高性能アルミ電解コンデンサを実現する 環状構造含有新規二塩基酸の開発

高性能アルミ電解コンデンサを実現する
環状構造含有新規二塩基酸の開発
三重大学大学院
工学研究科 分子素材工学専攻
教授 清水 真
三重大学大学院 工学研究科 分子素材工学専攻
助教 溝田 功
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研究室紹介
三重大学大学院 工学研究科
有機精密化学研究室
教授 清水 真 准教授 八谷 巌 助教 溝田 功 秘書1名
D3 2名 D1 1名 M2 6名 M1 7名 B4 9名 計29名
主な研究内容
・ワンポット多段階反応
・位置選択的反応
・ジアステレオ選択的反応
・生理活性化合物・天然物の合成
極性転換反応
不飽和イミンへの二重求核付加
四ヨウ化チタン
アルキニルイミン
生理活性化合物・天然物への全合成
2
イミンの極性転換を鍵とするワンポット多段階反応
Nu
b
R3
M
N
OR
1
R
N
Metal-Nu
2
OR
R1
path a
a
O
c
R3
O
2
R3
Nu
N
Metal-Nu
path b
OR2
R1
OM
1
N-Addition
1,2-Imine Addition
path c
Metal-Nu
R3
N
OR2
R1
Nu
NR
3
CO2R2
R1
Nu1
1) Nu1
2) Oxidation
N
1
OM
R3
R1 NNu1R3
CO2R2
Nu2
-
Nu1
N
Bn
Nu1
OTBS
BnO
1 3
R1 NNu R
CO2Et
R2O2C
OBn
3) Mannich Reaction
OEt
N
R3
X-
CO2R2
R1
2
R3
R1
Nu
2
1) Ene Reaction
Bn
X
1,2-Carbonyl Addition
CO2R2
R1
総説・解説
Pure Appl. Chem., 84, 2609 (2012).
有機合成化学協会誌、69, 1134 (2011).
Chem. Commun., 2008, 874 (Feature Article).
Pure Appl. Chem., 78, 1867 (2006).
CO2R2
2
2) Friedel-Crafts Reaction
OMe
MeO R1 NNu1R3
MeO
OMe
CO2R2
MeO
OMe
1)
N
Me
OTMS
OEt
2)
BF3•OEt2
4) Tandem Addition
R2O2C
R1 CO2Et
N
Me
Tetrahedron Lett., 42, 2829 (2001).
Tetrahedron Lett., 42, 5473 (2001).
Bull. Chem. Soc., Jpn., 75, 1819 (2002).
J. Am. Chem. Soc., 125, 3720 (2003).
J. Am. Chem. Soc., 127, 3296 (2005).
Heterocycles, 72, 127 (2007).
Heterocycles, 77, 76 (2008).
Chem. Lett, 38, 732 (2009).
Chem. Lett, 40, 351 (2011)
J. Org. Chem., 76, 9670 (2011).
Tetrahedron Lett., 53, 1847 (2012).
Bull. Chem. Soc. Jpn., 86, 1203 (2012)
Asian J. Org. Chem., 2, 130 (2013).
Asian J. Org. Chem., 2, 208 (2013).
Chem. Lett., 42, 0000 (2013).
3
有機合成反応の活用
H
N
EtO2C
O
CO
H2n+1Cn O
*
n = 6, 8, 10
CHO
OH
X
OC
O
強誘電性液晶
Me
Imidazole Glycerol Phosphate
Dehydratase Inhibitor
Org. Lett., 8, 3585 (2006).
Eur. J. Org. Chem., 2010, 191.
HO
O
Tetrahedron: Asymm., 18, 915 (2007).
Tetrahedron: Asymm., 15, 2451 (2004).
特開 2007-326793
O
特開 2005-237304
R1
R2
R R
OH
HO
LDL antioxidant
O
HN
J. Med. Chem.,46, 3083 (2003).
NH
CO2H
S
(+)-Biotin
Tetrahedron Lett., 40, 8873 (1999).
J. Org. Chem.,59, 5865 (1994).
特開 1996-08134047
Me
次代の
ファイン
ケミカルズ
O
R
O
R R
HO
R
アルミ電解コンデンサ
特願 2010-144727
新触媒/新合成反応
O
O
HN
O
N H
H N
OO
N
OEt
Me
OEt
反応の効率化(集積化)
