#1912 American College of Rheumatology 2014 Oral Session 2014年 米国リウマチ学会 NEWS FLASH November 14–19, 2014 in Boston, Massachusetts 慢性腎機能障害を有する関節リウマチ患者に対するトシリズマブ治療 Tocilizumab Therapy for Rheumatoid Arthritis Patients with Chronic Renal Insufficiency 森 俊輔 先生 独立行政法人国立病院機構 熊本再春荘病院 リウマチ科 本研究では、 慢性腎機能障害を有する関節リウマチ(RA)患者に対するトシリズマブ(TCZ)治療の有効性と安全性を評価した。その結果、 TCZは慢性 腎機能障害を有するRA患者の疾患活動性を低下させるとともに、ヘモグロビン (Hb) 値の改善も示した。また、 慢性腎機能障害患者においても忍容性 は良好で安全に使用できることが示唆された。 ・対象は2008年4月∼2013年12月に熊本再春荘病院にてTCZを開始した105例で、 このうち慢性腎機能障害患者(eGFR<60mL/分、 3ヵ月持続) は37例であった(表1)。 他の併用薬、 治療中止、 有害事象の発現に両群間で差は認められな ・慢性腎機能障害患者ではメトトレキサート(MTX)の併用率が有意に低かったが、 かった(表2)。 RAの疾患活動性は腎機能障害の有無にかかわらず有意に低下し、Hb値も有意に改善した(表3)。 ・24週のTCZ治療により、 表1 患者背景(105例) 慢性腎機能障害あり (n=37) 腎機能障害なし (n=68) p値 75.3(73.2-77.5) 62 (59.5-65.7) <0.0001 9.8(6.7-13) 5.4 (3.9-7) 0.005 26.7(23.5-30) 24.3 (19.9-28.8) NS クレアチニン (mg/dL) 0.72(0.62-0.81) 0.57 (0.54-0.6) <0.0001 eGFR (mL/分) 43.7(39.7-47.7) 80.9 (76.7-85) <0.0001 ヘモグロビン (g/dL) 11.2(10.7-11.7) 12.5 (12.2-12.9) <0.0001 年齢(歳) RA罹病期間(年) CDAI 慢性腎機能障害あり (n=37) 腎機能障害なし (n=68) p値 TNF阻害薬 22 (59.5) 48 (70.6) NS アバタセプト 0 (0) 2 (2.9) NS 30 (81,1) 25 (36.8) <0.0001 生物学的製剤の使用歴 高血圧 データは例数 (%) で示した データは平均値で示した(95%CI) 慢性腎機能障害あり群は、年齢が高く (p<0.0001) 、RA罹病期間が長い (p=0.005) とともに、Hb値も有意に低値であった (p<0.0001) 。 表2 治療状況 慢性腎機能障害あり (n=37) 腎機能障害なし (n=68) p値 MTX 7 (18.9) 33 (48.5) 0.003 タクロリムス 10 (27) 21 (30.9) NS プレドニゾン 6 (16.2) 11 (16.2) NS 0 0 ― 併用薬 中止 有害事象 表3 * 2 (2.9) NS ベースライン 24週 p値 26.7 (23.5-30) 9.6(7.6-11.7) <0.0001 0 データは例数 (%) で示した *憩室炎および急性胆囊炎 ・ 慢性腎機能障害あり群ではMTX併用の頻度が有意 に低かった(p=0.003) 。 ・ 両群ともに治療中止は認められなかった。 ・ 有害事象は腎機能障害なし群で2例(憩室炎および 急性胆囊炎)のみであった。 RA活動性およびHbに対するTCZ治療の効果 慢性腎機能障害あり (n=37) CDAI、平均 (95%CI) CDAI 低値・寛解、例数(%) 3 (8.2) 23 (62.2) <0.0001 Hb(女性)、g/dL、 平均(SD) 11.2 (1.5) 12.3(1.1) <0.0001 Hb(男性)、g/dL、 平均(SD) 11.3 (1.6) 13.9(1.5) 0.002 腎機能障害なし (n=68) 25.8 (23.5-30) 8.3(6-10.6) <0.0001 CDAI 低値・寛解、例数(%) 5 (7.4) 38 (55.9) <0.0001 Hb(女性)、g/dL、 平均(SD) 12.4 (1.5) 13.1(1.1) <0.0001 Hb(男性)、g/dL、 平均 (SD) 12.8 (1.3) 13.9(1.5) 0.02 CDAI、平均(95%CI) 企画・提供: ・ TCZ治療により慢 性腎機能 障害の 有 無にかかわ らず、R A の疾患活動性が有意に低下した(各 p< 0.0001) 。 ・ TCZ治療により慢性腎機能障害の有無・性別にかか わらずHbが有意に改善した (女性:各p<0.0001、 男性:慢性腎機能障害あり群p=0.002、 腎機能障害 なし群p=0.02) 。 この資材は学会の最新情報を掲載しています。 掲載されている薬剤の使用にあたっては各薬剤の添付文書を参照ください。
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