医 療 器 具 の 汚 染 状 況 新富士病院 臨床工学科1) 看護部2) 腎臓内科3)神経内科4)循環器内科5) ○ 齋藤 和寛1)大西 真弘1)土肥 浩史1)土肥 礼香1)橋本 淳1)佐野 廣樹2) 能登 猛2)青木秀次朗3)山内 康弘3)川上 正人4)中島 一彦5) 背 景 透析室では複数の易感染患者が治療を 行っている。また血液が飛散し、医療器具 などに付着する頻度が高く、交差感染・ 介達感染の可能性が高い。 目 的 透析室内で使用する医療器具の汚染状況と、 清拭の有効性を調査する。 対象と目標管理値および 拭きとり箇所 目標管理値(RLU) ①手 指 1 5 0 0 ②Bed柵 5 0 0 ③カプラ ④テーブル 拭き取り箇所 手の平、指の間 柵上部、左右、中央を10cm2 3 0 0 0 Oリング1周、外側1周 1 0 0 0 ⑤聴診器 2 0 0 四隅、中央10cm2 チェストピース全体 ⑥HDモニタ 3 0 0 中央を10cm2 、操作ボタン ⑦鉗 1 0 0 ボックスロック部、 手で触れる部分 子 日 常 の 清 拭 方 法 通常の手洗い 無 し 使用毎0.06%次亜 過酢酸(1回/月) 使用毎0.06%次亜 使用毎酒精綿 使用毎0.06%次亜 使用毎中性洗剤 方 法 ① 調 査 方 法 透析室で使用する医療器具に対し、清拭前後でATP+AMP拭きと り検査を実施し、清浄度を調査した。また清拭剤使用(0.06% 次亜塩素酸、酒精綿、中性洗剤)と水道水で清拭後の場合で比較した。 使 用 機 器 ルシパックペン + ルミテスターPD20 N N HO HO HO N O HO P O P O P O O O HO O OH ATP(アデノシン三リン酸) (Adenosine tri phosphate) N N HO O N N HO P O O HO OH AMP(アデノシン一リン酸) (Adenosine mono phosphate) NH2 N NH2 方 法 ② 調 査 方 法 清拭前、清拭剤使用後、水道水で清拭後の医療器具に対し て、ルミノール反応試薬を用いて血痕予備検査を実施した。 使 用 試 薬 ルミノール反応試薬 対 対象は先に示した①∼⑦の医療器具と同様 象 和光純薬工業 清拭剤使用および水道水使用時の 清拭後A T P・A M P値の比較 (RLU) 18000 ①手指 * * * * P < 0.01 n = 10 清拭前 * * 16000 ②Bed柵 * * 14000 12000 10000 8000 ③カプラ * * * * mean ④テーブル * * * * 8581.2 水道水使用 * * mean 6152.8 6000 mean mean 4900.7 4371.6 4000 2000 0 mean mean mean 545.1 ns 843.0 mean 307.4 ns mean mean 2772.2 2853.1 mean mean 534.9 539.9 309.2 ns 清拭剤使用 ns 清拭剤使用および水道水使用時の 清拭後A T P・A M P値の比較 (RLU) 2000 ⑤聴 診 器 * * * * ⑥H Dモニタ * * 1800 1600 1400 * * P < 0.01 n = 10 清拭前 * * mean 1385.8 mean 1200 清拭剤使用 ⑦鉗 子 * * 1111.7 水道水使用 * * 1000 800 mean 600 486.6 400 200 0 mean 48.0 mean mean 225.9 17.1 ns mean 220.6 mean 21.1 ns ns mean 20.6 清拭剤使用後と水道水使用の清拭後 