講義資料

「2014年度前期幾何学3・幾何学概論3」講義資料
1
★ 接続
∇ : X (M) × X (M) −→ X (M), (X, Y ) 7→ ∇X Y で,
∇f X+gY Z = f ∇X Z + g∇Y Z,
∇X (Y + Z) = ∇X Y + ∇X Z,
∇X (f Y ) = X(f )Y + f ∇X Y
をみたすものを接続と呼び, ∇X Y を X による Y の共変微分と呼ぶ. 局所座標で
は, 接続係数 {Γkij } を使って,
∇∂/∂xi
∂
∂
= Γkij k
j
∂x
∂x
と書ける. ω ∈ Ωk (M) または S k (M) に対しては, ∇X ω ∈ Ωk (M) または S k (M)
を
(∇X ω)(Y1 , . . . , Yk ) = X(ω(Y1, . . . , Yk )) −
n
X
i=1
ω(Y1 , . . . , ∇X Yi , . . . , Yk )
と定義する.
リーマン多様体 (M, g) に対して,
∇g = 0,
∇X Y − ∇Y X − [X, Y ] = 0
をみたす接続がただ一つ定まる. この接続を Levi-Civita 接続と呼ぶ.
Levi-Civita 接続の接続係数は, Γkij = Γkji をみたし,
1
Γkij = g kℓ(∂i gjℓ + ∂j giℓ − ∂ℓ gij )
2
と書ける. さらに, 座標変換によって,
2 γ
k
∂ y
∂y α ∂y β γ
∂x
k
Γij =
+
Γαβ
i
j
i
j
∂x ∂x
∂x ∂x
∂y γ
と変換される.
★ 曲率テンソル
M 上の Hom(X (M), X (M))-valued 2-form R(X, Y ) を
R(X, Y ) = ∇X ∇Y − ∇Y ∇X − ∇[X,Y ]
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2014/07/22
「2014年度前期幾何学3・幾何学概論3」講義資料
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で定義し, R を M の Riemann 曲率テンソルと呼び, その成分を
∂
∂
∂
∂
ℓ
R
, j
= Rkij
,
i
k
∂u ∂u ∂u
∂uℓ
∂
∂
∂
∂
m
Rℓkij = gmℓ Rkij = g R
,
,
,
∂ui ∂uj ∂uk ∂uℓ
と書く. Riemann 曲率テンソルに関して,
R(X, Y )Z = −R(Y, X)Z,
Rkℓij = −Rkℓji ,
R(X, Y )Z + R(Y, Z)X + R(Z, X)Y = 0,
g(R(X, Y )Z, W ) = −g(R(X, Y )W, Z),
g(R(X, Y )Z, W ) = g(R(Z, W )X, Y ),
Rkℓij + Rkijℓ + Rijkℓ = 0
Rkℓij = −Rℓkij ,
Rkℓij = −Rijkℓ .
が成り立つ. また, 局所座標系では
i
i
m i
Rjkℓ
= ∂k Γijℓ − ∂ℓ Γijk + Γm
jℓ Γmk − Γjk Γmℓ
と書ける.
★ 曲率
X, Y を M 上の各点で一次独立なベクトル場とおく. この時,
K(X, Y ) =
g(R(X, Y )X, Y )
|X ∧ Y |2
を X, Y が張る平面に関する断面曲率と呼ぶ. また, 線形写像 RX,Y : T M −→ T M,
RX,Y Z = R(Y, Z)X に対して, Ric(X, Y ) = trace RX,Y を Ricci テンソルと呼び,
さらに, R = traceg Ric をスカラー曲率と呼ぶ. 全ての断面曲率が正の多様体を正
曲率多様体と呼ぶ. また, 全ての方向に対する Ricci 曲率が正のとき, 正の Ricci
曲率をもつ多様体と呼ぶ.
Tx M での正規直交基底 {Xi = ∂/∂xi } をとれば,
K(Xi , Xj ) = Rijij
とかける. また, 一般の局所座標系では, Ricci テンソル Rij , スカラー曲率 R は,
k
Rij = Rikj
= g kℓ Rℓikj
R = Rij g ij
と書ける.
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2014/07/22
「2014年度前期幾何学3・幾何学概論3」講義資料
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★ 測地線
(M, g) 上の曲線 γ ∈ C ∞ (I, M) のエネルギー汎関数
Z
1
E(γ) =
g(γ ′(t), γ ′ (t)) dt
2 I
の臨界点となる曲線を M 上の測地線と呼ぶ. γ が測地線である必要十分条件は,
∇γ ′ γ ′ = 0,
j
i
d2 γ k
k dγ dγ
+
Γ
=0
ij
dt2
dt dt
である.
★ ラプラシアン
(M, g) が向き付け可能である時, その体積要素 dVM を, 局所座標系を使って,
q
dVM = det(gij )dx1 ∧ · · · ∧ dxn
p
√
と定義する. det(gij ) を簡単に g と書くことがある.
f ∈ C ∞ (M) に対して, そのエネルギー汎関数を
Z
1
|df |2g dVM
E(f ) =
2 M
と定義し, E の臨界点となる関数 f ∈ C ∞ (M) を M 上の調和関数と呼ぶ. f ∈
C ∞ (M) が調和関数であるための必要十分条件は,
∆M f = 0
となることである. ここで, ラプラシアン ∆M は, 任意の u, v ∈ C ∞ (M) に対して,
Z
Z
hdu, dvig dVM = −
h∆M u, vi dVM
M
M
をみたす微分作用素で, 局所座標系では
1 ∂
∆M f = − √
g ∂xj
ij √ ∂f
g g i
∂x
と書ける.
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2014/07/22