Title Author(s) Synthesis of W-based Complex Metal Oxide Catalysts and Transformation of Glycerol [an abstract of dissertation and a summary of dissertation review] 小俣, 香織 Citation Issue Date 2014-03-25 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/55734 Right Type theses (doctoral - abstract and summary of review) Additional Information There are other files related to this item in HUSCAP. Check the above URL. File Information Kaori_Omata_abstract.pdf (論文内容の要旨) Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP 学 位 論 文 内 容 の 要 旨 博士の専攻分野の名称 博士(工学) 氏名 小 俣 香 織 学 位 論 文 題 名 Synthesis of W-based Complex Metal Oxide Catalysts and Transformation of Glycerol (タングステン複合酸化物触媒の合成とグリセロール転換反応) 燃料や化成品の原料として用いられる石油は我々の生活にとって欠かすことのできない資源であるが、燃焼によ る大気汚染物質や温室効果ガスの排出、価格変動、可採年数等の多くの問題をはらんでおり、近年では、石油代替 資源としてバイオ資源を利用する動きが活発化している。このような背景から、バイオディーゼルの製造時に連産 するグリセロールを転換し、化学原料を得る試みが高い注目を集めている。その一つに、現在主に石油由来のプロ ピレンの酸化により製造されているアクロレインやアクリル酸を、グリセロールの脱水により得るプロセスがあ り、有効な触媒の開発が望まれている。 本研究では、W と 5 族元素、特に Nb との複合酸化物に着目し、その合成および解析ならびに構造と触媒機能の 関連について検討を行った。また、触媒機能の制御方法としての水熱合成法の有効性の評価と、グリセロールから のアクロレインまたはアクリル酸合成用触媒の設計指針について検討を行った。 第一章では、この研究の背景と位置づけ、および本論文の構成について記述した。 第二章では、W 複合酸化物の合成について検討した。水熱合成法を用いることにより、構成金属を中心とする 酸素八面体が c 軸方向に積層した W-Nb-O が得られることが分かった。また、いくつかの結晶性複合酸化物との比 較により、W-Nb-O は斜方晶構造を有する Cs0.5[Nb2.5W2.5O14]と共通のユニットを有することが示唆された。 第三章では、水熱合成法により調製した W-Nb-O 触媒のグリセロール転換反応への応用と、構造が選択性に与え る影響について検討した。W-Nb-O の反応成績は、WO3/ZrO2 や H-ZSM-5 よりも高く、含浸法による WO3/Nb2O5 を大きく上回ったことから、W-Nb-O が本反応に対して有効な触媒であることが示された。また、c 軸方向に同様 の構造を持つ Cs0.5[Nb2.5W2.5O14]、W-Nb-O および Nb8W9O47 の選択性を比較したところ、水熱合成法で調製した W-Nb-O の選択性は Cs0.5[Nb2.5W2.5O14]と類似していたが Nb8W9O47 とは異なり、a-b 面の構造が選択性に影響を与え ることを明らかにした。 第四章では、W-Nb-O 触媒上でのグリセロール転換反応の反応経路および共存ガスの影響について検討を行っ た。接触時間依存性の調査により、グリセロールの分子間脱水により生じたエーテルまたは不飽和アルデヒドの重 合体が逐次的にアクロレインに転化することが示唆された。また、反応中に共存する水は、触媒のブレンステッド 酸量を増加させ、アクロレイン選択性の向上に寄与することが示された。一方、酸素の導入はアクロレイン選択性 に影響を与えずに、触媒の劣化速度を低下させることが明らかになった。 第五章では、グリセロールからのアクリル酸一段階合成用触媒の開発を目的として、W-Nb-O への V の添加を行 った。W-Nb-O の酸点で生じたアクロレインは V 上で酸化され、グリセロールから一段階でアクリル酸が生成する ことを見出した。水熱合成時に添加することで、V は W-Nb-O 骨格内に導入され、W-Nb-O の酸量を維持したまま、 アクロレインの選択酸化に対して有効な V 種が得られることを明らかにした。また、構成元素が活性と選択性に 与える影響について検討した。V はアクロレインの酸化によるアクリル酸合成の活性成分であり、W の複合化は V4+を安定化させ、アクリル酸選択性を向上させることが分かった。また、触媒への Nb はグリセロールの脱水に 必要な酸量を増加させた。 第六章では、W-Nb-O および W-V-Nb-O へのリン酸の添加を試みた。リン酸の添加は、W-Nb-O の酸量、および ブレンステッド酸の割合を増加させ、グリセロール転換反応でのアクロレイン収率を向上させることが示された。 また、W-V-Nb-O へのリン酸の添加は、酸量、ブレンステッド酸性に加え、アクロレイン酸化反応に対するアクリ ル酸の選択性も向上させた。リン酸添加 W-V-Nb-O を、グリセロール転換反応に用いたところ、一段階で 59.2%の アクリル酸収率が得られた。 第七章では、本論文の内容を総括した。
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