、富士通が提供する高品質で高セキュリティ な企業向けネットワークサービス※1で結ばれる。 「富士通の提案はデータセンター間通信に高速な専用線を、コストを抑 えて提供するというものでした。また、データセンターとネットワークを一貫 して富士通がトータルに構築してくれたので、導入が短期間に、スムーズに 進んだと思います」 (赤塚氏) 影響が大きくなってしまいます。システム障害にもつながりかねません。 ユーザーが移行前と変わらずに利用できるというのはとても安心できま した」 (蛭田氏) 導入効果と今後の展望 移行後もERPシステムの安定稼働を実現 バックアップ体制、DRサイトの構築でBCPを強化 プロジェクトは順調に進み、2014年5月、新システムは予定通り稼働を開始 した。SAPのデータ移行についても、富士通の豊富なノウハウを生かした手順 や方式により、安心で確実な移行を実現している。 今回富士通では、DRサイトの平常時には、SAPの検証、開発環境として運用 ■クレハの「DRサイト構築プロジェクト」全体イメージ <DRサイト>明石DC <メインサイト>館林DC SAP開発サーバ SAP本番サーバ SAP DR検証サーバ 高速な 専用線を提供 SAP検証サーバ DR 帳票サーバ ジョブ管理サーバ DR ジョブ管理サーバ 企業間データ通信サーバ 災害時には開発・検証サーバに DR環境を被せて利用 運用コストの低減 過去データ保管サーバ システムが移行しましたが、使い勝手や運用面での変化はなく、安定稼働して います」 と語る。 「 構築前の検証時には、切り替えを含めて問題はあ DRサイトについては、 りませんでした。バックアップや DR サイトへのデータ保管も順調に稼働し、 運用面についても負荷を軽減できました」と蛭田氏。今後は、年に1 回予定 帳票開発サーバ ジョブ管理サーバ メインサイトの本番環境、DRサイトの検証・開発 その後、新SAPシステムは、 環境ともに順調に稼働している。 「問題なく稼働していることが一番の効果 です」と大竹氏はその感想を述べる。加えて蛭田氏も「今回、仮想化環境に DR用に 別サーバはなし 帳票サーバ 「場所が変わってIPアドレスを変更するということになるとユーザーへの されているシステム切り替えテストだけでなく、全社的に進められている災害 対策プロジェクトとの連携も進めていくという。 最後に大竹氏は今後の展望について次のように語った。 「今回のDRサイトにはプライベートクラウドの仕組みを取り入れていますが、 今後ますますクラウド化の流れは進んでいきます。クラウド化、次世代ネット ワーク、 グローバル対応など、今後も富士通と富士通システムズ・イーストの SEには強力なサポートをお願いしたいと思います」と締めくくった。 メイン ディスク バックアップ用 ディスク データの 差分を同期 DR用 ディスク ※1 FUJITSU Managed Infrastructure Service FENICS(フェニックス)ネットワークサービス ※2 Virtual Storage Console (VSC) 機能:仮想化環境とNR1000 seriesのストレージプールを密接に連携させ、 統合仮想化環境 を実現するソフトウェア。 プロビジョニングやバックアップ、 リカバリなどの操作を一元的にコンソール上で行うことができる。 ※3 FUJITSU Storage ETERNUS (エターナス)NR1000F ネットワークディスクアレイ お問い合わせ先 富士通株式会社 富士通コンタクトライン (総合窓口)0120-933-200 受付時間9:00~17:30 (土・日・祝日・年末年始を除く) 〒105-7123 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター http://jp.fujitsu.com/solutions/safety/bc/ Copy r ight 2014 FUJIT SU LIMIT ED ●記載されている会社名、製品名は一般的に各社の商標または登録商標です。 ●このカタログには、森林認証紙、大豆インキ、有害な廃液を出さない水なし印刷方式を採用しています。 AN2009 2014年10月
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