力学7回

2014/5/30
11-12章の復習問題
力学7回
水平でなめらかな床の上に、一方の端が
固定されたばね定数kのばねが置かれて
いる。もう片側に小球を付けて振動させ
たところ、周期はT、最大速さはv0であっ
た。
x
(1) 物体の質量をm、任意の時刻(t)での小球の位置をxで表したとき、
小球の運動方程式を、m, x, k, tのうちから適切な記号を用いて書け。
ただし図に示すようにx軸を設定する。
ௗమ௫
=
ௗ௧ మ
[解] m
– kx
ௗమ௫
ここで、 = ௗ௧ మ とすると、 m = – kx と書いても良い
(2) 小球の位置が最大(最大振幅)のときの値をx0で表すものとする。小
球が最大速さのときの力学的エネルギーと、最大振幅のときの力学的エ
ネルギーをそれぞれ表わせ。ただし弾性エネルギーの基準点を、ばねが
自然長のときの小球の位置(x=0)とする。
[解] 最大速さのとき、小球は基準点の位置にあるので、
ଵ
ଶ
ଵ
ଶ
力学的エネルギー = mv02 +0= mv02
最大振幅の時、小球の運動エネルギーは0であるから、
ଵ
ଶ
力学的エネルギー = 0 + kx02 =
ଵ
ଶ
kx02
(3) 小球の最大振幅の値(x0)を求めよ。ただし、v0とTを用いて表すこと(k
は使わない)。
[解] 小球にはばね以外に働く力は重力だけがあるが、これは運動
とは垂直の方向に作用するため、運動には影響しない。
そこで、力学的エネルギー 保存則から、
ଵ
ଶ
mv02 =
ଵ
ଶ
kx02
が成り立つ。これにより、x0= v0
௠
௞
ここで、小球は振動運動をし、その角振動数ω =
こと、またω=2π/T から、
௠
௞
=
்
2π
より、x0= v0
்
ଶగ
௞
௠
で表される
2014/5/30
2. 日本最大の発電量を誇る東京電力神流川発電所の最大水量は毎
秒510トン、有効落差は653mである。この発電所の最大発電量を次の
ステップにより求めよ。ただし、力学的エネルギーの発電への発電効
率は87%とし、重力加速度の大きさをg=9.8m/s2とする。
(1) 毎秒の水量をSI単位系で表わせ。
[解] 最大水量が毎秒510トンであるから、
510×103 = 5.10×105 kg/s
13-14章の問題
1. 同一直線上を進む2つの小球が衝突するとき、衝突前の2球の質量
や速度がわかっていても、衝突後のそれぞれの速度を運動量保存則だ
けから求めることはできない。
なぜなら、2球の間の反発係数の値によって、衝突後の速度が異なる
反発係数 e =衝突後に遠ざかる速さ =
衝突前に近づく速さ
衝突後の相対速度
衝突前の相対速度
ここで、 0≦ e ≦ 1 という値をとる。(次の問題(2)で示されるように)
弾性衝突ならば e = 1である。
(2)水力発電の原理は、大量の水が持っていた位置エネルギーを落下
させることで運動エネルギーに変換し、その運動によってタービンをま
わし電気エネルギーに変換する。ここで、運動エネルギーが電気エネ
ルギーに変換される割合を発電効率という。このことから最大発電量を
求めよ(単位も明記すること)。
[解] 毎秒の水量をm (前問から5.10×105)[kg/s]、落差をh(=653m)で
表す。毎秒の力学的エネルギーは mgh = 3.26×109 J/s
これに発電効率0.87をかけて(毎秒あたりの)最大発電量が求めら
れる:
2.836×109 W(=J/s)
有効数字2桁により、 2.8×109 W
(1) なめらかな水平面上にある直線の上を反対の向きに進む小球A(質量
0.05kg, 速さ3.0m/s)と、小球B(質量0.10kg、速さ5.0 m/s)がある。これらが衝突し
た後の速度をそれぞれ求めよ。ただし、2球の間の反発係数を0.80とする。
(ヒント: 力学的エネルギー保存則は成立しないが、運動量保存則は成立する)
[解] Aの初めの速度の向きを正の向きとする。また衝突直後の小球A,Bの速
度をそれぞれv1, v2とする。
運動量保存則より、 0.05×3.0+0.10×(−5.0)= 0.05v1 + 0.10v2
反発係数の式より
ି(v1ିv2)
ଷ.଴ି ିହ.଴
= 0.80
これらから、 v1 = −6.6 m/s v2 = -0.2 m/s
0.05v1 + 0.10v2= −0.35
⇒ v1 + 2v2= −7.0
−v1 + v2= 6.4
ゆえにAは速さ6.6 m/sで初めとは逆向き、Bは速さ0.2 m/sで、最初と同じ
向き
講義中にv1=3.0 m/sと言ったが慎んで訂正する。さらに間違いを重ねたことをお詫びする
2014/5/30
2物体がなめらかな平面を運動し、一直線上で弾性衝突するとき、力学
的エネルギーが保存される。このとき、反発係数が1であることを示せ
[解] 2物体の質量をそれぞれm1, m2、衝突前の速度をv1, v2、衝突後の速度を
v’1,v’2とする。
力学的エネルギーが保存されるので、
ଵ
mv2
ଶ 1 1
ଵ
ଶ
ଵ
ଶ
ଵ
ଶ
+ m2v22 = m1v’12 + m2v’22
これから、
m1(v12 -v’12) = m2(v22 -v’22)
∴ m1(v1 -v’1)(v1 +v’1) = m2(v2 -v’2) (v2 +v’2) --- (a)
運動量保存則から m1v1 +m2v2 =m1v’1 + m2v’2
これから m1(v1 -v’1) = m2(v2 -v’2) --- (b)
1) v1 =v’1ならば、(b)からv2 =v’2となるので、
v1 -v2 = - (v’1 - v’2)
2) v1 ≠v’1ならば、(a)を(b)で割ると v1 +v’1 = v2 +v’2
よって、 v1 -v2 = - (v’1 - v’2)
2. 30 m/s の速さで水平方向から飛んできた質量 150gの
ボールをバットで一撃すると、ボールは40 m/sの速さで鉛直
上方に飛んでいった。
(1) バットがボールに与えた力の力積の方向と大きさを求め
よ。
40 m/s
30 m/s
[解] 運動量原理(13.2節)「運動量の変化量は、その間にはたらいた力の力
積に等しい」を使う。まず運動量の変化量を求める:
p2― p1
一撃する前のボールの運動量p1: 0.15×30 = 4.5 kg・m/s
p2
その後の運動量p2 : 0.15×40 = 6.0 kg・m/s
θ
これらは、右図に示す関係にあるベクトルなので、
p1
}∴e = 1
(2) ボールとバットの接触時間を 1.0×10-2 sとしたとき、ボールに与えた
平均の力の大きさを求めよ。
[解] 前問から、力積の大きさ0.15×10 32 + 42 =7.5 kg・m/s
また、接触時間が1.0×10-2 sであるから、
平均の力の大きさは
力積の大きさ/接触時間= 7.5×102 N
である
その差 p2 – p1 は、大きさ0.15×10 32 + 42 =7.5 kg・m/sで、ボールが飛んでき
た方向と逆向きで上向きの角θをなすベクトル(tan θ = 4/3)である。そしてこれ
が力積の大きさと方向である。