平成22年度

10
大規模水質特論
平成22年度
H22-118(水質)
Question
10
水
質
関
係
平
成
22
年
度
閉鎖性水域の水質汚濁の特徴及び総量規制に関する出題である。
(1)湖沼,海域などの閉鎖性水域における有機物による汚染の指標としては
COD が採用されている。正しい。
(テキスト 2. 2. 3-1)
(2)閉鎖性海域の水質改善を図るため,水質汚濁防止法及び瀬戸内海環境保
全特別措置法で総量規制が制度化されている。正しい。
(テキスト 5. 1)
(3)東京湾,伊勢湾,瀬戸内海(大阪湾を含む。
)では,COD,窒素含有量,
りん含有量を指定項目とした総量規制が行われている。正しい。
(テキスト 5. 1)
(4)内部生産は,閉鎖性水域において窒素,りんなどを栄養源として植物プ
ランクトンが繁殖することにより,COD 濃度が増加することをいう。し
たがって,内部生産を抑制するためには,窒素やりんの流入量を削減する
必要がある。COD の総量規制は,閉鎖性水域に流入する COD 成分の量を
規制することを目的しており,内部生産による COD を抑制することはで
きない。誤り。
(テキスト 5. 1)
(5)上記
(4)
の説明のとおり。正しい。
(テキスト 5. 1)
問 1:正解(4)
大規模水質特論:H 19 問 1,H 21 問 2
H22-119(水質)
Question
10
大
規
模
水
質
特
論
生態系モデルにおける植物プランクトン増殖過程に関する出題である。
(1)植物プランクトンは光合成により増殖する。したがって,植物プランク
トンの増殖は,光や窒素・りんなどの栄養塩濃度によって制限を受ける。
正しい。
(テキスト 5. 1. 2-1)
(2)植物プランクトンの増殖は,光強度の影響を受ける。光強度が大きいほ
ど増殖速度は増加するが,強光条件下では光合成はしばしば阻害される。
このため,光合成-光応答の式では,強光阻害の効果が考慮された式が導
入されている。正しい。
(テキスト 5. 1. 2-2
(2)
)
(3)水中での光強度は,水分子による吸収や濁りの影響などを受けて減衰す
る。水中での光の減衰現象は,次に示すランバート-ベールの法則に従う。
Iz = I0 exp(−Kz)
ここに,Iz :水深 z における光強度 I0 :水平での光強度
K :光の消散係数
この式は指数関数であり,一次式ではない。誤り。
(テキスト 5. 1. 2-2
(2)
)
(4)植物プランクトンの栄養塩摂取は,栄養塩が低濃度のときは直線的に増
加し,高濃度になると減少する。また,窒素又はりんの濃度のいずれかで
増殖が制限される。この関係を表したものにミハエリス-メンテンの式が
H22-120(水質)
ある。正しい。
(テキスト 5. 1. 2-2
(3)
)
(5)水面での太陽光強度は,季節や昼夜などによって異なるが,太陽光強度
10
水
質
関
係
平
成
22
年
度
の日変化は,次の経験式で近似できることが知られている。正しい。
(テキスト 5. 1. 2-2
(2)
)
(
π
)
I0 = I(t)
=Imax・sin3 ── t
0
DL
Imax :太陽高度が最高になったときの水面最強光強度(最強日射量)
DL :日の出から日の入りまでの日長
問 2:正解(3)
大規模水質特論:H 19 問 1,H 20 問 4,H 21 問 3
H22-121(水質)
Question
10
大
規
模
水
質
特
論
植物プランクトンが水温,光強度,栄養塩濃度などの影響を受けて増殖する
関係を表した式に関する出題である。
(テキスト 5. 1. 2)
(1)式中の
(1)
は,水温の影響を表したものである。正しい。
(2)式中の
(2)
は,植物プランクトンの光合成速度が光強度の増加とともに増
加することを表したものである。正しい。
(3)式中の
(3)
は,強光条件下で植物プランクトンの光合成が阻害される現象
を表したものである。式中の
(2)
と
(3)