ワンポット多段階反応
B(OH)2
O
S
S
O
O
S
O
n
PEDOT
AG-041R
J. Org. Chem.,71, 8559 (2006).
有機合成反応
Heterocycles. 82, in press
特願 2010-050768
特願 2009-210091
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研究室テーマと企業ニーズのマッチング
三重大学
清水研
カルボン酸合成
本テーマ
「アルミ電解コンデンサ
二塩基酸開発」
A
B
C
次世代ファインケミカルズ
ニチコン株式会社
アルミ電解コンデンサ
企業
企業
企業
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開発体制の紹介
ニチコン社 Al電解コンデンサメーカー
三重大学:清水研究室 清水教授・溝田助教
コーディネータ 梅村 時博 (電機メーカT社卒業)
横森 万
(化学企業K社卒業)
コーディネータ参画により企業とアカデミアの連携が強化
・本テーマはニチコン社・三重大学の共同研究である。
・本テーマは実用化を目指した開発研究である。
・その成果が結実しつつあり、モノづくりを担う化学企業をパートナーとして求めている。
6
アルミ電解コンデンサ
②電解液
③電解紙
①電極箔
①電極箔
電解液の特性がアルミ電解
コンデンサの性能に大きく関わる
7
コンデンサの基本構造
陽極の化成
①塩化物水溶液内で電気的にエッチング
②ホウ酸アンモニウムetcで化成処理
定格電圧以上の直流印可
③酸化アルミ被膜生成:陽極となる
1µ以下の膜厚、高抵抗
④Al2O3の性質
ε = 11.5 tanδ = 1 x 10-5 ρ = ~109 Ω/m
ハロゲンは酸化アルミ、アルミを溶解!?
陰極:真の陰極は、電解液
①自然酸化した酸化膜:薄い
→ 耐圧は0.5V程度と低い
②化成処理しない
課題:耐熱性と耐電圧
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従来技術とその問題点
モデル配合:電解質濃度5 wt%、アンモニア水(28%)
ジアンモニウム塩(2Am塩)となるように調製
問題点:耐電圧の限界 500 ~ 600V
耐熱性の限界 105℃ x 3,000時間
現行品の性能限界は、「105℃ x 550V-3,000時間」
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新技術の特徴・従来技術との比較
新規二塩基酸 モデル構造式
差別化:①α位に立体障害のある置換基導入による耐熱性向上
②エーテル結合の組み込みによるエチレングリコールへの溶解性増加
③環状構造導入による分子の剛直性増加による耐電圧向上
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ルールオブ6による立体障害ファクターの算出
ルールオブ6:カルボニル酸素を1位とした際に、6位の原子の立体ファクターを6、
7位の原子の立体ファクターを1としてその総和を計算したもので、
立体障害ファクターを数値化できるという手法
立体障害ファクタ21と42のCOOHの共存
→耐熱性の限界
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性能評価試験結果
電解質組成と特性、および耐熱試験結果
COOHとEGのエステル化によるCOOHの消費
COOHとNH3のアミド化によるCOOHの消費
→比抵抗の増加&溶解性の低下
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性能評価試験結果
耐電圧評価試験結果
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性能評価試験結果
新規二塩基酸2
電解質組成と特性
耐熱試験結果
耐電圧評価試験結果
耐電圧750V以上
シンチレーション発生も見られず
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想定される用途
太陽光発電
パワーコンディショナー
PC
新幹線
EV
現行品の高耐久性化、高信頼性化
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実用化に向けた課題
• 大学で行うべきことは大筋完了
要求性能:達成済み
化合物の絞り込み:ほぼ達成済み
• 課題:構造の最適化
実用化検討用 大量サンプルの供給 ~1kg
製造プロセスの構築
品質の絞り込み
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企業への期待
•
•
•
•
•
(秘密保持契約に基づく情報開示・技術移転可能)
反応設備:製造用反応機器 ~140℃ 1~10m3
精製設備
有機合成ビジネスの実績
R&D資源の投入:~2名 *約2年
実用化検討用 大量サンプルの供給 ~1kg
製造プロセスの構築
品質の絞り込み
• 三重大学の実施許諾に基づく製品化・供給
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本技術に関する知的財産権
①
•
•
•
•
発明の名称
出願番号
出願人
発明者
:電解コンデンサの駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ
:特願2013-146611
:国立大学法人三重大学、ニチコン株式会社
:清水 真、溝田 功、横森 万、清澤 潤一、伊藤 良夫、田中 寛之
②
•
•
•
•
発明の名称
出願番号
出願人
発明者
:電解コンデンサの駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ
:特願2013-162112
:国立大学法人三重大学、ニチコン株式会社
:清水 真、溝田 功、横森 万、清澤 潤一、伊藤 良夫、田中 寛之
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産学連携の経歴
平成22-23年 ニチコン株式会社、共同研究実施
A-STEP 平成22年度 第1回 FSステージ採択
「新規高級二塩基酸による次世代高機能型アルミ電解コンデンサの
開発」
平成23-24年 ニチコン株式会社、共同研究実施
平成24-25年 ニチコン株式会社、共同研究実施
平成25-26年 ニチコン株式会社、共同研究実施
A-STEP 平成25年度 第1回 FSステージ採択
「高性能アルミ電解コンデンサの開発に向けた骨格に環状構造を持
つ新規二塩基酸の開発」
「高性能アルミ電解コンデンサの開発に向けた新規多塩基酸の創
成」
平成26年~ ニチコン株式会社、共同研究実施
現在に至る
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問い合わせ先
三重大学大学院
産学連携コーディネーター 横森 万
TEL:059-231-5454
E-mail : yorozu.yokomori@eng.mie-u.ac.jp
三重大学大学院 工学研究科 分子素材工学専攻
教授 清水 真
TEL&FAX :059-231-9413
E-mail : [email protected]
三重大学大学院 工学研究科 分子素材工学専攻
助教 溝田 功
TEL&FAX :059-231-9415
E-mail : [email protected]
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