第5回プリント

トポロジー I 演習
担当 丹下 基生:研究室 (B622) mail([email protected])
第 5 回(’14 年 5 月 19 日:Keyword · · · 開写像、閉写像、商写像)
定義 5 開写像 (open map) (X, OX ), (Y, OY ) に対して、位相空間の間の写像 f : X → Y が、∀U ∈ OX に対し
て、f (U ) ∈ OY となるとき、f は開写像であるという.また任意の閉集合が閉集合に写るとき、閉写像という.
商写像 (quotient map) 全射 f : X → Y が U ∈ OY ⇔ f −1 (U ) ∈ OX となるとき、f を商写像という.
問題 51 [p-進距離]
p を固定された素数とする.∀n, m ∈ Z に対して、k を n − m を割り切る最大の p のべきとする.このとき
|n − m|p = 2−k とすると、| · |p は Z 上の距離となることを示せ.
問題 52 [p-進距離 2]
問題 51 の距離によって定義された位相は Z 上の通常の距離位相と同値でないことを示せ.またこの位相は Uα (n) =
{n + λpα |λ ∈ Z} を開基としてできる Z 上の位相空間と同じであることを示せ.
問題 53 [定理 19.4]
∏
積空間
(Xλ , Oλ ) において、任意の因子空間 (Xλ , Oλ ) への射影 pλ は開写像であることを示せ.
λ∈Λ
問題 54 [例 19.2]
問題 53 の射影は閉写像になるとは限らないことを示せ.そうならない例を挙げよ.
問題 55 [教科書 p.95 注]
∏
Xλ において、
積集合
λ∈Λ
{
∏
Vλ |Vλ ∈ Oλ , λ ∈ Λ}
λ∈Λ
を開基とする位相をこの積集合上に入れる(箱形位相という).このとき、この位相は一般に積位相 //\\ λ∈Λ Oλ よ
り大きい.大きくなる例を挙げ、それを示せ.
問題 56 [演習 5.7(酒井)]
全単射 f : X → Y に対しては、開写像となること、閉写像となることと、および逆写像 f −1 : Y → X が連続と
なることは互いに同値であることを示せ.
問題 57 [定理 20.1 および演習 9.1(酒井)]
(X, OX ), (Y, OY ) が位相空間とする.このとき、全射な連続写像 f : X → Y が開(および閉)であれば f は商写
像であることを示せ.
問題 58 [命題 9.1(酒井)]
位相空間 (X, T ) から集合 Y への写像 f : X → Y が与えられたとき、次のように定義された Tf は Y 上の位相と
なる.このとき、Tf は f を連続にする Y の位相のうちで最も細かいものである.
Tf := {V ⊂ Y |f −1 (V ) ∈ T }
問題 59 [定理 20.1]
(X, O) および、(Y, O′ ) を位相空間とする.全射 f : X → Y が位相空間 (X, O) から位相空間 (Y, O′ ) への連続写
像であり、さらに、開写像(または閉写像)であるとすれば、f は位相空間 (X, O) から位相空間 (X ′ , O′ ) への商
写像であることを示せ.
問題 60 [開写像と閉写像]
連続関数 f : S1 → S1 として閉写像であるが、開写像でないものを構成せよ.
問題 61 [開写像]
連続関数 f : R → R が開写像であるとき、f は同相写像であることを示せ.
問題 62 [複素数を用いた写像]
複素平面 C に絶対値を用いて距離空間とする.つまり、z, z ′ ∈ C のとき、d(z, z ′ ) = |z − z ′ | とする.このとき、
f : C → C を f (z) = z 2 として定義するとき、f は連続写像か?また、開写像となるか?
大学数学を楽しむためにはその 5(読解力)
「証明の役割」
数学の定理には証明が必ず付いている.数学を理解していくには証明をいちいち読んでいかなければならない.
定理が正しいか確認するために読むだけでなく、その定理の意味を深く理解するために読むのである.定理を
読んでも意味が分からないとき、証明を読んで初めてその定理の意味が理解できるときがある.また、定理
が直ちに正しいという直感がある場合でも、読んでみてこの定理で重要な箇所がわかり、改めて直感と論理
の差について深く理解できるかもしれない.つまり、どちらにしても証明をいちいち読んでいくこと数学を
学習する上で欠かせないのである.また、証明を読みながら、その定理の本質はどこなのか、その定理はど
のような状況で有用なのか考えたり、その証明法自体をそのまま身につけることも必要なスキルである.苦
労して証明を読み進めることは大変ではあるが、身につけたものは大変な財産になる.
また、勉強が進んで定理がすぐに理解でれば、証明を読まずに自分で証明を付けてみるとよいだろう.
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