スペクトル解析演習解答 平成 26 年 7 月 1 日 化合物 8 ( 正答率 88%, 解答率 94%) MS スペクトルより MW が奇数 → 窒素を奇数個含む 1 H NMR より a, δH 4.3 (2H, 1 重線 ) → X–CH2–Y b, δH 7.3 (5H, 多重線 ) → C6H5–R (–R: 電子的効果小さい ) c, δH 8.2 (1H, 1 重線 ) → –CHO d, δH 8.5 (1H, exchange) → –NH– IR より ν 3268 cm–1 → –NH ν 1651 cm–1 → C=O ( 共鳴により単結合性が強くなっている → –C(=O)NH–) 以上の官能基を総合すると C8H9NO (C6H5+CHO+CH2+NH) = 135 よって考えられる構造は… プロトン a, X–CH2–Y 0.23 b b b b O a b N H H σPh = 1.83 σNHC(=O)R = 2.27 δcalc = 4.33 c d 実測値δ 4.3 化合物 9 ( 正答率 52%, 解答率 86%) MS スペクトルより MW が奇数 → 窒素を奇数個含む 1 H NMR より a, δH 1.4 (9H, 1 重線 ) → –C(CH3)3 b, δH 7.3 (2H, 2 重線 ) → p-C6H4– (c が高周波シフト → 電子求引性置換基 ) c, δH 8.3 (2H, 2 重線 ) IR より ν 1759 cm–1 → C=O ( 高波数 : 誘起効果によって C=O 結合長減少 → –C(=O)OR) 以上の官能基を総合すると C11H13O2 (C6H4+C4H9+CO2) = 177 MW -177 = 46, 窒素 (N) が奇数個含まれる ; 1 個の場合残り 32; 3個の場合残り4 3 個の場合は残り4を満たす為には水素が必要だが、 1H NMR には現れていない。 よって1個の可能性が高く残りの 32 は酸素2個 (16×2) と考えられる。 以上のことより、 窒素を含む官能基は–NO2 よって考えられる構造は… a c O 2N b c O b O a a 誘起効果 , Hb, Hc Hc Hb O O+ O 2N Hc Hb R 誘起効果 , C=O O O 2N O R O O 2N O+ R 共鳴効果 δHb = 7.3 ppm ( 誘起効果 : 高周波シフト←( 相殺 )→共鳴効果 : 低周波シフト ) δHc = 8.3 ppm ( ニトロ基の誘起効果 : 高周波シフト ) νC=O = 1759 ( 誘起効果 : 高波数 ) ニトロ基まで拡がった共鳴も考えて下さい。 化合物 10 ( 正答率 68%, 解答率 81%) MS スペクトルより 大きな特徴ない , MW = 70 1 H NMR より a, δH 4.6 (4H, 2 重線 ) 等価な 4H→ CH2 ×2; 2 重線 → CH2–CH ×2 b, δH 5.9 (2H, 3 重線 ) → CH2–CH ×2 以上の官能基を総合すると C4H6 = 54, MW – 54 = 16 よって–O– IR のν 1078 cm–1 も満たす。 よって考えられる構造は… b a b O 下記の構造では Ha1 と Ha2 は等価にならない a H a1 非等価 Hb H a2 Hb O H a1 H a2 非等価 化合物 11 ( 正答率 84%, 解答率 65%) MS スペクトルより MW が奇数 → 窒素を奇数個含む 1 H NMR より a, δH 2.2 (1H, exchange) → –NH– or –OH b, δH 2.4 (3H, 1 重線 ) → X1–CH3 c, δH 2.7 (2H, 3 重線 ) → Y–CH2–CH2–Z d, δH 3.4 (3H, 1 重線 ) → X2–CH3 e, δH 3.5 (2H, 3 重線 ) → Y–CH2–CH2–Z IR より ν 3338 cm–1 ( 鋭い , 1 本 ) → –NH– 以上の官能基を総合すると C4H11N (C2H4+CH3+CH3+NH) = 73, MW – 73 = 16 よって–O– よって考えられる構造は… d O c e N H a b プロトン b, X–CH2–Y 0.23 σH = 0.34 σNHR = 1.57 δcalc = 2.14 実測値 2.4 プロトン c, X–CH2–Y 0.23 σCH2 = 0.68 σNHR = 1.57 δcalc = 2.48 実測値 2.7 プロトン d, X–CH2–Y 0.23 σH = 0.34 σOR = 2.36 δcalc = 2.93 実測値 3.4 プロトン e, X–CH2–Y 0.23 σCH2 = 0.68 σOR = 2.36 δcalc = 3.27 実測値 3.5 化合物 12 ( 正答率 86%, 解答率 55%, 約半数の人が授業時間内に 5 問目まで解いている。 ) MS スペクトルより M+2 ピークが分子イオンピークと同じ強度 → 臭素を一つ含む (79Br, 81Br) 1 H NMR より a, δH 7.7 (2H, 2 重線 ) → p-C6H4– (a, b 共に高周波シフト → 電子求引性置換基 ) b, δH 7.9 (2H, 2 重線 ) c, δH 13.2 (1H, exchange) → –CO2H IR より ν 3200–2500 cm–1 → –CO2H 1680 cm–1 → C=O (CO2H) 以上の官能基を総合すると C7H5BrO2 (Br+C6H4+CO2H) = 200, OK よって考えられる構造は… a b Br CO 2H c a b 化合物 13 ( 正答率 38%, 解答率 34% ) MS スペクトル MW が奇数 → 窒素を奇数個含む 1 H NMR より a, δH 3.7 (2H, 1 重線 ) → X–CH2–Y b, δH 6.2 (1H, exchange) → –OH or –NH– c, δH 6.8 (2H, 2 重線 ) → p-C6H4– (c が低周波シフト → 電子供与性置換基 ) d, δH 7.1 (2H, 2 重線 ) IR より ν 3346 cm–1 → –OH ( 強い水素結合 ) or –NH– ν 2259cm–1 → –C≡N (N が確定 , –NH–) 以上の官能基を総合すると C8H7NO (C6H4+CH2+CN+OH) = 133, OK よって考えられる構造は… c HO b a d c CN d 化合物 14 ( 正答率 92%, 解答率 16%) MS スペクトルより 大きな特徴ない MW = 100 1 H NMR より a, δH 1.3 (3H, 3 重線 ) → –CH2CH3 b, δH 4.2 (2H, 4 重線 ) → X–CH2CH3 c, δH 5.8 (1H, 2 重線の 2 重線 ) d, δH 6.1 (1H, 2 重線の 2 重線 ) → H e, δH 6.4 (1H, 2 重線の 2 重線 ) IR より ν 1728 cm–1 → C=O ν 1196 cm–1 → –O– 以上の官能基を総合すると C5H8O2 (C2H3+C2H5+CO2) = 100, OK よって考えられる構造は… c Hd H e H O O H H a b 79% 75% 15 N O CN 16 76% 65% O O 17 18 Br 59% 90% 51% 98% O HO H 19 OCH3 39% 66% OCH3 20 O O 26% 86% R
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