解説 - H.Yagyu Web

高3数 γ
No. 2
整数部分・格子点等(2)
(理系問題演習/柳生)
2014/5/12
(平成9年京大)
問4
a, m は自然数で a は定数とする.xy 平面上の点 (a, m) を頂点とし,原点と (2a, 0) を通る放物
線を考える.この放物線と x 軸で囲まれた部分の面積を Sm ,この領域の内部および境界上にある格子
点の数を Lm とする.
Lm
を求めよ.
m→∞ Sm
(解) 問題の放物線を C : y = f (x) とすると,
m
m
2m
f (x) = − 2 (x − a)2 + m = − 2 x2 +
x
a
a
a
よって
#
" #
! 2a "
m 2 2m
m
1
4am
Sm =
− 2x +
x dx = − 2 −
(2a)3 =
a
a
a
6
3
0
このとき,極限値 lim
また,直線 x = k (k = 0, 1, · · · , 2a) 上の求めたい格子点の個数を lk とおくと,Lm =
.y
ここで f (k) ! lk ! f (k) + 1 が成り立つので,
2a
$
f (k) ! Lm !
k=0
ゆえに
2a
$
.(a, m)
2a
$
lk
k=0
.f (k)
f (k) + (2a + 1)
k=0
.lk 個
2a
2a
3 $
Lm
3 $
3(2a + 1)
f (k) !
!
f (k) +
···"
1
4am k=0
Sm 4am k=0
4am
が成り立つ.
.lk
.O .
.2a
.x
.x = k
ここで
#
2a
2a "
3 $
3 $
m 2 2m
f (k) =
− 2k +
k
4am k=0
4am k=0
a
a
3 (2a)(2a + 1)(4a + 1)
3 (2a)(2a + 1)
·
+ 2·
3
4a
6
2a
2
2
(2a + 1)
4a − 1
=
{−(4a
+
1)
+
6a}
=
4a2
4a2
4a2 − 1
よって "
の最左辺,最右辺は
m
→
∞
のときともに
に収束する.
1
4a2
=−
Lm 4a2 − 1
1
=
=1− 2
2
m→∞ Sm
4a
4a
よって,はさみうちの原理より, lim
(解説)
関数 y = f (x) のグラフ内の格子点の個数を,x = k (k ∈ Z) で切って f (k) を使って上と下からはさん
だ不等式を作って評価するのは典型手法である.しっかり身につけて欲しい.
なお,市販の参考書の中には「極限をとったときの領域内の格子点の個数 ≈ 領域の面積(体積)が成
り立つ」などと書いてあるものがあるが,本問を解いて分かる通り,それは必ずしも正しいわけではな
いので注意してください.
(平成15年京大)
問5
n を自然数とする.原点を中心とする半径 n の円の,内部と周をあわせたものを Cn で表す.次
の条件(*)を満たす 1 辺の長さが 1 の正方形の個数を N (n) とする.
(*)正方形の4頂点はすべて Cn に含まれ,4頂点の x および y 座標はすべて整数
N (n)
このとき, lim
= π を証明せよ.
n→∞ n2
(解) 条件(*)を満たす単位正方形は第1象限から第4象限までに対称的に等しく存在するから,領
域 x ! 0, y ! 0 内の正方形をまず数える.
n
N (n) ! √ 2
[ x ] で x を越えない最大の整数を表すことにすると,
=
[ n − k 2 ] が成り立つ.
4
k=1
ここで
√
√
√
.y
n2 − k 2 − 1 " [ n2 − k 2 ] " n2 − k 2
が成り立つから,
n
n
n
!
!
√
√
N (n) ! √ 2
2
2
2
2
( n − k − 1) "
[ n −k ]=
"
n − k2
4
k=1
k=1
よって
n
!
√
( n2 − k 2 − 1)
4
k=1
n2
"
.y =
√
n 2 − x2
k=1
N (n)
"4
n2
n
!
√
k=1
n2 − k 2
n2
すなわち
" n √
#
" n √
#
! n2 − k 2
! n2 − k 2
4 N (n)
4
− " 2 "4
···#
1
n2
n
n
n2
k=1
.
.1
.n − 1 .n
.x
k=1
が成り立つ.
ここで
n √ 2
!
n − k2
k=1
n2
$
n
!
1
% &2
' 1√
k
π
=
1−
−→(n→∞)
1 − x2 dx = (4分円の面積)
n
n
4
0
k=1
π
であるから,n → ∞ のとき,#
1 の最左辺と最右辺はともに 4 · = π に収束する.
4
N (n)
= π である.
(証明終)
n→∞ n2
よって,はさみうちの原理より, lim
(別解) n は十分に大きいものとする.
このとき,条件(*)を満たす 1 辺の長さが 1 の正方形の個数は,そのような正方形を合わせた領域の
面積に等しいので, N (n) " πn2 が成り立つ.
√
また,原点を中心とする半径 n − 2 の円上の任意の点は,条件(*)を満たす少なくとも 1 つの正方
√
形に含まれるので, π(n − 2)2 " N (n) が成り立つ.
√
(n − 2)2 N (n)
よって,不等式 π
" 2 " π が成り立ち,
n2
n
√ 2
(n − 2)
N (n)
lim π
=
π
なので,はさみうちの原理より
lim
= π が成り立つ.
(証明終)
n→∞
n→∞ n2
n2