資料2 京葉臨海工業地帯における市原市の取組について

平成26年6月10日(火)
自由民主党
臨海コンビナート再生・強靭化推進議員連盟 様
京葉臨海工業地帯における市原市の取組
市原市長 佐久間 隆義
目次
1.市原市における
臨海部工業の現状と今後について
2.市原市産業振興ビジョンについて
3.コンビナートの防災について
1.市原市における
臨海部工業の現状と今後について
1
(1)京葉臨海工業地帯における市原市の位置
○市原市は京葉臨海工業地帯の中核都市として機能している。
○3つの製油所、4つのエチレンセンターをはじめ、市原市の臨海部には108の事業所が存在する。
○共通配管による原料などの融通や、産業ガスの供給など、企業は相互に連携している。
原油シーバース
(25万トン級、2隻同時受入、4社共同)
富士石油
東京ガス
東京電力
富士石油
143BD
192千BD
(袖ヶ浦市)
N
コスモ石油
コスモ石油
240千BD
240BD
東京湾
出光興産(石炭)
原油タンク
東京電力
原油タンク
東京電力
宇部興産
大陽日酸
JSR
電気化学
東レ
日本板硝子
チッソ石油化学
旭硝子
三井造船
※赤線は配管
(航空写真)
袖ヶ浦市
出光興産
出光興産
220BD
220千BD
住友化学
住友化学
380千トン/年
380千トン/年
(一部は袖ヶ浦市)
0
出光興産
374千トン/年
極東石油
極東石油工業
175BD
175千BD
三井化学
553千トン/年
古河電工
大日本インキ
市原市
丸善石油化学
480千トン/年
京葉エチレン
690千トン/年
3km
参考:石油連盟(2014年2月時点)、石油化学工業協会(2012年末時点)
2
(2)国内石油精製・石油化学産業における市原市
○市原市は石油化学の基礎製品であるエチレン生産能力の34%が集中する日本の産業の重要拠点。
○石油精製能力も全国の18%が集中。
(参考)日本の能力
石油精製設備能力
石油化学設備能力
JX日鉱日石
4,385千BD/日
7,210千トン/年
水島
380
三菱化学
431
旭化成ケミカルズ 443
東燃ゼネラル石油 156
大阪国際石油精製 115
コスモ石油
100
大阪石化
455
(三井化学)
石油
253
堺・泉北
石化
778
石油
380
石油
371
石化
874
石化
455
鹿島
千葉
石油
778
石化
2,477
周南
出光興産 120
石油
120
出光興産 623
石化
623
大分
JX日鉱日石 136
昭和電工 615
川崎
四日市
石油
136
石化
615
昭和四日市石油 255 石油
コスモ石油
155
東ソー
493 石化
参考:石油連盟(2014年2月時点)、石油化学工業協会(2012年末時点)
410
493
知多
石油
出光興産
石油
405
石化
895
160
160
鹿島石油 253
三菱化学 778
出光興産
コスモ石油
極東石油
富士石油
出光興産
丸善石化
京葉エチレン
三井化学
住友化学
220
240
175
143
374
480
690
553
380
東燃ゼネラル石油 335
東亜石油
70
東燃化学
491
JX日鉱日石
404
3
(3)市原市製造業における臨海部工業の占める割合
○市原市は製造品出荷額等4兆2,851億円で、全国市町村で2位。
○市原市の製造品出荷額等のうち、98%を臨海部が占める。
H24製造品出荷額等 市町村比較
市原市製造業における臨海部工業の割合
(兆円)
12.09
臨海部以外
製造品出荷額
等
4.29 4.27 4.18 4.14
3.52 3.46 3.39
2.87 2.72
市原市
横浜市
川崎市
倉敷市
大阪市
堺市
名古屋市
神戸市
1
2
3
4
5
6
7
8
9
大分市
豊田市
14
12
10
8
6
4
2
0
10
参考:平成24年工業統計調査
従業者
事業所数
2.4
臨海部
97.6
80.8
19.2
59.9
40.1
参考:市原市の工業
(平成24年工業統計調査 結果報告書)
4
(4)市原市における石油化学産業の動向について
○国内需要の縮小、中東や中国での供給能力拡大、シェールガス革命を背景とした米国での供給能力
拡大などを背景に、石油化学産業各社では、製品の高付加価値化を進めるのと併せて、国内需要に応
じた石油化学事業の再構築を進めている。
(以下の表は各社プレスリリースを参考に作成)
実施時期
企業
内容
平成22年12月
三井化学㈱
・エチレンオキサイドプラントの停止
・新規高付加価値製品プラントの新設
平成23年6月
日本ポリプロ㈱
・ポリプロピレン製造設備の停止
平成23年11月
㈱プライムポリマー
平成25年3月
㈱プライムポリマー
・委託先である生産合弁会社のポリエチレン
の生産能力の増強
・高密度ポリエチレン製造設備の1系列停止
平成25年6月
PSジャパン㈱
・市原工場の操業停止
平成25年6月
㈱プライムポリマー
・ポリプロピレン製造設備の1系列停止
平成25年8月
三井化学㈱
・低稼働領域で高効率となる改造を実施
平成26年9月
千葉フェノール㈱
・フェノールプラントの停止
平成26年末
京葉エチレン㈱
・京葉エチレンからの三井化学の離脱
平成26年末
㈱プライムポリマー
・直鎖状ポリエチレン製造設備停止
