症例 ③

症例 ③
14年11月4日火曜日
症例
70歳 女性
主訴
労作時胸痛
既往歴
61歳時
左乳癌:左乳房全摘、リンパ節廓清
(当院外科)
糖尿病、脂質異常症
(当院糖尿病内分泌内科、
その後他院にて内服)
14年11月4日火曜日
現病歴
数日前から労作時胸痛及び動悸があった。
朝、軽い労作で強い胸痛があり、当院外科を受診。
(9年前に左乳癌の手術歴あり)
トロポニンT弱陽性。その後循環器内科へ紹介
14年11月4日火曜日
心房細動
Ⅰ、Ⅱ、aVL、
V2~V6に陰性T波
陰性T波
V1∼V3<V4∼V6
14年11月4日火曜日
来院時採血データ
TP 6.9g/dl
BUN 13mg/dl
RBC 410万/μl
ALB 4.1g/dl
Creat 0.51mg/dl
Hb 12.9g/dl
A/G 1.46
Na 140mmol/l
HCT 39.2%
T.BIL 0.6mg/dl
K 4.1mmol/l
MCV 95.7fl
LDH 240 IU/l
Cl 107mmol/l
MCH 31.4pg
AST 46 IU/l
CRP 1.12mg/dl
MCHC 32.9%
ALT 50 IU/l
Glu 185mg/dl
PLT 18.4万/μl
CPK 84 IU/l
WBC 5970/μl
CPKMB 9 IU/l
14年11月4日火曜日
第1病日心エコー
4ch
3ch
14年11月4日火曜日
心尖部:akinesis左室基部過収縮 EF 45%
第1病日心エコー
心尖部:akinesis左室基部過収縮 EF 45%
4ch
無収縮領域が心基部近くまで広がる
3ch
14年11月4日火曜日
14年11月4日火曜日
冠動脈に有意狭窄なし
14年11月4日火曜日
14年11月4日火曜日
心基部過収縮
長軸に対して左右対称
心尖部風船状無収縮
dyskinesisを呈さない
14年11月4日火曜日
心基部過収縮
長軸に対して左右対称
心尖部風船状無収縮
dyskinesisを呈さない
*心筋
塞例ではdyskinesis
となることがある
14年11月4日火曜日
診断は、
たこつぼ心筋症
14年11月4日火曜日
診断は、
たこつぼ心筋症
急性心筋
14年11月4日火曜日
塞と類似した発症
たこつぼ心筋症
(Takotsubo cardiomyopathy)
1990年に佐藤らが最初に報告
Takotsubo-like left ventricular dysfunction
Stress-induced cardiomyopathy
Apical ballooning syndrome
Broken heart syndrome
上記の呼び名もほぼ同義で使われている
二次性心筋症の一つとして分類(2006年:AHA)
14年11月4日火曜日
診断基準(Mayo Clinic提唱)
一過性の低収縮、無収縮、dyskinesisを左室中
部に認め、心尖部を巻き込む場合と巻き込ま
ない場合がある。冠動脈の支配領域を超え
る。ストレスが契機となるが必須ではない。
冠動脈閉塞やプラークの破綻がない。
ST上昇やT波の陰転化といった新たな心電図異
常の出現。心筋トロポニンの軽微な上昇。
褐色細胞腫や心筋炎などがない。
上記4つを満たすもの
14年11月4日火曜日
たこつぼ心筋症の心電図(急性期)
心尖部無収縮を反映した
心尖部無収縮を反映した
ST上昇
14年11月4日火曜日
ST上昇(V2∼V5)
たこつぼ心筋症 心電図変化
14年11月4日火曜日
心電図での鑑別は?(1)
aVR誘導のST低下が認められ、V1
誘導でST上昇を認めない場合、
90%以上の感度・特異度で急性前
壁心筋
14年11月4日火曜日
塞と鑑別出来る。
心電図での鑑別は?(2)
aVR誘導で陽性T波が存在し、かつ
V1誘導で陰性T波を認めない場合、
94%以上の感度・特異度をもって、
亜急性前壁心筋
出来る。
14年11月4日火曜日
塞再還流後と鑑別
心電図での鑑別は?(3)
前壁心筋
塞との違いとして
鏡像変化を認めない。
異常Q波を認めない。
ST上昇:V1∼V3<V4∼V6
感度80%以上、特異度69%以上
陰性T波:V1∼V3<V4∼V6
14年11月4日火曜日
第1病日
14年11月4日火曜日
第1病日
陽性T波
陰性T波(-)
14年11月4日火曜日
第49病日
14年11月4日火曜日
第49病日心エコー
4ch
EF 63%
3ch
14年11月4日火曜日
第49病日心エコー
壁運動異常は自然回復する
4ch
EF 63%
3ch
14年11月4日火曜日
発症後
1年2ヶ月
14年11月4日火曜日
本症例ではないが・・・
たこつぼ心筋症の約30%に、
左室単独例より
右室心尖部にも病変をきたす
重症との報告も
14年11月4日火曜日
Ⅰ、Ⅱ、aVL、V2~V6と広範囲な誘導に陰性T波
aVRに陽性T波かつ、V1に陰性T波なし
陰性T波:V1~V3<V4~V6
冠動脈の走行では説明できない
鏡像変化及び異常Q波を認めない
心尖部の風船状無収縮、心基部の過収縮 "自然回復
(長軸に対して左右対称、心基部近くまで無収縮、dyskinesisを呈さない)
dyskinesis:心筋
冠動脈に有意狭窄を認めない
心筋逸脱酵素の上昇が軽度
14年11月4日火曜日
トロポニンT弱陽性
塞