熱源施設の稼働における大気汚染(ダウンドラフト時)について 資料 2

資料 2
熱源施設の稼働における大気汚染(ダウンドラフト時)について
1.予測事項
熱源施設の稼働による大気汚染物質濃度(1 時間値)
2.予測対象時期
1 期工事及び 2 期工事のそれぞれが完了した時点おいて、熱源施設の稼働が定常状態と
なった時期のダウンドラフト時とした。
3.予測場所
準備書と同様とした。
4.予測方法
(1)
予測手法
熱源施設の稼働による二酸化窒素濃度の予測は、図-1に示す手順で行った。
予測式は点煙源拡散式 注 ) とし、以下に示すプルーム式を用いた。
C(x,y,z)=
1
2π
・
Qp
σ y ・σ z ・u
・
exp(-
・[exp{-
y2
2・σ y 2
(z-He) 2
2σ z 2
)
}+exp{-
(z+He) 2
2σ z 2
C(x,y,z)
: 計算点(x,y,z)における濃度
x
: 風向に沿った風下距離(m)
y
: x 軸に直角な水平距離(m)
z
: x 軸に直角な鉛直距離(m)
Qp
: 点煙源強度(Nm 3 /s)
u
: 風速(m/s)
He
: 有効煙突高(m)
σy
: y 方向拡散パラメータ(図-2及び表-1参照)
σz
: z 方向拡散パラメータ(準備書と同様)
注)「窒素酸化物総量規制マニュアル〔新版〕」(公害研究対策センター,平成 12 年)
1
}]
気象データ
・風向、風速のデ-タ
予測場所及び
予測地点の設定
熱源計画
・排出ガス量、温度等
・窒素酸化物排出量
排出口位置の設定
・煙 源 位 置
・排出口高さ
排出源高さの風速の設定
拡散幅等の設定
気象条件の設定
・主風向:NW
・平均風速:3.3m/s
・大気安定度:B
拡散式による基準濃度計算
・有風時:プルーム式(風速1.0m/s~
)
1時間値の窒素酸化物の
寄与濃度の算出
窒素酸化物から二酸化窒素への変換式
1時間値の二酸化窒素の
寄与濃度の算出
バックグラウンド濃度
1時間値の二酸化窒素濃度の算出
図-1
熱源施設の稼動による二酸化窒素濃度の予測手順
なお、拡散パラメータσ y は、表-1に示す近似式を用い、次に示す時間希釈率の補正を
行った。
σ y =σ y p (T/Tp) r
σy
:評価時間 T に対する値
σ y p :表-1の近似関数による値
T
:短期予測の評価時間(T=60 分)
Tp
:表-1の評価時間(Tp=3 分)
r
:べき指数(r=0.2)
2
図-2
風下距離とσ y の関係
表-1 パスキル・ギフォード図の近似関数σ y
σ y p (x)=γ y ・x α y
安定度
αy
γy
風下距離x(m)
A
0.901
0.851
0.426
0.602
0~1,000
1,000~
B
0.914
0.865
0.282
0.396
0~1,000
1,000~
C
0.924
0.885
0.1772
0.232
0~1,000
1,000~
D
0.929
0.889
0.1107
0.1467
0~1,000
1,000~
E
0.921
0.897
0.0864
0.1019
0~1,000
1,000~
F
0.929
0.889
0.0554
0.0733
0~1,000
1,000~
G
0.921
0.896
0.0380
0.0452
0~1,000
1,000~
出典)「窒素酸化物総量規制マニュアル〔新版〕」
(公害研究対策センター,平成 12 年)
さらに、拡散パラメータ(σ y 、σ z )は、建物等によって煙の初期広がりをもつとした
次式 注 ) により求めたΣy、Σz を用いた。
注)「ごみ焼却施設環境アセスメントマニュアル」(社団法人
3
全国都市清掃会議,昭和 61 年)
Σy=(σ y 2 +CA/π) 1/2
Σz=(σ z 2 +CA/π) 1/2
Σy:水平方向の拡散パラメータ(m)
Σz:鉛直方向の拡散パラメータ(m)
C :形状係数
0.5~2 の範囲をとるが、安全側の観点から 0.5 とした。
A :建物等の風向方向の投影面積(m 2 )
②
予測条件
ア
気象条件の設定
風向・風速は、準備書と同様、港陽における平成 24 年度の風向・風速の測定結果をもと
に設定し、風向は主風向である北西(NW)、風速は NW 出現時の年間平均風速 3.3m/s とし
た。また、大気安定度は不安定において最も出現頻度が高いBとした。なお、予測にあた
っては、風速をべき乗則 注 ) により、排出源高さの風速に補正した。
イ
排出源条件の設定
排出源条件は、準備書と同様とした。
ウ
バックグラウンド濃度の設定
準備書と同様とした。
③
変換式の設定
準備書と同様とした。
注)「窒素酸化物総量規制マニュアル〔新版〕」(公害研究対策センター,平成 12 年)
4
(5)
予測結果
二酸化窒素濃度の予測結果は、表-2及び図-3に示すとおりである。
表-2
【1 期工事完了後】
二酸化窒素濃度の予測結果(最高濃度出現地点)
寄与濃度
①
バックグラウンド濃度
②
1 時間値の最高値
③=①+②
寄与率(%)
①/③
0.011
0.017
0.028
39.3
単位:ppm
指針値 *
0.1~0.2
注)最高濃度は、排出口の位置から南東約 140m先に出現する。
【2 期工事完了後】
寄与濃度
①
バックグラウンド濃度
②
1 時間値の最高値
③=①+②
寄与率(%)
①/③
0.020
0.017
0.037
54.1
単位:ppm
指針値 *
0.1~0.2
注)最高濃度は、排出口の位置から南東約 120m先に出現する。
*)中央公害対策審議会大気部会に設置された「二酸化窒素に係る判定条件等専門委員会」により、昭和
53 年 3 月 20 日付けの報告 書にて提案された指針値。
5
図-3
熱源施設の稼働による二酸化窒素濃度の予測結果
6