2014 年 9 月作成 (第 2 版) 平成26年9月~平成27年3月 日本標準商品分類番号 87625 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会の IF 記載要領 2013 に準拠して作成 剤 形 フィルムコーティング錠 製 剤 の 規 制 区 分 劇薬、 処方箋医薬品 (注意―医師等の処方箋により使用すること) 規 量 1 錠中ダクラタスビル塩酸塩 66mg (ダクラタスビルとして 60mg) を含有 名 和名:ダクラタスビル塩酸塩 (JAN) 洋名:Daclatasvir Hydrochloride (JAN) 一 格 ・ 般 含 製造販売承認年月日 薬 価 基 準 収 載・ 発 売 年 月 日 製造販売承認年月日:2014 年 7 月 4 日 薬価基準収載年月日:2014 年 9 月 2 日 発売年月日:2014 年 9 月 3 日 開発・製造販売(輸入) ・ 提 携・ 販 売 会 社 名 製造販売元:ブリストル・マイヤーズ株式会社 医薬情報担当者の連絡先 ブリストル・マイヤーズ株式会社 メディカル情報部 TEL:0120-093-507 (9:00 ~ 17:30 /土日祝日および会社休業日を除く) 問 い 合 わ せ 窓 口 FAX:03-6705-7954 医療関係者向けホームページ:http://www.bmshealthcare.jp 本 IF は 2014 年 9 月作成の添付文書の記載に基づき作成した。 最新の添付文書情報は、 医薬品医療機器情報提供ホームページ http://www.info.pmda.go.jp/ にてご確認くだ さい。 IF 利用の手引きの概要-日本病院薬剤師会- 1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯 医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書 (以下、添付文書と略す) がある。 医療現場で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活用する 際には、 添付文書に記載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある。 医療現場では、当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑をし て情報を補完して対処してきている。 この際に必要な情報を網羅的に入手するための情報リストとして インタビューフォームが誕生した。 昭和 63 年に日本病院薬剤師会(以下、日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタビュー フォーム」 (以下、IFと略す) の位置付け並びに IF 記載様式を策定した。 その後、医療従事者向け 並びに患者向け医薬品情報ニーズの変化を受けて、平成 10 年 9 月に日病薬学術第 3 小委員会に おいて IF 記載要領の改訂が行われた。 更に 10 年が経過し、 医薬品情報の創り手である製薬企業、 使い手である医療現場の薬剤師、 双方に とって薬事・医療環境は大きく変化したことを受けて、平成 20 年 9 月に日病薬医薬情報委員会にお いて IF 記載要領 2008 が策定された。 IF 記載要領 2008 では、IF を紙媒体の冊子として提供する方式から、PDF 等の電磁的データとし て提供すること (e-IF) が原則となった。 この変更にあわせて、 添付文書において「効能・効果の追加」、 「警告・禁忌・重要な基本的注意の改訂」 などの改訂があった場合に、 改訂の根拠データを追加した 最新版の e-IF が提供されることとなった。 最新版の e-IF は、 (独)医薬品医療機器総合機構の医薬品情報提供ホームページ (http://www. info.pmda.go.jp/) から一括して入手可能となっている。 日本病院薬剤師会では、e-IF を掲載する医 薬品情報提供ホームページが公的サイトであることに配慮して、薬価基準収載にあわせて e-IF の情 報を検討する組織を設置して、個々の IF が添付文書を補完する適正使用情報として適切か審査・ 検討することとした。 2008 年より年 4 回のインタビューフォーム検討会を開催した中で指摘してきた事項を再評価し、製薬企 業にとっても、医師・薬剤師等にとっても、効率の良い情報源とすることを考えた。 そこで今般、IF 記 載要領の一部改訂を行い IF 記載要領 2013として公表する運びとなった。 2.IF とは IF は「添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な、医薬品の品 質管理のための情報、処方設計のための情報、調剤のための情報、医薬品の適正使用のための情 報、薬学的な患者ケアのための情報等が集約された総合的な個別の医薬品解説書として、日病薬が 記載要領を策定し、薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術 資料」 と位置付けられる。 ただし、 薬事法・製薬企業機密等に関わるもの、 製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師 自らが評価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない。言い換えると、製薬企業から 提供された IF は、 薬剤師自らが評価・判断・臨床適応するとともに、 必要な補完をするものという認識 を持つことを前提としている。 [IF の様式] ①規格は A4 版、 横書きとし、 原則として 9 ポイント以上の字体 (図表は除く) で記載し、 一色刷りとする。 ただし、 添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には、 電子媒体ではこれに従うものとする。 ② IF 記載要領に基づき作成し、 各項目名はゴシック体で記載する。 ③表紙の記載は統一し、表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの概要」の全文を記載するも のとし、2 頁にまとめる。 [IF の作成] ① IF は原則として製剤の投与経路別 (内用剤、 注射剤、 外用剤) に作成される。 ② IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する。 ③添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される。 ④製薬企業の機密等に関するもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をはじめ医療 従事者自らが評価・判断・提供すべき事項については記載されない。 ⑤「医薬品インタビューフォーム記載要領 2013」 (以下、 「IF 記載要領 2013」 と略す) により作成された IF は、電子媒体での提供を基本とし、必要に応じて薬剤師が電子媒体 (PDF) から印刷して使用 する。企業での製本は必須ではない。 [IF の発行] ①「IF 記載要領 2013」は、 平成 25 年 10 月以降に承認された新医薬品から適用となる。 ②上記以外の医薬品については、 「IF 記載要領 2013」による作成・提供は強制されるものではない。 ③使用上の注意の改訂、再審査結果又は再評価結果 (臨床再評価) が公表された時点並びに適応 症の拡大等がなされ、 記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂される。 3.IF の利用にあたって 「IF 記載要領 2013」においては、PDF ファイルによる電子媒体での提供を基本としている。情報を利 用する薬剤師は、 電子媒体から印刷して利用することが原則である。 電子媒体の IF については、医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページに 掲載場所が設定されている。 製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが、IF の原点を踏 まえ、医療現場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については製薬企業の MR 等 へのインタビューにより薬剤師等自らが内容を充実させ、IF の利用性を高める必要がある。 また、随時 改訂される使用上の注意等に関する事項に関しては、IF が改訂されるまでの間は、当該医薬品の 製薬企業が提供する添付文書やお知らせ文書等、あるいは医薬品医療機器情報配信サービス等に より薬剤師等自らが整備するとともに、IF の使用にあたっては、最新の添付文書を医薬品医療機器 情報提供ホームページで確認する。 なお、適正使用や安全性の確保の点から記載されている 「臨床成績」や「主な外国での発売状況」に 関する項目等は承認事項に関わることがあり、 その取扱いには十分留意すべきである。 4.利用に際しての留意点 IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂きたい。 しか し、薬事法や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により、製薬企業が医薬品情報として提 供できる範囲には自ずと限界がある。IF は日病薬の記載要領を受けて、当該医薬品の製薬企業が 作成・提供するものであることから、記載・表現には制約を受けざるを得ないことを認識しておかなけ ればならない。 また製薬企業は、IF があくまでも添付文書を補完する情報資材であり、インターネットでの公開等も踏 まえ、薬事法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていることを理解して情報を活用する必 要がある。 (2013 年 4 月改訂) 目 次 Ⅰ.概要に関する項目 9.製剤中の有効成分の確認試験法 7 1.開発の経緯 1 10.製剤中の有効成分の定量法 7 2.製品の治療学的・製剤学的特性 2 11.力価 8 12.混入する可能性のある夾雑物 8 Ⅱ.名称に関する項目 1.販売名 13.注意が必要な容器・外観が特殊な容器に関する 3 情報 8 (1) 和名 3 (2) 洋名 3 (3) 名称の由来 3 Ⅴ.治療に関する項目 3 1.効能又は効果 9 (1) 和名(命名法) 3 2.用法及び用量 10 (2) 洋名(命名法) 3 3.臨床成績 11 (3) ステム (stem) 2.一般名 14.その他 8 3 (1)臨床データパッケージ 11 3.構造式又は示性式 3 (2)臨床効果 12 4.分子式及び分子量 3 (3)臨床薬理試験 13 5.化学名 (命名法) 4 1)忍容性試験 13 6.慣用名、 別名、 略号、 記号番号 4 2)薬力学的試験 13 7.CAS 登録番号 4 3)QT/QTc に及ぼす影響 13 Ⅲ.有効成分に関する項目 1.物理化学的性質 5 (1) 外観・性状 5 (2) 溶解性 5 (3) 吸湿性 5 (4) 融点(分解点) 、 沸点、 凝固点 5 (5) 酸塩基解離定数 5 (6) 分配係数 5 (7) その他の主な示性値 5 2.有効成分の各種条件下における安定性 5 3.有効成分の確認試験法 5 4.有効成分の定量法 5 1)無作為化並行用量反応試験 14 2)比較試験 15 3)安全性試験 17 4)患者・病態別試験 17 17 1)使用成績調査・特定使用成績調査(特別 調査) ・製造販売後臨床試験(市販後臨床 試験) 17 2)承認条件として実施予定の内容又は実施 した試験の概要 6 6 (2) 製剤の物性 6 (3) 識別コード 6 (4) pH、 浸透圧比、 粘度、 比重、 無菌の旨及び安定 2.製剤の組成 14 17 Ⅵ.薬効薬理に関する項目 (1) 剤形の区別、 外観及び性状 な pH 域等 13 (5)検証的試験 (6)治療的使用 Ⅳ.製剤に関する項目 1.剤形 (4)探索的試験 1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 18 2.薬理作用 18 (1)作用部位・作用機序 18 (2)薬効を裏付ける試験成績 19 (3)作用発現時間・持続時間 23 6 Ⅶ.薬物動態に関する項目 6 1.血中濃度の推移・測定法 25 (1) 有効成分(活性成分) の含量 6 (1)治療上有効な血中濃度 25 (2) 添加物 6 (2)最高血中濃度到達時間 25 (3) その他 6 (3)臨床試験で確認された血中濃度 25 3.懸濁剤、 乳剤の分散性に対する注意 6 (4) 中毒域 29 4.製剤の各種条件下における安定性 7 (5)食事・併用薬の影響 30 5.調製法及び溶解後の安定性 7 (6)母集団(ポピュレーション)解析により判明した 6.他剤との配合変化(物理化学的変化) 7 7.溶出性 7 8.生物学的試験法 7 薬物体内動態変動要因 2.薬物速度論的パラメータ (1)解析方法 -i- 33 33 33 (2) 吸収速度定数 33 13.過量投与 50 (3) バイオアベイラビリティ 33 14.適用上の注意 50 (4) 消失速度定数 33 15.その他の注意 51 (5) クリアランス 33 16.その他 51 (6) 分布容積 34 (7) 血漿蛋白結合率 34 3.吸収 34 4.分布 34 (1) 血液−脳関門通過性 34 (2) 血液−胎盤関門通過性 34 (3) 乳汁への移行性 35 (4) 髄液への移行性 35 (5) その他の組織への移行性 36 5.代謝 (1) 代謝部位及び代謝経路 Ⅸ.非臨床試験に関する項目 1.薬理試験 37 (2) 代謝に関与する酵素(CYP450 等) の分子種 37 (3) 初回通過効果の有無及びその割合 37 (4) 代謝物の活性の有無及び比率 38 (5) 活性代謝物の速度論的パラメータ 38 6.排泄 38 (2) 排泄率 38 (3) 排泄速度 38 7.トランスポーターに関する情報 39 8.透析等による除去率 39 40 2.禁忌内容とその理由 (原則禁忌を含む) 40 40 4.用法及び用量に関連する使用上の注意とその 理由 5.慎重投与内容とその理由 40 42 (2) 併用注意とその理由 43 8.副作用 44 (2) 重大な副作用と初期症状 44 (3) その他の副作用 45 46 (5) 基礎疾患、 合併症、 重症度及び手術の有無等 背景別の副作用発現頻度 (6) 薬物アレルギーに対する注意及び試験法 49 49 10.妊婦、 産婦、 授乳婦等への投与 49 11.小児等への投与 50 12.臨床検査結果に及ぼす影響 50 (2)反復投与毒性試験 53 (3)生殖発生毒性試験 54 (4) その他の特殊毒性 55 1.規制区分 56 2.有効期間又は使用期限 56 3.貯法・保存条件 56 4.薬剤取扱い上の注意点 56 56 すべき必須事項等) 56 (3)調剤時の留意点について 56 5.承認条件等 56 6.包装 56 7.容器の材質 56 8.同一成分・同効薬 56 9.国際誕生年月日 57 10.製造販売承認年月日及び承認番号 57 11.薬価基準収載年月日 57 57 内容 57 14.再審査期間 57 15.投薬期間制限医薬品に関する情報 57 16.各種コード 57 17.保険給付上の注意 57 1.引用文献 58 2.その他の参考文献 60 Ⅻ.参考資料 49 9.高齢者への投与 53 Ⅺ.文献 (4) 項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常 一覧 53 (1)単回投与毒性試験 13.再審査結果、 再評価結果公表年月日及びその 44 (1) 副作用の概要 52 年月日及びその内容 42 (1) 併用禁忌とその理由 52 (4) その他の薬理試験 12.効能又は効果追加、 用法及び用量変更追加等の 40 6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法 41 7.相互作用 (3)安全性薬理試験 (2)薬剤交付時の取り扱いについて (患者等に留意 3.効能又は効果に関連する使用上の注意とその 理由 52 (1)薬局での取り扱い上の留意点 Ⅷ.安全性 (使用上の注意等)に関する項目 1.警告内容とその理由 52 (2)副次的薬理試験 Ⅹ.管理的事項に関する項目 38 (1) 排泄部位及び経路 (1)薬効薬理試験 2.毒性試験 37 52 1.主な外国での発売状況 61 2.海外における臨床支援情報 61 ⅩⅢ.備考 その他の関連資料 - ii - 62 Ⅰ.概要に関する項目 1.開発の経緯 日本の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変の患者は高齢化しており、既存の抗ウイルス療法によ る治療が困難な患者が多く存在する。 また既存の抗ウイルス療法では十分な効果が得られない患者 も存在していることから、 より安全性及び有効性が良好で、かつ、投与方法や副作用管理が簡便な治 療が望まれていた。 ダクルインザ錠 (ダクラタスビル塩酸塩:以下、 ダクラタスビル) は、 米国ブリストル・マ イヤーズ スクイブ社 (BMS) が開発した新規作用機序の低分子阻害剤 (直接作用型抗ウイルス剤: DAA) であり、C 型肝炎ウイルス (HCV) の複製に必須の蛋白である非構造蛋白 5A (NS5A) の機 能を阻害することにより、抗ウイルス作用を示す世界初 (First in class) の HCV NS5A 複製複合体 阻害剤である。 本剤は、他の DAA である HCV 非構造蛋白 3/4A (NS3/4A) プロテアーゼ阻害剤スンベプラカプセ ル (アスナプレビル) との併用により、抗ウイルス活性の相加効果又は相乗効果が認められ、 また拮抗作 用、 細胞毒性の著明な増強、 及び交差耐性は認められなかったことから、 併用での開発を行った。 日本人ジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者又は C 型代償性肝硬変患者で、インターフェロンを含む 治療法に不適格の未治療患者/不耐容患者及び過去のインターフェロン製剤及びリバビリンとの併 用療法で無効となった患者 (前治療無効患者) を対象に行った第 3 相試験 (AI447026 試験) におい て、 ダクラタスビル・アスナプレビル併用療法の良好な抗ウイルス効果、安全性及び忍容性が確認され たことから、2014 年 7 月 4 日に「セログループ 1 (ジェノタイプ 1) の C 型慢性肝炎又は C 型代償性 肝硬変における次のいずれかのウイルス血症の改善: (1) インターフェロンを含む治療法に不適格の 未治療あるいは不耐容の患者、 (2) インターフェロンを含む治療法で無効となった患者」 を効能又は効 果として、世界に先駆け日本で承認を取得した。 ダクルインザ・スンベプラ併用療法は、日本初の経口 剤のみによるセログループ 1 (ジェノタイプ 1) の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変におけるウイル ス血症の改善に対する有効性・安全性が認められた治療法になる。 -1- 2.製品の治療学的・製剤学的特性 (1) ダクルインザ錠 (ダクラタスビル) は NS5A 複製複合体阻害剤である。 (p.18 参照) (2) ダクルインザ錠は NS3/4A プロテアーゼを阻害するスンベプラカプセル (アスナプレビル) との併用 で 24 週間使用する。 (3) ダクルインザ・スンベプラ併用療法は、日本初の経口剤のみによるセログループ ( 1 ジェノタイプ 1) の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変における次のいずれかのウイルス血症の改善に対する 治療法である。 (1) インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者 (2) インターフェロンを含む治療法で無効となった患者 (4) ダクルインザ・スンベプラ併用療法により、ジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者又は C 型代償性 肝硬変患者において、 優れた有効性が確認された。 (国内第 3 相試験;p.15 ~ 17 参照) ・インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者における SVR24 達 成割合は 87.4% (118/135 例) 、前治療無効患者における SVR24 達成割合は 80.5% (70/87 例) 、 合計の SVR24 達成割合は 84.7% (188/222 例) であった。 ・上記のうち、ベースラインに代償性肝硬変のある患者集団における SVR24 達成割合は 90.9% (20/22 例) であった。 (5) ダクルインザ・スンベプラ併用療法による SVR24 達成割合は、年齢、性別、ベースラインの HCV RNA 量、 IL28B 遺伝子型等の背景因子に関わらず、 良好な有効性を示した。 (国内第 3 相試験; p.15 ~ 17 参照) < SVR24 達成割合> ・65 歳以上:89.9% (80/89 例) 、65 歳未満:81.2% (108/133 例) ・女性:85.5% (124/145 例) 、 男性:83.1% (64/77 例) ・IL28B (rs8099917) TT (メジャーアレル) :84.8% (95/112 例) 、TG 及び GG (マイナーアレル) : 84.3% (91/108 例) (6) ダクルインザ・スンベプラ併 用 療 法による国 内 第 2 相 及び 第 3 相 試 験 (AI447017 試 験、 AI447026 試験)で、255 例中 158 例 (62.0%) に副作用が認められた。主な副作用は、ALT (GPT) 増加 17.6% (45 例) 、AST (GOT) 増加 14.1% (36 例) 、 頭痛 12.9% (33 例) 、 発熱 11.8% (30 例) であった。 重大な副作用は、ALT (GPT)増加 8.2%、AST (GOT)増加 5.9%、血中ビリルビン増加 0.8% の肝機能障害であった。 (承認時) (p.44 ~ 49 参照) -2- Ⅱ.名称に関する項目 1.販売名 (1)和名 ダクルインザ® 錠 60mg (2)洋名 Daklinza® Tablets 60mg (3)名称の由来 一 般 名 のダクラタスビル “Daclatasvir” と除 去 の 意 味を持 つ “cleanse” を組 み 合わ せて、 「ダクルインザ (Daklinza) 」 と命名した。 2.一般名 (1)和名(命名法) ダクラタスビル塩酸塩 (JAN) (2)洋名(命名法) Daclatasvir Hydrochloride (JAN) daclatasvir (INN) (3)ステム(stem) 抗ウイルス剤 (未定義のグループ) :-vir 3.構造式又は示性式 CH3 O CH3 H3C O NH H O H N N N N H CH3 分子式:C40H50N8O6・2HCl 分子量:811.80 -3- H H HN O 4.分子式及び分子量 O N H N O CH3・2HC1 CH3 5.化学名(命名法) Dimethyl N,N’-([1,1’-biphenyl]-4,4’-diylbis {1H-imidazole-5,2-diyl-[(2S)-pyrrolidine-2,1diyl] [(1S) -3-methyl-1-oxobutane-1,2-diyl] } ) dicarbamate dihydrochloride (IUPAC) 6.慣用名、別名、略号、記号番号 開発番号:BMS-790052-05、BMS-790052 7.CAS 登録番号 1009119-65-6 -4- Ⅲ.有効成分に関する項目 1.物理化学的性質 (1)外観・性状 白色~黄色の粉末 (2)溶解性 水又はジメチルスルホキシドに溶けやすく、 エタノール (99.5) にやや溶けにくい。 (3)吸湿性 相対湿度 95%RH において、吸収された水分量は 0.7% 以下であり、 ダクラタスビル塩酸塩に吸湿 性はないと考えられる。 (4)融点(分解点)、沸点、凝固点 融点:206 ~ 253℃で分解を伴い融解 (5)酸塩基解離定数 pKa=5.6 及び 4.9 (2 つのイミダゾール環) (6)分配係数 〕 5.52〔log Do/b(1- オクタノール/緩衝液、24±3℃、pH 6.5) (7)その他の主な示性値 旋光性あり 2.有効成分の各種条件下における安定性 試験 保存条件 長期保存 試験 25℃/60%RH 加速試験 苛酷試験 湿度 保存期間 試験結果 5℃ 30℃/65%RH 二重のポリエチレン袋/ファイバードラム 40℃/75%RH −20℃ 50℃ a 光(曝光、 遮光) 12ヵ月 6ヵ月 40℃/75%RH、 開放 ポリエチレン袋 温度 光 保存形態 二重のポリエチレン袋/ファイバードラム シャーレ 6ヵ月 12ヵ月 3ヵ月 4日 測定項目:性状、 含量、 類縁物質、 水分、 粉末 X 線回折 a:光安定性試験ガイドラインに従う (高照度光 120 万 lx・hr 及び紫外線 A 200W・hr/m2) 3.有効成分の確認試験法 赤外吸収スペクトル測定法 (ATR 法) 液体クロマトグラフィー 4.有効成分の定量法 液体クロマトグラフィー -5- いずれの条件で も変化なし Ⅳ.製剤に関する項目 1.剤形 (1)剤形の区別、外観及び性状 製剤 性状 ダクルインザ錠 60mg 淡緑色の五角形 のフィルムコーティ ング錠 外観 サイズ 垂線:9.1mm 厚さ:4.6mm 重さ 315 mg (2)製剤の物性 該当資料なし (3)識別コード BMS215 (4)pH、浸透圧比、粘度、比重、無菌の旨及び安定な pH 域等 該当しない 2.製剤の組成 (1)有効成分(活性成分)の含量 1 錠中ダクラタスビル塩酸塩 66mg (ダクラタスビルとして 60mg) を含有 (2)添加物 無水乳糖、結晶セルロース、 クロスカルメロースナトリウム、二酸化ケイ素、 ステアリン酸マグネシウム、 ヒプロメロース、 酸化チタン、 マクロゴール 400、 青色 2 号アルミニウムレーキ、 黄色三二酸化鉄 (3)その他 該当しない 3.懸濁剤、乳剤の分散性に対する注意 該当しない -6- 4.製剤の各種条件下における安定性 試験 温度/湿度/光 保存形態 保存期間 5℃/-/暗所 PTP 包装 12ヵ月 25℃/ 60%RH / 暗所 PTP 包装 12ヵ月 30℃/ 75%RH / 暗所 PTP 包装 12ヵ月 40℃/ 75%RH / 暗所 PTP 包装 6ヵ月 温度 50℃/-/暗所 PTP 包装 3ヵ月 温度 −20℃/-/暗所 PTP 包装 1ヵ月 湿度 25℃/ 60%RH / 暗所 シャーレ 12ヵ月 凍結/解凍 サイクル −20℃と40℃/ 75%RH の繰り返し (7 回)/-/暗所 高密度 ポリエチレン ボトル 2 週間 光 25℃/-/ 高照度光 / 近紫外線 シャーレ 4 日間 a 長期保存 試験 加速試験 結果 いずれの条件でも変化なし 苛酷試験 測定項目:性状、 類縁物質、 水分、 溶出性、 含量、 微生物限度 a:光安定性試験ガイドラインで示された曝光量に相当する (総照度として 120 万 lx・hr 及び総近紫外線放射エネルギーとして 200W・h/m2) 5.調製法及び溶解後の安定性 該当しない 6.他剤との配合変化(物理化学的変化) 該当しない 7.溶出性 日局 溶出試験法 (パドル法) 8.生物学的試験法 該当資料なし 9.製剤中の有効成分の確認試験法 赤外吸収スペクトル測定法 (ATR 法) 液体クロマトグラフィー 10.製剤中の有効成分の定量法 液体クロマトグラフィー -7- 11.力価 該当しない 12.混入する可能性のある夾雑物 該当しない 13.注意が必要な容器・外観が特殊な容器に関する情報 該当しない 14.その他 該当しない -8- Ⅴ.治療に関する項目 1.効能又は効果 セログループ 1(ジェノタイプ 1)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変における次のいずれ かのウイルス血症の改善 (1)インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者 (2)インターフェロンを含む治療法で無効となった患者 <効能又は効果に関連する使用上の注意> (1)本剤の使用に際しては、HCV RNA が陽性であることを確認すること。 また、組織像又は肝予 備能、 血小板数等により、 非代償性肝硬変でないことを確認すること。 (2) ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師が臨床成績の内容を熟知した上で、 投与の可否を判断すること。 (「その他の注意」、 「臨床成績」の項参照) (解説) 効能又は効果 本剤及びアスナプレビル (製品名:スンベプラカプセル 100mg)の併用による国内第 3 相試験 本剤の有効性、 安全性が確認されたため、 設定した。 (AI447026 試験)1, 2)にて、 本試験において、本剤及びアスナプレビルの併用療法は、インターフェロンを含む治療法に不適格 (null responder 及び partial responder) の未治療患者*1 /不耐容患者*2 及び前治療無効患者 *3 に対して高い SVR24 〔投与終了 24 週後にHCV RNA が定量下限 15 (1.2 log10) IU/mL 未満〕 の達成割合を示した (それぞれ 87.4% 及び 80.5%、合計で 84.7%)。 また、ベースラインに代償性肝 (それぞれ 硬変のある患者*4 の SVR24 達成割合は、代償性肝硬変のない患者と同程度であった 90.9% 及び 84.0%) 。 * 1:インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療患者 貧 血(ヘモグロビン 8.5g/dL 以上 12.0g/dL 未満) 、好中球減少(好中球数 750/mm3 以上 1,500/mm3 未満) 、血小板減少(血小板数 50,000/mm3 以上 120,000/mm3 未満) 、 うつ病(精神科医による軽度から中等度及び安定の診断) 、投薬が必要なその他の合併症(高血圧、 糖尿病、 自己免疫疾患、 甲状腺機能異常など)又は高齢(65 歳以上 75 歳以下で、健康状態、臨床検査値又は合併症等によりインターフェロン 不適格と判断された患者) のいずれかの条件に該当し、 今後 12ヵ月間インターフェロン治療を受ける予定のない患者。 * 2:インターフェロンを含む治療法に不耐容患者 イ ンターフェロン又はリバビリンの副作用のため、12 週間未満で治療を中止した患者。 * 3:前治療無効患者 ペ グインターフェロン アルファ (pegIFNα)/リバビリン (RBV)又はインターフェロン ベータ (IFNβ) /RBV を 12 週以上投与してもHCV RNA が 定量下限未満(検出せず) にならなかった患者。 ・null responder 前治療無効患者のうち、pegIFNα/RBV 又は IFNβ/RBV の 12 週間以上の投与でベースラインからの HCV RNA 減少が 2 log10 未満 の患者。 ・partial responder 前治療無効患者のうち、pegIFNα/RBV 又は IFNβ/RBV を 12 週間以上投与後に HCV RNA 量がベースラインから 2 log10 以上減少 したが、HCV RNA が定量下限未満(検出せず) にならなかった患者。 * 4:代償性肝硬変患者 Child‐Pugh 分類 A の患者。 《V.治療に関する項目 3.臨床成績 (2) 臨床効果 参照》 効能又は効果に関連する使用上の注意 (1) 本剤を使用する前に、C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変であること及び非代償性肝硬 変でないことを確認し、 他の肝炎に対する使用を避けること。 (2) ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師が臨床成績の内容を熟知した上で、 投与の可否を判断すること。 なお、インターフェロンを含む治療法のうち、他の NS3/4A プロテ -9- アーゼ阻害剤 (テラプレビル、シメプレビル) を含む既治療患者に対する使用経験はない。 これら の患者に対しては、本剤及びアスナプレビルの併用療法に際して、ウイルス性肝疾患の治療に 十分な知識・経験を持つ医師が前治療の種類、 前治療に対する反応性、 耐性変異の有無、 患 者の忍容性等を考慮した上で、 投与の可否を判断すること。 2.用法及び用量 通常、成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、投与期間は 24 週間とする。 <用法及び用量に関連する使用上の注意> (1)投与開始時は、本剤及びアスナプレビルを同時に投与し、投与開始後は用量の変更及び投与 の中断をしないこと。 ただし、副作用の発現により投与の継続が困難な場合には、本剤及びアス ナプレビルを同時に中断すること。 投与再開の可否については、 リスクとベネフィットを考慮して慎 重に判断し、 投与を再開する場合は、 本剤及びアスナプレビルを同時に再開すること。 (2)本剤投与中は、血中 HCV RNA 量を測定すること。 ウイルス学的ブレイクスルー (投与中に血 が発現した場合は、 本剤及びアスナプレ 中 HCV RNA 量が最低値から1 log10 を超えて増加) ビルの投与中止を考慮すること。 (解説) 用法及び用量 3, 4) 5) 及び海外前期第 2 相試験 (AI447011 試験) において、 国内前期第 2 相試験 (AI447017 試験) 1 回 60mg 1 日 1 回による有効性及び安全性が確認された。 また、国内第 3 相試験 (AI447026 試 1, 2) においても1 回 60mg 1 日 1 回により高い有効性及び安全性が確認された。 これらの結果を 験) 基に用法及び用量を設定した。 用法及び用量に関連する使用上の注意 (1)薬剤耐性ウイルスの出現を防ぐため、原則として投与の中断は推奨されない。 副作用の発現に より投与継続が困難な場合は、本剤及びアスナプレビルを同時に投与中止し、副作用に対して 十分な処置を行った上で、速やかに投与を再開することが望まれるが、再開により副作用の増 悪/再発を起こす可能性も否定できないことから、再開にあたっては、リスクとベネフィットを考慮 のうえ慎重に行うこと。 《Ⅷ. 安全性 (使用上の注意等) に関する項目 8. 副作用 (3) 重大な副作用と初期症状 参照》 (2)臨床試験において、 ウイルス学的ブレイクスルーが認められた時点では、薬剤耐性変異を発現し ている可能性が高いことが示唆された。 このことよりウイルス学的ブレイクスルーが認められた患 者に対しては、本剤及びアスナプレビルの併用療法を継続しても効果が得られない可能性があ るため、 投与中止を考慮すること。 - 10 - 3.臨床成績 (1)臨床データパッケージ 国内 海外 Phase(試験番号) 対象 資料 Phase(試験番号) 対象 ◎ 単回及び反復投与 試験 (AI444007) 日本人健康成人 64 例 ◎ 食事の影響を検討 する試験 (AI444009) 外国人健康成人 18 例 ◎ 食事の影響を検討 する試験 (AI444039) 外国人健康成人 23 例 ◎ 製剤の バイオアベイラビリティ 試験 (AI444044) 外国人健康成人 8例 ◎ 特別な患者集団 での試験 (AI444013) 外国人肝機能障害患者 18 例 健康成人 12 例 ◎ 特別な患者集団 での試験 (AI444063) 外国人末期腎疾患患者 12 例 中等度の腎機能 障害患者 6例 重度の腎機能 障害患者 6例 健康成人 12 例 ◎ バイオアベイラビリティ 及び食事の影響を 検討した試験 (AI444009) 外国人健康成人 18 例 ◎ 前期第 2 相試験 (AI444004) 外国人ジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎患者 30 例 ◎ 前期第 2 相試験 (AI447011) 外国人ジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎患者 (null responder) 122 例 臨床薬理試験 資料 探索的試験 ◎ 検証的試験 ◎ 前期第 2 相試験 (AI447017) 第 3 相試験 (AI447026) 日本人ジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎患者 (IFN を含む治療法に 不適格の未治療患者/ 不耐容患者、 null responder) 43 例 日本人ジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者 (IFN を含む治療法に 不適格の未治療患者/ 不耐容患者、 前治療無効患者) 222 例 ◎:評価資料 ○:参考資料 IFN:インターフェロン ※各種薬物相互作用試験実施 - 11 - (2)臨床効果 1)国内第 3 相試験成績(AI447026 試験)1, 2) ジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者のうち、インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療 *3 (null responder 及び partial responder) 患者*1 又は不耐容患者*2、及び前治療無効患者 を対象としたオープンラベル試験で、ダクラタスビル錠 60mg 1 日 1 回及びアスナプレビルの軟カ プセル 100mg 1 日 2 回を、24 週 間 併 用 投 与した。SVR24 ( 投 与 終 了 24 週 後に HCV RNA が定量下限未満) の達成割合は、 インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療患者 /不耐容患者では 87.4% (118/135 例) 、前治療無効患者では 80.5% (70/87 例) 、合計 (両 患者集団を含む) では 84.7% (188/222 例) であった。また、ベースラインに代償性肝硬変のあ (20/22 例)であり、代償性肝硬変のない患者 る患者* 4 では、SVR24 達成割合は 90.9% (84.0%、168/200 例) と同程度であった。 * 1:インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療患者 貧血(ヘモグロビン 8.5g/dL 以上 12.0g/dL 未満) 、好中球減少(好中球数 750/mm3 以上 1,500/mm3 未満) 、血小板減少(血小板数 50,000/mm3 以上 120,000/mm3 未満) 、うつ病(精神科医による軽度から中等度及び安定の診断) 、投薬が必要なその他の合併症(高 血圧、糖尿病、 自己免疫疾患、 甲状腺機能異常など)又は高齢(65 歳以上 75 歳以下で、健康状態、臨床検査値又は合併症等によりイン ターフェロン不適格と判断された患者) のいずれかの条件に該当し、 今後 12ヵ月間インターフェロン治療を受ける予定のない患者。 * 2:インターフェロンを含む治療法に不耐容患者 イ ンターフェロン又はリバビリンの副作用のため、12 週間未満で治療を中止した患者。 * 3:前治療無効患者 ペ グインターフェロン アルファ (pegIFNα)/リバビリン (RBV)又はインターフェロン ベータ (IFNβ)/RBV を 12 週以上投与してもHCV RNA が定量下限未満(検出せず) にならなかった患者。 ・null responder 前治療無効患者のうち、pegIFNα/RBV 又は IFNβ/RBV の 12 週間以上の投与でベースラインからの HCV RNA 減少が 2 log10 未満の患者。 ・partial responder 前治療無効患者のうち、pegIFNα/RBV 又は IFNβ/RBV を 12 週間以上投与後に HCV RNA 量がベースラインから 2 log10 以 上減少したが、HCV RNA が定量下限未満(検出せず) にならなかった患者。 * 4:代償性肝硬変患者 Child‐Pugh 分類 A の患者。 《Ⅴ.治療に関する項目 3.臨床成績 (5) 検証的試験 参照》 表 投与終了 24 週後に HCV RNA が定量下限未満(SVR24)であった患者の割合 (Responder/評価可能例) IFN を含む治療法に不適格の 未治療患者/不耐容患者 前治療無効患者 合計 87.4%(118/135) 80.5%(70/87) 84.7%(188/222) - 81.3%(39/48) - - 77.8%(28/36) - なし 87.1%(108/124) 78.9%(60/76) 84.0%(168/200) あり 90.9%(10/11) 90.9%(10/11) 90.9%(20/22) 65 歳未満 83.6%(61/73) 78.3%(47/60) 81.2%(108/133) 65 歳以上 91.9%(57/62) 85.2%(23/27) 89.9%(80/89) 合計 null 前治療 responder の効果 a partial responder 代償性 肝硬変 年齢 a:前治療での効果が確認できなかった無効患者 3 例を除く IFN:インターフェロン - 12 - (3)臨床薬理試験 1)忍容性試験 <国内第 1 相試験> (AI444007 試験)6) 日本人健康成人男性 64 例を対象としたダクラタスビル 1 ~ 200mg の単回経口投与、1 ~ 100mg の 1 日 1 回 14 日間反復経口投与による忍容性は良好であった。 2)薬力学的試験(外国人データ:AI444002 試験、AI444004 試験)7, 8) [単回投与] 外国人ジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎患者 18 例を対象に、 ダクラタスビル 1、10 及び 100mg 又はプラセボを単回経口投与した第 1 相/前期第 2 相試験において、HCV RNA の平均 値は減少し、HCV RNA の最大減少量は用量依存的でダクラタスビル曝露量との間に正の 相関関係が認められた。 [反復投与] 外国人ジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎患者 30 例を対象に、ダクラタスビル 1、10、30、60 及 び 100mg を 1 日 1 回、あるいは 30mg を 1 日 2 回、14 日間経口投与した前期第 2 相試験に おいて、ダクラタスビルは 10mg1 日 1 回を超える用量の反復投与で抗ウイルス活性を示すと考 えられた。HCV RNA 量の最大減少に達する時間には明らかな用量依存性はみられなかった。 3)QT/QTc に及ぼす影響(外国人データ:AI444023 試験)9) 外国人健康成人 56 例を対象に、 ダクラタスビル 60mg、180mg 又はプラセボを盲検下で単回 経口投与したとき、QT/QTc 間隔の延長は認められなかった。 また、 ダクラタスビルの血漿中濃 度とQTc 間隔の変化との間に有意な相関はなかった。 〔モキシフロキサシン 400mgと比較し た第 1 相、 陽性対照、 プラセボ対照、 部分盲検、4 期クロスオーバー試験〕 (4)探索的試験 該当資料なし 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 13 - (5)検証的試験 1)無作為化並行用量反応試験 該当資料なし <参考>国内前期第 2 相試験 (AI447017 試験)3, 4) 試験デザイン 多施設、 オープンラベル試験 対象 ジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎患者 43 例 ジェノタイプ 1、20 ~ 75 歳、HCV RNA 量が 5 log10 IU/mL 以上、IFN を含む治療法に不 適格の未治療患者* 1/不耐容患者* 2 又は pegIFNα/RBV 療法の null responder * 3 主な登録基準 * 1:IFN を含む治療法に不適格の未治療患者 高齢、又はうつ病、貧血、骨髄抑制、糖尿病、高血圧、心血管障害、腎機能障害の合併症や既往歴など医学的理 由によりIFN 治療を受けることができず、 かつ今後 12 カ月間 IFN 治療を受ける予定のない患者。 * 2:IFN を含む治療法に不耐容の患者 IFN 又は RBV の副作用のため、12 週間未満で治療を中止した患者。 * 3:pegIFNα/RBV 療法の null responder pegIFNα/RBV の 12 週間以上の投与でベースラインからの HCV RNA 減少量が 2 log10 未満の患者。 主な除外基準 ・肝硬変患者 ・肝細胞癌患者 ・HIV や HBV に重複感染している患者 ・重度又は不安定な合併症を有する患者 試験方法 ・先行コホート:pegIFNα/RBV 療法の null responder 10 例(コホート1) を対象に、DCV 60mg QD+ASV 錠 600mg BID を 24 週間併用投与した。試験期間中に海外の用量設 10) のデータに基づき、ASV の用量を 200mg 1 日 2 回に減量(12 定試験(AI447016 試験) ~ 20 週間の投与を実施後に変更) し、外部の安全性評価委員会により追加コホートの実施 が決定した。 ・追加コホート:pegIFNα/RBV 療法の null responder 11 例(コホート2)及び IFN を含む 治療法に不適格の未治療患者/不耐容患者 22 例(コホート3 及び 4) を対象に、DCV 60mg QD+ASV 錠 200mg BID を 24 週間併用投与した。 主要評価項目 先行コホート:安全性、 忍容性の確認 追加コホート:SVR12(投与終了 12 週後に HCV RNA が定量下限未満) を達成した患者の 割合 副次評価項目 ・重篤な有害事象、 有害事象による中止及び Grade3 又は 4 の臨床検査値異常の発現頻度 ・以下を達成した患者の割合 RVR:投与 4 週後に HCV RNA が定量下限未満(検出せず) eRVR:投与 4 週後及び 12 週後の HCV RNA が共に定量下限未満(検出せず) SVR24:投与終了 24 週後に HCV RNA が定量下限未満(検出又は検出せず) ・耐性変異 有効性評価 RVR eRVR SVR12 SVR24 安全性評価 達成割合(Responder /評価可能例) コホート3 及び 4 コホート1 コホート2 (追加コホート) (先行コホート) (追加コホート) IFN を含む治療法に pegIFNα/RBV 療法 pegIFNα/RBV 療法 不適格の未治療患者 無効患者 無効患者 /不耐容患者 (10 例) (11 例) (22 例) 40.0%(4/10) 63.6%(7/11) 86.4%(19/22) 40.0%(4/10) 63.6%(7/11) 77.3%(17/22) 90.0%(9/10) 90.9%(10/11) 63.6%(14/22) 90.0%(9/10) 90.9%(10/11) 63.6%(14/22) 43 例中 40 例(93.0%) に副作用が認められた。 主な副作用は、 頭痛 13 例(30.2%) 、 ALT(GPT) 増加 12 例(27.9%) 、AST (GOT)増加 10 例(23.3%) 、 下痢 10 例(23.3%)等であった。 ASV:アスナプレビル、DCV:ダクラタスビル、IFN:インターフェロン、 pegIFNα:ペグインターフェロン アルファ、RBV:リバビリン、HIV:ヒト免疫不全ウイルス、HBV:B 型肝炎ウイルス、BID:1 日 2 回、QD:1 日 1 回 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 14 - 2)比較試験 該当資料なし <参考>国内第 3 相試験 (AI447026 試験)1, 2) 《Ⅴ.治療に関する項目 3.臨床成績 (2) 臨床効果 参照》 試験デザイン 多施設、 オープンラベル試験 対象 ジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者 222 例(代償性肝硬変患者を約 10% 含む) 主な登録基準 ジェノタイプ 1b、年齢 20 ~ 75 歳、IFN を含む治療法に不適格の未治療患者/不耐容患者 (IFN 製剤の単独療法、又は RBVとの併用療法に不適格の未治療あるいは不耐容患者)及 び前治療無効 ( 過 去 の IFN 製 剤 及び RBV との 併 用 療 法 で無 効となった)患 者(null responder 及び partial responder) 主な除外基準 ・肝硬変患者(10% の代償性肝硬変患者除く) ・肝細胞癌患者 ・HBV や HIV に重複感染している患者 ・重度又は不安定な合併症を有する患者 試験方法 DCV 60mg QDとASV 軟カプセル 100mg BID を 24 週間併用投与 主要評価項目 SVR24〔投与終了 24 週後に HCV RNA が定量下限(15 IU/mL)未満〕 であった患者の割合 副次評価項目 ・以下の時点における HCV RNA が定量下限 (15 IU/mL) 未満の患者の割合:投与 1、2、4、 6、 8、 10 及び 12 週後、 投与 4 週後かつ12 週後、 投与終了時もしくは投与終了12 週後 (SVR12) ・以下の時点における HCV RNA が定量下限未満(検出せず) の患者の割合:投与 1、2、 4 週後(RVR) 、投与 6、8、10 及び 12 週後(cEVR) 、投与 4 週後かつ 12 週後(eRVR) 、 投与終了時(EOTR) 、 投与終了 12 週後、 投与終了 24 週後 ・IL28B の遺伝子型別の SVR24 達成割合 1)ウイルス学的効果の評価 IFNを含む治療法に 不適格の未治療患者 /不耐容患者 (135 例) 前治療無効患者 (87 例) 合計 (222 例) 達成割合(Responder /評価可能例) SVR24 87.4%(118/135) 80.5%(70/87) 84.7%(188/222) RVR 84.4%(114/135) 60.9%(53/87) 75.2%(167/222) cEVR 92.6%(125/135) 88.5%(77/87) 91.0%(202/222) eRVR 78.5%(106/135) 55.2%(48/87) 69.4%(154/222) EOTR 95.6%(129/135) 87.4%(76/87) 92.3%(205/222) SVR12 88.1%(119/135) 80.5%(70/87) 85.1%(189/222) SVR24 達成割合(Responder /評価可能例) 有効性評価 前治療効果 a null responder − 81.3%(39/48) − partial responder − 77.8%(28/36) − ベースラインの代償性肝硬変 なし 87.1%(108/124) 78.9%(60/76) 84.0%(168/200) あり 90.9%(10/11) 90.9%(10/11) 90.9%(20/22) 65 歳未満 83.6%(61/73) 78.3%(47/60) 81.2%(108/133) 65 歳以上 91.9%(57/62) 85.2%(23/27) 89.9%(80/89) 男性 84.2%(32/38) 82.1%(32/39) 83.1%(64/77) 女性 88.7%(86/97) 79.2%(38/48) 85.5%(124/145) 年齢 性別 - 15 - IL28B の遺伝子型 b IL28B rs8099917 c TT(メジャー) 83.9%(78/93) 89.5%(17/19) 84.8%(95/112) TG 94.9%(37/39) 77.8%(49/63) 84.3%(86/102) GG 100%(1/1) 80.0%(4/5) 83.3%(5/6) 84.0%(79/94) 87.5%(14/16) 84.5%(93/110) 95.0%(38/40) 78.8%(52/66) 84.9%(90/106) 100%(1/1) 80.0%(4/5) 83.3%(5/6) CC(メジャー) IL28B CT rs12979860 d TT a:前治療での効果が確認できなかった無効患者 3 例を除く b:IFN を含む治療法に不適格の未治療患者/不耐容患者では報告のなかった 2 例を除く c:pegIFN/RBV 療法の治療効果予測因子の一つ。主に日本で測定される。 治療効果 TT(メジャー) :良好、TG/GG:不良 d:pegIFN/RBV 療法の治療効果予測因子の一つ。主に海外で測定される。 治療効果 CC(メジャー) :良好、CT/TT:不良 2)ウイルス学的無効 ウイルス学的無効は、 合計で 34 例(15.3%) に認められました。 対象患者別においては、IFN を含む治療法に不適格の未治療患者/不耐容患者で 17 例(12.6%) 、前治療無効患者で 17 例(19.5%) でした。 IFN を含む治療法に 不適格の未治療患者 前治療無効患者 /不耐容患者 (87 例) (135 例) ウイルス学的無効例の合計 有効性評価 17(12.6%) 17(19.5%) 合計 (222 例) 34(15.3%) 投与中のウイルス学的無効 6(4.4%) 11(12.6%) 17(7.7%) ウイルス学的ブレイクスルー 4(3.0%) 10(11.5%) 14(6.3%) 投与終了時に HCV RNA が検出 2(1.5%) 1(1.1%) 3(1.4%) * 11/129(8.5%) * 6/76(7.9%) * 17/205(8.3%) 再燃 *再燃/投与終了時に HCV RNA が定量下限未満(検出せず) の患者 3)薬剤耐性変異とウイルス学的効果 ベースラインの耐性変異と有効性 ①ダクラタスビル (NS5A 領域) に対する耐性変異 ・全 患者合計 222 例で投与前に NS5A 領域のアミノ酸配列が得られた 214 例のうち、 Y93H が検出された患者は 14.0%(30/214 例)であった。Y93H が検出された患者で 43.3%(13/30 例) 、Y93H が検出されなかった患者で 91.3% (168/184 例)が SVR24 を 達成した。 ・投与前に L31M/V が検出された患者は 3.7%(8/214 例) であった。L31M/V が検出さ れた患者では 2/8 例が、検出されなかった患者では 86.9%(179/206 例) が SVR24 を達 成した。 IFN を含む治療法に 不適格の未治療患者 前治療無効患者 /不耐容患者 (87 例) (135 例) 合計 (222 例) (投与前) NS5A 耐性置換** Y93H なし 95.3% (102/107) (168/184) 85.7% (66/77) 91.3% Y93H あり 47.6% (10/21) 33.3% (3/9) L31M/V なし 88.1% (111/126) 85.0% (68/80) 86.9% (179/206) L31M/V あり 50.0% (1/2) 16.7% (1/6) 43.3% (13/30) 25.0% (2/8) **投与前にアミノ酸配列が得られなかった 8 例(IFN を含む治療法に不適格の未治療 / 不耐容患者 7 例、前治療 無効患者 1 例) を除く。ABI 3730XL DNA Analyzer(ダイレクトシークエンス法) を使用。 - 16 - 有効性評価 ②アスナプレビル (NS3 領域) に対する耐性変異 投 与前に NS3 領域のアミノ酸配列が得られた 221 例のうち、D168 の変異が検出された 患者は 0.9%(2/221 例) で、 いずれもD168E であった。 このうち1例が SVR24 を達成した。 SVR24 未達成の患者における耐性変異 SVR24 未達成の患者では、無効時点で、概してダクラタスビルに対する耐性変異(Y93 及び / 又は L31) がアスナプレビルに対する耐性変異(D168) とともに検出された。 安全性評価 222 例中 86.5%(192 例) に副作用が認められた。主な副作用は、ALT (GPT)増加 15.8%(35 例) 、AST(GOT)増加 12.6%(28 例) 、頭痛 15.8%(35 例) 、発熱 12.2%(27 例)等であった。 ま た、 投与中止例は 12.6%(28 例) で、 そのうち 5.0% (11 例) が有害事象、6.8%(15 例) が効果不 十分、0.9%(2 例) が患者からの申し出によるものであった。 年齢(65 歳未満又は 65 歳以上) 、性別及び肝硬変の有無で副作用の種類、程度及び発現頻 度は同様であった。 IFN:インターフェロン、pegIFNα:ペグインターフェロン アルファ、RBV:リバビリン、IL:インターロイキン、HIV:ヒト免疫不全ウイルス、 HBV:B 型肝炎ウイルス QD:1 日 1 回、BID:1 日 2 回 3)安全性試験 該当資料なし 4)患者・病態別試験(AI447026 試験)1, 2) 《Ⅴ.治療に関する項目 3.臨床成績 (2) 臨床効果 参照》 (6)治療的使用 1)使用成績調査・特定使用成績調査(特別調査) ・製造販売後臨床試験(市販後臨床試験) 該当資料なし 2)承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要 該当資料なし - 17 - Ⅵ.薬効薬理に関する項目 1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 抗ウイルス剤:リバビリン、 テラプレビル、 シメプレビルナトリウム 2.薬理作用 (1)作用部位・作用機序 11-13) ダクラタスビルは、C 型肝炎ウイルス (HCV) の複製及び細胞内シグナル伝達経路の調節に関与 する多機能蛋白である非構造蛋白 5A (NS5A) 複製複合体に対して、高い選択性を有する新規 作用機序を有する低分子阻害剤(直接作用型抗ウイルス剤:DAA) である。NS5A の N 末端 は二量体として存在しているが、ダクラタスビルは二量体接合面に入り込むように結合することによ りNS5A の機能を阻害し、 その結果 HCV の複製を阻害する。 ダクルインザ、 スンベプラの作用機序 ダクルインザ、スンベプラの作用機序 C型肝炎ウイルス 新しいC型肝炎ウイルスの放出 RNA コア蛋白 エンベロープ蛋白 細胞外 細胞内 ゴルジ体 受容体 翻訳 脱殻 RNA ポリプロテイン 成熟 ウイルス粒子の会合 構造タンパク C E1 非構造タンパク E2 p7 NS2 NS3 NS4A NS4B NS5A NS5B NS3/4A プロテアーゼ アスナプレビルは、 NS3/4A プロテアーゼを阻害し、 非構造蛋白の切断を阻害する。 C E1 E2 NS2 p7 NS3 NS4A NS4B NS5A NS5B 核 - 18 - ダクラタスビルは、 NS5Aと結合することにより、 NS5Aの二量体形成時に おいて構造上の歪みを 生じさせる。 この歪みが複製複合体形成を 阻害すると考えられる。 小胞体 (2)薬効を裏付ける試験成績 1)抗ウイルス活性及び特異性 12, 14) ①抗ウイルス活性 (in vitro) HCVレプリコンアッセイを用いてダクラタスビルの抗ウイルス活性を検討した。 その結果、 ダクラ タスビルは強力な HCV の複製阻害剤であり、ジェノタイプ 1a 及び 1b のレプリコンに対し、そ を示した。 また、 ジェノタ れぞれ 3 ~ 50pmol/L 及び 1 ~ 9pmol/L の 50% 有効濃度 (EC50) イプ 2a、3a、4a、5a 及び 6a の NS5A を有するレプリコンに対して pmol/L ~低 nmol/L 広範なジェノタイプに対して阻害作用を有していた。 の EC50 値を示し、 表 レプリコンアッセイにおけるダクラタスビルのジェノタイプ網羅性(in vitro) HCVレプリコン ジェノタイプ (株) EC50 (nmol/L) (平均値±標準偏差) 検出法 1a(H77c) Luciferase 0.020±0.009 1a(H77c) FRET 0.050±0.013 1a(H77c) Taqman 0.003±0.0006 1b(Con1) Luciferase 0.004±0.002 1b(Con1) FRET 0.009±0.004 1b(Con1) Taqman 0.0012±0.0007 1b(Con1)CC50 Fluorescence 17±1μmol/L 治療係数 − 1,900,000 治療係数:ジェノタイプ 1b(Con1) レプリコン細胞における CC50 / EC50(FRET) FRET:蛍光共鳴エネルギー移動、EC50:50% 有効濃度、CC50:50% 細胞毒性濃度 ②抗ウイルス活性に及ぼす血清蛋白結合の影響 (in vitro) ダクラタスビルの抗ウイルス活性に及ぼす血清蛋白結合の影響を検討した。 その結果、ダクラ タスビルのジェノタイプ 1a 及びジェノタイプ 1b のレプリコンに対する EC50 値が 40% のヒト血 清存在下で 2 倍未満の増加を示したのみであったことから、血清蛋白結合がダクラタスビル の抗ウイルス活性に及ぼす影響は軽微であることが示された。 表 40% ヒト血清がダクラタスビルの活性に及ぼす影響(in vitro) 化合物 HCV ジェノタイプ EC50(pmol/L) ヒト血清非存在下 ヒト血清存在下 ヒト血清の影響 (EC50 値の増大倍数) ダクラタスビル 1a 41±13 68±16 1.7 ダクラタスビル 1b 7±2 12±3 1.7 EC50:50% 有効濃度 - 19 - ③ウイルス特異性 (in vitro) ダクラタスビルのウイルス選択性を、HCVと近縁のペチスウイルス属であるウシウイルス性下 痢ウイルス (BVDV) を含む RNA 及び DNA ウイルスに対する活性を調べて評価した。 その 結果、 ダクラタスビルは試験に用いた 10 種類のウイルスすべてに対して活性を示さなかったこ とからダクラタスビルの HCV に対する高い選択性が示唆された。 表 ダクラタスビルの抗ウイルス特異性(in vitro) 細胞株 ダクラタスビル EC50(μmol/L) 選択指数 a HCVレプリコン (1b) HuH-7 0.000009 − HCV ジェノタイプ 2a(JFH-1) ウイルス HuH-7 0.000020 − レプリコン/ウイルス BVDVレプリコン HuH-7 9 1,000,000 BVDV MDBK 12 1,300,000 MT2 > 20 > 2,200,000 HIV HSV-1/HSV-2 Influenza CPIV Vero > 11 > 1,200,000 MDBK > 100 > 11,000,000 Vero 26 2,900,000 Human Rhinovirus MRC5 > 29 > 3,200,000 Coxsackie virus MRC5 > 29 > 3,200,000 Poliovirus MRC5 > 29 > 3,200,000 Human Coronavirus MRC5 > 29 > 3,200,000 a:選択指数=他のレプリコン又はウイルスに対する EC50 / HCVレプリコン (ジェノタイプ 1b) に対する EC50 EC50:50% 有効濃度、BVDV:ウシウイルス性下痢ウイルス、HIV:ヒト免疫不全ウイルス、HSV:単純ヘルペスウイルス、 CPIV:イヌパラインフルエンザウイルス 12, 14) 2)細胞毒性(in vitro) ダクラタスビルの細胞毒性を、解剖学的に異なる起源のヒト細胞株を用いて 5 日間培養後の 50% 細胞毒性濃度(CC50)の測定により検討した。