日立 32-m 電波望遠鏡を用いた大質量原始星周囲における 大

日立 32-m 電波望遠鏡を用いた大質量原始星周囲における
大規模な周期強度変動探査
杉山 孝一郎 1, 米倉 覚則 1, 元木 業人 2, 齋藤 悠 1, 藤沢 健太 2, 石井 翔太 1, 百瀬 宗武 1,
本間 希樹 3, 田崎 文得 3, 田中 圭 4, 細川 隆史 5, 内山 瑞穂 5, and 稲吉 恒平 6
1: 茨城大学 , 2: 山口大学 , 3: 国立天文台 , 4: フロリダ大学 , 5: 東京大学 , 6: コロンビア大学
◆ モチベーション
R (Rsun)
・ メタノールメーザーに見られる周期的な強度変動の要因は?
・ 大質量星形成過程における原始星の脈動不安定現象はあり得る?
◆ 周期的な強度変動現象 1)-6)
100
10
YSO
・ 原始星の半径最大時に、 大降着率下で成長 : > 10-3 Msun yr-1
・ 周期 : 数 10- 数 100 日
・ Period-Luminosity (P-L) relation を予言
・ 原始星の物理パラメータ ( 質量 , 半径 , 星表面の降着率 ) と直接相関
◆ ターゲット天体
・ Dec > -30 deg な 384 天体 ( 過去のカタログ 8)-13) から選出 )
0
24
26
LSR Velocity [km s-1]
28
30
20
Luminosity [104 Lsun]
500
MJD [day]
MJD [day]
3
4
[Jy]
~120 days
0.02
0.04
0.06
Frequency (cycles/day)
0.08
0.1
20
0
45
50
55
60
LSR Velocity [km s-1]
65
-10
70
1
2
3
~55 days
4
[Jy]
-5
0
LSR Velocity [km s-1]
5
1
10
[Jy]
100
~120 days
Fig. 4. 本モニターにより新検出された周期変動天体 . [ 上 ] メタノールメーザースペクトル ( 実線 : 最大時 , 破線 : 最小時 ). [ 下 ] ダイナ
ミックスペクトル . 横軸 , 縦軸はそれぞれ視線速度 , 修正ユリウス日に相当 . カラーは 個別のスペクトル成分毎のフラックス密度を示して
いる . なお、 各プロットの下部には、推定される周期日数を記述している .
◆ 経過状況
6X10-3
10
◎ 周期解析 (Fig. 5, 左 )
3X10-3
・ “圧縮センシング” を用いた
周期解析を目下試験中
・ 通常の 0 padding による FFT
よりも高精度な周期解析を実現
1X10-3
1
P
L∝
0.1
8
0.9
0.2
0
0
40
56700
2
60
56600
1
80
56500
400
30
2013/231 (MJD 56523.7)
2013/249 (MJD 56541.6)
56400
300
25
LSR Velocity [km s-1]
日立 32-m
2012/12 - 2014/01
9-10 days/source
~5 arcmin
6664-6672 MHz
LHCP
0.044 km s-1
5 min/source
~0.9 Jy
56300
MJD [day]
15
56700
Flux (Jy)
10
56600
200
MJD − 56250 (day)
Frequency: ~0.019 cycles/day
Period
: ~53 days
CS
0
-1
56500
~170 days
1
56400
[Jy]
2
56300
1
0.4
2
3
0
56700
2
100
1
4
-1
100
3
0
0
1
56600
G 036.70+00.09
2
56500
56700
4
3
56400
56600
5
4
56300
56500
新検出 : 周期4天体!
☞ 既存 2 天体を含め
検出率 : ~1.5% ( 下限値 )
1000
G 075.76+00.34
100
2013/193 (MJD 56485.7)
2013/220 (MJD 56512.7)
5
MJD [day]
1
56400
4) 1 成分以上で 3 回以上の周期
的な変動が見られた天体を
“ 周期天体” と認定
100
~10000 au (~0.1 pc)
NRO, Mopra, ASTE, etc ...
