具体例で知る Jack Knife法 富谷 昭夫 akio_AT_het.phys.sci.osaka-u.ac.jp (_AT_をアットマークにしてください) Jack knife(ジャックナイフ)法とは? • 実験をしたとする。 • そこから意味のある結果を引き出した い。それには、誤差の評価が必要。 • 誤差の伝播則を考慮しながら 計算するのは大変。 • 楽な方法は? • Jack Knife(JK)法! (ただし計算数は増える) 例 ボールを落として落下距離・時間から重力加速度を求めたい。 4回実験したとする。 (a) (c) 時刻(s) 距離(m) 0 (b) 時刻(s) 距離(m) 0 0 0 0.05 0.024 0.05 0.024 0.10 0.072 0.10 0.074 0.15 0.143 0.15 0.148 0.20 0.240 0.20 0.247 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 0 0 0 0 0.05 0.025 0.05 0.025 0.10 0.075 0.10 0.075 0.15 0.149 0.15 0.147 0.20 0.246 0.20 0.242 (d) (ここでは、実験の代わりに乱数を加えながら値を生成した。) JK法3ステップ • JKデータづくり • 計算 • JKエラー付け 1ジャックナイフデータづくり bin-(a) : (a)のデータを除いた平均 (b) (c) (d) bin-(a) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 0 0 0 0 0 0 0 0 0.05 0.024 0.05 0.025 0.05 0.025 0.05 0.0246 0.10 0.074 0.10 0.075 0.10 0.075 0.10 0.0746 0.15 0.148 0.15 0.149 0.15 0.147 0.15 0.148 0.20 0.247 0.20 0.246 0.20 0.242 0.20 0.245 3つのデータで平均 (同様にb, c, d も作成する。) (1つのデータを抜くので、1bin jack-knifeと言ったりする。) 1ジャックナイフデータづくり (a) (c) (d) bin-(b) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 0 0 0 0 0 0 0 0 0.05 0.024 0.05 0.025 0.05 0.025 0.05 0.0247 0.10 0.072 0.10 0.075 0.10 0.075 0.10 0.0740 0.15 0.143 0.15 0.149 0.15 0.147 0.15 0.146 0.20 0.240 0.20 0.246 0.20 0.242 0.20 0.243 1ジャックナイフデータづくり (a) (b) (d) bin-(c) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 0 0 0 0 0 0 0 0 0.05 0.024 0.05 0.024 0.05 0.025 0.05 0.0243 0.10 0.072 0.10 0.074 0.10 0.075 0.10 0.0737 0.15 0.143 0.15 0.148 0.15 0.147 0.15 0.146 0.20 0.240 0.20 0.247 0.20 0.242 0.20 0.243 1ジャックナイフデータづくり (b) (a) bin-(d) (c) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 0 0 0 0 0 0 0 0 0.05 0.024 0.05 0.024 0.05 0.025 0.05 0.0243 0.10 0.072 0.10 0.074 0.10 0.075 0.10 0.0737 0.15 0.143 0.15 0.148 0.15 0.149 0.15 0.147 0.20 0.240 0.20 0.247 0.20 0.246 0.20 0.244 1ジャックナイフデータづくり binに切ったことにより、 各binは、ゆらぎが抑えられている。 bin-(a) bin-(b) bin-(c) bin-(d) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 0 0 0 0 0 0 0 0 0.05 0.0246 0.05 0.0247 0.05 0.0243 0.05 0.0243 0.10 0.0746 0.10 0.0740 0.10 0.0737 0.10 0.0737 0.15 0.148 0.15 0.146 0.15 0.146 0.15 0.147 0.20 0.245 0.20 0.243 0.20 0.243 0.20 0.244 出来た4つのbinごとに重力加速度を計算する。 2.計算 各binごとに重力加速度を計算する bin-(a) 時刻(s) 距離(m) 0 0 0.05 0.0246 0.10 0.0746 0.15 0.148 0.20 0.245 ここでは最小二乗法などで求めたとする。 1 2 y = gt 2 今の場合、↑なので、加速度は以下で求められる。 g(a) P 2 i yi = P 2 i ti 2 0+0.0246+0.0746+0.148+0.245 0+0.025+0.01+0.0225+0.04 2 ) 0.4922 0.0975 g(a) = 10.1 (m/s2 ) 2.計算 bin-(b) bin-(c) bin-(d) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 時刻(s) 距離(m) 0 0 0 0 0 0 0.05 0.0247 0.05 0.0243 0.05 0.0243 0.10 0.0740 0.10 0.0737 0.10 0.0737 0.15 0.146 0.15 0.146 0.15 0.147 0.20 0.243 0.20 0.243 0.20 0.244 g(b) = g(c) = g(d) = 2 0+0.0247+0.0740+0.146+0.243 2 0+0.025+0.01+0.0225+0.04 2 0+0.0243+0.0737+0.146+0.243 2 0+0.025+0.01+0.0225+0.04 2 0+0.0243+0.0747+0.147+0.244 0+0.025+0.01+0.0225+0.04 2 0.4877 0.0975 0.487 0.0975 0.49 0.0975 10.0 9.99 10.1 3.JKエラー付 g g2 bin-(a) 10.1 102.0 bin-(b) 10.0 100.0 bin-(c) 9.99 99.8 bin-(d) 10.1 102.0 平均 ここがJK法の特徴: 割るんじゃなくてかける 10.0475 100.95 100.95 100.95225625 gの2乗の平均値 gの平均値の2乗 0.00225625 (bin数-1)倍 0.00676875 ルートをとる 0.082 よってこの実験での重力加速度は、 g=10.05 2 0.082(m/s ) と求まる。 (誤差) 考察(余談) 既知の値との比較を行ってみる。 g=10.05 0.082(m/s2) g=9.806 65 m/s2(定義値) つまり、誤差の2倍の範囲で無矛盾である。 (2シグマ・コンシステントといったりする) 重要な点 最初のデータからbinを作った時に、各binごとでは、 平均されているためにゆらぎが減った。 それを最終段階で(bin数-1)をかけ、増幅した。 JK法3ステップ(まとめ) • JKデータづくり(ワンセット抜いて平均。これを実験した 回数だけ繰り返す=bin作成) • • 物理量をbinごとに計算 JKエラー付け:平均値は、全てのbinの平均で良い。 • 誤差は、二乗平均-(平均)2に(bin数-1)をかけ、ルートを 取る
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