株式会社JR東日本ステーションリテイリングに対する

株式会社JR東日本ステーションリテイリングに対する勧告について
平成26年4月23日
公 正 取 引 委 員 会
公正取引委員会は,株式会社JR東日本ステーションリテイリング(以下「J
R東日本リテイリング」という。)に対し調査を行ってきたところ,消費税の円
滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関す
る特別措置法(以下「消費税転嫁対策特別措置法」という。)第3条第1号後段
(買いたたき)の規定に違反する行為が認められたので,本日,消費税転嫁対
策特別措置法第6条第1項の規定に基づき,同社に対し勧告を行った。
1
違反行為者の概要
名
称
株式会社JR東日本ステーションリテイリング
本店所在地
東京都港区北青山二丁目7番9号
代
代表取締役
表
者
三井
剛
事業の概要
食料品,衣料品,雑貨等の小売業
資
4億8000万円
本
金
2 違反事実の概要
⑴ア JR東日本リテイリングは,一般消費者が日常使用する商品の売上高
が100億円以上の大規模小売事業者であり,「エキュート」及び「マ
ーチエキュート」と称する店舗で販売する商品を供給している事業者
(以下「納入業者」という。)から継続して商品の供給を受けている。
イ JR東日本リテイリングは,自社が販売する商品の販売価格に納入業
者との契約によってあらかじめ定めている一定の率(以下「仕入率」と
いう。)を乗じて算定される額を,納入業者から供給を受ける商品の仕
入価格として定めている。
⑵ JR東日本リテイリングは,平成26年4月以後の消費税率引上げに伴
う売上高の減少を防止するため,次のア及びイの企画を「エキュート」と
称する店舗で実施することを独自に決定し,平成25年11月及び同年
12月に,当該店舗で販売する商品を継続的に供給している全ての納入業
者に対してこれらの企画への参加を要請した。
問い合わせ先
ホームページ
公正取引委員会事務総局取引部消費税転嫁対策調査室
電話 03-3581-3378(直通)
http://www.jftc.go.jp/
ア
平成26年4月1日から同年4月14日までの間,既存商品について販
売価格を3パーセント以上引き下げた商品をショップごとに1商品以上
販売することを内容とする「生活応援バザール」と称する企画
イ 平成26年4月15日から同年6月30日まで間,商品の増量などの方
法により既存商品よりも3パーセントから5パーセント程度お得感を感
じる商品をショップごとに1商品程度販売することを内容とする「クオリ
ティプライスキャンペーン」と称する企画
⑶ JR東日本リテイリングの前記⑵の行為は,消費税率引上げへの対応とし
て,前記⑵ア及びイの企画の対象となる商品の販売価格を通常の販売価格に
比し低く定めるよう要請することにより,当該商品の販売価格に仕入率を乗
じて算定される当該商品の仕入価格を,当該商品と同種又は類似の商品に対
し通常支払われる対価に比し低く定めるものである。
3 勧告の概要
⑴ JR東日本リテイリングは,前記2⑵ア及びイの企画の対象となる商品の
実際の販売価格と通常の販売価格との差額に当該企画期間中の当該商品の
販売数量を乗じ,これに仕入率を乗じて算定した額に相当する額を取引先納
入業者に支払うこと。
⑵ JR東日本リテイリングは,今後,取引先納入業者から受ける商品の供給
に関して,商品の対価の額を当該商品と同種又は類似の商品に対し通常支払
われる対価に比し低く定めるよう要請することにより,取引先納入業者によ
る消費税の転嫁を拒むことのないよう,自社の役員及び従業員に勧告の内容
について周知徹底するとともに,消費税転嫁対策特別措置法の研修を行うな
ど社内体制の整備のために必要な措置を講じること。
⑶ JR東日本リテイリングは,前記⑴及び⑵に基づいて採った措置について,
取引先納入業者に通知すること。
⑷ JR東日本リテイリングは,前記⑴から⑶までに基づいて採った措置につ
いて,速やかに公正取引委員会に報告すること。