A T P・A M P値低下率 ( % ) ①手指 ②ベッド冊 ③カプラ ④テーブル ⑤聴診器 ⑥HDモニタ ⑦鉗子 0.0 清拭剤 水道水 -20.0 n = 10 -40.0 -60.0 -80.0 -100.0 N.S -120.0 -140.0 N.S N.S N.S N.S N.S N.S 清 浄 度 分 布 表 ( 清拭剤使用時 ) 清浄度高 Ⅱ Ⅰ Ⅲ 清浄度分布 Ⅳ Ⅴ <200 201∼ 501∼ 1001∼ ①手 指 6 4 1 ②Bed柵 3 5 2 2 ③カプラ ④テーブル 6 ⑥HDモニタ 10 3 ⑦鉗 子 10 ⑤聴診器 7 3 6 1 2501∼ 3 Ⅵ 5001∼ 1 n =10 手指:n =13 清浄度低 Ⅶ Ⅷ Ⅸ 10001∼ 25001∼ >50000 清 浄 度 分 布 表 ( 水道水 ) 清浄度高 Ⅱ Ⅰ Ⅲ 清浄度分布 Ⅳ Ⅴ <200 201∼ 501∼ 1001∼ ①手 指 6 4 1 ②Bed柵 3 6 2 1 ③カプラ ④テーブル 3 4 ⑤聴診器 ⑥HDモニタ 10 5 5 ⑦鉗 子 10 1 5 2 2501∼ 4 Ⅵ 5001∼ 1 n =10 手指:n =13 清浄度低 Ⅶ Ⅷ Ⅸ 10001∼ 25001∼ >50000 血 痕 予 備 検 査 結 果 (ル ミ ノ ー ル 反 応) n = 1 0 清拭前値 ①手 指 ②Bed 柵 ③カプラ ④テーブル ⑤聴診器 ⑥HDモニタ ⑦鉗 子 1 0 反応数 5 1 0 6 9 0 清拭剤使用時 ①手 指 ②Bed 柵 ③カプラ ④テーブル ⑤聴診器 ⑥HDモニタ ⑦鉗 子 5 反応数 2 4 2 6 0 水道水使用時 ①手 指 反応数 ②Bed 柵 ③カプラ ④テーブル ⑤聴診器 ⑥HDモニタ ⑦鉗 子 6 1 5 3 4 0 ま と め ATP・AMP平均値(RLU) 測定部位 清拭前ATP・AMP平均値 ① ② ④ ③ ⑤ ⑥ ⑦ 8581.2 6152.8 4371.6 4900.7 1385.8 1111.7 486.6 清拭剤使用後ATP・AMP平均値 545.1 307.4 2772.2 534.9 48.0 225.9 21.1 水道水使用後ATP・AMP平均値 843.0 309.2 2853.1 539.9 17.1 220.6 20.6 ATP・AMPクラス分類(ピーク値) クラス (<200) Ⅰ (<1001∼2500) (<201∼500) Ⅳ Ⅱ 清拭剤使用後ATP・AMPピーク ①⑤⑦ ②④⑥ ③ 水道水使用後ATP・AMPピーク ①⑤⑥⑦ ②④⑥ ③ 血痕予備検査反応数(箇所) ② ③ 清拭前血痕予備検査反応数 10 清拭剤使用後血痕予備検査反応数 水道水使用後血痕予備検査反応数 測定部位 5 ④ 10 ⑤ 6 ⑥ 9 ⑦ 0 5 2 4 2 6 0 6 1 5 3 4 0 考 察 ① 清拭後の清浄度について、清拭剤と水道水で差が無 い事から、ATP・AMP値の低減は、物理的な拭きとり 作用が有効と考えた。 ② 清浄度分布の結果から、清拭剤と水道水で清浄度分 布に差は無く、概ね清浄度は保たれていた。現在 採用している方法が有効であると考える。 ③ 清拭後の各ポイントで血痕予備反応を認めた事から、 交差感染・介達感染を考慮して清拭剤の使用が望ま しいと考えた。 結 論 透析室内の医療器具は汚染されていたが、 清拭によって清浄度は目標管理値に保てた。 日本透析医学会 CO I 開示 齋藤 和寛 演題発表に関連し、開示すべきCOI関係にある 企業などはありません。
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