その結果、ダクラタスビルの CC50 値は 17 μmol/L 以上であり、ジェノタイプ 1b (Con1) レプリコンに対する EC50 値 (0.000009μmol/L) と の比から算出した治療係数は 1,900,000 以上と著明に高かった。 表 種々の組織由来細胞に対するダクラタスビルの細胞毒性(in vitro) 細胞株 由来組織 ダクラタスビル CC50 (μM) HuH-7 肝 17 Vero 腎 26 MDBK 腎 36 MRC5 肺線維芽細胞 29 Tリンパ球 90 MT2 CC50:50% 細胞毒性濃度 - 20 - 3)薬剤耐性 14, 15) ①耐性置換の特定及びその特徴 (in vitro) HCVレプリコン細胞をダクラタスビル存在下で培養した結果、ダクラタスビルに対する耐性が 生じた。遺伝子型解析の結果、NS5A の 1 ~ 100 番までのアミノ酸にダクラタスビルに対し て耐性表現型を示す複数の置換が認められた。 ジェノタイプ 1b の場合、高頻度にみられた 耐性置換は L31 及び Y93 のアミノ酸残基であり、1ヵ所のアミノ酸置換の場合、EC50 値は 野生型の 30 倍未満であり、2ヵ所のアミノ酸に置換がある場合 (例えば L31V-Y93H) 、 EC50 値は野生型の 1,000 倍超であった。 《Ⅴ.治療に関する項目 3.臨床成績 (5) 検証的試験 2) 比較試験 参照》 - 21 - 表 in vitroレプリコンシステム(ジェノタイプ 1b)におけるダクラタスビルの耐性プロファ イル アミノ酸置換 a b, c EC50(ng/mL) 複製能 野生型 0.0019 100 R30Q 0.0011 91 L31F 0.009 146 L31I 0.0027 54 L31M 0.0062 99 L31V 0.053 158 L31W 0.175 191 P32L 0.031 18 P32del > 741 29.1 F37L 0.0013 151 Q54H 0.0024 83 Q54N 0.0027 83 P58S 0.0017 121 Y93C 0.0063 61.9 Y93H 0.046 27 Y93N 0.096 19 L23F-L31F 0.025 65 R30Q-L31F 0.17 224 L31I-Y93H 4.8 43 L31M-Y93H 13.5 70 L31V-Y93H 28.1 49.9 P32del-Y93H ND No replication F37L-Y93H 0.036 34 Q54H-Y93H 0.018 22 L31V-Q54H-Y93H 36.1 189 a:ジェノタイプ 1bレプリコン:培養細胞の複製を増強させる S2204I 変異を有する Con1 b:ダクラタスビルの換算係数は約 1.35(1ng/mL=1.35nmol/L) c:ジェノタイプ 1b の一過性レプリコンアッセイデータ ND:実施せず、EC50:50% 有効濃度 標準文字:レプリコン細胞で認められた耐性変異を示す。 太字:レプリコン細胞及び臨床で認められた耐性変異を示す。 斜体太字:臨床で認められた耐性変異を示す。 注釈:臨床検体からは多数の変異が検出されたことから、本表では連鎖アミノ酸変異を伴ういくつかの NS5A 変異については示さなかった。連鎖 変異を記載しなかった理由は、 (i)連鎖アミノ酸置換の耐性プロファイルが、ほとんどの場合単一アミノ酸置換の耐性プロファイルから予測可能であ ること、 (ii)連鎖変異のほとんどがクローン解析を通して確認されたこと、 また、 (iii)全ウイルス中に極めて少ない量しか存在しなかったためである。 - 22 - ②交差耐性 (in vitro) ダクラタスビルの耐性置換を有する HCVレプリコンは、アスナプレビル、ペグインターフェロン アルファに対して十分な感受性を有していた。 14, 16) 4)併用試験(in vitro) HCVレプリコンアッセイを用いた併用試験において、ダクラタスビルは、アスナプレビルやインター フェロン アルファとの併用で相加又は相乗効果を示した。 また、ダクラタスビル及びアスナプレビ ル併用による抗ウイルス活性の拮抗や細胞毒性の増強はみられなかった。 (3)作用発現時間・持続時間 該当資料なし - 23 - Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定法 (1)治療上有効な血中濃度 該当資料なし (2)最高血中濃度到達時間(AI444007 試験)6) 《Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定法 (3)臨床試験で確認された血中 濃度 参照》 (3)臨床試験で確認された血中濃度 いずれの試験も、液体クロマトグラフィー / タンデム質量分析法 (LC-MS/MS) を用いて、血漿中ダ クラタスビル濃度の分析を実施した。 1)単回投与(AI444007 試験)6) 日本人健康成人 30 例に、ダクラタスビル 1、10、50、100 及び 200mg を空腹時に単回経口 (中央値) 、消失半減期 (T1/2) 投与したとき、ダクラタスビルの Tmax は投与後 1.00 ~ 2.00 時間 は 8.76 ~ 10.19 時間 (平均値) であった。 (ng/mL) 200mg 100mg 50mg 10mg 1mg 10,000 血漿中ダクラタスビル濃度 1,000 100 10 1 0.1 0.01 0 8 16 24 32 40 時間 48 56 64 72 (h) 図 日本人健康成人にダクラタスビル 1、 10、 50、 100 及び 200mg を空腹時に単回投与 したときの血漿中ダクラタスビル濃度 - 時間推移 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 25 - 表 日本人健康成人にダクラタスビル 1、 10、 50、 100 及び 200mg を空腹時に単回投与 したときの血漿中ダクラタスビルの薬物動態パラメータ ダクラタスビル投与量 1mg (6 例) 10mg (6 例) 50mg (6 例) 100mg (6 例) 200mg (6 例) a (ng/mL) Cmax 18.7 (19) 206.7 (15) 1089.6 (21) 1863.7 (19) 2929.3 (24) AUC(INF) (ng・h/mL)a 170.6 (18) 1811.0 (20) 10509.3 (19) 20912.0 (21) 34030.8 (25) CLT/F(mL/min)a 97.7 (19) 92.0 (22) 79.3 (21) 79.7 (20) 98.0 (29) b (h) Tmax 1.25 (1.0, 1.5) 1.00 (0.5, 2.5) 1.25 (1.0, 4.0) 2.00 (1.0, 3.0) 1.25 (1.0, 2.5) c T1/2(h) 10.19 (1.06) 9.09 (0.90) 9.31 (0.79) 8.76 (0.48) 10.07 (3.67) 薬物動態パラメータ a:幾何平均値(変動係数) 、b:中央値(最小値, 最大値) 、c:平均値(標準偏差) Cmax:最高血漿中濃度、AUC(INF) :投与 0 時間から無限時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、CLT/F:経口クリアランス、 Tmax:最高血漿中濃度到達時間、T1/2:消失半減期 2)反復投与(AI444007 試験)6) 日本人健康成人 18 例に、 ダクラタスビル 1、10 及び 100mg を 1 日 1 回 14 日間反復経口投与 したとき、投与後 5 日目までに定常状態に達し、14 日目におけるダクラタスビルの Tmax は投与後 1.25 ~ 1.75 時間 (中央値) 、1 投与間隔の血漿中濃度-時間曲線下面積 〔AUC (TAU) 〕 の 累積係数は 1.36 ~ 1.55 (幾何平均値) であった。 (ng/mL) 100mg 10,000 10mg 血漿中ダクラタスビル濃度 1mg 1,000 100 10 1 0.1 0 8 16 24 32 40 時間 48 56 64 72 (h) 図 日本人健康成人にダクラタスビル 1、 10 及び 100mg を 1 日 1 回 14 日間反復経口投 与したときの血漿中ダクラタスビル濃度 - 時間推移 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 26 - 表 日本人健康成人にダクラタスビル 1、 10 及び 100mg を 1 日 1 回 14 日間反復経口投 与したときの血漿中ダクラタスビル薬物動態パラメータ ダクラタスビル投与量 1mg(6 例) 100mg(6 例) 1 日目 14 日目 1 日目 14 日目 1 日目 14 日目 9.8 (46) 13.2 (49) 166.2 (25) 226.0 (24) 1559.0 (15) 1853.4 (23) 73.1 (39) 110.9 (34) 1138.6 (33) 1759.9 (29) 13026.1 (17) 17115.4 (30) 0.8 (46) 1.5 (34) 12.6 (52) 23.7 (45) 167.2 (28) 245.8 (42) 2.00 (1.5, 3.0) 1.75 (1.0, 6.0) 1.50 (1.0, 2.0) 1.25 (1.0, 2.0) 1.50 (1.0, 2.0) 1.50 (1.0, 2.0) 薬物動態パラメータ a (ng/mL) Cmax AUC(TAU) (ng・h/mL)a a (ng/mL) Cmin b (h) Tmax 10mg(6 例) a:幾何平均値(変動係数) 、b:中央値(最小値, 最大値) Cmax:最高血漿中濃度、AUC(TAU) :1 投与間隔における血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmin:最小血漿中濃度、 Tmax:最高血漿中濃度到達時間 3)肝機能障害者(外国人データ:AI444013 試験)17) HCV に感染していない外国人の肝機能が正常な被験者 12 例及び肝機能障害被験者 18 例を対象に、ダクラタスビル 30mg を単回経口投与したときの薬物動態を評価した。軽度 (Child-Pugh 分類 A) 、中等度 (Child-Pugh 分類 B) 及び重度 (Child-Pugh 分類 C) の肝 機能障害被験者の総ダクラタスビル (蛋白非結合形及び結合形) の AUC は、肝機能が正常 な被験者に比べてそれぞれ 42.7%、37.6% 及び 36.2% 低く、同様に Cmax はそれぞれ 45.5%、 45.2% 及び 54.6% 低かった。 一方、 肝機能障害被験者における蛋白非結合形ダクラタスビルの 血漿中濃度は臨床的に重要な変化はなかった。 表 肝機能障害被験者及び肝機能が正常な被験者の薬物動態パラメータの比較 AUC(INF) AUC(INF)u Cmax Cmaxu 集団 幾何平均値 (ng・h/mL) 幾何平均値 (ng・h/mL) 幾何平均値 (ng/mL) 幾何平均値 (ng/mL) Child-Pugh 分類 A 4,174 25.6 380 2.33 Child-Pugh 分類 B 4,550 41.6 382 3.49 Child-Pugh 分類 C 4,649 40.1 317 2.73 Child-Pugh 分類 A+B+C 4,453 34.9 358 2.81 肝機能が正常な被験者 7,286 42.4 698 4.06 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 27 - AUC(INF) 比較 AUC(INF)u Cmax Cmaxu 幾何平均値比 幾何平均値比 幾何平均値比 幾何平均値比 (90% 信頼区間) (90% 信頼区間) (90% 信頼区間) (90% 信頼区間) Child-Pugh 分類 A vs. 肝機能が正常な被験者 0.57 (0.40, 0.82) 0.60 (0.40, 0.91) 0.55 (0.38, 0.78) 0.57 (0.40, 0.83) Child-Pugh 分類 B vs. 肝機能が正常な被験者 0.62 (0.47, 0.83) 0.98 (0.70, 1.38) 0.55 (0.43, 0.70) 0.86 (0.64, 1.16) Child-Pugh 分類 C vs. 肝機能が正常な被験者 0.64 (0.40, 1.03) 0.95 (0.61, 1.47) 0.45 (0.30, 0.69) 0.67 (0.45, 1.01) Child-Pugh 分類(A+B+C) vs. 肝機能が正常な被験者 0.61 (0.44, 0.85) 0.82 (0.58, 1.17) 0.51 (0.39, 0.69) 0.69 (0.51, 0.95) AUC (INF) :総ダクラタスビルの投与 0 時間から無限時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積 AUC (INF)u:蛋白非結合形ダクラタスビルの投与 0 時間から無限時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積 Cmax:総ダクラタスビルの最高血漿中濃度 Cmaxu:蛋白非結合形ダクラタスビルの最高血漿中濃度 4)腎機能障害者(外国人データ:AI444063 試験)18) HCV に感染していない外国人の腎機能が正常な被験者 12 例及び腎機能障害被験者 24 例を対象に、 ダクラタスビル 60mg を単回経口投与したときの薬物動態を評価した。 クレアチニン クリアランス (CLcr) が 60、30 及び 15mL/min の被験者における総ダクラタスビル (蛋白非結 合形及び結合形) の AUC は腎機能が正常な被験者 (CLcr が 90mL/min) に比べてそれぞ れ 26.4%、59.8% 及び 79.6% 高く、同様に蛋白非結合形ダクラタスビルの AUC はそれぞれ 18.0%、39.2% 及び 51.2% 高かった (回帰モデルによる推定値) 。末期腎不全 (ESRD) で血液 透析中の被験者における総ダクラタスビルの AUC は腎機能が正常な被験者に比べて 26.9% 高く、 同様に蛋白非結合形ダクラタスビルの AUC は 20.1% 高かった。 表 腎機能障害被験者及び腎機能が正常な被験者の薬物動態パラメータの比較 比較 幾何平均値比の推定値(90% 信頼区間) AUC(INF) (ng・h/mL) AUCu(INF) (ng・h/mL) CLcr が 60mL/min の腎機能障害被験者 vs. 腎機能が正常な被験者 1.26(1.14, 1.40) 1.18(1.07, 1.30) CLcr が 30mL/min の腎機能障害被験者 vs. 腎機能が正常な被験者 1.60(1.30, 1.96) 1.39(1.14, 1.70) CLcr が 15mL/min の腎機能障害被験者 vs. 腎機能が正常な被験者 1.80(1.39, 2.32) 1.51(1.18, 1.94) AUC (INF) :総ダクラタスビル投与 0 時間から無限時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積 AUC (INF)u:蛋白非結合形ダクラタスビルの投与 0 時間から無限時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積 CLcr:Cockcroft-Gault 式によるクレアチニンクリアランス 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 28 - 1) 5) アスナプレビルとの併用投与時の C 型慢性肝炎患者における薬物動態 (AI447026 試験) 日本人 C 型慢性肝炎患者にダクラタスビル錠 60mg を 1 日 1 回及びアスナプレビルの軟カプセ ル 100mg を 1 日 2 回 24 週間併用投与した。 ダクラタスビルは投与後速やかに吸収され、投与 14 日目の Tmax は 2.00 時間、Cmax は 1,114.5ng/mL、AUC は 11,878ng・h/mL であった。 6)人種の影響(日本人と外国人の比較)19) ダクラタスビルの臨床試験における統合解析の結果、ダクラタスビルの AUC 及び Cmax は各人 種を通じてほぼ同程度であることが示されており、剤形の違いによりある程度の変動が認められ たものの、 日本人健康成人の曝露量は概して白人健康成人の場合と同程度であった。 表 ダクラタスビルの各臨床試験における薬物動態の人種間比較 比較 日本人 vs. 白人 試験 a a 日本人 vs. 白人(BWa) 日本人 vs. 白人 b b 日本人 vs. 白人(BWa) 日本人 vs. 白人 c c 日本人 vs. 白人(BWa) AUC(ng・h/mL) 幾何平均値比 90% 信頼区間 Cmax (ng/mL) 幾何平均値比 90% 信頼区間 AI444001 AI444007 1.04 0.90, 1.21 1.08 0.92, 1.27 0.94 0.78, 1.15 0.87 0.72, 1.06 AI444003 AI444007 0.74 0.58, 0.94 0.80 0.61, 1.05 0.86 0.60, 1.23 0.91 0.60, 1.37 1.11 0.93, 1.32 1.06 0.91, 1.24 1.00 0.82, 1.22 0.92 0.78, 1.10 AI447017 AI447011 a:経口液剤、60mg に補正、 空腹時投与、 健康成人 b:カプセル剤、60mg に補正、 空腹時投与、 健康成人 c:第 2 相試験用錠剤、60mg、 食後投与、C 型慢性肝炎患者 BWa:体重補正後、AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度 (4)中毒域 該当資料なし 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 29 - (5)食事・併用薬の影響 1)食事の影響(外国人データ:AI444039 試験)20) 外国人健康成人を対象に、ダクラタスビル 60mg を高脂肪食 (951kcal、脂肪 54.7g) 摂取後に 投与したとき、空腹時投与に比べて AUC 及び Cmax はそれぞれ 23% 及び 28% 減少した。低 脂肪食 (277kcal、脂肪 4.5g) 摂取後にダクラタスビル錠 60mg を投与したとき、ダクラタスビルの 曝露量は変化しなかった。 表 高脂肪食及び低脂肪食がダクラタスビル錠 60mg のバイオアベイラビリティに及ぼす影響 空腹時投与 高脂肪食(食後投与) 低脂肪食(食後投与) 空腹時投与 vs. 食後投与 高脂肪食 低脂肪食 AUC(INF) (ng・h/mL) Cmax (ng/mL) 幾何平均値 幾何平均値 (90% 信頼区間) (90% 信頼区間) 15,707(13,878, 17,777) 1,490(1,342, 1,655) 12,040(10,641, 13,624) 1,075(969, 1,193) 15,664(13,844, 17,724) 1,450(1,308, 1,609) 幾何平均値比(90% 信頼区間) 0.77(0.73, 0.80) 0.72(0.66, 0.79) 1.00(0.95, 1.05) 0.97(0.89, 1.06) 2)併用薬の影響 21-39) ① in vitro 試験成績 ダクラタスビルは、CYP3A4 がダクラタスビルの代謝を担う主酵素であり、CYP3A4 の誘導 剤であることが示された。 さらに、 ダクラタスビルは CYP3A4とP 糖蛋白 (P-gp) の基質である ことが確認された。 ダクラタスビルは CYP3A4 の基質であることから、CYP3A4 の中程度又は強い誘導剤を併 用投与した場合、ダクラタスビルの血中濃度及び治療効果が低下する可能性がある。 また、 CYP3A4の強い阻害剤 (クラリスロマイシン、 エリスロマイシン、 イトラコナゾール、 ケトコナゾール、 リ トナビル等) を併用投与した場合には、 ダクラタスビルの血中濃度が増加する可能性がある。 ダク 、 ラタスビルは、P-gp の基質である。 ダクラタスビルは P-gp、OATP1B1 (IC50 値:2.3μmol/L) (IC50 値:10.9μmol/L) の阻害作用を有するこ OATP1B3 (IC50 値:5.7μmol/L)及び BCRP とから、ダクラタスビルを併用投与した場合、P-gp、OATP1B1、OATP1B3 又は BCRP の 基質である薬物の曝露量を増加させる可能性がある。 ダクラタスビルは CYP1A2、2B6、2C8、 。 ダクラタスビルは、OAT1、 2C9、2C19 又は 2D6 を阻害しなかった (IC50 値:>40μmol/L) 。 OAT3 及び OCT2 の阻害作用を有する (IC50 値:≧ 7.3μmol/L) 《Ⅶ.薬物動態に関する項目 7. トランスポーターに関する情報 参照》 ②臨床成績 (日本人データ及び外国人データ) 日本人又は外国人を対象とした薬物相互作用試験の結果を以下に示す。 《Ⅷ.安全性 (使用上の注意等) に関する項目 7.