を合わせた aI・exp
(1 − aI)は,植
物プランクトンの光合成-光応答に関する Steele の提案式である。正しい。
(4)式中の
(4)
は,窒素とりんの濃度による影響を表したものである。植物プ
ランクトンの栄養塩摂取速度は,栄養塩が低濃度のときは直線的に増加し,
高濃度になると減少する。また,窒素又はりんの濃度のいずれかで増殖が
制限される。この関係を表したものが,次に示すミハエリス-メンテンの
式である。
H22-122(水質)
10
水
質
関
係
平
成
22
年
度


μ=Min
 ──── ,──── 
3
+
+


μ3 :栄養塩摂取速度
なお,Min{ }は括弧の中の二つの項のうち小さい方をとるという意味で
ある。設問では分母と分子が逆である。誤り。
(5)式中の
(5)
は,植物プランクトンの増殖は,水中に現存する植物プランク
トン濃度に影響することを表したものである。正しい。
問 3:正解(4)
大規模水質特論:H 19 問 1,H 20 問 4,H 21 問 3
H22-123(水質)
Question
10
大
規
模
水
質
特
論
生態系モデルで予測された変数に関する出題である。
(テキスト 5. 1. 2-1)
生態系モデルは,水域内の物質循環を炭素,窒素,りんなどの元素を用いて
定量化するモデルである。したがって,生態系モデルで予測された有機物状態
変数に何らかの換算変数を使って COD に変換すれば,生態系モデルで COD の
水質を予測することができる。COD に変換する必要があるものは,有機物状
態のものであり,具体的には懸濁体有機炭素,溶存体有機炭素,植物プランク
トン体炭素,動物プランクトン体炭素などである。
(1)
の無機体栄養塩は,有機
物状態ではないので COD に換算することはしない。したがって
(1)
が正解とな
る。
問 4:正解(1)
大規模水質特論:H 19 問 3,H 21 問 4
H22-124(水質)
Question
10
水
質
関
係
平
成
22
年
度
排水再生利用のための処理技術に関する出題である。目標とする水質段階に
応じた適用技術を整理すること。
(テキスト 5. 2. 2)
(1)一般的な傾向として再利用の使用目的を広げるほど,循環使用の循環回
数を増すほど高度の処理が要求される。
「処理が容易になる」は誤り。
(2)水の合理的な再生利用に際し考慮すべきことの一つは,対象となる水源
は,できる限り汚濁成分の明らかなものを選び,異質な排水や汚濁成分の
不明な排水を混合しないことである。汚濁成分が複雑になるほど処理プロ
セスが複雑になり,維持管理に手間がかかる。正しい。
(3)再生利用のための水処理には,水中の汚濁成分を固形物として分離する
段階と,溶解性不純物を分離する段階とがある。汚濁成分を固形物として
分離する技術には,凝集沈殿やろ過などがある。正しい。
(4)溶解性不純物を除去する手段としては,活性炭吸着,イオン交換,膜分
離プロセスなどがある。これらのプロセスではイオン交換における再生排
水,膜分離プロセスにおける濃縮液など,汚濁成分の濃縮液が発生する。
最終処分のためにはさらに蒸発濃縮後,固化するなどの処理が必要である。
正しい。
(5)クローズドシステムは工場の外に排水を出さないシステムである。この
ため排水中の溶解塩分の除去が必要となる。正しい。
過去 3 年間において類似の出題はない。
問 5:正解(1)
H22-125(水質)
Question
10
大
規
模
水
質
特
論
処理水の再利用に関する出題である。実務上,冷却水の再利用は最も重要で
あり,課題と対策を整理すること。
(1)循環冷却水系の濃縮倍数を大きくすると,補給水量が低減する反面,塩
類の濃縮により種々の障害が起こりやすくなる。スケール析出はその一つ
である。誤り。
(テキスト 5. 2. 3-1)
(2)循環冷却水系におけるスケール析出やスライム障害対策は,大きく分け
て補給水への処理,循環水への処理,放流水への処理に要約される。一般
