有機化学Ⅱ平常テスト⑥(2014.11.06)標準解答 OH

有機化学Ⅱ平常テスト⑥(2014.11.06)標準解答
1
次の化合物の IUPAC 英名を示せ。
(1)
H
H
(2)
CH2OH
(3) Na+[(CH3)3CO]−
(4) (CH3)2CHCH2OH
sodium 2-methylpropan-2-olate
CH2OH
慣 isobutyl alcohol
OH
1-cycloheptylmethanol
(1R,3S)-3-(1-hydroxymethyl)cyclohexan-1-ol
2
IU 2-methylpropan-1-ol
慣用名は alkyl alcohol のように、必ず二語である
Kw=1.000×10−14,水の比重=1.000,原子量 H:1.01,O:16.00 とするとき、水の pKa を計算せよ。
必ず立式すること(最終数値のみの解答は認めない)。
Ka = [H+][OH−]/[H2O] = Kw /[H2O],比重=1.000 であるから、水1(整数)ℓ = 1000g= (1000/18.02)mol である。
pKa = −log[Ka] = −log[1.000×10−14/(1000/18.02)]=−log[1. 802×10−16]=15.744245
Ans. 15.7442
有効数字は 4 桁。最初の「15」は指数部由来であって、有効数字桁には数え入れない。
3
有機物原料としてはエタノールのみしか与えられていない。必要な無機試薬や触媒類などは、反応式中に明
記すれば任意に用いてよい。次の化合物を合成する反応式を示せ。多段階反応が必要な場合もある。
(1) エタナール[ethanal,アセトアルデヒドともいう]本問のみ中間体の構造も正確に記せ
構造は CH3CH=O
前回も出題したので、略。
(2) ブタン-2-オール
構造は CH3CH2-CH(CH3)-OH
炭素数2のエタノールから炭素数4のブタン-2-オールを合成するにはカップリングによる増炭反応が必要。諸君
らがここまでの範囲で学んでいるのはカルボニル化合物へのカルボアニオンの付加反応のみ。カルボアニオンは
『アルコール→ハロアルカン→Grignard ないし有機リチウム化合物』で生み出す。
↓ここの部分、HBr では不正解(一級アルコールだと反応が遅い)
CH3CH2OH + PBr3 →
CH3CH2Br ――(+Mg)――→ CH3CH2MgBr ――[+(1)で合成した CH3CHO]――→
+ HOPBr2 (or O=PBr+HBr)
(MgBr) [CH3CH2-CH(CH3)-O]− ――(+H2O)――→ CH3CH2-CH(CH3)-OH + MgBr(OH)
+
なお、CH3CH2MgBr のかわりに、CH3CH2Br + 2Li → CH3CH2Li + LiBr のリチウム化合物を用いても良い[次
の(3)も同じ]
。CH3CH2Br に替り CH3CH2Cl へ誘導しても同様に反応できる。CH3CH2OH+ SOCl2 or PCl5→
CH3CH2Cl+SO2+HCl or O=PCl3 + HCl、この後は CH3CH2MgCl または CH3CH2Li + LiCl となる。
(3) 3-メチルペンタン-3-オール
構造は(CH3CH2)2C(CH3)-OH
(2)で合成した CH3CH2MgBr と CH3CH2-CH(CH3)-OH を用いる。
CH3CH2-CH(CH3)-OH + PCC ――→
CH3CH2C(CH3)=O
――(+CH3CH2MgBr)――→
+ PyH+Cl + (HO)2Cr=O
−
(MgBr)+[(CH3CH2)2C(CH3)-O]− ――(+H2O)――→
(CH3CH2)2C(CH3)-OH + MgBr(OH)