NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE Title Selective Oxidation of 1,2-Diols to α-Hydroxy Ketones in Water Author(s) William, Julius Mwenda Citation (2014-09-19) Issue Date 2014-09-19 URL http://hdl.handle.net/10069/34890 Right This document is downloaded at: 2015-01-31T18:02:01Z http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp Selective Oxidation of 1,2-Diols to α-Hydroxy Ketones in Water (水を反応溶媒とする 1,2-ジオールの α-ヒドロキシケトンへの 選択的酸化反応) 長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 Julius Mwenda William (ジュリアス 生命薬科学専攻 ムウェンダ ウィリアム) 分子内に複数の水酸基を有するポリオール類は自然界に数多く存在し生命現象を司っ ており、創薬研究においてその分子変換は重要な役割を果たしている。したがって、ポ リオールの特定の水酸基を選択的に官能基変換できる反応は有機合成において極めて有 用である。特定水酸基のカルボニル基への選択的酸化もそのひとつで、これまでに私た ちの研究室では、ポリオールがルイス酸にキレート配位することにより活性化されると 容易に酸化されることを見出している1。この酸化は有機溶媒中で行っているが、有機 溶媒のほとんどは、発がん性、引火性を有しており、人体及び環境に悪影響を及ぼす可 能性が高い。さらに有機溶媒への規制が強まっていることから、その代わりとなる水の ような無害な溶媒を用いた反応開発は非常に重要である。この環境にやさしい溶媒を用 いた反応には、数多くの利点があるが、水中でのポリオールの変換反応は難しく、酸化 反応はほとんど知られていない。 以前私たちの研究室では、触媒量のMe2SnCl2 を用いた水中での1,2-diolの選択的モノ ベンゾイル化を達成している。この反応は、二つのステップを経て進行する。(Step 1) キレート錯体 Aを形成することにより1,2-diol 1の水酸基を活性化し、アルコキシドBを 形成する。(Step 2) Bのベンゾイル化によって、モノベンゾイル化体1bを生成する2。今 回私は、アルコキシドBに酸化反応条件を導入することにより、水中でのポリオールの 選択的な酸化が可能ではないかと予想した(Scheme 1)。 (step 1) R 1 R2 OH 1 OH R + Me2SnCl2 (cat) 1 R2 H O Cl Me Sn O Cl Me H A (step 2) + −H 1 R R2 O Cl Me Sn O Cl Me H B BzCl R1 R2 Oxidation condition OBz 1b OH R1 R2 O 2 OH Scheme1. Selective mono-functionalization of 1.2-diols in water 【第1章】 初めに、様々なルイス酸触媒及び臭素イオン源を酸化剤として用い、水中での1,2diolの選択的化学酸化反応を試みた。これによって私は、Me2SnCl2を触媒として、Br2や DBI(Dibromoisocyanuric acid)を酸化剤として用い、様々な環状及び非環状1,2-diolを水 中で選択的酸化することによりα-hydroxy ketoneを得ることに成功した(Eq 1)3。 R1 2 R Me2SnCl2 (0.1 equiv) K2CO3 (1.2 equiv) Br2 (1.5 equiv) or DBI (1.0 equiv) OH H2O 5 mL, dark condition OH 1 1.0 mmol R1 O R2 OH (1) 2 up to 93% yield 16 examples 【第2章】 続いて私は、Me2SnCl2 を触媒として、臭素イオン源として KBr を、また白金電極を 用いた水中での 1,2-diol の電気化学的な選択的酸化反応を開発した(Eq 2)。この手法は 陽極で得られる“Br+”イオンを酸化剤として、陰極で得られる OH−イオンを電解発生塩 基(EGB)として用いている 4。様々な環状、非環状 1,2-diol を用いて中程度から高い 収率で対応する α-hydroxy ketone が得られた。またこの手法は、塩基、有害な有機溶媒、 化学酸化剤を用いずに行うことが可能である。 R1 OH R2 OH (−e) Pt electrodes, Me2SnCl2 (0.01 equiv) KBr (1.2 equiv) H2O (5 mL) dark condition, 0 oC 3 F/mol, 20 mA 1 1 mmol (Anode) Br− −2e R1 O R2 OH (2) 2 up to 95% yield (Cathode) Br+ H2O +2e 2OH− + H2 (EGB) 【第3章】 次に有機スズ触媒は有毒であることが報告されていることから、水中において 1,2diol を活性化するために安全なボロン酸の使用を検討した。ボロネートの形成を経由し た活性化は、1,2-diol から α-hydroxy ketone への選択的な酸化を高効率に促進した。水中 で安定な酸化剤である DBI 用いることで化学的な酸化を達成することができた。さら に、水中において白金電極と KBr をメディエイターとして用いてクリーンな電気化学 的酸化手法を達成した(Eq 3) 5。どちらの手法を用いても様々な環状や非環状 1,2-dios か ら対応する α-hydroxy ketone を優れた収率で得ることが可能であった。 R 1 -(e) Pt electrodes MeB(OH)2 (0.02 equiv) KBr (0.5 equiv) O 2 R OH H2O (4 mL) 3 F/mol, 10 mA dark condition 2 up to 98% yield R 1 OH 2 OH R 1 MeB(OH)2 (0.1 equiv) K2CO3 (1.2 equiv) DBI (1.0 equiv) R1 (3) R H2O (4 mL) dark condition O 2 OH 2 up to 99% yield 1 mmol 【第4章】 最後に、大規模なスケールに適用できる簡便な化学的酸化法の開発を試みた。安価で 入手容易な KBrO3 を用いると、スズ触媒やボロン酸触媒を加えなくても選択的な 1,2diol の酸化が水中で進行した(Eq 4)。多様な環状、非環状 1,2-diol に適用可能でり、この 手法により水中で高効率的に環状 1,2-diol の α-hydroxy ketone への選択的酸化を達成し た。 R1 2 R OH KBrO3 (0.5 equiv) KHSO4 (1.0 equiv) OH H2O (5 mL), rt 1 dark condition 1.0 mmol R1 O R2 OH (4) 2 up to 98% yield 12 examples [参考論文] [1] T. Maki, S. Iikawa, G. Mogami, H. Harasawa, Y. Matsumura, O. Onomura. Chem. Eur J., 2009, 15, 5364. [2] W. Muramatsu, J. M. William, O. Onomura, J. Org. Chem. 2012, 77, 754. [基礎となった学術論文] [3] J. M. William, M. Kuriyama, O. Onomura, RSC Adv., 2013, 3, 19247 [4] J. M. William, M. Kuriyama, O. Onomura, Electrochem., 2013, 81, 374. [5] J. M. William, M. Kuriyama, O. Onomura, Adv. Synth. Catal., 2014, 356, 934.
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