相互作用 参照》 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 30 - 表 1 併用薬がダクラタスビルの薬物動態に及ぼす影響 併用薬の投与量 ダクラタスビル の投与量 例数 ダクラタスビルの薬物動態パラメータ比 併用時/非併用時(90% 信頼区間) AUC Cmax 26 1.20 (1.11, 1.30)a 1.07 a (0.97, 1.18) 20mg QD 14 2.10 (1.95, 2.26)a 1.35 a (1.24, 1.47) エスシタロプラム 23) 10mg QD 60mg QD 15 1.12 (1.01, 1.26) 1.14 (0.98, 1.32) エファビレンツ 24) 600mg QD 120mg QD 15 0.68 (0.60, 0.78)a 0.83 a (0.76, 0.92) オメプラゾール 25) 40mg QD 60mg 単回投与 12 0.84 (0.73, 0.96) 0.64 (0.54, 0.77) ケトコナゾール 26) 400mg QD 10mg 単回投与 14 3.00 (2.62, 3.44) 1.57 (1.31, 1.88) シクロスポリン 27) 400mg 単回投与 60mg QD 14 1.40 (1.29, 1.53) 1.04 (0.94, 1.15) シメプレビル 28) 150mg QD 60mg QD 17 1.96 (1.84, 2.10) 1.50 (1.39, 1.62) タクロリムス 27) 5mg 単回投与 60mg QD 14 1.05 (1.03, 1.07) 1.07 (1.02, 1.12) テラプレビル 29) 500mg BIDb 20mg QD 15 2.32 (2.06, 2.62) 1.46 (1.28, 1.66) テラプレビル 29) 750mg TIDb 20mg QD 15 2.15 (1.87, 2.48) 1.22 (1.04, 1.44) テノホビルジソプロキシルフマル酸 30) 300mg QD 60mg QD 20 1.10 (1.01, 1.21) 1.06 (0.98, 1.15) ファモチジン 31) 40mg 単回投与 60mg 単回投与 18 0.82 (0.70, 0.96) 0.56 (0.46, 0.67) リファンピシン 32) 600mg QD 60mg 単回投与 14 0.21 (0.19, 0.23) 0.44 (0.40, 0.48) アスナプレビル 21) 200mg BID 30mg QD アタザナビル 22) 300mg QD リトナビル 100mg QD a:投与量 60mg に補正、b:日本人のデータ QD:1 日 1 回投与、BID:1 日 2 回投与、TID:1 日 3 回投与、AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度 ケトコナゾール:アゾール系抗真菌剤(経口剤、 国内未発売) 表 2 ダクラタスビルが併用薬の薬物動態に及ぼす影響 併用薬の投与量 ダクラタスビル の投与量 アスナプレビル 21) 200mg BID 30mg QD エスシタロプラム 23) 10mg QD 60mg QD 例数 併用薬の薬物動態パラメータ比 併用時/非併用時(90% 信頼区間) AUC Cmax 26 0.87 (0.73, 1.04)a 0.58 a (0.45, 0.76) 15 1.05 (1.02, 1.08) 1.00 (0.92, 1.08) 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 31 - 併用薬の投与量 ダクラタスビル の投与量 例数 併用薬の薬物動態パラメータ比 併用時/非併用時(90% 信頼区間) AUC Cmax エチニルエストラジオール 1.01 (0.95, 1.07) 33) 経口避妊薬 エチニルエストラジオール 0.035mg QD ノルゲスチメート 0.180/0.215/0.250mg QD 1.11 (1.02, 1.20) ノルエルゲストロミン 60mg QD 20 1.12 (1.06, 1.17) 1.06 (0.99, 1.14) ノルゲストレル 1.12 (1.02, 1.23) 経口避妊薬 34) エチニルエストラジオール 0.030mg QD 酢酸ノルエチステロン 1.5mg QD アスナプレビル 100mg BID 60mg QD シクロスポリン 27) 400mg 単回投与 60mg QD ジゴキシン 35) 0.125mg QD 1.07 (0.99, 1.16) エチニルエストラジオール 36 0.86 (0.83, 0.89) 0.93 (0.86, 0.99) ノルエチステロン 37 1.02 (0.94, 1.11) 0.93 (0.85, 1.01) 14 1.03 (0.97, 1.09) 0.96 (0.91, 1.02) 60mg QD 15 1.27 (1.20, 1.34) 1.65 (1.52, 1.80) ジゴキシン 36) 0.25mg 単回投与 アスナプレビル 100mg BID 60mg QD 16 1.29 (1.20, 1.39) 1.77 (1.50, 2.07) シメプレビル 28) 150mg QD 60mg QD 24 1.44 (1.32, 1.56) 1.39 (1.27, 1.52) タクロリムス 27) 5mg 単回投与 60mg QD 14 1.00 (0.87, 1.15) 1.05 (0.90, 1.23) テラプレビル 29) 500mg BIDb 20mg QD 15 0.94 (0.84, 1.04) 1.01 (0.89, 1.14) テラプレビル 29) 750mg TIDb 20mg QD 14 0.99 (0.95, 1.03) 1.02 (0.95, 1.09) テノホビルジソプロキシルフマル酸 30) 300mg QD 60mg QD 20 1.10 (1.05, 1.15) 0.95 (0.89, 1.02) ミダゾラム 37) 5mg 単回投与 60mg QD 18 0.87 (0.83, 0.92) 0.95 (0.88, 1.04) メサドン 38) 40-120mg QD 60mg QD 14 1.11 (0.97, 1.26) 1.09 (1.00, 1.21) ロスバスタチン 39) 10mg 単回投与 60mg QD 22 1.58 (1.44, 1.74) 2.04 (1.83, 2.26) a:投与量 600mg に補正、b:日本人のデータ QD:1 日 1 回投与、BID:1 日 2 回投与、TID:1 日 3 回投与、AUC:血漿中濃度−時間曲線下面積、Cmax:最高血漿中濃度 ミダゾラム:ベンゾジアゼピン系の麻酔導入薬・鎮痛剤(経口剤、 国内未発売) 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 32 - (6)母集団(ポピュレーション)解析により判明した薬物体内動態変動要因 40) 日本人 C 型慢性肝炎患者を対象とした国内の臨床試験 (前期第 2 相試験及び第 3 相試験) の データを用いて母集団薬物動態解析を実施した結果、 経口クリアランスに対するクレアチニンクリア ランス、治療集団及び性別、並びに見かけの分布容積に対する体重は有意な共変量であった。 し かしながら、ダクラタスビルの曝露量に対する各共変量の影響の程度は臨床的に重要であると結 論することはできなかった。 年齢、体重、患者のタイプ (インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療患者/不耐容患者 及び前治療無効患者) 、 肝硬変、ALT 及び AST は薬物動態に影響を及ぼす有意な共変量で はなかった。 2.薬物速度論的パラメータ (1)解析方法 ダクラタスビルの薬物動態及び薬力学を評価した各試験はノンコンパートメント解析によって、単回 投与時及び定常状態における薬物動態パラメータを算出した。 (2)吸収速度定数 該当資料なし (3)バイオアベイラビリティ (外国人データ:AI444044 試験)41) 外国人健康成人 8 例にダクラタスビル錠 60mg を単回投与したときの絶対バイオアベイラビリティ は 67.0% (90% 信頼区間:56.2 ~ 79.8) であった。 (4)消失速度定数 該当資料なし 6) (5) クリアランス (AI444007 試験) 日本人健康成人 30 例に、ダクラタスビル 1 ~ 200mg を空腹時に単回経口投与したときの経口ク リアランス (CLT/F) は 79 ~ 98mL/min (幾何平均値) であった。 《Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定法 (3)臨床試験で確認された血中 濃度 参照》 <参考> (外国人データ:AI444044 試験)41) ダクラタスビルは臨床試験で検討した用量範囲において線形の薬物動態を示し、CLT/F は検 討した用量範囲を通じて一貫していた。また、外国人健康成人に [13C,15N]標識ダクラタスビル 100μg を静脈内投与したときの全身クリアランスは 4.24L/h (70.67mL/min) であった。 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 33 - (6)分布容積(外国人データ:AI444044 試験)41) 外国人健康成人 8 例にダクラタスビル 60mg 錠を単回経口投与し、その 1 時間後に [13C,15N] 標 識ダクラタスビル 100μg を静脈内投与したときの定常状態の分布容積 (Vss) は 47.1L であった。 8, 17) (7)血漿蛋白結合率(外国人データ) ダクラタスビルの血漿蛋白結合率は、健康成人で 99.4%、ジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎患者で 98.9 ~ 99.3%、Child-Pugh 分 類 A、B 及び C の肝 機 能 障 害 患 者 ではそれぞれ 99.4%、 99.1% 及び 99.0% であった。 41, 42) 3.吸収 (in vitro、 外国人データ:AI444044 試験) 人工膜を用いた膜透過性測定法 (PAMPA) によるダクラタスビルの in vitro における透過係数は pH 5.5 以上で約 450nm/secと高く、 ヒトにおける吸収が良好な薬物と同程度であった。 ヒトにおける吸収は良好で、絶対バイオアベイラビリティは 67.0% であった。 また、ダクラタスビルは P 糖 蛋白の基質であるが、in vivo での吸収に大きく影響しないことが示唆された。 明らかな吸収 ダクラタスビルの吸収部位試験は実施されていないが、 投与後に速やかに Cmax に達し、 遅延が認められなかったことから、 主に小腸上部で吸収されることが示唆された。 《Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定法 (5) 食事・併用薬の影響 参照》 4.分布 (1)血液−脳関門通過性 該当資料なし <参考>マウス、 ラット 42-44) [14C]標識ダクラタスビルを用いた組織分布試験において、ダクラタスビルの脳 (マウス及びラット) への移行が抑制されることが示された。 また、野生型マウス及び P 糖蛋白 (P-gp) ノックアウトマウ スにダクラタスビルを静脈内及び経口投与したとき、血漿中ダクラタスビルに対する脳中ダクラタスビ ルの AUC 比は、野生型マウスよりもP-gp ノックアウトマウスの方が高値であったことから、P-gp はダクラタスビルの脳への移行を抑制する役割を担うことが示された。 (2)血液−胎盤関門通過性 該当資料なし <参考>ラット 43) 妊娠 SD ラットに [14C]標識ダクラタスビルを経口投与したところ、母動物組織及び胎盤への放射 能の移行は速やかであったが、 [14C]標識ダクラタスビル由来の放射能は投与後 4 時間の胎児 肝臓中のみに検出され、 母動物血漿中濃度に対する胎児肝臓中濃度の比は 0.19 であった。 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 34 - (3)乳汁への移行性 該当資料なし <参考>ラット 43) 授乳中のラットに [14C]標識ダクラタスビルを経口投与したとき、乳汁中放射能は投与後 4 時間で 及び 1.55 最高濃度に達し、母動物血漿中放射能に対する乳汁中放射能の比は、1.27 (Cmax 比) (AUC 比) であった。 以上より、 ラット乳汁へのダクラタスビルの移行が示唆された。 (4)髄液への移行性 該当資料なし - 35 - (5)その他の組織への移行性 該当資料なし <参考>マウス、 ラット、 イヌ、 サル 42, 45) 非標識ダクラタスビル及び LC-MS/MS 法で検討したマウス、ラット、イヌ及びサル組織中のダクラ タスビルの分布において、 血清中又は血漿中曝露量に対する肝臓中曝露量の比は、 マウスが 2.35 (静脈内投与時) 及び 1.9 (経口投与時) 、ラットが 5.9 (静脈内投与時) 及び 6.8 (経口投与時) 、イ ヌが 10.6 (経口投与時) 、サルが 17 (経口投与時) と、ダクラタスビルは肝臓に集積することが示さ れた。 血漿中ダクラタスビルに対する、心臓や脾臓などの他の組織中ダクラタスビルの AUC 比は、 おおむね 1 を上回った。 (115μCi/kg) を単回経 Long-Evans ラット及び SD ラットに [14C]標識ダクラタスビル 10.5mg/kg 口投与し、定量的全身オートラジオグラフィー (QWBA) 法を用いて放射能の組織分布を検討した 結果を表に示す。 表 ラットにおけるダクラタスビルの組織内分布 投与後経過 時間 褐色脂肪 白色脂肪 副腎 胆汁 血液 骨 骨髄 盲腸 精巣上体 目 ハーダー腺 腎臓 大腸 肝臓 肺 リンパ節 筋肉 心筋層 膵臓 脳下垂体 前立腺 唾液腺 有色皮膚 非有色皮膚 小腸 脾臓 胃 精巣 胸腺 甲状腺 膀胱 放射線濃度(μg-equivalents/g) Long-Evans ラット 0.5 1 2.29 2.79 0.52 0.98 6.85 9.13 29.8 59.5 1.06 0.89 0.23 0.24 1.50 2.04 2.13 5.12 0.30 0.36 0.46 0.27 1.56 2.95 3.38 3.03 2.03 1.71 8.77 8.52 1.54 1.62 1.16 1.33 1.05 1.24 1.54 2.16 1.89 2.58 4.04 3.14 0.24 0.87 2.43 2.59 0.74 0.85 0.49 0.97 19.1 17.3 2.42 2.39 7.33 16.1 BLQ 0.12 0.56 0.85 2.51 2.25 1.60 1.04 2 4 8 12 24 48 96 3.25 0.69 0.26 0.098 BLQ BLQ BLQ 0.82 0.21 BLQ BLQ BLQ BLQ NS 6.26 2.60 0.598 0.32 0.13 0.13 0.09 67.5 5.04 3.61 2.87 0.27 BLQ NS 0.51 0.198 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 0.11 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ NS 1.38 0.64 0.29 0.20 BLQ 0.10 0.09 4.97 26.6 21.4 6.17 0.16 0.07 NS 0.62 0.38 0.21 0.097 BLQ 0.09 NS 0.42 0.86 0.43 0.66 0.41 0.43 0.74 4.16 3.83 1.80 1.13 0.40 0.24 0.18 1.93 1.31 0.43 0.45 0.11 0.20 0.12 1.42 0.68 0.46 4.91 0.14 0.17 NS 4.81 3.03 1.42 0.45 0.21 0.22 0.12 0.76 0.42 BLQ BLQ BLQ BLQ BLQ 1.20 0.63 0.19 0.24 0.13 0.23 0.10 0.67 0.27 BLQ BLQ BLQ BLQ NS 1.27 0.54 0.16 BLQ BLQ BLQ NS 1.45 0.63 0.19 0.12 BLQ BLQ NS 2.61 1.28 0.47 0.42 0.15 0.23 0.09 0.57 0.27 0.12 0.11 BLQ BLQ NS 4.81 1.35 0.42 0.21 BLQ 0.09 NS 0.83 0.57 0.18 0.22 0.13 0.21 0.11 0.70 0.19 0.18 BLQ BLQ BLQ NS 8.50 9.62 1.16 0.397 0.11 0.07 NS 1.73 0.695 0.44 0.37 0.31 0.30 0.13 5.30 1.63 0.44 0.15 BLQ BLQ NS 0.19 0.18 0.14 0.08 BLQ BLQ NS 1.28 0.68 0.24 0.25 0.12 0.20 0.10 2.68 1.25 0.41 0.34 0.12 0.11 0.21 0.91 0.44 0.38 0.097 BLQ BLQ NS NS:Not sampled. BLQ:定量下限未満であった (< 0.0069μg-equivalents/g) - 36 - SD ラット 168 840 1 8 24 BLQ NS 0.10 NS BLQ NS 0.13 NS NS 0.35 BLQ 0.16 NS 0.11 BLQ 0.15 NS NS NS NS NS 0.08 0.11 NS NS 0.19 NS NS 0.14 0.23 NS NS NS 0.15 NS NS NS NS NS NS 0.82 NS BLQ NS BLQ NS NS NS NS NS NS NS NS 0.210 NS NS 0.08 NS NS 0.08 0.098 NS 1.42 0.21 3.54 25.3 0.43 BLQ 0.91 1.47 BLQ 0.11 1.13 1.66 0.99 3.70 0.64 0.85 0.44 0.89 1.06 1.33 0.46 1.66 - 0.33 12.3 1.05 1.18 BLQ 0.45 0.93 2.52 0.18 BLQ 0.35 1.13 BLQ BLQ 0.16 22.3 0.14 BLQ 1.85 0.44 0.22 0.96 0.09 0.39 BLQ 0.11 0.16 0.32 0.14 0.27 - 0.20 0.88 0.44 0.56 0.099 0.28 0.31 0.31 BLQ BLQ 0.14 0.69 BLQ BLQ 0.07 0.28 0.07 BLQ 0.69 0.20 0.32 0.18 BLQ 0.18 BLQ BLQ BLQ 0.198 0.08 0.15 - 0.07 0.395 0.26 0.18 BLQ 0.21 0.26 0.096 5.代謝 (1)代謝部位及び代謝経路 46-48) ダクラタスビルの主要な代謝反応は、 ピロリジン環の酸化的開環とその後の分子内環化、脱カルボ キシメチル化及び水酸化であった。 O HN N R O N R R OH O O HN R O GluA H N R HN N N O NH 2 M4, BMS - 795853 N R NH O N N N H OH O O H N R O BMS - 790052 NH O H N N N H N HN O NH R O O OH S O M3, proposed structure O R = O NH O N O O OH O H N R OH N N O HN O O HN M29 H N R NH O +20 N N O HN M6, M12, M24 N N O O M11, BMS - 798820 R O NH O O M21, proposed structure O OH O M8, proposed structure R O O O COOH O M20, BMS - 952328 H N N H M15, M27 O M8 OH N N O HN O +20 O +O N N H N N N R NH O HO R O R O HN O O O O M23 M16, M17, proposed structure M7, BMS - 798965 N N N O HN +H20 M13 N N O HN O O O H N R N N OH N N N O N H O HN N H N H N N M1, BMS - 821647 M4, BMS - 805215 N NH O O HN O O O N N O O M22, proposed structure OH H N M10, M14, M26 N N O N O O O NH N OH M9, proposed structure H N OH HN NH 2 HN O O O O NH O N +40 H N N N H N N M5 O HN O O N N H 図 ダクラタスビルの推定代謝経路 (2)代謝に関与する酵素(CYP450 等)の分子種 49, 50) ヒト肝ミクロソームを用いた試験において、 ダクラタスビルは CYP3A 及び UGT1A1 を阻害すること が認められた。CYP3A 阻害作用は、 時間依存的に阻害することが示された。 (3)初回通過効果の有無及びその割合 該当資料なし <参考>ラット 42) ラットにダクラタスビルを静脈内及び門脈内投与したときの全身曝露量は同程度であったことから、 肝初回通過効果はバイオアベイラビリティに影響を及ぼさない可能性が示唆された。 - 37 - (4)代謝物の活性の有無及び比率 42, 46, 48, 51) 該当資料なし <参考>動物及びヒト (外国人データ:AI444006 試験) ヒトに特有の代謝物は検出されず、 動物種及びヒトで検出された主な代謝物は、BMS-805215 (ダ クラタスビルのピロリジン環水酸化・転移化合物) 、BMS-795853 (ダクラタスビルの脱カルボキシ メチル体) 等であった。BMS-805215 及び BMS-795853 の薬理活性はダクラタスビルの 1/1,000 ~ 1/10 であった。 (106.9μCi) を単回経口投与したときの投 外国人健康成人 6 例に [14C]標識ダクラタスビル 25mg 与後 1 ~ 12 時間における血漿中の主たる放射性物質は未変化体で、血漿中放射能の 96.8 ~ 100% を占めた。 (5)活性代謝物の速度論的パラメータ 該当しない 6.排泄 (1)排泄部位及び経路(外国人データ:AI444006 試験)51) 外国人健康成人 6 例に [14C]標識ダクラタスビル 25mg (106.9μCi) を単回経口投与したときのダ クラタスビルの主要な消失経路は糞便中排泄であることが示唆された。 51) (2)排泄率(外国人データ:AI444006 試験) 外国人健康成人 6 例に [14C]標識ダクラタスビル 25mg (106.9μCi) を単回経口投与したとき、投 与後 240 時間で投与量の 6.6% が尿中から (主に未変化体) 、88% が糞便中から回収された (未 変化体:53%) 。 投与後 24 時間以内に投与放射能の 8.5%、投与後 72 時間以内に 71%、投与 後 120 時間以内に 86% が糞便中に回収された。 (3)排泄速度 該当資料なし 承認された 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 - 38 - 7.トランスポーターに関する情報 42, 52-54) in vitro 試験成績より、ダクラタスビルは P 糖蛋白 (P-gp) 、OATP1B1 (IC50 値:2.3μmol/L) 、 及び BCRP (IC50 値:10.9μmol/L) の阻害作用を有することから、 OATP1B3 (IC50 値:5.7μmol/L) ダクラタスビルを併用投与した場合、P-gp、OATP1B1、OATP1B3 又は BCRP の基質である薬 物の曝露量を増加させる可能性がある。 また、 ダクラタスビルは P-gp の基質であるが、P-gp 阻害薬 との併用で相互作用が起こる (ダクラタスビルの曝露量が増加する) 可能性は低いと考えられた。 《Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定法 (5) 食事・併用薬の影響 2) 併用薬 の影響 参照》 8.透析等による除去率 該当資料なし 本剤は分子量が大きく血漿蛋白結合率が高いため、 透析による除去率は低いと考えられる。 - 39 - Ⅷ.安全性 (使用上の注意等)に関する項目 1.警告内容とその理由 【警告】 本剤は、 ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判 断される患者に対してのみ投与すること。 (解説) 本剤及びアスナプレビル (スンベプラカプセル 100mg) の併用療法は、ウイルス性肝疾患の治療に十 分な知識・経験を持つ医師のもとで、 適切と判断される患者に対してのみ投与すること。 2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む) 【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 (1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 (2)次の薬剤を使用中の患者:リファンピシン、 リファブチン、 フェニトイン、 カルバマゼピン、 フェノバルビ タール、 デキサメタゾン全身投与、 セイヨウオトギリソウ (St. John’s Wort、 セント・ジョーンズ・ワート) 含有食品 (「相互作用」の項参照) (3)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人 [動物実験で胚・胎児致死作用及び催奇形性作用 等が報告されている。 (「妊婦、 ] 産婦、 授乳婦等への投与」の項参照) (解説) (1)本剤成分に対して過敏症の既往歴がある患者については、アレルギー反応等があらわれる可能 性があるので、 本剤を投与しないこと。 《Ⅳ.製剤に関する項目 2.製剤の組成 参照》 (2) 本剤と併用した場合に、 本剤の治療効果を減弱させる可能性があるため、 併用しないこと。 《Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定法 (5)食事・併用薬の影響 2)併 用薬の影響 参照》 (3) 動物実験において胚・胎児致死作用及び催奇形性作用等が報告されているため、妊婦又は妊 娠している可能性のある婦人には投与しないこと。 《Ⅸ.非臨床試験に関する項目 2.毒性試験 (3) 生殖発生毒性試験 参照》 3.効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由 《Ⅴ.治療に関する項目 1.効能又は効果 参照》 4.用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由 《Ⅴ.治療に関する項目 2.用法及び用量 参照》 5.慎重投与内容とその理由 該当しない - 40 - 6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法 (1)本剤は、アスナプレビルと併用するため、アスナプレビルの添付文書に記載されている、警告、禁 忌、 併用禁忌、 重要な基本的注意、 重大な副作用等の「使用上の注意」 を必ず確認すること。 (2)本剤及びアスナプレビルを併用した国内臨床試験において、肝機能障害が報告されている。投 与開始 12 週目までは少なくとも2 週ごと、それ以降は 4 週ごとに肝機能検査を行うこと。肝機能 の悪化が認められた場合には、より頻回に検査を行い、投与を中止するなど適切な処置を行うこ と。 (「重大な副作用」の項参照) (3) 本剤は動物実験で胚・胎児致死作用及び催奇形性作用等が報告 55-57)されており、胎児等へ の影響が疑われるので、妊娠する可能性のある婦人への投与に際しては、次の点に留意するこ と。 1) 本剤の投与に際しては、 妊娠検査を行い、 妊娠していないことを確認すること。 2) 患者には、本剤が胎児等に悪影響を及ぼす可能性があることを十分に説明し理解させ、本剤 投与中及び投与終了後 5 週間は適切な避妊を徹底するよう指導すること。 (「妊婦、産婦、授 乳婦等への投与」の項参照) なお、本剤と併用するアスナプレビルは、エチニルエストラジオール含有製剤 (経口避妊薬) の 血漿中濃度を低下させるおそれがある。 3) 本剤投与中に妊娠が確認された場合又は疑われた場合には、 直ちに投与を中止すること。 (解説) (1)本剤の使用にあたっては、 アスナプレビルと併用するため、 アスナプレビルの添付文書を参照するこ と。 (2)本剤及びアスナプレビルの併用投与により肝機能障害が起こる可能性がある。国内第 2 相試験 (AI447026 試験)1, 2)において、肝機能障害の好発 (AI447017 試験)3, 4)及び国内第 3 相試験 時期は特に認められず、発現時期の分布は広範であった。 投与 12 週後までは 2 週間ごと、それ 以降は 4 週間ごとに肝機能検査値を測定した結果、肝機能異常に関連する死亡や生命を脅か す重大な副作用は認められなかったことから、肝機能検査の頻度は投与開始 12 週目までは少な くとも2 週ごと、 それ以降は 4 週ごとに行うことが望ましいと考えられた。 また、国内第 2 相試験及び国内第 3 相試験では、Grade4 (基準値上限の 10 倍以上) の ALT 上昇が認められており、Grade4 に達する前に検査値の上昇傾向 (Grade1 ~ 3) が確認された。 上昇傾向が確認されてから Grade4 に達するまでの期間は、最も短いもので 5 日、多くの場合 28 日以内であった。 このため、肝機能検査値は定期的に測定し、ALT 上昇など肝機能検査値の 上昇がみられた場合には、 より頻回に測定を行うことにより、早期に重症な肝機能検査値異常を発 見し、 患者の状態によっては投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 《Ⅷ.安全性(使用上の注意等) に関する項目 8.副作用 (2)重大な副作用と初期症状 参 照》 参考: 【使用上の注意】 より抜粋 3.副作用 (1)重大な副作用 ALT(GPT) が基準値上限 10 倍以上に上昇した場合には、 直ちに投与を中止し、 再投与しないこと。 - 41 - (3) 本剤は動物実験(ラット、ウサギ) で胚・胎児致死作用及び催奇形性作用等が報告されている。 本剤投与中は、妊娠する可能性のある婦人に対して、妊娠を避ける必要がある。 次の点に留意す ること。 1) 本剤の投与を開始する前に、 妊娠検査を行い、 妊娠していないことを確認すること。 2) 本剤の投与を開始する際は、患者に、本剤投与中の妊娠は胎児等に悪影響を及ぼす可能性 があることを十分に説明し理解させ、本剤投与中及び投与終了後 5 週間は適切な避妊を徹底 するよう指導すること。 なお、本剤と併用するアスナプレビルは、エチニルエストラジオール含有製剤 (経口避妊薬) の血 中濃度を低下させるおそれがあるため留意すること。 3) 本剤投与中に妊娠が確認された場合又は疑われた場合には、 直ちに投与を中止すること。 7.相互作用 本剤は、CYP3A4 及び P 糖蛋白 (P-gp) の基質である。 また、P-gp、 有機アニオントランスポーター (OATP) 1B1、1B3 及び乳癌耐性蛋白 (BCRP) の阻害作用を有する。 (「薬物動態」の項参照) (解説) 本剤は、CYP3A4 及び P-gp の基質であり、P-gp、OATP1B1、1B3 及び BCRP の阻害作用を 有する。CYP3A4 阻害薬/誘導薬、P-gp 阻害薬等と本剤の併用においては、本剤又は併用薬 剤の曝露量への影響が予想されるため注意が必要である。 副作用の発現や効果減弱の危険性を回避するため、服用している薬剤については、すべて担当医に 伝えるよう指導すること。 また、本剤服用中に新たに服用する薬剤についても、事前に担当医に相談す るよう指導すること。 《Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定法 (5) 食事・併用薬の影響 2) 併用薬 の影響 参照》 (1)併用禁忌とその理由 併用禁忌(併用しないこと) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 リファンピシン (リファジン) 本剤の血中濃度が低下し、治療効 これらの薬 剤の強 力な CYP3A4 リファブチン (ミコブティン) 果を減弱させるおそれがある。 (「薬 の誘導作用により、本剤の代謝が フェニトイン (アレビアチン) 物動態」の項参照) 促進される。 カルバマゼピン (テグレトール) フェノバルビタール (フェノバール) デキサメタゾン全身投与(デカドロン) セイヨウオトギリソウ (St. John’s Wort、 セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 (解説) 強力な CYP3A4 の誘導作用により、 併用すると本剤の代謝が促進され本剤の血中濃度を低下さ せるおそれがある。 よって十分な効果が得られない可能性がある。 ・リファンピシンとの薬物相互作用 (外国人データ:AI444012 試験) :p.31 参照 - 42 - (2)併用注意とその理由 CYP3A4 阻害薬/誘導薬及び P-gp 基質等は本剤との併用により、本剤又は併用薬剤の曝露 量への影響が予想されることから併用においては注意が必要である。 ●併用により本剤の血中濃度に影響を及ぼす薬剤 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 アゾール系抗真菌剤 ケトコナゾール イトラコナゾール等 臨床症状・措置方法 本剤の血中濃度が上昇する。 (「薬物動態」の項参照) 機序・危険因子 これらの薬剤の強力な CYP3A4 の 阻害作用により、本剤の代謝が阻害 される。 HIV プロテアーゼ阻害剤 アタザナビル/リトナビル等 コビシスタットを含有する製剤 クラリスロマイシン テラプレビル (解説) 強力な CYP3A4 阻害薬は CYP3A4 を阻害するため、 併用すると本剤の血中濃度が上昇するお それがある。 ・ケトコナゾールとの薬物相互作用 (外国人データ:AI444005 試験) :p.31 参照 ・アタザナビル及びリトナビルとの薬物相互作用 (外国人データ:AI44432 試験) :p.31 参照 ・テラプレビルとの薬物相互作用 (AI444067 試験) :p.31 参照 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 エファビレンツ 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 本剤の血中濃度が低下し、治療効 エ ファビ レ ン ツ の 中 程 度 の 果を減弱させるおそれがある。 CYP3A4 の誘導作用により、本剤 (「薬物動態」の項参照) の代謝が促進される。 (解説) 中程度の CYP3A4 誘導薬は CYP3A4 を誘導するため、併用すると本剤の血中濃度が低下す るおそれがある。 ・エファビレンツとの薬物相互作用 (AI444034 試験) :p.31 参照 ●本剤との併用により血中濃度が影響を受ける薬剤 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 ジゴキシン 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 ジゴキシンの血中濃度が上昇する。 本剤の P-gp 阻害作用により、 ジゴキ (「薬物動態」の項参照) シンのバイオアベイラビリティが増加 ジゴキシンを併用する場合には、ジゴ する。 キシンの血中濃度をモニタリングし、 投与量を調節すること。 (解説) 本剤は P-gp 阻害作用を有しており、P-gp の基質と併用した場合、 併用薬剤のバイオアベイラビ リティの増加及び/又は排泄の阻害により、 血中濃度が上昇するおそれがある。 ・ジゴキシンとの薬物相互作用 (AI444027 試験) :p.32 参照 - 43 - 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 ロスバスタチン ロスバスタチンの血中濃度が上昇す 本剤は、OATP1B1 及び 1B3 を介 る。 (「薬物動態」の項参照) したロスバスタチンの肝臓への取り込 みを阻害する。 また、本剤の BCRP 阻害作用により、ロスバスタチンの肝 臓及び腸からの排出を阻害する。 アトルバスタチン フルバスタチン シンバスタチン ピタバスタチン プラバスタチン これらの薬剤の血中濃度が上昇す 本剤は、OATP1B1 及び 1B3 を介 る。 したこれらの薬剤の肝臓への取り込 みを阻害する。 (解説) 本剤は OATP1B1 及び 1B3 阻害作用を有しており、OATP1B1 及び 1B3 の基質と併用した 場合、 併用薬剤の肝臓への取り込みを阻害し、 血中濃度を上昇するおそれがある。 さらに、BCRP 阻害作用によって肝臓及び腸からのロスバスタチンの排出を阻害する。 ・ロスバスタチンとの薬物相互作用 (AI444054 試験) :p.31 参照 <参考>前述以外の薬剤を本剤と併用したときの薬物相互作用試験結果 《Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定法 (5)食事・併用薬の影響 2)併 用薬の影響 参照》 8.副作用 (1)副作用の概要 副作用 本剤及びアスナプレビルを併用した国内臨床試験において、255 例中 158 例(62.0%) に副作 用が認められた。主な副作用は、ALT (GPT)増加 45 例 (17.6%) 、AST (GOT)増加 36 例 (14.1%) 、 頭痛 33 例 (12.9%) 、 発熱 30 例 (11.8%) 等であった。 (承認時) (解説) C 型慢性肝炎患者を対象とし、本剤及びアスナプレビルを併用投与した国内前期第 2 相試験 1, 2) (AI447026 試験) における主な副作用発現頻度 (AI447017 試験)3, 4)及び国内第 3 相試験 を記載した。 《Ⅷ.安全性(使用上の注意等) に関する項目 8.副作用 (4)項目別副作用発現頻度及び臨 床検査値異常一覧 参照》 (2)重大な副作用と初期症状 本剤及びアスナプレビルの併用で認められた副作用は、 以下のとおりである。 重大な副作用 肝機能障害:ALT(GPT)増加 8.2% 注 1)、 AST(GOT)増加 5.9% 注 1)、 血中ビリル ビン増加 0.8% 注 2) - 44 - 投与開始 12 週目までは少なくとも2 週ごと、それ以降は 4 週ごとに肝機能検査を行うこと。 肝 機能の悪化が認められた場合には、より頻回に検査を行い、投与を中止するなど適切な処置 を行うこと。ALT (GPT) が基準値上限 10 倍以上に上昇した場合には、 直ちに投与を中止し、 再投与しないこと。 注 1)基準値上限 5 倍超 注 2)基準値上限 2.5 倍超 (解説) 本剤及びアスナプレビルを併用投与する上で最も注意しなければならない副作用は肝機能障害 である。 (AI447026 試験)1, 2)において 国内前期第 2 相試験 (AI447017 試験)3, 4)及び国内第 3 相試験 有害事象として報告された肝機能検査値異常(ALT 増加、AST 増加又は血中ビリルビン増加) のほとんどは軽度又は中等度であった。 重篤な有害事象として、前治療無効患者の 1 例に ALT 増加、AST 増加及び血中ビリルビン増加の同時発現が報告された。 国内前期第 2 相試験及び国内第 3 相試験で、投与 12 週後までは 2 週間ごと、それ以降は 4 週間ごとに肝機能検査値を測定した結果、肝機能異常に関連する死亡や生命を脅かす重大な 有害事象は認められなかったことから肝機能検査の頻度は、投与開始 12 週目までは少なくとも2 週ごと、それ以降は 4 週ごとに行うことが望ましいと考えられた。 また、Grade4 の ALT 上昇が、 Grade4 に達する前に検査値の上昇傾向 (Grade1 ~ 3) が確認された。上昇傾向が確認されて から Grade4 に達するまでの期間は、最も短いものでは 5 日、多くの場合 28 日以内であった。 この ため、 肝機能検査値は定期的に測定し、ALT 上昇など肝機能検査値の上昇がみられた場合に は、より頻回に測定することにより、重症の肝機能検査値異常を早期に発見し、患者の状態によっ ては投与を中止するなどの適切な処置を迅速に行うこと。ALT (GPT) が基準値上限 10 倍以上 に上昇した場合には、 直ちに投与を中止し、 再投与しないこと。 (3)その他の副作用 その他の副作用 本剤及びアスナプレビルの併用で認められた副作用は、 以下のとおりである。 次のような副作用が あらわれた場合には、 症状に応じて適切な処置を行うこと。 頻度 種類 皮膚 血液 全身症状 精神・神経系 消化器 肝臓 循環器 筋・骨格系 呼吸器 その他 5% 以上 5% 未満 発疹、 そう痒症、 脱毛症 好酸球増加症(8.3%) 血小板減少症、 貧血 発熱(11.8%) 倦怠感、 疲労、 悪寒 頭痛(12.9%) 不眠症 悪心、食欲減退、腹部不快感、便秘、上腹部痛、 下痢(6.7%) 口内炎、 腹部膨満、 嘔吐 ALT(GPT)増 加(17.6%) 、 血中ビリルビン増加、 γ-GTP 増加、 AST(GOT)増加(14.1%) 血中 ALP 増加 高血圧 関節痛、 筋骨格硬直 鼻咽頭炎(5.1%) 口腔咽頭痛 リパーゼ増加、 血中アルブミン減少 発現頻度は、 本剤及びアスナプレビルを併用した国内臨床試験の成績に基づき算出した。 (解説) 国内臨床成績に基づき設定した。 - 45 - なお、 「その他の副作用」の項の副作用は、本剤及びアスナプレビルを併用した国内前期第 2 相 3, 4) 及び第 3 相試験 (AI447026 試験)1, 2)で総計 1% 以上認められた副 試験(AI447017 試験) 作用を記載した。 (4)項目別副作用一覧 表 本剤及びアスナプレビルの併用時に認められた副作用の発現頻度(前期第 2 相試験及び 第 3 相試験) (承認時) 副作用 器官別大分類 基本語 IFN を含む治療法に 不適格の未治療患者 /不耐容患者 例数(%) (157 例) 副作用が発現した患者の合計 臨床検査 アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 血中ビリルビン増加 好酸球数増加 γ- グルタミルトランスフェラーゼ増加 血中アルカリホスファターゼ増加 リパーゼ増加 血中アルブミン減少 血中リン減少 単球数増加 血小板数減少 プロトロンビン時間延長 アミラーゼ増加 血中クレアチンホスホキナーゼ増加 血中乳酸脱水素酵素増加 血圧上昇 C- 反応性蛋白増加 プロトロンビン時間短縮 体重減少 白血球数増加 胃腸障害 下痢 悪心 腹部不快感 便秘 上腹部痛 腹部膨満 口内炎 嘔吐 腹痛 下腹部痛 アフタ性口内炎 口唇炎 消化不良 胃食道逆流性疾患 歯肉痛 口の感覚鈍麻 口腔浮腫 96(61.1%) 46(29.3%) 30(19.1%) 22(14.0%) 6(3.8%) 6(3.8%) 3(1.9%) 4(2.5%) 3(1.9%) 3(1.9%) 2(1.3%) 2(1.3%) 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 0 0 0 1(0.6%) 1(0.6%) 29(18.5%) 9(5.7%) 5(3.2%) 5(3.2%) 4(2.5%) 3(1.9%) 1(0.6%) 1(0.6%) 2(1.3%) 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 0 1(0.6%) 0 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) - 46 - 前治療無効患者 合計 (98 例) (255 例) 62(63.3%) 20(20.4%) 15(15.3%) 14(14.3%) 4(4.1%) 0 3(3.1%) 0 1(1.0%) 0 0 0 1(1.0%) 1(1.0%) 0 0 0 1(1.0%) 1(1.0%) 1(1.0%) 0 0 23(23.5%) 8(8.2%) 7(7.1%) 2(2.0%) 3(3.1%) 1(1.0%) 2(2.0%) 2(2.0%) 1(1.0%) 1(1.0%) 0 0 1(1.0%) 0 1(1.0%) 0 0 0 158(62.0%) 66(25.9%) 45(17.6%) 36(14.1%) 10(3.9%) 6(2.4%) 6(2.4%) 4(1.6%) 4(1.6%) 3(1.2%) 2(0.8%) 2(0.8%) 2(0.8%) 2(0.8%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 52(20.4%) 17(6.7%) 12(4.7%) 7(2.7%) 7(2.7%) 4(1.6%) 3(1.2%) 3(1.2%) 3(1.2%) 2(0.8%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 副作用 器官別大分類 基本語 IFN を含む治療法に 不適格の未治療患者 /不耐容患者 例数(%) (157 例) 口の錯感覚 歯痛 一般・全身障害および投与部位の状態 発熱 倦怠感 疲労 悪寒 胸部不快感 末梢性浮腫 神経系障害 頭痛 頭部不快感 傾眠 浮動性めまい 味覚障害 感覚鈍麻 片頭痛 重症筋無力症 皮膚および皮下組織障害 発疹 そう痒症 脱毛症 皮膚嚢腫 薬疹 皮膚乾燥 紅斑 爪の障害 皮膚亀裂 中毒性皮疹 血液およびリンパ系障害 好酸球増加症 血小板減少症 貧血 リンパ球減少症 リンパ節症 筋骨格系および結合組織障害 関節痛 筋骨格硬直 背部痛 筋痙縮 筋骨格痛 筋肉痛 頚部痛 四肢痛 シェーグレン症候群 感染症および寄生虫症 鼻咽頭炎 気管支炎 胃腸炎 1 0.6%) ( 1(0.6%) 27(17.2%) 16(10.2%) 7(4.5%) 7(4.5%) 0 1(0.6%) 1(0.6%) 19(12.1%) 16(10.2%) 0 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 0 0 1(0.6%) 16(10.2%) 8(5.1%) 3(1.9%) 0 1(0.6%) 0 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 20(12.7%) 12(7.6%) 3(1.9%) 2(1.3%) 2(1.3%) 1(0.6%) 7(4.5%) 1(0.6%) 2(1.3%) 1(0.6%) 0 1(0.6%) 0 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 9(5.7%) 8(5.1%) 1(0.6%) 0 - 47 - 前治療無効患者 合計 (98 例) (255 例) 0 0 17(17.3%) 14(14.3%) 4(4.1%) 1(1.0%) 4(4.1%) 0 0 20(20.4%) 17(17.3%) 2(2.0%) 1(1.0%) 0 0 1(1.0%) 1(1.0%) 0 14(14.3%) 3(3.1%) 7(7.1%) 3(3.1%) 0 1(1.0%) 0 0 0 0 0 7(7.1%) 3(3.1%) 3(3.1%) 1(1.0%) 0 0 8(8.2%) 5(5.1%) 2(2.0%) 1(1.0%) 1(1.0%) 0 1(1.0%) 0 0 0 9(9.2%) 5(5.1%) 1(1.0%) 1(1.0%) 1 0.4%) ( 1(0.4%) 44(17.3%) 30(11.8%) 11(4.3%) 8(3.1%) 4(1.6%) 1(0.4%) 1(0.4%) 39(15.3%) 33(12.9%) 2(0.8%) 2(0.8%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 30(11.8%) 11(4.3%) 10(3.9%) 3(1.2%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 27(10.6%) 15(5.9%) 6(2.4%) 3(1.2%) 2(0.8%) 1(0.4%) 15(5.9%) 6(2.4%) 4(1.6%) 2(0.8%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 18(7.1%) 13(5.1%) 2(0.8%) 1(0.4%) 副作用 器官別大分類 基本語 IFN を含む治療法に 不適格の未治療患者 /不耐容患者 例数(%) (157 例) 歯肉炎 インフルエンザ マイコバクテリア感染 口腔ヘルペス 歯周炎 肺炎 代謝および栄養障害 食欲減退 高尿酸血症 脱水 糖尿病 高カリウム血症 呼吸器・胸郭・縦隔障害 口腔咽頭痛 鼻出血 上気道炎 咳嗽 精神障害 不眠症 心気症 眼障害 眼精疲労 アレルギー性結膜炎 眼乾燥 視力障害 血管障害 高血圧 血腫 耳および迷路障害 耳不快感 聴覚障害 突発難聴 腎および尿路障害 頻尿 尿失禁 心臓障害 動悸 肝胆道系障害 肝機能異常 肝障害 免疫系障害 季節性アレルギー 良性、 悪性および詳細不明の新生物 (嚢胞およびポリープを含む) 線維腫 生殖系および乳房障害 外陰腟痛 前治療無効患者 合計 (98 例) (255 例) 1(0.6%) 0 0 1(0.6%) 0 0 9(5.7%) 6(3.8%) 2(1.3%) 0 1(0.6%) 1(0.6%) 6(3.8%) 2(1.3%) 1(0.6%) 2(1.3%) 1(0.6%) 2(1.3%) 2(1.3%) 1(0.6%) 3(1.9%) 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 4(2.5%) 4(2.5%) 0 1(0.6%) 0 1(0.6%) 0 1(0.6%) 1(0.6%) 0 1(0.6%) 1(0.6%) 2(1.3%) 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 1(0.6%) 0 1 1.0%) ( 1(1.0%) 0 1(1.0%) 1(1.0%) 2(2.0%) 2(2.0%) 0 1(1.0%) 0 0 2(2.0%) 1(1.0%) 1(1.0%) 0 0 1(1.0%) 1(1.0%) 0 1(1.0%) 1(1.0%) 0 0 0 1(1.0%) 0 1(1.0%) 2(2.0%) 1(1.0%) 0 1(1.0%) 1(1.0%) 0 1(1.0%) 1(1.0%) 1(1.0%) 0 0 0 0 0 1(0.4%) 1 0.4%) ( 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 11(4.3%) 8(3.1%) 2(0.8%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 8(3.1%) 3(1.2%) 2(0.8%) 2(0.8%) 1(0.4%) 3(1.2%) 3(1.2%) 1(0.4%) 4(1.6%) 2(0.8%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 5(2.0%) 4(1.6%) 1(0.4%) 3(1.2%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 2(0.8%) 1(0.4%) 1(0.4%) 2(0.8%) 2(0.8%) 2(0.8%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 1(0.4%) 0 1(1.0%) 1(0.4%) 0 0 0 1(1.0%) 1 1.0%) ( 1(1.0%) 1(0.4%) 1 0.4%) ( 1(0.4%) MedDRA Version 16.0 - 48 - (5)基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度 表 代償性肝硬変の有無別の有害事象発現頻度(国内第 3 相試験) 重篤な有害事象 死亡 投与中止に至った有害事象 いずれかの集団で 10% 以上に発現した有害事象 鼻咽頭炎 下痢 頭痛 発熱 Grade3 又は 4 の ALT/AST 増加 ALT 増加 AST 増加 肝硬変あり (22 例) 肝硬変なし (200 例) 合計 (222 例) 2(9.1%) 0 2(9.1%) 11(5.5%) 0 9(4.5%) 13(5.9%) 0 11(5.0%) 7 31.8%) ( 1(4.5%) 1(4.5%) 3(13.6%) 60(30.0%) 21(10.5%) 34(17.0%) 24(12.0%) 67(30.2%) 22(9.9%) 35(15.8%) 27(12.2%) 1 4.5%) ( 1(4.5%) 15(7.5%) 11(5.5%) 16(7.2%) 12(5.4%) 《Ⅴ. 治療に関する項目 3. 臨床成績 (5) 検証的試験 参照》 (6)薬物アレルギーに対する注意及び試験法 【禁忌(次の患者には投与しないこと)】抜粋 (1) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 9.高齢者への投与 該当しない 10.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。 また、妊娠する可能性のある婦人 に対しては、本剤投与中及び投与終了後 5 週間は適切な避妊を徹底するよう指導すること。 (「禁忌」、 「重要な基本的注意」の項参照) [動物実験 (ラット及びウサギ) で、臨床用量における ヒト曝露量の 25 倍 (ラット) 及び 72 倍 (ウサギ) に相当する曝露量で、胚・胎児致死作用及び催 奇形性作用が認められている。 ヒト曝露量の 4.6 倍 (ラット)及び 16 倍(ウサギ) に相当する曝露 また、ヒト曝露量の 4.7 倍に相当する曝露 量では、胚・胎児への影響は認められなかった 55, 56)。 量で、ラット出生児の生存率の軽微な低下及び体重減少が認められている。 ヒト曝露量の 2.6 倍 ] に相当する曝露量では、 出生児への影響は認められなかった 57)。 (2) 授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。 [動 ] 物実験 (ラット) で、 乳汁中に移行することが報告されている 43)。 (解説) (1) 動物実験(ラット及びウサギ) において、胚・胎児致死作用及び催奇形性作用が認められている ため妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。 (2) 動物実験 (ラット) において、乳汁中に移行することが報告されているため授乳中の婦人に投与す ることを避け、 やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。 《Ⅶ.薬物動態に関する項目 4.分布 (3) 乳汁への移行性 参照》 - 49 - 11.小児等への投与 小児等への投与 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性及び有効性は確立していない。 [使用 経験がない。] (解説) 小児を対象とした臨床試験は実施されていない。 12.臨床検査結果に及ぼす影響 該当資料なし 13.過量投与 過量投与 本剤の過量投与に対する解毒剤はない。過量投与時の処置には、バイタルサインのモニタリングや 臨床症状の観察等の一般的な支持療法を行う。本剤は分子量が大きく血漿蛋白結合率が高いた め、 透析は本剤の血中濃度減少に有効ではない。 (解説) 本剤は血漿蛋白結合率が高いため、 透析により除去することができない。 また、 本剤に対する特別な解 毒剤がないため、 過量投与した場合には、 一般的な支持療法を行うこと。 14.適用上の注意 適用上の注意 薬剤交付時:PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導すること。 [PTP シー トの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併 症を併発することが報告されている。 ] (解説) 1. 「PTP の誤飲対策について」 (日薬連発第 240 号 平成 8 年 3 月 27 日) 2. 「PTP の誤飲対策について (改定) 」 (日薬連発第 304 号 平成 8 年 4 月 18 日) 上記に基づき設定した。 - 50 - 15.その他の注意 その他の注意 本剤及びアスナプレビルの併用療法において、ジェノタイプ 1a の C 型慢性肝炎患者に対する有効 性は確立していない。 なお、 海外で実施された臨床試験において、 ジェノタイプ 1 (1a 及び 1b) の C 型慢性肝炎患者のうち、 過 去のペグインターフェロン アルファ及びリバビリンとの併 用療 法で無 効となった患 者 (null responder) を対象として、本剤及びアスナプレビルを 24 週間併用投与したとき、投与終了 24 週後 の HCV RNA 陰性化の割合は 36.4% (4/11 例) であり、そのうちジェノタイプ 1a の患者では 22.2% (2/9 例) であった 5)。 (解説) 本剤の対象は、セログループ ( 1 ジェノタイプ 1) の C 型慢性肝炎患者又はC型代償性肝硬変患者で あるが、 ジェノタイプ 1a の C 型慢性肝炎患者に対する有効性は確立していない。 外国人ジェノタイプ 1a の C 型慢性肝炎患者 9 例を対象とした海外前期第 2 相試験 (AI447011 試 (2/9 例) であり、77.8% (7/9 例) にウイルス学的無効 (6 例 験)5)において SVR24 達成割合は 22.2% に投与中のウイルス学的ブレイクスルー、1 例に投与終了 4 週後の再燃) が認められた。 日本では、セログループ 1 (ジェノタイプ 1) の HCV 感染患者のほとんどがジェノタイプ 1b (98 ~ 99%) である。 なお、 ジェノタイプ検査は、 保険適応外である。 16.その他 <参考>飲み忘れ時の対応:各薬剤毎に次の服用予定時刻までの時間によって対応する ・次の服用までに 4 時間以上空いている場合 気づいた時点で直ちに飲み忘れた分を服用。次の服用は通常のスケジュール通りに 1 回分を服 用。 ・次の服用まで 4 時間未満の場合 飲み忘れた分はスキップして、 次の服用分 (1 回分) を通常のスケジュール通りに服用。 (* 2 回分を 1 度に服用しない。) 例)朝 7:00 に 2 剤(ダクラタスビル錠 1 錠、 アスナプレビルカプセル 1 カプセル) 、夜 19:00 に 1 剤 (ア スナプレビルカプセル 1 カプセル) を服用している患者 朝7:00または夜19:00に アスナプレビルカプセルを飲み忘れた場合 朝7:00にダクラタスビル錠を飲み忘れた場合 7:00 7:00 4時間 4時間 11:00 3:00 3:00 15:00 23:00 15:00 19:00 19:00 飲み忘れた分は服用しない (1回分スキップ) - 51 - 11:00 飲み忘れに 気づいた時点で アスナプレビルカプセル を服用 夜服用分 飲み忘れに気づいた時点で ダクラタスビル錠を服用 23:00 朝服用分 4時間 Ⅸ.非臨床試験に関する項目 1.薬理試験 (1)薬効薬理試験 《Ⅵ.薬効薬理に関する項目 参照》 (2)副次的薬理試験 該当資料なし (3)安全性薬理試験 58) 評価項目 対象 受容体、 イオンチャネル、 アッセイパネル 酵素へのリガンド結合 (37 種類) 阻害試験 投与方法 in vitro 用量(mg/kg) ダクラタスビル及び BMS-805215 各 10μmol/L (7.39 及び 7.55μg/ mL) アルドステロン、アンジオ 選択的放射性リ テンシン、心房性ナトリウ ガンド ム利尿因子及びバソプ レシン受容体へのリガン ド結合阻害試験 心血管系 心筋 K チャネル 心筋のイオンチャネル (hERG/IKr) 電流及び活動電位 Na チャネル 特記すべき所見 Na チャネルに対して 65% の阻 害を示したが、 ヒトの Cmax の 214 a 倍 であったことから、臨床推奨 用量で有害作用を引き起こす 可能性は低いと考えられた。代 謝物 BMS-805215 は明らかな 作用を示さなかった。 明らかな作用を示さなかった。 in vitro (SCN5A) L 型 Ca チャネル 電流 ウサギプルキンエ 線維活動電位 10, 30μmol/L ヒトの Cmax の 214 倍 以 上 a で (7.39, 22.2μg/mL) hERG/IKr、Na チャネル、L 型 Ca チャネル電流を軽度~中 10μmol/L (7.39μg/mL) 等度阻害したが活動電位には 影響せず、ヒトの心電図に影響 10, 30μmol/L を及ぼす可能性は低いこ とが示 (7.39, 22.2μg/mL) 唆された。代謝物 BMS-795853 3, 10, 30μmol/L の影響はダクラタスビルと同等あ (2.22, 7.39, 22.2μg/ るいはそれ以下であった。 mL) 電気生理学的試験 麻酔下雄ウサギ 静脈内投与 1, 3, 10, 30mg/kg 30mg/kgでQRS 間隔を中等度 5 分間漸増持続投与 (29 ± 1%) 、PR、AH、HV 間 隔を軽度延長したが、10mg/ kg 以下では心電図パラメータ に影響しなかった。 テレメトリー試験 雌雄イヌ 中枢神経系 呼吸系 毒性試験の一部として実施した安全性薬理評価の結果から、ヒトの中枢神経系及び呼 吸系に有害事象を惹き起こす可能性は低いと考えられた。 経口投与 15, 100mg/kg a:臨床推奨用量における Cmax (0.0346μg/mL) に基づき算出 (動物 Cmax ÷ヒトCmax) BMS-805215:ダクラタスビルのピロリジン環水酸化・転移化合物 BMS-795853:ダクラタスビルの脱カルボキシメチル体 (4)その他の薬理試験 該当資料なし - 52 - 100mg/kg で全身血圧の上昇 と左室収縮能の指標が軽度低 下した。 2.毒性試験 (1)単回投与毒性試験 59-62) マウス及びラット (100、300、1,000mg/kg) 、イヌ、サル (15、50、150mg/kg) を用いて実施した 結果、マウス及びラットにおける最高用量 1,000mg/kg、イヌ及びサルにおける最高用量の 150mg/kg まで死亡例はみられず忍容性は良好であった。 (2)反復投与毒性試験 1)単剤投与試験 63-68) ラットにおいては、最長 6ヵ月間の投与で最高用量 50mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 3.9 倍*) まで忍 容性は良好であった。 ラット1ヵ月間投与試験では、30mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 1.7 倍*)以上 で で副腎皮質の肥大・過形成及び副腎重量の増加、100mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 7.1 倍*) で 尿中コルチコステロン濃度の増加がみられ、 無毒性量は 10mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 0.3 倍*) あった。 ラット6ヵ月間投与試験では、50mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 3.9 倍*)以上で副腎皮質の であった。 