(B問題)と同一問題及びオリジナル問題の定着状況 (PDFファイル)

(8)全国学力・学習状況調査(B問題)と同一問題及びオリジナル問題の定着状況
本年度は,数学A数学Ⅰ問題において,過去の全国学力・学習状況調査(B問題)と同一の問題を
出題した。また,数学A数学Ⅰ,数学A数学活用,数学B数学Ⅰ及び数学B数学活用において,過去
の全国学力・学習状況調査(B問題)を参考に,基礎的・基本的な知識・技能を活用することがで
きるかどうかをみるオリジナル問題を出題した。
問題及びその結果は以下のとおりである。
○ 平成25年度A問題で,平成24年度全国学力・学習状況調査(B問題)と同一問題の通過率の変
化(概ね,平成24年度の中学校第3学年の生徒が平成25年度になって受験した結果を表す)
直線 l と,直線 l 上にない点Pがあります。点Pを通る l の垂線は,次の手順Ⅰ,Ⅱ,Ⅲで,
下の図のように作図することができます。
手順Ⅰ 点Pを中心として,直線 l と2点で交わるように円をかき,直線 l との交点を点A,
点Bとする。
手順Ⅱ 点A,点Bを中心として,等しい半径の円を交わるようにかき,その交点の1つを点
Qとする。
手順Ⅲ 点Pと点Qを通る直線をひく。
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このように作図できるのは,この手順による点Q,A,P,Bを順に結んでできる図形が,
ある性質をもつ図形だからです。その図形は,次の ①~④ のうちどれですか。その番号を書
きなさい。
① 直線PQを対称の軸とする線対称な図形
② 直線 l を対称の軸とする線対称な図形
③ 点Qを対称の中心とする点対称な図形
④ 直線 l と直線PQの交点を対称の中心とする点対称な図形
教科・科目
平成 24 年度調査
(中学校第3学年)
数学A・数学Ⅰ
( 2 (3) )
56.7%
平均通過率
第1学年
70.5%
平成 25 年度
通過率 30%未満の生徒
12.3%
これは垂線の作図の手順を読み,そこで用いられている図形の性質について考える問題である。
数学A問題数学Ⅰと平成24年度全国学力・学習状況調査(B問題)の平均通過率を比べると,1
3.8ポイント上昇しており,数学的な見方や考え方が身に付いてきていると考えられる。ただし,
通過率30%未満の生徒については,この問題の正答率が極めて低く,作図によってできる図形の
性質を見いだす力や作図の説明から問題の意図を読み取る力が不足している。
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○ 数学A数学Ⅰ,数学A数学活用,数学B数学Ⅰ及び数学B数学活用における,過去の全国学力・学習
状況調査(B問題)を参考に作成したオリジナル問題の結果
水の入った水そうがあります。この水そうには,水を入れるための蛇口A,Bと,水を出すための
栓C,Dがあります。蛇口Aからは毎分 20 L,蛇口Bからは毎分 10 L の割合で水そうに水が入り,栓
Cからは毎分 15 L,栓Dからは毎分 30 L の割合で水そうから水が出ます。いま,蛇口,栓はすべて閉
じられています。
はじめに,蛇口または栓を1つ開け,その後,5分毎に蛇口または栓を1つずつ順番に開けていき
ます。このとき,はじめに蛇口または栓を開けてから x 分後の水そうの水の量を y L とします。下の
グラフは,20 分後までの x と y の関係を表したものです。蛇口または栓を開けた順番として適切なも
のを,下の ①~④ から1つ選び,その番号を書きなさい。なお,20 分間で水は水そうからあふれな
いものとします。
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① B→C→A→D ② A→D→B→C ③ A→C→B→D ④ B→D→A→C
(参考にした問題)平成22年度 中学校数学B問題 6 (2)平均正答率 50.4%
教科・科目
数学A・数学Ⅰ
( 3(2) )
数学B・数学Ⅰ
( 1(7) )
数学A・数学活用
( 3(2) )
数学B・数学活用
( 1(6) )
平均通過率
通過率 30%未満の
全体
生徒
全体
無答率
通過率 30%未満の
生徒
67.7%
21.5%
3.8%
73.5%
24.1%
2.9%
23.9%
26.9%
13.6%
41.3%
55.1%
38.3%
0.0%
38.2%
100.0%
26.7%
これまでの国又は国際的な学力調査の結果,思考力が課題であるととらえ,数学的に表現された
結果を事象に即して解釈することができるかどうかを見る問題を作成した。A問題数学ⅠとB問題
数学Ⅰを比べると,B問題数学Ⅰの方が平均通過率は高く,無答率は低いことから,B問題数学Ⅰ
受験者の方が事象における数量の変化をとらえる力は身に付いている。一方,A問題数学活用とB
問題数学活用を比べると,全体では,平均通過率と無答率は数学Ⅰと同様の傾向がみられるが,通
過率 30%未満の生徒では,平均通過率,無答率ともに課題が見られる。
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