G 036.70+00.09
6
2013/078 (MJD 56370.0)
2013/003 (MJD 56295.3)
5
Flux density [Jy]
Flux density [Jy]
Flux density [Jy]
2
56300
3) 個別成分毎にピークフラック
ス密度の変動プロットを作成
G 028.02-00.44
6
3
22
Period [day]
envelope
Flux density [Jy]
G 014.23-00.50
2013/005 (MJD 56297.0)
2013/038 (MJD 56330.9)
20
10
Tab. 1. 観測パラメータ
・ これまでは、 母数 ~900 天体に対し、 わずか ~60 天体のみ
・ 周期変動サンプルの劇的な増加が必要
-1
1
電波望遠鏡
期間 (on going)
頻度 .
ビームサイズ
周波数
偏波
チャネル分解能
積分時間
検出感度 (3σ)
◆ 単一鏡による長期的なモニタープロジェクト
2) 周期変動の兆候が見られる天
体を選出
8
0.9
Fig. 2. 大質量星形成現場における空間スケールと観測装置との関係概念図 .
・ 周期的な強度変動は脈度不安定現象に起因しているか?
・ P-L relation の観測面からの確立
1) 周波数方向への積分強度変動
プロットを作成
P
L∝
0.1
gas, dust disk
◆ 目的
4
1X10-3
1
< 0.1 au
~10-1000 au
P-L relation? VLBI, VLTI, ALMA, SMA, etc ...
Sub-au スケールの原始星表面におけるガス降着率を
間接的に計測する唯一の方法になり得る!?
◇ データ解析
3X10-3
Fig. 1. [ 左 ] 様々な降着率下での原始星進化における脈動不安定モデル (Inayoshi+ 13:
丸 - 安定 , 星 - 不安定 ). [ 右 ] P-L relation ( 四角 - 周期変動を示すメタノールメーザー ).
◆ 大質量原始星の脈動不安定現象 7) (Fig. 1)
Fig. 3. 日立 & 高萩 32-m 電波望遠鏡
( 茨城大学 宇宙科学教育研究センター HP から引用 )
6X10-3
10
0.01
100
M (Msun)
共通の天体 ( 周辺 ) における大局的な変動現象に起因??
☞
100
6e-3
3e-3
1e-3
1e-4
10
・ 大質量星周辺においてはメタノールメーザーのみで見られる現象
・ これまでに、 メタノール 12 天体で検出 ( 周期 : 30-668 days)
・ 同天体のほぼ全てのスペクトル成分において周期変動が同期
☞
accretion rate
Luminosity [104 Lsun]
1000
0.01
1
10
100
Period [day]
1000
Fig. 5. [ 左 ] 圧縮センシングを用いた暫定的な周期解析結果 . [ 右 ] 新検出天体を加えた P-L relation の最新版 .
赤色の四角印が今回の新検出天体に相当 . なお、 G 028.02-00.44 には IRAS 点源が未付随であったため未使用 .
◎ P-L relation を随時改訂中
・ 従来の P-L relation と矛盾なさそう
・ より多くの周期変動天体を求む
Reference
1) Goedhart et al. 2003, MNRAS, 339, L33
2) Goedhart et al. 2004, MNRAS, 355, 553
3) Goedhart et al. 2009, MNRAS, 398, 995
4) Araya et al. 2010, ApJ, 717, L133
5) Szymczak et al. 2011, A&A, 531, L3
6) Fujisawa et al. 2014, PASJ, tmp, 67
7) Inayoshi et al. 2013, ApJ, 769, L20
8) Pestalozzi et al. 2005, A&A, 432, 737
9) Xu et al. 2009, A&A, 507, 1117
10) Caswell et al. 2010, MNRAS, 404, 1029
11) Green et al. 2010, MNRAS, 409, 913
12) Pandian et al. 2011, ApJ, 730, 55
13) Green et al. 2012, MNRAS, 425, 1504