肥大・過形成が認められ、 無毒性量は 25mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 1.1 倍*) イヌは、経口投与時のバイオアベイラビリティがサルより高く全身曝露量も高かったため、非げっ 歯類動物種として選択し、1ヵ月間投与試験を実施したが、その後 in vivo の代謝プロファイル の点で安全性評価に適さない動物種と考えられたため、慢性毒性評価には代謝プロファイルが ヒトに比較的類似したサルを選択した。 イヌ1ヵ月間投与試験では、15mg/kg/ 日 (ヒトAUC の まで忍容性がみられたが、100mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 10.5 倍*) では骨髄毒性及び 1.7 倍*) 肝毒性による死亡例がみられた。 まで概 サルにおいては、最長 9ヵ月間の投与で最高用量 150mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 2.6 倍*) して忍容性は良好であったが、9ヵ月間投与試験で 150mg/kg/ 日群の 1 例が炎症性変化の 症状 (病因不明) を呈し安楽死させた。 サル 4ヵ月間投与試験では死亡例はみられず、50mg/ 以上で肝臓の胆管過形成及びクッパー細胞の肥大・過形成、小 kg/ 日 (ヒトAUC の 1.5 倍*) 葉中心部肝細胞の細胞質希薄化、副腎皮質索状帯の細胞質空胞の減少、骨髄のリンパ系細 であっ 胞過形成が用量に依存して認められ、無毒性量は 15mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 0.2 倍*) 以上で 4ヵ月間投与試験と た。 サル 9ヵ月投与試験では、30mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 0.8 倍*) であった。 同様の変化がみられ、 無毒性量は 15mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 0.2 倍*) 動物種 / 系統 ラット/SD イヌ/ビーグル サル / カニクイザル 投与経路 / 期間 投与量(mg/kg/ 日) 無毒性量(mg/kg/ 日) 経口 /1ヵ月間 0, 10, 30, 100 10 経口 /6ヵ月間 0, 12.5, 25, 50 25 経口 /1ヵ月間 0, 3, 15, 100/50a 3 経口 /1ヵ月間 0, 10, 30, 100, 300 10 経口 /4ヵ月間 0, 15, 50, 300 15 経口 /9ヵ月間 0, 15, 30, 150 15 a:イヌ試験の 100mg/kg/ 日では重篤な毒性の発現により、投与 9 ~ 10 日から投与を 5 日間中止し、投与 14 ~ 15 日 (雄) から用量を 50mg/ kg/ 日に減量して投与を再開した。 *:臨床推奨用量における AUC(15.1μg・h/mL) に基づき算出 (動物 AUC÷ヒトAUC) - 53 - 2)併用投与試験 69-71) ダクラタスビルをアスナプレビルと併用投与した場合の毒性学的相互作用について、ラット及び サルを用いた 1ヵ月間併用投与試験、サルを用いた 3ヵ月間併用投与試験により評価した。 ラッ トではダクラタスビルの曝露量でヒトAUC の 2.3 倍*、サルでは同ヒトAUC の 2.4 倍*まで、毒性 学的相互作用を示唆する変化は認められなかった。 DCV/ASV 投与量 (mg/kg/ 日) 無毒性量 (mg/kg/ 日) 動物種 / 系統 投与経路 / 期間 ラット/SD 経口 /1ヵ月間 0/0, 10/30, 60/60 60/60 経口 /1ヵ月間 0/0, 15/72, 50/129.5 50/129.5 経口 /3ヵ月間 0/0, 15/45, 50/80 50/80 サル / カニクイザル ASV:アスナプレビル、DCV:ダクラタスビル (3)生殖発生毒性試験 1)受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験 72) ラットを用いた試験の結果、雌では最高用量の 200mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 18 倍*) まで生殖 及び初期胚発生に影響は認められなかった。 雄では毒性 (体重及び摂餌量減少、副腎及び胃 で生殖器官への影響 (前立 の肉眼的変化)がみられた 200mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 19 倍*) 腺及び精嚢重量の減少、形態異常精子の軽微な増加) がみられたが、授胎能や生存胎児数 に影響はみられなかった。 動物種 / 系統 ラット/SD 投与経路 / 投与時期 経口 / 雄:交配前 4 週間~計画剖検 雌:交配前 2 週間~妊娠 7 日 投与量 (mg/kg/ 日) 0, 15, 50, 200 無毒性量(mg/kg/ 日) 親動物 胚・胎児 一般毒性: 雄 50、 雌 200 生殖能: 雄 50、 雌 200 初期胚発生:200 2)胚・胎児発生に関する試験 55, 56) ラットを用いた試験では、200mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 24 倍*)以上で母動物に死亡、一般状 態の変化、体重減少及び摂餌量減少、胎児に奇形の発生がみられ、1,000mg/kg/ 日では更 に胎児死亡及び胎児体重の減少が認められた。胎児への影響は母動物の毒性が発現する用 量のみで認められ、ダクラタスビルは選択的な発生毒性を示さなかった。母動物の一般毒性及 び胚・胎児発生に関する無毒性量における母動物の曝露量はヒトAUC の 4.6 倍*であった。 ウサギを用いた試験では、200/99mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 72 倍*)以上で、母動物に死亡、 一般状態の変化、体重及び摂餌量の減少、胎児に胎児死亡、胎児体重の減少、肋骨奇形の 増加及び骨格変異の増加が観察された。 胎児への影響は母動物の毒性が発現する用量のみ で認められ、ダクラタスビルは選択的な発生毒性を示さなかった。母動物の一般毒性及び胚・ 胎児発生に関する無毒性量における母動物の曝露量はヒトAUC の 16 倍*であった。 動物種 / 系統 ラット/SD 無毒性量(mg/kg/ 日) 投与経路 / 投与時期 投与量 (mg/kg/ 日) 親動物 経口 / 妊娠 6 日~ 15 日 0, 50, 200, 1,000 一般毒性:50 ウサギ /NZW 経口 / 妊娠 7 日~ 19 日 0, 40/20, 200/99, 750/370a 一般毒性:40/20 胚・胎児 発生:50 発生:40/20 a:3 ~ 6 回投与後から溶媒の影響と考えられる糞の変化がみられたため、投与容量を半量にして投与した。750/370mg/kg/ 日群は状態悪 化及び途中死亡により、 トキシコキネティクス測定を実施しなかった。 *:臨床推奨用量における AUC(15.1μg・h/mL) に基づき算出 (動物 AUC÷ヒトAUC) - 54 - 3)出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験 57) ラットを用いた試験の結果、50mg/kg/ 日まで母動物毒性及び発生への影響は認められなかっ では、母動物に難産による死亡例 (1 例) がみられ、 た。100mg/kg/ 日 (ヒトAUC の 4.7 倍*) 出生児の軽度な生存率低下および体重減少が認められた。 動物種 / 系統 ラット/SD 投与経路 / 投与時期 無毒性量(mg/kg/ 日) 投与量 (mg/kg/ 日) 親動物(F0) 出生児(F1) 0, 25, 50, 100 一般毒性:50 発達:50 生殖能:50 経口 / 妊娠 6 日~哺育 20 日 (4)その他の特殊毒性 1)遺伝毒性試験 73-75) in vitro 試験 (細菌を用いる復帰突然変異試験、CHO 細胞を用いる染色体異常試験)及び in vivo 試験 (ラット小核試験) を組合せて評価した結果、 いずれも陰性であった。 2)がん原性試験 76, 77) Tg-rasH2 マウスを用いた 26 週間投与がん原性試験 (最高用量 300mg/kg/ 日、ヒトAUC 及び SD ラットを用いた 2 年間経口投与がん原性試験 (最高用量 50mg/kg/ 日、 ヒ の 8.7 倍*) の結果、 いずれの試験でもがん原性は認められなかった。 トAUC の 4.7 倍*) 3)光毒性試験 78) 有色の Long-Evans ラットを用いた in vivo 試験の結果、最高用量 100mg/kg/ 日 (ヒトAUC まで光毒性はみられなかった。 の 7.1 倍*) *:臨床推奨用量における AUC(15.1μg・h/mL) に基づき算出 (動物 AUC÷ヒトAUC) - 55 - Ⅹ.管理的事項に関する項目 1.規制区分 劇薬、 処方箋医薬品 (注意-医師等の処方箋により使用すること) 2.有効期間又は使用期限 2 年(使用期限の年月は外箱に記載) 3.貯法・保存条件 貯法:室温保存 4.薬剤取扱い上の注意点 (1)薬局での取り扱い上の留意点 該当しない (2)薬剤交付時の取り扱いについて(患者等に留意すべき必須事項等) PTP シートの誤飲回避 《Ⅷ.安全性 (使用上の注意等) に関する項目 14.適用上の注意 参照》 患者向医薬品ガイド:有り くすりのしおり:有り (3)調剤時の留意点について 該当しない 5.承認条件等 該当しない 6.包装 ダクルインザ錠 60mg:14 錠 (14 錠×1) PTP 7.容器の材質 本品はポリ塩化ビニル/ポリクロロトリフルオロエチレンの二層フィルム及びアルミニウム箔を用いた PTP 包装を一次包装とする。 8.同一成分・同効薬 同一成分薬:該当なし 同効薬:該当なし - 56 - 9.国際誕生年月日 国内開発 10.製造販売承認年月日及び承認番号 製造販売承認年月日:2014 年 7 月 4 日 承 認 番 号:22600AMX00764000 11.薬価基準収載年月日 2014 年 9 月 2 日 12.効能又は効果追加、用法及び用量変更追加等の年月日及びその内容 該当しない 13.再審査結果、再評価結果公表年月日及びその内容 該当しない 14.再審査期間 8 年間(2014 年 7 月~ 2022 年 7 月) 15.投薬期間制限医薬品に関する情報 本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第 107 号 (平成 18 年 3 月 6 日付) に基づき、平成 27 年 9 月末日までは、 投薬期間は 1 回 14 日分を限度とされている。 16.各種コード 販売名 HOT(9 桁)番号 厚生労働省薬価基準 収載医薬品コード レセプト電算コード ダクルインザ錠 60mg 123635401 6250040F1020 622363501 17.保険給付上の注意 該当しない - 57 - Ⅺ.文献 1.引用文献 1)社内資料 社内資料 ジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者を対象とした国内第 3 相臨床試験 (AI 447026 試験) 2)Kumada H et al. Hepatology. 2014;59 (6) :2083-2091. 3)社内資料 ジェノタイプ 1b の C 型 慢 性 肝 炎 患 者を対 象とした国 内 第 2 相 臨 床 試 験 (AI 447017 試験) 4)Suzuki Y et al. J Hepatol. 2013;58 (4) :655-662. 5)Lok AS et al. N Engl J Med. 2012;366 (3) :216-224. 6)社内資料 単回及び反復投与試験 (AI444007 試験) 7)社内資料 外 国人ジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎患者を対象とした第 1 相単回投与試験 (AI444002 試験) 8)社内資料 外国人ジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎患者を対象とした前期第 2 相反復投与試験 (AI444004 試験) 9)社内資料 心電図に及ぼす影響を検討した試験 (AI444023 試験) 10)社内資料 外国人ジェノタイプ 1 及び 4 の C 型慢性肝炎患者を対象とした前期/後期第 2 相 試験 (AI447016 試験) 11)Macdonald A. J Gen Virol. 2004;85 (9) :2485-2502. 12)Gao M et al. Nature. 2010;465 (7294) :96-100. 13)社内資料 作用機序に関する試験 14)社内資料 in vitro における効力試験 15)Fridell RA et al. Antimicrob Agents Chemother. 2010;54 (9) :3641-3650. 16)社内資料 in vitro における効力試験 17)社内資料 肝機能障害患者を対象とした試験 (AI444013 試験) 18)社内資料 腎機能障害患者を対象とした試験 (AI444063 試験) 19)社内資料 ダクラタスビルの各臨床試験における薬物動態の人種間比較 20)社内資料 食事の影響を検討した試験 (AI444039 試験) 21)社内資料 ダクラタスビル及びアスナプレビルの併用試験 (AI447009 試験) 22)社内資料 アタザナビル及びリトナビルとの薬物相互作用試験 (AI444032 試験) 23)社内資料 エスシタロプラムとの薬物相互作用試験 (AI444084 試験) 24)社内資料 エファビレンツとの薬物相互作用試験 (AI444034 試験) 25)社内資料 オメプラゾールとの薬物相互作用試験 (AI444024 試験) 26)社内資料 ケトコナゾールとの薬物相互作用試験 (AI444005 試験) 27)社内資料 シクロスポリン及びタクロリムスとの薬物相互作用試験 (AI444065 試験) 28)社内資料 シメプレビルとの薬物相互作用試験 (TMC435HPC1005 試験) 29)社内資料 テラプレビルとの薬物相互作用試験 (AI444067 試験) 30)社内資料 テノホビルとの薬物相互作用試験 (AI444033 試験) 31)社内資料 バイオアベイラビリティ、 食事及びファモチジンによる影響を検討した試験 (AI444009 試験) - 58 - 32)社内資料 リファンピシンとの薬物相互作用試験 (AI444012 試験) 33)社内資料 ノルゲスチメートを含む経口避妊薬との薬物相互作用試験 (AI444020 試験) 34)社内資料 ノルエチステロンを含む経口避妊薬、ダクラタスビル及びアスナプレビル併用療法との 薬物相作用試験 (AI447039 試験) 35)社内資料 ジゴキシンとの薬物相互作用試験 (AI444027 試験) 36)社内資料 ジゴキシン、 ダクラタスビル及びアスナプレビル併用療法との薬物相互作用試験 (AI447040 試験) 37)社内資料 ミダゾラムとの薬物相互作用試験 (AI444008 試験) 38)社内資料 メサドンとの薬物相互作用試験 (AI444064 試験) 39)社内資料 ロスバスタチンとの薬物相互作用試験 (AI444054 試験) 40)社内資料 母集団薬物動態に関する検討 41)社内資料 製剤のバイオアベイラビリティ試験 (AI444044 試験) 42)社内資料 各種動物を用いた組織分布試験 43)社内資料 授乳ラットを用いた組織分布試験 44)社内資料 雄ラットを用いた組織分布試験 45)社内資料 サルを用いた組織分布試験 46)社内資料 代謝物生成試験 47)社内資料 CYP フェノタイプによる反応の検討 48)社内資料 イヌ及びサルにおける胆汁排泄の検討 49)社内資料 肝ミクロソームにおける CYP 阻害作用 50)社内資料 肝ミクロソームにおける UGT1A1 阻害作用 51)社内資料 外国人健康成人におけるマスバランス試験 (AI444006 試験) 52)社内資料 BCRP 基質に関する検討 53)社内資料 MRP2 基質に関する検討 54)社内資料 OATP1B1、1B3、2B1 基質に関する検討 55)社内資料 ラットを用いた胚・胎児発生に関する試験 56)社内資料 ウサギを用いた胚・胎児発生に関する試験 57)社内資料 ラットを用いた出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験 58) 社内資料 in vitro 及び in vivo における安全性薬理試験 59)社内資料 マウスを用いた単回毒性試験 60)社内資料 ラットを用いた単回毒性試験 61)社内資料 イヌを用いた単回毒性試験 62)社内資料 サルを用いた単回毒性試験 63)社内資料 ラットを用いた 1ヵ月間反復毒性試験 64)社内資料 ラットを用いた 6ヵ月間反復毒性試験 65)社内資料 イヌを用いた 1ヵ月間反復毒性試験 66)社内資料 サルを用いた 1ヵ月間反復毒性試験 67)社内資料 サルを用いた 4ヵ月間反復毒性試験 68)社内資料 サルを用いた 9ヵ月間反復毒性試験 69)社内資料 ラットを用いた 1ヵ月間併用反復毒性試験 - 59 - 70)社内資料 サルを用いた 1ヵ月間併用反復毒性試験 71)社内資料 サルを用いた 3ヵ月間併用反復毒性試験 72)社内資料 ラットを用いた受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験 73)社内資料 復帰突然変異試験 74)社内資料 染色体異常試験 75)社内資料 ラット小核試験 76)社内資料 マウスを用いたがん原性試験 77)社内資料 ラットを用いたがん原性試験 78)社内資料 ラットを用いた光毒性試験 2.その他の参考文献 該当資料なし - 60 - Ⅻ.参考資料 1.主な外国での発売状況 本邦における効能又は効果、 用法及び用量は以下のとおりであり、 外国での承認状況とは異なる。 【効能又は効果】 セログループ 1 (ジェノタイプ 1) の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変における次のいずれかの ウイルス血症の改善 (1) インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者 (2) インターフェロンを含む治療法で無効となった患者 【用法及び用量】 通常、 成人にはダクラタスビルとして 1 回 60mg を 1 日 1 回経口投与する。 本剤はアスナプレビルと併用し、 投与期間は 24 週間とする。 外国における承認状況(2014 年 9 月) 国名 欧州(EU) 会社名 Bristol-Myers Squibb Pharma EEIG 販売名 Daklinza 剤形・規格 承認年 30 mg film - coated tablet 60 mg film - coated tablet 2014 年 効能又は効果 Daklinza is indicated in combination with other medicinal products for the treatment of chronic hepatitis C virus(HCV)infection in adults 用法及び用量 The recommended dose of Daklinza is 60 mg once daily, to be taken orally with or without meals. Daklinza must be administered in combination with other medicinal products. Recommended regimens and treatment duration Genotype 1 or 4 without cirrhosis: Daklinza + sofosbuvir, 12 weeks. Genotype 1 or 4 with compensated cirrhosis: Daklinza + sofosbuvir, 24 weeks. Genotype 3 with compensated cirrhosis and/or treatment experienced: Daklinza + sofosbuvir + ribavirin, 24 weeks. Genotype 4: Daklinza + peginterferon alfa + ribavirin, 24 weeks of Daklinza in combination with 24-48 weeks of peginterferon alfa and ribavirin. 上記を含み、2014 年 9 月現在、 本剤は、 欧州 (EU) で承認されている。 2.海外における臨床支援情報 該当資料なし - 61 - ⅩⅢ.備考 その他の関連資料 該当資料なし - 62 - 製造販売元 2014 年 9 月作成 DKSV/14-08/0082/16-07
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