的に循環水系への障害を防止する方法として,薬品を添加する方式がとら
れている。正しい。
(テキスト 5. 2. 3-1)
(3)冷却水では製品を直接接触させて冷却する直接冷却も多い。直接冷却水
系では製品からの汚濁成分が混入するため,排水処理工程を経た後,冷却
塔で水温を低下させるプロセスがとられている。正しい。
(テキスト 5. 2. 3-1)
(4)向流多段洗浄装置は,製品の製造工程の流れと洗浄水の流れを向流にし
H22-126(水質)
て多段洗浄を行うことで,少ない水で十分な洗浄効果を得ることができる。
正しい。
(テキスト 5. 2. 1-1)
10
水
質
関
係
平
成
22
年
度
(5)半導体製造工程では,1 工程が終わるごとに超純水により洗浄が行われ
る。この工程排水は汚濁成分が明確で濃度も低いため,再利用に適してい
る。正しい。
(テキスト 5. 2. 3-1)
問 6:正解(1)
大規模水質特論:H 19 問 6,H 21 問 6
H22-127(水質)
Question
10
大
規
模
水
質
特
論
大規模設備の水質汚濁防止対策に関する出題である。各業種の排水の特徴を
把握すること。
(1)排水中に生分解しやすい有機酸等の BOD 成分が多いことは,食品製造
業排水の特徴の一つである。
(テキスト 5. 3. 4-2)
(2)処理対象となる主要水質汚濁物質が,油分,硫化水素,メルカプタンで
ある排水は,
製油所プロセス排水の特徴の一つである。
(テキスト 5. 3. (
2 3)
)
(3)蒸解工程とは,パルプ製造工程の一つで木材に含まれるリグニンを分
解・可溶化する工程である。蒸解工程から排出される廃液は黒液と呼ばれ,
濃縮燃焼してエネルギーと水酸化ナトリウムや硫化ナトリウムを回収する。
(テキスト 5. 3. 3-2)
(4)バラスト排水は原油を運ぶタンカーがバランスをとるために一時的に入
れるバラスト水の排水で,油分が含まれる場合が多い。バラスト排水中の
油分は排水処理設備で加圧浮上プロセスなどを組み合わせて処理される。
(テキスト 5. 3. (
2 3)
)
(5)熱間圧延工程は製鉄所の製造工程の一つであり,製品や機械に直接散布
H22-128(水質)
して冷却する直接冷却水と炉体や機械,潤滑油,油圧油などを間接的に冷
却する間接冷却水を使用する。熱間圧延工程排水は循環再使用するため,
10
水
質
関
係
平
成
22
年
度
用途に応じた水質に処理される。一般的に直接冷却水系と間接冷却水系を
別系統で処理している。
(テキスト 5. 3. 1-3
(2)
)
したがって,鉄鋼業に該当する記述は
(5)
である。
問 7:正解(5)
大規模水質特論:H 19 問 7,H 20 問 9,H 21 問 7
H22-129(水質)
Question
10
大
規
模
水
質
特
論
製油所の排水処理に関する出題である。代表的なプロセスとその排水の特徴
を把握すること。
(1)製油所では,その性質上油分の混入は避けられない。また,水素化処理
装置及び接触分解装置などの排水には,油分以外に硫化水素,アンモニア,
フェノール,メルカプタンなどの有害物質が含まれるので,排水処理工程
に入る前に排水ストリッパーで処理している。
正しい。
(テキスト 5. 3. (
2 3)
)
(2)冷却水には,工業用水と海水が使用される。工業用水は腐食性が少なく,
塩類析出によるトラブルもないので望ましいが,工業用水供給量の制限等
の理由で,海水を併用することが多い。海水の場合,塩分の濃縮を避ける
ため,並びに冷却塔からの飛沫塩分による害を避けるため,循環使用しな
いのが普通である。誤り。
(テキスト 5. 3. (
2 3)
)
(3)排水中の油分は一般的には 1 ∼ 5 ppm が要求されており,オイルセパ
レーター処理だけでは油分が 5 ∼ 30 ppm までしか下がらず,不十分で
ある。そこで,オイルセパレーターの下流で活性汚泥処理を行い,溶解性
有機物と油分を除去する。正しい。