住友化学㈱
・エチレン製造設備の停止
※停止後は京葉エチレンから引取枠増加7
平成27年
5
2.市原市産業振興ビジョンについて
6
(1)市原市産業振興ビジョンの策定
市原市を取り巻く社会情勢の変化
〇長期化する不況により、市内商工業者等の事業環境が低迷
〇エチレンプラント縮小など、石油化学業界再編の動向が顕在化
など
平成25年度に、学識者・産業関係者、
行政関係者等をメンバーとして産業振興
ビジョン策定のための調査研究を実施。
【市原市産業振興ビジョン】(平成26年5月策定)
○概ね10年後の将来の目標像を見据えて施策を設定する。
○市原市の産業振興策を体系的・計画的に推進するため、
市産業の進むべき方向性や具体的な施策のあり方を示す。
ビジョンを実現化することで・・・
産業の活性化により、企業の売上増加、雇用促進、定住・交流人口の増
加等が期待できる。
7
(2)将来の目標像の設定
○市原市の産業振興の課題を踏まえて、3つの将来の目標像を設定。
○将来の目標像の1つを「臨海部工業と共に歩み続けるまち」として、臨海部に立地する企業が事業活動
しやすい環境を一段と整備する。
<3つの将来の目標像>
目標像① 臨海工業地帯と共に歩み続けるまち
目標像② まちのくらしを彩る地域産業が育つまち
目標像③ 農業・商業・工業・観光が連携して新しい産業(ビジネス)が生まれるまち
目標像①実現のための戦略
「臨海部工業の競争力の強化」
8
(3)臨海部工業の競争力強化
取組
施策
内容(★は新規施策)
緑地面積率の見直し★
立地環境の整備
各種の規制緩和
コンビナートの将来像の研究★
立地環境の改善
工業インフラの整備
設備投資への財政的支援
基盤整備への支援
工業用水道事業の改善
企業立地奨励金制度の見直し
国などの補助制度活用への支援
人材育成講座の拡充★
企業人材の育成
人材育成プログラムの拡充
関係機関との連携促進★
産業教育の振興★
操業しやすい
環境づくり
従業員の生活環境改善
行政窓口の
ワンストップサービス
地域貢献活動の支援
交通対策のなどの検討★
ワンストップサービスの実施
地域貢献活動の支援★
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(4)ビジョンの実現による効果
各施策を実現することで・・・
• 立地規制の緩和や設備投資への支援などによって、京葉臨海コンビナートの立地優位性が高まることで、企
業による設備投資が活発になり、事業の高付加価値化や企業間の連携が一段と進む。
立地環境の • 基盤整備の支援体制が構築されることで、企業が安心して操業を継続することができる。
改善
• 人材育成講座の拡充により、コンビナートの操業運転技術について、若手への継承や企業間での共有が進
み、コンビナートのより安全で安定的な操業が継続される。
企業人材の • 社会科見学などの産業教育が活発になることで、地域全体で京葉臨海コンビナートの重要性への認識が深ま
り、将来的な人材の確保や施策の実施などが円滑になる。
育成
• 従業員やその家族の生活環境を改善することで、市原市がより住みやすいまちとなる。その結果、市民、企業、
操業しやすい 行政の3者による連携が一層深まり、企業によるCSR活動などの機会が増加する。
環境づくり
京葉臨海コンビナート全体の強化に繫がる
10
3.コンビナートの防災について
11
(1)東日本大震災における市原市の状況
○市原市では、東日本大震災の際、石油コンビナート火災が発生した。(3月21日鎮火)
○火災の状況を踏まえ、近隣住民(約85,000人)への避難勧告を実施した。
○近隣住宅地への被害として、民家などのガラス破損、飛散物落下があった。
炎上時の火柱(県資料より)
上空からの撮影(県資料より)
市街地から撮影(市撮影)
人的被害
:負傷者6名(うち重傷者1名)
※全てコンビナート企業従業員
近隣住民への影響 :五井地区85,024人に避難勧告(8時間)
約1,000人が実際に避難
民家など118軒のガラスなど破損、飛散物落下
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(2)首都直下地震の想定における京葉臨海部
○コンビナートの被災としては、流出による湾内の汚染や浮遊物などに付着した油への着火、危険物質の
周辺の居住区への拡散の可能性がある。
○コンビナート港湾などにおいては、老朽化した民有の護岸などが崩壊し、土砂などの 流出により、航路
機能の制限や原料などの搬入出に支障が生じ、コンビナートの生産機能が停止することも想定される。
首都直下地震(M7クラス~)における想定
石油コンビナート地区の特定事業所における危険物製造所などの被害
(施設数)
対象施設数
火災
流出
破損など
約9,240
5未満
約60
約730
参考:内閣府「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」
臨海地区の従業者
約16,000人だけでなく、
地域住民、国内産業への
影響も大きい。
13
(3)他の自治体との連携によるコンビナート防災の取組
石油基地自治体協議会
構
成
・全国市長会における協議会の1つ。
・石油コンビナート等が所在する64市町で構成される。(H26.4.1時点)
