Nanotech リーフレット /「カーボン」A4_4P(表 1- 表 4) No.27_ グラフェン透明導電フィルムと高熱伝導性多層グラフェン放熱材の研究開発 優れた特性を有する素材“グラフェン”の持つ多用な 可能性を一歩ずつ実用化のステージへ 今後の展望 グラフェンは、原子層レベルの究極の薄さにも拘わらず、高い導電性と熱伝導性に加え、機械的強度にも優れた稀有な 素材です。 本プロジェクトでは、 この素材を工業的に利用するため、高品質な材料の製造技術とその利用技術について開発を進 めています。 タッチパネルなどの透明導電フィルムや電子デバイス用の放熱材として、私たちの暮らしの中で利用することを目指 しています。 PROJECT 27 フレキシブルで身の回りに驚きを、 NEDOが拓くくらしのたのしみ グラフェン-透明導電フィルムと 放熱材 プロジェクト名称 グラフェン透明導電フィルムと高熱伝導性多層グラフェン放熱材の 研究開発 グラフェンの特徴である高い透明性と電気・ 熱伝導性を活かしたフレキシブル部材を開発 プ ロ ジェクト の 目 的 炭素原子1個分の厚さのグラフェンは、可視から赤外までの波長の光に対する透明性と高い電気および熱伝導性を示 すなどの優れた特性があり、 ITO (インジウム・スズ酸化物) に代わる透明導電膜材料をはじめ、多様な可能性を有する 素材として注目されています。 このプロジェクトでは、 グラフェンの産業応用への可能性を追求するために、その特徴を活かしたグラフェン層が数層 (厚さナノメートル程度)からなる透明導電フィルムとミクロン程度の厚さを有する放熱材で、いずれもフレキシブル 性を有する工業材料への適用を目指しています。 G raphene プロジェクト参加機関 技術研究組合単層CNT融合新材料研究開発機構 グラフェン事業部 (グラフェンの構造を示す拡大イメージ図) 問い合わせ先 (独) 新エネルギー・産業技術総合開発機構 電子・材料・ナノテクノロジー部 TEL:044−520−5220 Nanotech リーフレット /「カーボン」A4_4P(2-3) No.27_ グラフェン透明導電フィルムと高熱伝導性多層グラフェン放熱材の研究開発 プロジェクト初年度で、 透明導電フィルムは透過率93%、シート抵抗 500Ω/sq 放熱材は熱伝導度1,900W/mKを達成 現在のグラファイトシートを薄膜化し、 2μmの多層 グラフェンにすることで、熱伝導性が飛躍的に向上 技術内容 成果の概要 ■グラフェン透明導電フィルム 高品質化技術の開発 プラズマCVDの最適化をはじめとした関連技術の開発により、 グラフェンのみの透過率が93%以上、 シート抵抗が 500Ω/sq以下を達成し、現在、更なる性能向上に取り組んでいます。 厚さ:2.1 μm、面積:5cm×5cm 電気伝導:≧24,000 S/cm 熱伝導度:≧1,900 W/mK ■放熱材 2.1μmの厚さの試料で、熱伝導率が1,900W/mKを超える値を得ました。 放熱材以外の用途でサンプル提供の依頼があり、想定している用途以外での可能性があることが判りました。 高品質グラフェン膜を使用した透明導電フィルム 厚さ制御技術の開発 技術内容 り、特性がHOPGに相当するレベルになる ことを実証しました。 ・プラズマCVD成膜中の不純物混入の抑制 2 . 1μm の 厚 さ の 試 料 で 、熱 伝 導 率 が ・CVD装置に供給するガス種とガス比の最適化 1,900W/mKを超える値が得られていま ・銅箔基材表面の高度化 す。 ・精密な層数制御技術の開発 ・結晶サイズ・汚染元素と導電性の関係の把握 また、出発原料を特殊な高分子膜として、成 ・有効なドーパントの探索 膜条件を特定することにより、垂直方向に ・レーザーによる層数制御およびアニール技術 配向制御技術の開発 ・高品質グラフェンフレークの調製 ・上記フレークを用いた複合化による導電率の回復 (2011年度) など、関連する要素技術の開発に取り組みました。 これらにより、 グラフェン膜の層数を制御して、 グラフェンのみの透過率が93%以上で、 シート抵抗が500Ω/sq以下の 性能を実現しました。 更に、銅箔を加熱しながらプラズマ処理を施すことによって、銅箔に微量に含有されている炭素が原料となって、 これまで のCVDと比べて遥かに高品質のグラフェン膜を短時間に合成できることを見い出しました。 現在、 この膜をベースに各種の要素技術を高度化しながら、 グラフェン膜の一層の高性能化に取り組んでいます。 で焼成することによって得られます。 その厚さを2μm程度まで薄くすることによ 2011年度のプロジェクト成果をベースに、 ・転写手法の深耕および最適な接着剤の選定 多層グラフェンは、薄膜のポリイミドを高温 配向したグラフェン膜が得られることが判 りました。 これらを組み合わせることにより、必要な方 70-80 nm 向への放熱を制御することが可能になると 考えています。
© Copyright 2024