東和電機工業所 IH技術課 - 株式会社 東和電機工業所

1) 加熱の中のIH
加熱方式の特徴とIH加熱のしくみ
2) IH加熱の原理、特徴と利点
高周波加熱、低周波加熱の原理
IH加熱の特徴
3) 高周波IHインバータの種類
IHインバータの種類と選定方法について
4) 高周波IH加熱コイルについて
コイル製作例
5) 製品例
当社におけるIH加熱製作事例
6) テスト装置紹介
当社におけるIH加熱テスト装置例
7) 製品実現までのフロー
添付1) IH加熱昇温制御スピードテスト
㈱東和電機工業所
技術開発部 IH技術課
〒666−0023
兵庫県川西市東久代1-4-9
TEL
072−759−8251
FAX
072−759−8896
1) 加熱の中のIH
加熱方式の特徴とIH加熱のしくみ
ガス加熱 熱効率 40%
シーズヒーター 熱効率 50%
シーズヒーター(発熱体)
炎
渦巻き状のニクロム線を絶縁物で包み込んで
ニッケルで保護した物。
伝導熱と輻射熱で加熱します。
炎による加熱をおこないます。
・熱効率が悪い。
ラジェントヒーター 熱効率 60%
ハロゲンヒーター 熱効率 60%
トッププレート
セラミックプレート
断熱材
発熱体
輻射熱
タングステン
フィラメント
ニクロム線を平らなセラミックプレートの下に
装着したもので、伝導熱で加熱します。
・火力調節が難しい。
IHヒーター 熱効率 80∼90%
ハロゲン
ランプ
断熱材
ハロゲンランプ伝導熱と輻射熱で加熱します。
・火力が調整が難しい。
マイクロ波
渦電流
マイクロ波発生装置
被加熱物
加熱コイル
磁力線
トッププレート
磁力線の働きで、鍋そのものを発熱させる。
・立ち上がりが早い。
周波数が300MHzから300GHz(波長が1m∼
1mm)のマイクロ波を使って、 物質内部から加
熱する方式です。
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2) IH加熱の原理、特徴と利点
IH加熱の原理
① 高周波IH加熱コイルの原理
渦電流
IHインバータ
加熱コイル
磁力線
トッププレート
加熱コイルに高周波(20∼50kHz)の電流を流すと磁力線が発生します。
その上部にワーク(磁性体)を置くと、ワークに渦電流が流れ
ワーク自体が発熱します
② 低周波IH加熱コイルの原理
磁束の流れ
鉄心
電流の流れ
発熱パイプ
誘導コイル
電磁誘導コイルに低周波電流を流すと磁束が生じ、
発熱パイプに電流が流れます。
この電流とパイプの素材のもつ抵抗によって、
ジュール熱が発生し太いパイプの全表面から、均一な熱が発生します。
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2) IH加熱の原理、特徴と利点
IH加熱の特徴と利点
直接加熱
・加熱効率が高い(熱効率80∼90%)
・高温の加熱が可能
(容器・治具など600℃前後の加熱が可能)
・周辺機器が高温にならない
(火傷などの心配がない)
・炎が出ない
(廃熱・排ガスがない)
・化学反応を引き起こさない
・真空中でも加熱が出来る
・ガスの雰囲気中で加熱が出来る
加熱精度が
上げられる
制御性が良い
・操作性がよい
・自動化が容易
・設備の小型化
エネルギー密度の
調整が可能
・急速(高速)加熱が出来る
・局部加熱が出来る
・加熱分散が可能
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3) 高周波IHインバータの種類
IHインバータは、被加熱物に電磁誘導をかけるために最適な周波数
25kHz∼50kHzの電源を作り出す装置です。
当社では、市販されているIHインバータ(下記表)を使用し、お客様の要望により
加熱に必要とされる熱量を計算(実績例を参考に)し、IHインバータを選定します。
下記表のIHでは対応出来ない場合、ご相談により専用IHインバータの製作も出来ます。
参考までに
1kW=860kcal
水1㍑を1℃上昇させるために必要な熱量は1kcal
鉄1kgを1℃上昇させるために必要な熱量は0.1kcal
たとえば、1kWhの熱源では、860㍑の水を1時間で1℃上昇させることが出来ます。
実際の計算では、熱損失があります。熱損失分を考慮した熱源を選定することが必要です。
インバータ種
類
消費電力
(kW)
2.5kW
2.5
電圧(V)
インバータ寸法
相数
容量(kVA)
周波数(Hz)
D×W×H(mm)
AC180∼242
単相
3.3
290×250×95.8
3.4
360×340×140
5.6
360×340×140
8
365×350×175
11
465×350×205
17
565×350×205
35
610×306×376
50/60
AC180∼242
3kW
3
50/60
AC180∼242
5kW
5
50/60
AC180∼242
7kW
7
50/60
三相
AC180∼242
10kW
10
50/60
AC180∼242
15kW
15
50/60
AC180∼242
20kW
20
50/60
インバータ寸法のD・H・Wは
左図の通りです
4
4) 高周波IH加熱コイルについて
IH加熱コイルは、被加熱物の材質や形状とIHインバータの種類によって
ワイヤーの選定や形状などが決定されます。
コイルは、決定された諸条件より、ある範囲で抵抗値を合わせた設計が必要です。
IH加熱の場合、このマッチングを行う作業が最大の難所となります。
コイル例
丸型コイル
角型コイル
応用例
応用例
・平板加熱
・平板加熱
R型コイル
円錐型コイル
応用例
応用例
・回転ドラムの加熱
・るつぼ形状容器加熱
・R型容器の加熱
・球体容器加熱
・中華鍋形加熱
ラセン型コイル
応用例
・パイプ加熱
-- 上記のコイルを組合わせる事も可能です。 --
分散型コイル
丸型コイル組合わせ
丸型・角型の組合わせ
応用例
・分散加熱
・容器複数
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5) 製品例
当社におけるIH加熱製作事例
IHコンロ(デモ機)
略図
温度センサ
加熱物
加熱コイル
