マイクロバブルによる 食品加工場排水の浄化 八戸工業大学 工学部 バイオ環境工学科 准教授 髙橋 晋 1.諸言 水産加工場の廃水 排出量:原料1tonあたり15~25m3 成分 ・ タンパク質を主とする溶解性・コロイド性有機物質 ・ 脂肪等の油分 ・ 魚肉片や内臓等の浮遊物質(SS) 変質や腐敗が起こりやすく 悪臭の原因となっている 一般的な廃水処理 汚濁成分が 激しく変動 一次処理 油分・SSの 浮上分離 二次処理 増加 微生物による 有機物分解 三次処理 増加 余剰汚泥 余剰汚泥 増大 処理 問題点 ・ ある工場では廃水処理量50ton/dayの装置で 12ton/dayの処理能力しか発揮していない ・ 余剰汚泥等の廃棄物処理にかかるコストの増大 マイクロバブル(MB)の特性 + ++ + + + - + + SSの吸着 - - + 疎水性物質の 集積 本研究の目的 一次処理水の水質安定化 廃水中にMBを発生 MBの特性 ・ SSの吸着 ・ 疎水性物質の集積 有機物質や油分を浮上分離 2.実験方法 実験装置 ● アクリル円筒容器 ・直径:280mm ・高さ :2m ・最大容量 :120L ● 旋回流式マイクロバブル 発生器(MBG) 実験方法 ● 流量:20L/min ● 試験時間 Sample A:60min Sample B:90min ● MBGに外部から空気を供給 Air compressor Fig.1 MB Test Device 使用した廃水 Sample A ・〆サバの身屑と動物性油分が 混合している漬け込み液 ・塩分濃度 6~8 %程度の塩水 Sample B ・多様な魚の身屑や内蔵、血が 多く混在している総合廃水 ・塩分濃度3~4%程度の 海水由来の塩水 廃水に対し有機酸を添加 Fig.2 Wastewater 水質分析 ・ ・ ・ ・ 浮遊物質(SS) ノルマルヘキサン抽出物(n-Hex) COD BOD →ガラス濾紙(ADVANTEC GA-100)で濾過後 JIS規格の試験法 3.結果 before after before after Sample A Sample B (60min) (90min) Fig.3 Aspect of wastewater for Sample A,B 分析結果 Table 1 Result of micro bubble treatment of wastewater (Sample A,B) Sample A Before After Before After 6.1 3.7 6.2 3.7 Effluent standard value 5.0~9.0 200 10 650 30 200 n-Hexane [mg/L] 53 <1 100 <1 30 COD [mg/L] 160 120 200 140 160 BOD Non filtration 1700 2400 1800 2400 1600 2400 1400 2400 pH SS [-] [mg/L] [mg/L] ・ ・ ・ ・ Sample B filtration SS:95%以上減少 n-Hex:1mg/L未満まで減少 COD:両サンプル基準値以下まで減少 BOD →MB処理後:増加 →濾過後:処理前は減少,処理後は変化なし 160 タンパク質の酸変性 - + - - + - + + + + + 中性域のタンパク質 + + + + + 酸性域のタンパク質 酸変性後のタンパク質 表面の電荷が +に偏る 静電気的反発により 構造が崩れ 疎水基が現れる + - + MB MB + + + - + + + + - - + MB BOD の考察 Sample A Sample B Before After Before After BOD Non filtration 1700 2400 1800 2400 1600 2400 1400 2400 COD 160 120 200 140 [mg/L] filtration [mg/L] MB処理前の濾過後は減少 BOD の成分は ほぼ水溶性有機物質 COD の成分は 還元性無機物 Effluent standard value 160 160 SampleA,BのMB処理後 A,B共に2400mg/L 有機酸定量 水酸化ナトリウムによる中和滴定 有機酸酸化反応による酸素消費量 添加した有機酸量と一致 元々存在した水溶性有機物質は 完全に除去できた 4.結言 SSと油分(n-Hex)を浮上分離し,廃水の透明度を高められた ※特に油分は含有量によらずほぼ全量分離が可能 一次処理 二次処理 三次処理 油分・SSの 浮上分離 微生物による 有機物質分解 余剰汚泥 処理 一次処理としてMB処理法を利用することで 二次処理の負担が軽減 本結果を得るためには MBGの内部構造,MBG内部圧力,外部空気供給量 etc… 装置運転条件の設定が重要 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 • 出願番号 • 出願人 • 発明者 :タンパク質含有廃水処理方法, 廃水浄化方法および廃水処理システム :特願2013-133229 :八戸工業大学 :高橋 晋、舘花 志穂 14 お問い合わせ先 八戸工業大学 社会連携学術推進室 TEL 0178-25-8005,8102 FAX 0178-25-1995 e-mail kaikaku@hi-tech.ac.jp 15 Sample A Sample B
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