(テキスト 5. 3. (
2 4)
)
(4)原油には硫黄化合物,窒素化合物などが含まれるため,プロセス排水に
は原油中の硫化水素や水素化処理時に生じた硫化水素,アンモニアが含ま
H22-130(水質)
れる。正しい。
(テキスト 5. 3. (
2 4)
)
(5)排水量の削減策として,①排水量の少ない装置の導入,②排水ストリッ
10
水
質
関
係
平
成
22
年
度
パー処理水の再利用,③冷却水の循環使用,などがある。正しい。
(テキスト 5. 3. (
2 6)
)
問 8:正解(2)
大規模水質特論:H 19 問 8,H 21 問 8
H22-131(水質)
Question
10
大
規
模
水
質
特
論
製紙工場での汚濁負荷減少及び排水処理に関する出題である。パルプ製造工
程の特徴を把握すること。
(1)パルプ製造工程における節水対策では,黒液濃縮工程から発生する凝縮
水の再利用などによって,洗浄工程での洗浄水を減らすことが最大のポイ
ントである。正しい。
(テキスト 5. 3. 3-4
(1)
)
(2)漂白工程にリグニンなどの不純物が持ち込まれると,漂白薬品によって
分解されて BOD 成分として排水側に移行する。不純物の持ち込みを減ら
すことで,排水負荷が減少するとともに,漂白薬品の使用量も減少する。
正しい。
(テキスト 5. 3. 3-4
(1)
)
(3)白水回収装置にはいろいろなタイプがあるが,いずれも微細な気泡を発
てんりょう
生させて,その気泡に白水中の微細繊維と頡料を付着させることで浮上さ
せ,原料を分離・回収している。誤り。
(テキスト 5. 3. 3-4
(2)
)
(4)白水回収装置の本来の目的は原料の回収であり,SS(浮遊物質)の減少
に大きく寄与している。また,原料回収後の水も再用水と呼ばれ,抄紙工
程の希釈水などに利用されており,節水にも寄与している。正しい。
H22-132(水質)
(テキスト 5. 3. 3-4
(2)
)
(5)製紙工場では一般的に有機溶剤や重金属等は使用していないので,排水
10
水
質
関
係
平
成
22
年
度
処理施設での処理対象物質は,BOD あるいは COD 成分と SS である。正
しい。
(テキスト 5. 3. 3-5
(1)
)
問 9:正解(3)
大規模水質特論:H 19 問 9,H 20 問 10,H 21 問 9
H22-133(水質)
Question
10
大
規
模
水
質
特
論
ビール工場や清涼飲料工場の排水処理に関する出題である。上向流式嫌気汚
泥床(UASB)の特徴を整理すること。
(1)1970 年代に中・高濃度有機物含有排水処理に適した UASB が開発され,
ビール工場の排水処理に適用されてきた。正しい。
(テキスト 5. 3. 4-3
(1)
)
(2)UASB により高濃度排水をある程度の濃度まで処理した後,後段の活性
汚泥法で放流できるレベルに処理している。誤り。
(テキスト 5. 3. 4-3
(1)
)
(3)UASB は活性汚泥法に比べて,
ばっ き
① 曝気に要するエネルギーが不要
② 汚泥発生量が活性汚泥法の 1/2 ∼ 1/5 と少ない
③ 副生成物として得たメタンガスをエネルギーとしての利用が可能
などの特徴がある。正しい。
(テキスト 5. 3. 4-3
(1)
)
(4) 活性汚泥法の前段に UASB を導入し二段処理を行った事例では,原水
の CODCr 1500 mg/L を UASB で 200 mg/L 程度に,さらに活性汚泥法で
20 mg/L 程度に処理されている。正しい。
(テキスト 5. 3. 4-3
(1)
)
(5) 缶コーヒー製造排水では,生物処理水に色度が残存するため,さらに
H22-134(水質)
凝集沈殿設備を追加して色度除去を行っている。正しい。
(テキスト 5. 3. 4-3
(2)
)
10
水
質
関
係
平
成
22
年
度
問10:正解(2)
大規模水質特論:H 19 問 10,H 20 問 8,H 21 問 10