SeaQuestの本実験ビームタイムのスタートと 実験の進行状況I

SeaQuestの本実験ビームタイムのスタートと
実験の進行状況I
永井 慧、小畑 滋希、後藤 雄二C、澤田 真也A、Florian Sanftl、柴田 利明、
中野 健一、宮坂 翔、宮地 義之B、
他SeaQuest Collaboration
東工大理、KEKA、山形大B、理研C
日本物理学会第69回年次大会 @ 東海大学
28th Mar., 2014
目次
1. SeaQuest実験の概要
2. 物理ランへ向けての改善点
3. ビーム
4. ドリフトチェンバー
5. まとめ
28aSD-12: 宮坂
SeaQuest実験のトリガーに
ついて
1
1. SeaQuest実験の概要
陽子内のsea quarkのフレーバー非対称性
¯ 、 u¯(x)の研究
d(x)
• 陽子内のsea quark、特に 2.25
単純なグルーオン分割ではフレーバー対称
¯ =u
d(x)
¯(x)
¯
[d(x)
1.25
d/u
u
¯(x)]dx > 0
1
0.75
0
0.5
E866実験(Fermilab)
¯
d(x)/¯
u(x)を 0.015
E866
1.75
1.5
NMC実験(1991, CERN)
1
2
0.25
x
0.35 の範囲で測定
0
0
E866 Systematic Error
0.1
0.2
0.3
x
0.4
0.5
0.6
← valence領域で顕著なフレーバー非対称度
¯
d(x)/¯
u(x) 1.7
¯
d(x)/¯
u(x) < 1 ??
@x
0.2
@x
0.3
2
SeaQuest実験(Fermilab)
¯
u(x) を 0.1
Drell-Yan過程を用いて d(x)/¯
0.45 の範囲で測定
x
• Drell-Yan過程の断面積 (ビーム陽子、標的陽子)
d2
4 21
=
[¯
qt (xt )qb (xb ) + q¯b (xb )qt (xt )]
dxt dxb
9xt xb s
標的中の反クォーク
前方検出のため無視
にアクセス
2.25
Hadron A
E906 18
3.4 10 POT
2
E866
1.75
q
*
q
Hadron B
proton-proton
1.5
1.25
l
q q¯
xb
d/u
+
µ µ
proton-deuteron
2
l
xt
¯ t)
1
d(x
1+
2
u
¯(xt )
1
0.75
0.5
0.25
0
0
E866 Systematic Error
0.1
0.2
0.3
x
0.4
0.5
3
0.6
SeaQuestスペクトロメータ
別
識
粒子
ン
オ
ー
ュ
ミ
• Drell-Yan過程の終状態のミューオン対の運動量を測定する
FMAG: 必要な運動量領域を選択する(ハドロン吸収体(鉄)でもある)
KMAG: ミューオンの運動量を測定する
Station: 検出器群 1-4
ホドスコープ Station 1-4 、主にトリガーに用いる
ドリフトチェンバー
Station 1-3、 主に飛跡再構成に用いる
プロポーショナルチューブ Station 4、
主に粒子識別に用いる
4
SeaQuest実験の進行状況
実験計画
2012. 3
コミッショニングラン
2013. 11
• コミッショニング
2014. 2
2014. 3
2012. 5
• コミッショニングランデータの
解析
• ビームの改良
• St. 3-ドリフトチェンバーの製作
物理ラン開始
2014. 9
物理データ取得開始
現在
加速器
シャットダウン
2014. 11
実験再開
2015.11
物理ラン終了
5
2. 物理ランへ向けての改善点
• ビーム (本講演)
• ビームの不安定性を改善
• よりサンプリングレートの高いビームモニターを導入
• トリガー (次講演: 28aSD 宮坂)
• High massでの検出効率を理解
• ドリフトチェンバー (本講演)
• 再構成された粒子飛跡を利用した検出面1層毎の検出効率、
位置分解能を評価
• トラッキング
• オンラインモニターが可能な速いトラッキングを開発
6
3. ビーム
ビーム構造
• Fermilab Main Injectorから遅い取り出し
• 陽子の塊(RFバケット)が53 MHzで供給
• 120 GeV
コミッショニングラン時のビームモニター
• St. 1ホドスコープ
• FMAGの下流に設置
• 7.5 kHz サンプリング
• 数千RFバケットをまとめた
強度の測定
3600 3800 4000 4200
ms7
ビームの課題と改善
ビームの強度が不安定: 60 × n Hzの周期で強度が変動
360 Hz
60 Hz
240 Hz
• 強いビームが来ると、大量のヒットを持つsplat eventが発生
• 解析困難なデータ
• 高強度ビームの前後のイベントを取得しないという対策をとった
• 取得しないイベントが多く、統計数が稼げなかった
→ 原因は?
• Main Injectorから陽子を取り出すkicker magnetの電源
• 電源の周波数が磁場にのり、取り出す陽子数を変動させる
→ 対策: 新しい電源に入れ替え、60 Hzの周期を抑制
8
ビームの課題と改善
360 Hz
60 Hz
60 Hz
360 Hz
9
ビームモニターの改善
PMT
Black Paper
チェレンコフ検出器を導入
4 inch
• 標的から10 m上流に設置
• Ar:CO2 = 4:1
• 陽子からのチェレンコフ光の測定によって Mirror
ビーム強度を53 MHz(1RFバケット毎)にサンプリング 4 inch
• 強度が閾値を超えた後18RFバケット分の測定をしない
Beam
• 1RFバケット毎に測定しているので、高強度ビームに即座に対応
• 加速器に対してビームの品質データを供給する
コミッショニングラン
(ホドスコープ)
ms
物理ラン
RFバケット
10
4. ドリフトチェンバー
検出効率
再構成した飛跡を用いて決定
全検出面にヒットがある飛跡
検出効率 = –––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
全検出面にヒットがある飛跡 + その検出面にだけヒットがない飛跡
要求: 95%以上
1.05
St. 1
率
Efficiency
効
St. 3+
St. 3-
1
検
出