制御部
電源
IHインバータ
温度調節器
IHインバータ仕様
単相 200V ・ 2.5kW
■ 説明 ■
一般的なIHコンロです。
当社デモ機として使用しています。
ジンギスカン鍋
略図
ジンギスカン用鉄板
加熱コイル
電源
IHインバータ
IHインバータ仕様
単相 200V ・ 2.5kW
■ 説明 ■
IHコイルの形状をジンギスカン鍋に合わせています。
排熱が少ないので店内の雰囲気が向上しました。
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円筒形金型加熱
略図
加熱コイル
加
熱
物
温度センサ
制御部
電源
IHインバータ
温度調節器
IHインバータ仕様
単相 200V ・ 2.5kW
■ 説明 ■
熱硬化性樹脂の成型用金型加熱装置です。
加熱スピード、コントロールが向上しました。
回転炒め機
略図
ドラム(回転加熱物)
温度センサ
加熱コイル
制御部
電源
IHインバータ
温度調節器
IHインバータ仕様
三相 200V ・ 5kW
■ 説明 ■
ドラムの昇降、回転、加熱(調理)が自動で行えます。
調理のマニュアル化が出来ます。
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大型回転ドラム
略図
制御盤
ドラム(回転加熱物)
温度センサ
回転ドラム
加熱コイル
加熱コイル
制御部
電源
IHインバータ
温度調節器
IHインバータ仕様
三相 200V ・ 15kW
■ 説明 ■
ドラム内部に加熱物を通し、加熱を行います。
加熱物の搬送は、ドラムに傾斜をつける事と、ドラム自体の回転で行います。
トレー加熱ライン
略図
トレー
IHインバータ
電源
IHインバータ
電源
電源
IHインバータ
制御部
IHインバータ仕様
三相 200V ・ 5kW×7台
■ 説明 ■
工場のライン設備の一部です。
トレー寸法 1500×1000×80 t1.5 の表面を加熱します。
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6) テスト装置紹介
当社におけるIH加熱テスト装置例
IHインバータ出力制御ユニット(インバータ2.5∼15kW)
使用用途
各インバータの制御
仕様概略
電源
3相・200V(50/60Hz)
消費電力 2.5kW∼15kW
IHインバータ 2.5kW、3kW、5kW
7kW、10kW、15kW
それぞれに接続し運転できます。
加熱プログラムを変更できます。
2軸受ドラムワーク回転ユニット
使用用途
回転加熱
仕様概略
ワークを回転させながら、
加熱検証ができます。
(φ500㎜×L1000㎜程度まで)
回転ワークに合わせて調整します。
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1軸ワーク回転ユニット
使用用途
回転加熱(小型ワーク用)
仕様概略
ワークを回転させながら、
加熱検証ができます。
(φ100㎜×L100㎜程度まで)
回転ワークに合わせて調整します。
1軸ワーク搬送ユニット(ワーク搬送用制御ユニット付)
使用用途
丸棒、ワイヤーなどの搬送加熱
仕様概略
1軸ロボシリンダー使用(L1000㎜)
タッチパネル、PLCにより、搬送スピード
を調整できます。
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7) 製品実現までのフロー
キックオフ
お客様との打合せにより
IH加熱の基本原理や構造をご理解頂き、
お客様の要望を教えて頂きます。
製品打合せ
お客様の目的が明確化されて
IHの選定を行い、イメージ等で本開発の最終目的をつかみます。
簡易検証
お客様の目的に対して、実現の可能性が不明確な場合
実機の設計に入る前に、さまざまな基礎実験を行います。
テスト機製作
当社で最終的な検証が出来ない場合
テスト機にて、お客様での実証テストを行って頂きます。
実機製作
テスト機での検証完了後、実機の設計、製作を行います。
納品
納品後のアフターフォローも行います。
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∼ ⅠH加熱昇温制御スピードテスト ∼
○ テスト内容
IHインバータ(2.5kW)、専用コイルにて
φ20(t1.0)400mm鉄製パイプの加熱を
行い、昇温と制御スピードを確認する。
○ テスト条件
150℃ ON・OFF温調運転
加熱出力
テスト1
100%
テスト2
50%
テスト3
25%
テスト装置概略
加熱コイル
加熱対象物
鉄製パイプ
温度
ロガー
温度表示信号
(4-20mA)
加熱対象物
鉄製パイプ
Φ20(t1.0)
温度
センサー
加熱コイル
センサー
アンプ
ⅠHインバータ
2.5kW
加熱ON,OFF
信号
温度
センサー
センサー
アンプ
ⅠHインバータ
2.5kW
温度(℃)
○ テスト結果
160.0
150.0
140.0
130.0
120.0
110.0
100.0
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
①出力100%
②出力50%
③出力25%
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
時間(秒)
加熱出力
設定
実測値
テスト1
テスト2
テスト3
100% 2.46kW
50% 1.28kW
25% 0.58kW
150℃
到達時間
2.7秒
4.3秒
9.4秒
150℃温調時温度(℃)
max
min
△t
151.6
151.3
150.4
149.6
149.6
149.5
2.0
1.7
0.9
○ まとめ
テスト1 100%の出力では、44.4/秒の昇温で、△2.0℃
テスト2 50%の出力では、27.9/秒の昇温で、△1.7℃
テスト3 25%の出力では、12.8/秒の昇温で、△0.9℃
*** ON・OFF温調運転で十分な加熱精度が得られます。 ***
添付1)
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