目
的
・関係自治体における行財政上の施策等の充実強化の積極的推進
員
・会 長 : 市原市長
・副会長 : 苫小牧市長
山陽小野田市長
役
佐久間 隆義
岩倉 博文
白井 博文
最近の主な取組
石油基地自治体協議会
加盟団体災害時相互応援協定
概
要
東日本大震災後に、協議会の加盟団体間で締結
した相互防災協定。(H23.7.12締結)
内
容
・災害への対応に必要な物資の提供
・災害への対応に必要な人員の派遣
・負傷者等の医療機関への受け入れ
・被災者の一時的な受け入れ
・上記のほか特に要請のあった事項への応援
石油基地等対策に関する提言
概
要
内
容
石油基地関係施策の拡充のため、協議会より、
毎年、経済産業省、総務省などに向けて出され
る提言。
・石油貯蔵施設などの液状化対策
・大規模火災対策
・民有を含めた護岸整備への支援
・自家発電設備などの耐震・防潮対策
など
(本内容はH25.7.9提言)
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(4)東日本大震災後の市原市の取組
○市原市においては東日本大震災時に、既存の市の防災計画や防災マニュアルに基づいた行動ができ
なかったという反省があった。
○このことを踏まえ、市原市地域防災計画にコンビナートの事故災害対策を新設し、災害時の連絡体制の
強化を図るなど、関係機関が相互に連携し、迅速かつ適切な対応を取ることで、地域住民の安全と関連
産業の被害軽減に取り組んでいる。
市原市地域防災計画への項目新設
• 国・県の流れを踏まえ、市原市地域防災計画の「大規模事故編」に、コンビナートの事故災害対策について新設し、
石油コンビナート等特別防災区域における災害に伴う周辺地域の防災対策の推進を位置づけた。
• 策定過程においては、臨海部の主要企業と協議する場を設けて、地域防災計画についての考え方等について理解
いただいた。
危機管理監の導入
• 消防庁との連携や災害後の復旧復興について、国との連携強化などを図るため、総務省より職員を迎え、危機管理
監として配置した。
コンビナート事故災害時の連絡体制の強化
• 東日本大震災の際、臨海部企業から被災状況の入手等に難があったことから、県に要望し、石油コンビナート防災
相互通信用無線を導入し、臨海部の主要企業との通信を可能にした。
コンビナートの事故防止に向けた取組の強化
• コンビナートへの立入検査の強化や臨海部を対象にした事故事例の研修会などを開催している。
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(5)臨海部企業と地域との連携
○臨海部に立地する企業と市原市は、連絡会を通じて、日頃から相互に情報共有を図っているとともに、
各地区ごとに市担当部署と意見交換の機会を設けている。
○臨海部企業は、企画から運営まで地域住民と協働で実施する「臨海三大まつり」をはじめ、工場見学会
や市内小学校への理科出張授業、里山保全などの地域貢献活動など、地域と積極的に交流しており、
市原市も積極的に支援している。
五井臨海まつり
化学をテーマとした
理科出張授業
(写真:宇部興産)
(写真:旭硝子)
工場見学会の開催
(写真:住友化学)
市原市からも
オッサ君が参加
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- 国土強靭化に向けて① -
○京葉臨海部の開発から50年が経過し、老朽化した設備が多数生じている。東日本大震災の影響もあり、
設備の更新、基盤強化が必要である。
○市原市の臨海部を対象に実施したアンケート結果では、「老朽化設備の更新」「防災・安全対策」につい
て、行政の支援を希望する声が多い。
東京湾北部地震(Mw7.3)における
液状化危険度
京葉臨海部の
危険度は「高い」
(参考)千葉県石油コンビナート等防災計画(H26.3修正)
アンケート調査結果(H25)
(参考)市原市産業振興ビジョン
○基盤整備などのハード面
○コンビナート人材育成などのソフト面
⇒持続的な発展には両方が重要
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- 国土強靭化に向けて② -
国民の命、生活を守り、国際競争力向上に資する
コンビナートの防災に取り組むことは日本国として重要
部素材が安定的に供給
され、 国民生活や国内
生産の維持に繫がる。
災害が発生した際に、
コンビナートで働く従業員や
近隣住民の安全が守られる。
企業が継続して国内で活動
しやすい環境が整備され、
国内産業の国際競争力の
維持に繫がる。
耐震性を高めて再建された石油タンク(県資料より)
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どうぞよろしくお願い申し上げます。
(お問合せ先)
市原市
経済部
商工業振興課
工業振興係
〒290-8501
千葉県市原市国分寺台中央1-1-1
TEL:0436-23-9836
FAX:0436-22-6980
Email:[email protected]
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