St. 2
0.95
0.9
ほぼ全ての検出面で要求値通り
0.85
0.8
検出面(全部で24面)
D1U D1U D1X D1X D1V D1V D2V D2V D2X D2X D2U D2U D3p D3p D3p D3p D3p D3p D3m D3m D3m D3m D3m D3m
Xp X
Vp V
Up U
p
p
p
p
p
p
Xp X
Vp V
Up U
11
位置分解能
200
200
200
150
150
150
100
100
100
50
50
50
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
0
飛跡-ワイヤー間距離(cm)
Distance between track and Wire (cm)
D3pVp
D3pV
D3pXp
D3pX
D3pUp
D3pU
0.14
位
置
分
解
能
ドリフト時間毎に射影
250
0
-1.5
0.12
0.1
0.08
0.02
0
0
250
0
-1.5
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
Distance between track and wire (cm)
±700 µm
ドリフト時間(飛跡の通過位置)毎の
位置分解能評価
要求 400 µmに対して600-700 µm
0.06
0.04
ドリフト時間125 ns
125 ns
250
Resolution (cm)
Drift Time (ns)
ド
リ
フ
ト
時
間
(ns)
300 D3pUp
Yields
再構成した飛跡を用いて決定(St. 3+を例に挙げる)
• alignmentをiterationにより向上させる
平均 600-700 µm
50
100
150
200
250
300
Time (ns)
ドリフト時間(ns)
今後400 µmまで改善していく
12
4. まとめ
• SeaQuest実験は、Fermilab Main Injectorから供給される
120 GeV陽子ビームを用いて、陽子構造の研究を行っている
▶
Drell-Yan過程由来のミューオンを測定することによって、
陽子中の反クォークにアクセス
▶
¯
d(x)/¯
u(x) を 0.1 x 0.45 の範囲で測定
• 2012年の2ヶ月のコミッショニングランから、2013年11月に開始した
2年間の物理ランに向けて、検出器などの改善が行われた
• ビーム
▶
kicker magnetの電源を改善
▶
▶
安定性が向上
チェレンコフ検出器を導入
▶
1RFバケット毎にビーム強度測定可能、高強度ビームを効率良く排除できる
• ドリフトチェンバー
▶
再構成された粒子飛跡を利用して検出効率、位置分解能を評価した
▶
検出効率: 95%を満たす
▶
位置分解能: 400 µmを満たすよう、今後alignmentをiterationにより向上していく
13
Backup
永井 慧 28aSD-11
日本物理学会第 69 回年次大会@東海大学
28 March, 2014
18 / 17
xbeam
xtarget
xTarget
Expected xTarget vs xBeam Run-1 Acceptance
1
0.9
106
M( )
0.8
105
0.7
0.6
104
0.5
103
0.4
0.3
102
0.2
10
0.1
0
0
M(J/ )
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
d2
4 21
=
dxt dxb
9xt xb s
0.9
1
1
xBeam
[¯
qt (xt )qb (xb ) + q¯b (xb )qt (xt )]
14
フレーバー非対称度の起原
2.25
パウリの排他律
!
!
陽子の valence quark は (u, u, d) である
⇒ g → dd¯ が g → u¯
u に比べて優勢
非対称度は1% 程度
Meson-Cloud Model
!
!
陽子が πN
√
√ と π∆ で構成されていると考える
√
|p0 # → 1 − a − b|p0 # + a|πN # + b|π∆#
u → u + (d¯ + d) → π + + d → 優勢
d → d + (¯
u + u) → π − + u
E906 18
3.4 10 POT
2
E866
1.75
1.5
1.25
d/u
1
0.75
0.5
0.25
E866 Systematic Error
0
0
0.1
0.2
0.3
x
0.4
0.5
0.6
¯ u < 1 or d/¯
¯ u > 1 @ Bjorken x ∼ 0.3 ??
d/¯
¯ u を 0.1 < x < 0.45 で精度良く測定
SeaQuest: d/¯
永井 慧 28aSD-11
日本物理学会第 69 回年次大会@東海大学
28 March, 2014
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Correction of the resolution
The observed errors by track reconstructed with all planes are smaller than the
true resolution.
← Because the track is pulled by the hit.
I think the correction factor can be calculate from the least square method.




i
%
%
%
∂xt
1 
=
(Nplane − 1)zk −
zj  zi + 
zj2 − zk
zj 
∂xk
Xi
j!=i
Xi = (Nplane − 1)
Xa = Nplane
%
k
⇓

%
zk2 − 
k!=i
zk2 −
*
%
k
zk
%
k!=i
+2
j!=i
j!=i
2
zk 
,


-/
02 % / i 02
∂x
- Xi
t

Ci = .
+ 1
Xa
∂xk
k!=i
永井 慧 28aSD-11
日本物理学会第 69 回年次大会@東海大学
28 March, 2014
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